巨大な競合サイトに勝利した、誰でもできるSEO対策事例
イントロダクション
巨大すぎる競合サイト「サーベイモンキー」
著者が勤める株式会社マクロミルで、Questantというアンケートツールのサービスを立ち上げた時(2013年10月)の話です。
これの競合サービスにUSのSurveyMonkeyというアンケートツールがあります。
「SurveyMonkey」のSEO対策は非常に優れており、数々のキーワードで上位表示をしているWebサイトです。ページ数は2万以上、ページランクは「7」あります。
そのカラクリについて説明すると、ユーザーがこのアンケートツールを使って、Webアンケートを作成すると、サーベイモンキーのドメインでアンケートページが作成されます。作成されたページのテキストは、ユーザーがアンケートのために書いたテキストなので、オリジナルコンテンツです。よって、ユーザーがアンケートを作る度に、オリジナルのコンテンツが量産され、SEO上非常に強力なコンテンツができます。
また、ユーザーがアンケート回答者へ告知するためにアンケートページのリンクをWebサイトに張ると、サーベイモンキーへの被リンクとなり、外部SEO対策になります。これがページランク「7」の所以です。ページランク「7」はWikipediaクラスです。
関連記事:リンクジュースとページランク
関連用語:ページランク
対して、Questantはページ数も60ページ程度からのスタートで、新規ドメインなのでページランクも「0」でした。普通に考えると、到底太刀打ちできない程の差です。しかし、非常にシンプルな施策でこの差を詰めることができました(しかも予算をかけずに)。以下で、実施したことを説明します。
「Website Explorer」を使った、徹底的な競合分析
無料のSEOツールを使いこなすだけで良い
競合サイトの分析に「Website Explorer」という、無料のSEOツールを使いました。デジタルマーケティングラボのWebマーケティングツール(SEOツール/Webツール)でも紹介していますが、これが反則的なほどに強力です。
- Website Explorerでできること
-
- Webサイトのページ情報をツリーリストの形で、Excelファイル出力
- 「meta description」「title」「h1」など、SEO重要タグの情報も出力
このSEOツールを使って、“徹底的”に競合サイト分析を行った
↑は自社サービス「クエスタント」のWebサイト情報を抽出したものです。
このツールにより、競合が対策しているワードやページを把握することができます。そして、これら競合ページに対抗する“良質なページ”を、Googleの月間検索ボリュームを参考に、優先順位をつけて作成していきます。
※競合が対策しているワードは自社にとっても、「アクセス数が増加する」「コンバージョンに繋がる」良いワードの確率が高い
- 対抗ページを作成する上で意識したこと(対クローラー)
-
- 競合ページよりもテキスト量を多く
- 競合ページよりもコーディングを綺麗に SEO内部対策の実践方法を参考
- 対抗ページを作成する上で意識したこと(対ユーザー)
-
- 競合ページよりもデザインを綺麗に
- 競合ページよりも内容を分かりやすく
- キーワード検索ボリュームを確認するツール
- Google AdWords キーワードプランナー
SEO結果
サービスリリース後13ヵ月で、サイトスコアが競合サイトを上回る
実施したことは本当にこれだけです。しかし、目に見えて検索順位が改善されました。
下のグラフはサイトスコアの推移を表したものです。サイトスコアとは、GRCという検索順位チェックツールで使用できる検索順位スコアの合計(1位=10点、10位=1点 など)で、いわばSEOの総合点です。
事前に、自社サービスと競合サービスに有効と思われるキーワードをピックアップし、その検索順位をトラッキングしました。
- 検索順位をトラッキングするツール
- GRC
結果は、サービスリリース後13ヵ月で、サイトスコアが競合サイトを上回りました。これはつまり、「狙った有効なキーワードで競合サイトよりも上位表示できている」ということを意味しています。
総括
分析もコンテンツ制作も時間がかかるので、めんどくさいと思われるかもしれませんが、このやり方は今でも「最強のSEO対策」だと思っています。
最強のSEO対策=「内部対策で正しいコーディング」×「徹底的な競合分析でページ増強」
この方法以外で、巨大な競合サイトに勝てる方法が思いつきません。
余談ですが、SEO対策について、スキルを持った人材が、もともと社内にいたわけではありません。SEO対策でお金をかけたのは、内製化のための企業向けSEO研修を数時間受けたくらいです。しっかり勉強すれば、誰でもマスターできます。
お世話になった会社:網羅株式会社
SEO対策を始めた頃、マクロミルのWebマーケターは著者1人だったので必要に迫られて覚えた感じはありましたが、今新しく採用した人材もコーディングが全くできないところからスタートして、実務を任せられるまで1年で成長しています。
SEO対策はベースの知識云々よりも「好きか嫌いか」だけな気がします。今本当にそれを実感しています。
関連記事:SEO内部対策の実践方法
この記事の著者
広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)
マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。
1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。
2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。
株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。
2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。
2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。
著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)
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