シカゴ在住。ライター、3児の母。
【ワッキーウッキーのアメリカトレンドレポ】アメリカ在住歴24年のクックパッドアンバサダー・ワッキーウッキーさんがシカゴより最新トレンドをレポート!アメリカで流行っている食材や、日本でもお馴染みのアノ商品の意外な一面などを現地からお届けします。
アメリカに住んで24年の筆者が一時帰国のたびに驚くのが日本のカップ麺の進化。こんな味が?といつも驚かされ、価格の安さ、本格的な味に、お店と変わらない麺の仕上がりなど、さすがメイドインジャパン!と感心しスーツケースに詰めて持ち帰りたいと願うも、アメリカにはお肉のエキスが入っている食品の持ち込みが禁止されているので泣く泣くあきらめるのでした。
そんなカップ麺ですが、アメリカでもここ最近そのブームが来ているようで、様々なブランドが新製品をどんどん発売しているので特に気になった商品をピックアップしてご紹介します。
今からさかのぼること2年前の2021年10月にはアメリカでは衝撃的なカップ麺が発売されています。 その名は「Cup Noodles Pumpkin Spice」!アメリカならではのスパイスが効いた味には、ココナッツ、ブラウンシュガー、パンプキンパウダーなどが入っていてホイップクリームをトッピングして食べてくださいと宣伝され、アメリカ全土に衝撃、好奇心、混乱を巻き起こした伝説のカップ麺となっています。
さらに今年の3月には期間限定商品として世界最大のスーパーWalmart(ウォルマート)にて$1.18(約175円)で発売された「Cup Noodles Breakfast」。こちらも発売と同時に瞬く間に人気となり、速攻売り切れ状態になったカップ麺です。現在では某ネットショップでは6個セットが送料込みで1個あたり1,366円とかなり高額なプレミアムが付いて売られています。
アメリカの朝食の顔、パンケーキに、メープルシロップ、ソーセージ、エッグを再現した味となっていて、コンセプトは“朝から夜まで朝食体験”だそうです。
また余談ですが、日本の朝食としてお馴染みの卵かけご飯=「TKG」( Tamako Kake Gohan )のカップ麺を先日食べていたところ、一緒にいたアメリカ人の友達は「What!」とか「Oh, my!」など、初めて目にしたようでとても驚いていました。
実際にスーパーで見つけたカップ麺を作って色々と食べてみました。その中でも特に衝撃的だった5つを紹介します。
「Sriracha」は、日本でもお馴染みの赤色が目立つ鶏がマークパッケージで、中身は麺とスープのみで「他には何も入ってない~」と衝撃を受けました。
味は酸味と辛みの効いたさっぱり味でとってもシンプル。いや、シンプル過ぎます。
「Hot&Spicy Fire Wok Volcanic Mongolian Beef」は、日本が誇るNISSIN製で、こちらはお水を入れて電子レンジで温めるタイプ。
具材には結構なサイズの乾燥赤唐辛子がタップリ、あとはネギがあり、出来上がり後にファイヤーソースを入れて混ぜます。ビーフの旨味が最初に広がり、その後辛さが湧いてくる、まさにボルケーノ!口の中が火山状態になる面白さです。
「Yakisoba Cheddar Cheese」も日本を代表するブランドで、親しみを感じます。パッケージはチーズ好きのアメリカで受けそうなデザインです。お水を入れて電子レンジで温め、チーズと調味料のパウダーを混ぜる具材の無いタイプ。
濃厚なチーズ味が楽しめ、子どもウケしそうなタイプです。混ぜると段々水分がなくなり、麺が塊となり満遍なく混ぜるのに苦労しました。
「Pad Thai Ramen」は、タイを代表する麺の一つで、アメリカでも人気なので需要があります。パッタイをラーメンと言うのは納得がいきませんが、スープなしで軽い箱を持ちながら食べられ2分で出来上がりです。
箱の形はアメリカでアジアンフードを持ち帰る定番容器。具は小さいニンジンのみで、ケチャップ味が強くスパイシーで硬麺に良く絡みます。
「Peanut Satay」はアメリカで一番人気のスーパーの一つ「Trader Joe's」にある生麺タイプで、どっしり重たく食べ応えがあります。
具材は人参のみで粘質系のソースがたっぷりあり、ピーナッツの味がメインとなりちょっと途中で飽きてきました。
日本のカップ麺に比べるとシンプルなネーミング、旨味の足りない味が多くやはり日本との格差を感じます。それでも最近のアメリカではUMAMIと言う言葉をあちらこちらで聞くようになり、調味料として登場したり、料理番組やネット、動画でも使われているのでおいしさを追及している発展途上なのかもしれません。
日本で開発され瞬く間に世界へと躍進したカップ麺ですが、お国が変われば作り方も食べ方も色々?ということでアメリカでのカップ麺にまつわる「あるある」をご紹介します。
沸騰したお湯ではなく、常温のお水を入れて3分から5ほど電子レンジで数分間温めるタイプが多い。(アメリカのワット数は通常1000~1200w)
しかも出来上がり後に「しばらく時間を置いてから食べる」と説明書きがある商品が多く、スープが熱々の状態で食べることがベストと思う日本人ですが、アメリカではやけどをするのでぬるめのスープで食べる人が多いのです。
規定通りのお水で作るとスープの量が少ないのであっという間に麺が水分を吸います。しかもカップが紙製の商品が多く、時間を置いて食べるからか、熱くて持ちにくい。
味は日本のようにご当地ラーメンや、人気店とコラボするような手の込んだ商品が少ないです。珍しい味の再現も本物のエキスを使うのではなく、フレーバード(香料使用)になっているものが多く、そのため旨味やコク、深みがなくストレートな味になり、具材は「えっ?」と思うほど入っていません。
アメリカでも以前に比べると箸を使う人が増えていますが、そう言いつつもやはりフォークを使う人が断然多い!そして麺をズルズルすする食べ方はアメリカではご法度!
そのため当然すする事を経験したことが無い人が多く、唇を前に突き出しひっこめるの繰り返しで何とか麺を口の中に入れています。日本人から見たら「そっちの方が器用でよく麺が口の中に入るわ~」とビックリです。
今では世界中でその名を知らない人の方が少ない程(?)、NISSINの「Cup Noodles」と、Maruchanの「Instant Lunch」をはじめとする日本製品のカップ麺はここアメリカはシカゴでも大人気で知名度を上げています。その証拠に、スーパーのアジアコーナーや、ヌードルコーナーには日本で有名な製品が必ずと言って良いほど陳列されているんです!
気になるのは、一体どんな人が購入しているのか。ということでコーナーでしばらくウロウロ待ってみると、ティーンエージャーがおやつ代わりに、ほかにもアジア大好きの人、子ども連れのママ、一度食べてみたかったと言うおじさんなど幅広い世代の人達が購入していきます。
そしてその陳列してある棚を見ると結構売れているようで隙間状態のお店が多くあるように感じられました。もちろん、日本製以外にも世界中の様々なブランドが色々な味を開発し商品化して店頭に並べられています。それだけアメリカではカップ麺の需要が多いと言う証拠。 アメリカの物価高騰、インフレ傾向において家庭にやさしい低価格のカップ麺に注目が集まり今後の新商品などがどんどん登場しそうな勢いで目が離せません。
※記事中の価格は取材時のものです。
※日本円の表記は1ドル=149円で計算しています。
シンガポール、ロサンゼルを経て、現在はアメリカ・シカゴ在住。3⼈の子どもを育てる傍らシカゴのレストランやスーパーマーケットを探検しています。⽇々アンテナを張り、世界各国のさまざまな料理に挑戦中!パーティーやおもてなしに役⽴つ料理が得意。