多くの歌舞伎ファンに惜しまれながら、2012年に急逝した歌舞伎役者、中村勘三郎さん。その最期の8年間を撮った写真家、篠山紀信さんによる「十八代目中村勘三郎写真集」(光文社)が4月、刊行された。勘三郎の息子たちの舞台を撮影した「六代目中村勘九郎写真集」と「二代目中村七之助写真集」も同時刊行。勘三郎さんが生前、東京・浅草に復活させた平成中村座(5月3日まで)の3年ぶりの興行を記念したもので、すべて未発表作品となる。 勘三郎さんの写真集では、中村屋のお家芸でもある「春興鏡獅子」をはじめ、平成中村座やコクーン歌舞伎など、歌舞伎の伝統を守りながら、常に新境地を切り開いてきた勘三郎さんの姿が活写されている。歌舞伎の写真としては、かつてないタブロイドサイズの写真は江戸時代に写楽が描いた「大首絵」を彷彿とさせる迫力。写楽に挑む現代の写真家は、稀代の歌舞伎役者をどのようにとらえていたのか。篠山さんにインタビ