異文化経営のスペシャリストとして、エリン・メイヤー教授が注目されるきっかけとなった分析ツール「カルチャー・マップ」とはどのようなものか。またコロナ禍はグローバル組織の運営に、どのような影響を及ぼしているのだろうか。 カルチャー・マップは企業の管理職の行動のなかでも文化的差異が最も出やすい8つの分野を指標として、世界各国の文化をマッピングしたものだ。例えば「コミュニケーション」の指標では、言葉以外の情報(コンテクスト)を重視するハイコンテクスト型の傾向が強いのか、あるいは言葉に重きを置くローコンテクスト型の傾向が強いのかを評価する。「見解の相違」の指標では、意見が食い違うときに対立をいとわないか、それとも対立を回避しようとする傾向が強いのかを評価する。文化に注目すべき理由を、著書『異文化理解力』(英治出版)のなかでこう指摘している。 文化の影響に無自覚なマネジャーたち 国をまたいでビジネスを