発表内容: [研究背景] 氷は人類にとって最も身近な結晶(注1)の一つですが、その氷にもさまざまな種類があることは一般にはあまり知られていません。今から1世紀以上も前、氷を低温高圧状態にすることで氷II相とIII相(冷凍庫でできる通常の氷は氷I相)が立て続けに発見されましたが、それ以来、観測可能な温度圧力領域の拡大にともなってその数は増え続け、現在では17種類もの氷の多形(注2)が報告されています。これほど多くの多形が見つかっている物質は他に無く、水・氷の特異性の一つを象徴していると言えるでしょう。 なぜ氷はこれほど多くの多形を持つことができるのでしょうか。その答えの一つを氷の持つ水素結合に求めることができます。氷は水分子(H2O)が水素結合によって結びつきながら周期的に並んだもの、と考えることができます。ここで、一つの水分子を四面体の中心におくと、隣の水分子はその四面体の頂点にあり、中心