今,パソコンを扱っている人に「最も有名なOSは何か」と問えば,それは迷うことなく「Windows」と答えるだろう。しかし,20年前に同じ質問をしたら,多分その答えは「MS-DOS」だったはずである。MS-DOSの誕生秘話は,後で触れるとして,今回のテーマは「WindowsでMS-DOSアプリケーションが動作する仕組み」である。 今どきMS-DOSのアプリケーションを使い続けている人はほとんどいないと思うが,それでもMicrosoftは,MS-DOSとの互換性にこだわってきた。最新のWindows XPにおいても「コマンド・プロンプト」と呼ぶ実行環境で,すべてとは言わないまでもMS-DOSのコマンド・ライン・アプリケーションが実行できる(図1)。この背景には,常に過去の資産を継承できなければ,OSは生き残れないという,一種の強迫観念のようなものが働いていたのかもしれない。それは現代においても