慶應義塾大学・株式会社Nospareの菅澤です. 今回は生存時間分析で標準的な方法であるCox回帰をStanで実装してみます. Cox回帰は頻度論的な推定手法としてパッケージ等で実装されていますが,近年では一般化ベイズと呼ばれる枠組みの中で利用することも可能になっています.Cox回帰をベイズ的に扱うことで,階層化などのモデルの拡張や,縮小事前分布などを使った変数選択とその不確実性評価,欠測データの扱いなどが比較的容易に行えます. 今回は,ベイズ的なCox回帰のStan実装と,欠測データを含んだケースでのベイズ的Cox回帰の利用について考えていきます. Cox回帰の部分尤度 $i=1,...,n$に対して以下のデータが観測されていることを想定します. $y_i$: アウトカム (生存時間) $\delta_i$: センサリング変数 (1=イベント発生,0=センサリング) $x_i$: 説明変