3月3日といえば、女の子を奉り慈しみ愛でる「ひなまつり」だ。羽田空港出発時に、いつもは男性スタッフが見送る日本航空(以下、JAL)も、その日は特別に女性スタッフがお見送り。なんだか「JAL制服図鑑」という本でも作れそうだ。
そしてここ6年間の恒例行事として行なわれているのが、「JALひなまつりフライト」だ。2009年に始まったこのイベントは、搭乗客へのサプライズとして、社内の女性スタッフから出たアイディアで、地上スタッフから整備士、出発に携わるグランドハンドリング、そして機長と副機長のパイロットから客室乗務員まで、すべて女性で運航しようというものだ。
「なーんだ、ただ女性スタッフを集めただけじゃないか」と思ったキミは、甘いっ!
通常の運航では、システムによって機長と副操縦士を自動的に割り振る。ドラマではしょっちゅう同じコンビの機長と副操縦士が運航していたりするが、JALには約2400名のパイロットが在籍していて、同じコンビになる確率は定年までに2度あるかどうからしい。つまりわざわざシステムを介さずに女性機長と副操縦士をアサインして、手作業で調整したということなのだ。
しかもすべてを女性スタッフでまかなうには、部門を越えた調整が必要になるばかりか、各業務はJALグループ企業の連携で行なわれるので、会社間の調整も必要になる。それはそれは、とてつもなく面倒でハードルの高いイベントなのだ。
JALはこのイベントを、2009年の羽田-広島便に始まり、熊本、ソウル(韓国)、沖縄、そして昨年は高知便でも成功を収めた。そして2014年の今年は羽田-大分便を女性スタッフ自らが率先してイベントを開催した。
旅客の中には、ひまなつりフライト目当てで搭乗する人もおり、開催日近くになると、どの便をひなまつりフライトにするのか? という問い合わせが増えるほどだという。