戦争が終われば今度はインフレ!現代にも通じる急激な物価高に人々はどう立ち向かったか?【前編】
インフレーションの発生
第二次世界大戦が終わり、経済が復興する過程では、しばしば激しいインフレーションが起こりました。インフレーションとは、貨幣が大量に流通することで貨幣価値が下落し、物価が高騰する経済現象です。
また反対に、物価が高騰することで相対的に貨幣の価値が低くなることもあります。現在の日本はそのような傾向がありますね。
かつては「デフレ脱却」が政治の重要課題として挙げられていましたが、今度は正反対のインフレが問題になっているわけです。経済はインフレやデフレに偏らないバランスが大切なのです。
国家規模の取り付け騒ぎ
さて、戦争中はさまざまな金融統制が行われたり、貯蓄が奨励されたりしましたが、戦争が終わればそのような歯止めがなくなります。
また、戦争に負けたということは、政府に対する信用が失われたということです。よってその政府が発行する紙幣に対する信用も急速に失われます。
そのため新しい紙幣が発行されて、今使っている紙幣が無効になってしまうのではないかと心配した国民が、一斉に預金を引き出そうとしました。
現代でも、金融機関の経営が不安定だと判明することで、預金者が一気に預金を引き出そうとする取り付け騒ぎが起きることがありますね。それが国家規模で発生したわけです。
その結果、終戦直後は貨幣の流通が一気に増大しました。
引き出された貨幣は、おもに生活必需品の購入にあてられます。
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終戦直後は、食糧をはじめとする物資が極端に少なくなっていました。こうなると「買えるときに買っておかなければ」という心理が働き、生きるためにどれほど高価でも買いたいと思うものです。
当時の人々は、将来の不安に備えて貯蓄するよりも、今日を生きるために貨幣を使わなければならなかったのです。
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