背中に特大サイズのバックパックを背負い、長旅の疲れを滲ませつつも、大人の社交に必要とされる最低限の笑顔をたたえて現れる外国人宿泊客。彼らを迎え入れる私たちの第一声は”Good morning, sir”でも、”Welcome”でもない、いたってシンプルな一言、”Hi” だ。 するとお客の方もやはりHiと答え、それから、今日の調子はどう? と形式的に前置きして続ける。 「まだチェックインにはかなり早い時間だってわかってるんだけど、荷物だけ預かってもらえたりする?」 すると私たちは、もちろん、とフロントデスクの内側から近くの棚を指差し、「あそこ。あそこに置いていいよ」と伝える。ゲストはオーケー、サンキュー、ときにパーフェクト、などと言いながら笑顔を返し、自らいそいそと荷物を運ぶ。 ホステスじゃないホステル今年私は、都内のとあるホステルでアルバイトを始めた。 「最近ホステルで働いてるんですよ」と