ピーター・マクフィー著 『ロベスピエール』 訳者あとがきによると、「ロベスピエールについて日本語で読める書籍は意外に限られている」のだそうだ。その知名度からすると、意外なほど伝記も研究書も数は多くはない。一方フランスや英語圏では今でも盛んにロベスピエールの研究が行われており、本書もその成果である。 では日本とフランスでロベスピエールへの評価が大きく異なるのかというと、必ずしもそうとばかりはいえないようだ。「一九八九年のフランス革命二百周年の際に行われたフランス人の世論調査によれば、彼こそ最も否定的な感情を呼び起こす人物であり、好感度ではルイ一六世やマリ=アントワネットにすらはるかに先行を許していることが明らかになった」。 ロベスピエールの名はギロチンによる大量処刑(実際にはイメージされるほど多数の人命を奪ったわけではない)に結び付けられ、忌避感が強いというのは日本とフランスにおいて共通して