2001年の9・11を首謀した外国人オサマ・ビンラディンをかくまったことでアメリカの攻撃を受け、政権崩壊に至ったはずのアフガニスタンの「タリバン」が、追及の手を逃れ、散り散りになりながらも生きながらえ、今回の復活劇へと急展開しているのだ。 私は、9・11の半年前に起きた「バーミヤンの大仏破壊事件」が、同時多発テロの「プレリュード(前奏曲)」だったという仮説に基づき、タリバンが国際テロ組織・アルカイダのリーダー、オサマ・ビンラディンによって乗っ取られていく道筋を取材した。それをNHKスペシャルとして放送し、書籍として『大仏破壊 ビンラディン、9・11へのプレリュード』(文春文庫、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)にまとめた。 当事者であるタリバンや、彼らを良く知るアフガニスタン人、パキスタン人、そして欧米人らを広く取材したなかで、ストーリーの中心に据えたのが、日本人の国連外交官だった田中浩一郎