今回から代表的な国の資本主義の特色について 分析した書を紹介したい。まずはアメリカである が、これはガルブレイスの『新しい産業国家』(根 井雅弘の解説を含む)と山田鋭夫『さまざまな資 本主義—比較資本主義分析』(藤原書店 2008年) を手がかりとする。 7.1 前史—産業資本主義 (1)フォーディズム レギュラシオン派が産業資本主義全盛時代のア メリカを「フォーディズム」と名づけていたこと は、すでに触れた。それは、生産性にインデック ス(連動・比例)して賃金が決定される仕組み(生 産性インデックス賃金)を使用者側が受け入れる 代わりに、労働側はテーラー主義を受容すること により、大量生産・大量消費を可能とするシステ ムであった。 これが1960年代末の「賃金爆発」と「利潤圧縮」 により崩壊し、アメリカは「アフター・フォーディ ズム」の時代を迎えたのである。 (2)「計画化体
今回はしばしばアメリカと対置する形で論じら れてきた、ドイツの資本主義を紹介する。これに は島野卓爾『ドイツ経済を支えてきたもの−社会 的市場経済の原理』(知泉書館 2003年)、及び エアハルト『社会的市場経済の勝利』(菅 良訳 時事通信社 1960年)*1) を手がかりとする。 8.1 社会的市場経済の成功 (1)「社会的市場経済」とは何か? 島野は次のように解説している。 「市場経済であるから、市場の調整メカニズム と自由競争を尊重し、市場の均衡化機能を重視す る考え方であることは間違いない。しかし現代の 経済は、さまざまな(たとえば情報の非対称性や 規模の経済性といった)条件によって、市場の自 動調整メカニズムが十分に機能せず、その結果、 失業やインフレ(デフレ)を生み出すという不安 定性をもっている。万事、市場に任せておけば、 最適の経済状況が生まれるという、予定調和
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