1. 【特集・著作権(応用編)】 著作物等のアーカイブ化促進を目指して~文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の審議経過について~ 文化庁長官官房著作権課 星川 明江 1. はじめに 文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(以下、「小委員会」という。)では、「知的財産推進計画2014」1等に示された検討課題を踏まえ、平成26年度に著作物等のアーカイブ化の促進に係る著作権制度上の課題について検討を行った。計5回の審議を経て、平成27年年3月、著作権分科会に審議経過の報告がなされたところである2。本稿では、図書館サービスに関係の深い部分を中心に、その審議経過を紹介する。 2. 国内機関から寄せられた要望 小委員会では、著作物等のアーカイブ化に係る著作権制度上の課題について把握するため、アーカイブに取り組んでいる施設からヒアリング等を行った。その際、国立国会図書館(以下、「NDL」と
先日、某所で著作権に関する相談を受けました。その際、あれこれの団体や個人の方が作成してくださっているQ&Aを紹介したところ、ご存じなかったらしく大変関心されていました。 「意外と知られていないのだなあ、これは広めなくては」というのと、今後同じ質問に答える際に手間を省きたいということでQ&Aなどのページと、その他の役に立ちそうな文書をメモ代わりにまとめておきました。 なお、しばしば理屈や条文を抜きにして個別事例だけ見て悩んでる方がいらっしゃいますが、それだとあまり効果はありません。できる限り条文や逐条解説、文化庁が出しているテキストなど著作権法の入門書などとセットで利用されるとよかろうかと思いますです。 寝る前に思いついてざっくり作り出したものなので、いろいろ足りないところはまたぼちぼち更新していきます。 図書館に限らない一般的なもの 著作権テキスト~初めて学ぶ人のために~(平成27年度版)
文化庁のウェブサイトにおいて平成27年7月7日~27日の間に実施した「著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集」について,結果を御紹介します。 企業等や個人の方から,合計112件のニーズを御提出いただきました。 限られた短い期間での募集に対して多くの国民の皆様の御協力を頂き,感謝いたします。 御提出いただいたニーズは,提出者が非公表を希望された部分を除いて,下記のリンクより御覧いただけます。 著作物等の利用円滑化のためのニーズ(9.8MB) (※69番及び87番は欠番となっています) (参考) 著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集について(募集事項等)(161KB) 提出様式(54KB) 皆様からいただいたニーズについては,文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会 新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチームにおいて,権利制限規定やライセンシング体制等
2015年6月4日、米国著作権局は、孤児著作物と大規模デジタル化に関する報告書“Orphan Works and Mass Digitization: A Report of the Register of Copyrights”を公開しました。 報告書は、孤児著作物を使用し、または大規模デジタル化プロジェクトに従事しようとする善意のユーザーが直面する法的やビジネス面での課題を説明しているとのことです。 孤児著作物に関して、報告書は、訴訟の発展や公の議論により更新や変化はあるももの、7年前に上院を通過したShawn Bentley Orphan Works Actを活用したドラフト草案を規定しているとのことです。 デジタル化に関して、報告書は、世界中で使用中か検討中の広範囲の共同ライセンスのフレームワークの経験を米国が許可する、より漸進的なアプローチを要求しているとのことです。 また著作権
2015年5月1日、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンはCC0(パブリックドメイン)の日本語版を正式に公開しました。2013年11月に公開された日本語版ドラフトに関して実施されたパブリックコメントの結果を踏まえた内容であるとのことです。 また、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのブログでは、パブリックコメントの内容(訳語への意見等)も掲載されているようです。 CC0 日本語版の公開(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン ,2015/5/1) http://creativecommons.jp/2015/05/01/cc0-jpver/ クリエイティブ・コモンズ・リーガル・コード(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン) http://creativecommons.org/publicdomain/zero/1.0/legalcode.ja ※リーガルコードの要旨です。 Creative Com
動向レビュー 欧米における図書館活動に係る著作権法改正の動向関西館文献提供課:南 亮一(みなみ りょういち) はじめに 図書館活動に係る著作権法改正の動向は、日本については紹介されることがある(CA1528参照)(1)ものの、外国の動向については、特定の国(CA1604参照)や特定の分野(CA1579参照)を扱ったものはあるが、全体については管見によれば見当たらない。 そこで本稿では、欧州連合(EU)を含む欧米諸国における著作権法の改正の動向についてレビューすることで、世界的な動向を明らかにすることとしたい。それに際しては、情報のデジタル化・ネットワーク化に係る著作権法の対応が行われた1990年代からの動向と、その対応がおおむね終わるタイミングで生じたGoogleブックスプロジェクトへの対応が中心となった2005年ごろ以降の2期に分けて説明することとする。 なお、紙幅の都合で、世界知的所
動向レビュー デジタルアーカイブと利用条件 東京大学附属図書館新図書館計画推進室・大学院情報学環:生貝直人(いけがい なおと) 1:文化資源の保存、公開、その先に デジタルアーカイブは、何のために作るのだろうか。世界各国の図書館・美術館・博物館・文書館等の文化施設がデジタル化・公開する無数の文化資源デジタルアーカイブ、そして欧州連合(EU)のヨーロピアナ(参加文化施設数2,300超、登録データ数3,000万超)(1)、米国のDPLA(米国デジタル公共図書館、参加文化施設数1300超、登録データ数700万超)(2)をはじめとする統合的ポータルの第一義的な目的は、おそらく元来は物理的な条件に制約されていた無数の文化資源を、デジタル情報に媒体変換することで「保存」し、インターネットという手段を通じて世界中の人々に「公開」することであったものと考えられよう(3)。 文化資源のデジタル保存は、記録
英国における孤児著作物に関する新ライセンス・スキーム 権利者の所在が不明である著作物,いわゆる孤児著作物(orphan works) の権利処理をめぐって,英国において,2014年10月29日から新たなライセン ス・スキームが導入された。 英国政府は2006年の『ガワーズ報告書』以来,孤児著作物の問題に注目し,2011年の『ハーグリーヴス報告書』でもこの問題の解決策について提言し,取組を模索してきた。また,欧州連合(EU)が2012年10月に孤児著作物指令 (Directive 2012/28/EU;CA1771参照)(以下「EU指令」)を採択し,EU加盟国ではこれに合わせて国内法を整備する必要が生じた。これらの動きを受けて,英国は孤児著作物の利用許諾の在り方をめぐる検討を進めてきた。英国政府は,2014年1月10日に新たなライセンス・スキームを実施するための2つの規則案を公表し,意見募集
HathiTrust訴訟,第二審でフェアユースが一部認められる 米国作家協会(Authors Guild),オーストラリア,カナダ等の著作権団体などが, HathiTrust(CA1760参照)と,これに参加していた大学図書館5館(コーネル大学,ミシガン大学,カリフォルニア大学,ウィスコンシン大学,インディアナ大学)に対して起こしていた著作権侵害訴訟で,ニューヨークにある連邦第二巡回区控訴裁判所が2014年6月10日に,判決を出した。同裁判所は,HathiTrustにおける著作物の利用の一部について,米国著作権法の第107条に規定されるフェアユース(Fair Use)に当たり,著作権団体側による著作権侵害の主張を否定する等の判断をした。 HathiTrustは,デジタル複製物の共同運営リポジトリHathiTrust電子図書館(HDL)の運営をしている。現在では,約90の研究機関が参加し,1
米国著作権局の2月10日の孤児著作物(Orphan Works)と大規模デジタル化に関する意見招請に応じて、Library Copyright Alliance(LCA)が、5月16日付けでコメントを発表しています。LCAは、米国図書館協会(ALA)、北米研究図書館協会(ARL)、大学・研究図書館協会(ACRL)から構成される団体です。 また、電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:EFF)とPublic Knowldgeが、5月21日付けでコメントを発表しています。 3月10日、11日に開催された公聴会の議論について、LCAは、孤児著作物に関する立法化についてコンセンサスはなく、また「拡張された集中許諾」(Extended Collective Licensing)は効果的な大規模デジタル化の解決策にはならないだろうとのコンセンサスを反映したも
WIPOで,図書館等に関する著作権の権利制限が議論される 2013年12月16日から20日まで,第26回世界知的所有権機関(WIPO)著作権等常設委員会(SCCR)が開催され,放送機関の保護,教育・研究機関及び視覚障害者等(E1455参照)以外の障害者に関する著作権の権利制限のほかに,図書館及び文書館の利用を促進するための著作権の権利制限が議題とされた。このうち,図書館等に関する著作権の権利制限は2日間にわたって議論されたが,本格的に議論されたのは初めてであった。この議論の背景には,WIPO加盟国の間で著作権の権利制限など図書館等での利用を合法化するための規定が異なるために,国境を越えた図書館等による資料等の複製,交換などの利用が円滑に進まない場合があることから,図書館等に関する著作権の権利制限の国際条約の創設の必要性があった。2008年11月に開催された第17回SCCRで研究発表された,
CA1815 – 図書館共同キャンペーン「震災記録を図書館に」呼びかけ団体における東日本大震災関連資料収集の現状と課題-震災の経験を活かすために- / 永井伸 電子書籍を活用した図書館サービスに係る法的論点の整理 収集書誌部収集・書誌調整課:間柴泰治(ましば やすはる) はじめに 紙書籍と電子書籍。いずれも「書籍」という語を含むが、図書館サービスを実施する上での取扱いは同じだろうか。例えば、図書館で電子書籍を購入したとして、紙書籍と同様に貸出やコピー(プリントアウト)はできるだろうか。そもそも電子書籍を「購入」するとはどういうことを意味するのであろうか。図書館で長期に保存することはできるのであろうか。本稿は、このような電子書籍を活用した図書館サービスに係る論点を法的観点から整理しようとするものである。 1. 紙書籍を活用した図書館サービスと著作権の関係 図書館資料は、その多くが「著作物
2014年3月、英国政府は、著作権法の例外規定に関する改正の委任立法の草案を公開しました。2014年6月1日から施行されるとのことです。 委任立法の草案とともに、著作権法の改正についてのガイダンスも公開されています。 図書館、博物館および文書館へのガイダンスでは、これらの機関の永続的なコレクションについては、文芸・演劇・音楽著作物だけでなく、フィルムや放送、録音物など、あらゆる著作物について、保存のために複製が可能になったことなどが示されています。 また、英国図書館は、英国の図書館にとっての改正の利点を以下のようにまとめ、改正を歓迎しています。 ・音声とフィルムの合法的なデジタル保存が可能になる。 ・非商用目的での調査と私的な研究のフェアディーリング(fair dealing)の拡大により、音声やフィルムの複製が可能になり、また、司書やキュレーターによる複製も促進される。 ・図書館のアナロ
2014年4月3日に“The Journal of Academic Librarianship”にDeborah H. Charbonneau氏らによる“Copyright Awareness, Partnerships, and Training Issues in Academic Libraries”と題する記事がオンラインで公開されました。 米国の大学図書館員や図書館スタッフ226名を対象に、さまざまな著作権のポリシー、著作権に関する課題解決のための学内での協力関係、研修のニーズについて調査を行ったものとのことです。 調査結果をいくつか紹介すると、図書館の利用者に著作権に関する情報を充分に提供できる準備ができているという回答は49%しかなかったとのことです。また、著作権についての認知もさまざまで、フェアユースについて知っているとする回答は96.1%なのに対して、遠隔教育についての
なぜ,これをフランスが,EUが,行うのか。ご存じの方も多かろうが,Google対抗軸である。世界の検索エンジンシェアの大半を握るインターネットの巨人は,既存のコンテンツ/データのデジタル化にもとびきり熱心だ。「Googleブックス」というプロジェクトがある(図2)。古今東西,世界には1億3,000万冊の書籍があるそうだが,それをすべてスキャンしてデジタル化し,OCRをかけてインターネットで全文検索を可能にする。書籍の著作権が切れていれば全文が表示され,切れていなければ該当箇所の抜粋などが表示される仕組みである。いわば全世界電子図書館化である。こちらもすでに3,000万冊がデジタル化済みだという。 EUはこれに危機感を持った。「域外の,1民間企業に文化のデジタルアーカイブを握られていいのか」との声が挙がった注2)。民間企業であれば利益優先,倒産もあり得るといった指摘もあったが,それ以上に文化
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文化庁の文化審議会著作権分科会出版関連小委員会が、2013年12月20日、電子書籍に対応した出版権の整備に関し、最終報告書案を了承したとのことです。この報告書案が同小員会の第9回会議資料として文化庁のウェブサイトに掲載されています。 また、2013年9月27日から10月26日にかけて実施していた同小委員会の「出版関連小委員会中間まとめ」への意見募集の結果も、12月19日に公表されています。意見募集では、合計2045通(団体177通、個人1868通)の意見がよせられたとのことです。 文化審議会著作権分科会出版関連小委員会(第9回) http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/shuppan/h25_09/gijishidai.html 文化審議会著作権分科会出版関連小委員会中間まとめに関する意見募集の結果について(文化庁、2013/12/19付け)
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