先日、大阪大学でNHKの番組の公開収録があった。テーマは、「ブラック企業」。過酷な労働条件で社員を「使い捨て」にする、社会にとって悪い影響のある企業のことである。 「ブラック企業」という言葉を最初に耳にしたのは、数年前。就職活動中の学生の口から思わず漏れた。ある会社の話をしていて、「あそこはブラック企業だから」と突然彼が言ったのである。 どうやら、その頃から、就活中の学生たちは、いわば「自衛」の意味も込めて、「ブラック企業」についての噂話をしていたらしい。それが、番組にもゲストでいらしていた今野晴貴さんら、この問題に取り組んでいる専門家たちの活動もあって、メディアの中でも取り上げられるようになったのだろう。 番組収録中、今野さんや、津田大介さん、それに会場に来ていた大学生たちと話していて改めて思ったことは、単に労働時間が長いとか、仕事の密度が濃いというだけでは「ブラック企業」にはならないと