戦争が終われば今度はインフレ!現代にも通じる急激な物価高に人々はどう立ち向かったか?【後編】
三つの「金融緊急措置令」
【前編】では、終戦直後に日本では急激なインフレが起こり、政府が「勅令」の形で金融緊急措置令を発したところまで説明しました。
戦争が終われば今度はインフレ!現代にも通じる急激な物価高に人々はどう立ち向かったか?【前編】
インフレーションの発生第二次世界大戦が終わり、経済が復興する過程では、しばしば激しいインフレーションが起こりました。インフレーションとは、貨幣が大量に流通することで貨幣価値が下落し、物価が高騰する…
【後編】では、その措置令の内容と影響について見ていきましょう。
このときの金融緊急措置令の内容は以下の三つです。
①それまでの紙幣(旧円)の流通停止
②新紙幣(新円)の発行
③預貯金の封鎖
からなっています。簡単に言えば、通貨を切り替えて金融資産を差し押さえる政策です。
具体的には、3月2日以降はこれまでの10円以上の紙幣(旧円)を無効とし、流通を停止させます。
そして翌3日から新たに発行する新紙幣(新円)のみ使用を許可します。
ただし、硬貨や少額紙幣は対象外とされたため、小銭が貯め込まれて流通しなくなり、少額決済に支障をきたすという問題も発生しました。
③の「預金封鎖」とは、預金の引き出しを原則として禁止することです。
「旧円は3月2日以降無効」ということは、それまでに使うか預金するしかないということですから、使い切れなかった紙幣はすべて預金せざるを得ないわけです。
また、給料をもらっている人は月500円まで新円で支払われ、残りは封鎖預金口座へ振り込まれるようにしました。