「ねばならない読書」はもうやめよう むしろ重要なのは、「すべてを記憶しなければならない」というような謎の義務感を持たないことである。そもそも、その本のすべてを記憶することはまず不可能だ。少なくとも読書とは、読む速さや知識の量を競うような性質のものではない。速読が得意な人もいるだろうし、スポンジのようにすべてを吸収してしまえる人もいるのだろうが、別にそういう人を目指す必要もない。 端的にいえば、10のうち、自分にとって大切な1が頭のなかに残れば、その読書は成功だと考えるべきなのである。なぜなら、その読書における主役は自分だからだ。自分が納得できれば、それで完結するのだ。 だから、読むのが遅かろうが理解力が足りなかろうが、なんら問題はない(そもそもその手のコンプレックスは、自分の単なる思い込みだったりもする)。何度でもいうが、その読書は誰のためでもなく、“自分のためのもの”だからだ。だとしたら