【ニューヨーク=小林泰明】「動画配信の雄」として知られる米ネットフリックスの会員数の伸びが鈍化の兆しを見せ始め、波紋が広がっている。コロナ禍以降、自宅で動画配信を楽しむ「巣ごもり需要」で会員数を急速に拡大してきたが、今年1~3月期はその勢いが失速する見通しだ。多くの企業が動画配信に乗り出した結果、大量の番組が投入され、市場が飽和状態に達しているとの見方も出ている。
会員増加数、大幅失速の予測
「会員獲得数がコロナ前の水準まで回復しない。競争による影響があるのかもしれないが、(原因は)具体的には分からない」。ネットフリックスのスペンサー・ニューマン最高財務責任者は20日の決算会見で、今後の見通しについてこう語った。
同日に発表した2021年10~12月期決算は、売上高が約77億ドルで過去最高となるなど好調だった。韓国ドラマ「イカゲーム」の大ヒットもあって、世界の有料会員数は約830万人増え、約2・2億人に達した。日本でも会員が大幅に増えたという。
しかし、今年1~3月期の会員増加が250万人にとどまるとの同社の予測は、アナリストの予想(580万人増)を大幅に下回り、市場に衝撃を与えた。21年1~3月期の約400万人増と比べても見劣りする。市場から今後は高い成長が見込めないとみられ、翌21日に同社の株価は20%超も値下がりした。
動画配信市場には、IT大手アマゾン・ドット・コム、アップルといった強力なライバルがひしめく。競争が激化しており、他社にも成長鈍化の兆候が出ている。
娯楽大手ウォルト・ディズニーは動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」で1億人超の会員を抱えるが、昨年7~9月期の会員の伸びは約200万人増にとどまった。4~6月期は約1200万人増だっただけに、減速ぶりが目立った。
米調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、マイク・プルー氏は「コロナ禍以降、各社とも独自番組の制作に力を入れ、市場が飽和状態になっている。消費者の選択肢が増えた結果、選別が進んでいる」と話す。
米国のテレビ視聴時間でNetflixのシェアは10%未満であり、いまだに従来型のテレビ(ケーブルなど)が半分以上を占めています。時代の流れはストリーミングに移りつつある中、Netflixはテレビのシェアを奪う存在として、大きな成長余地が期待されています。
しかし10-12月期には有料会員数の伸びが期待を下回ったことで、株価は11月の高値から約半分にまで暴落するという恐ろしい結果になりました。
ただ、これはNetflixだけの問題ではなく、株式市場が調整局面にあることも影響しているとは思います。今後も魅力的なコンテンツ作りを続けていくという基本方針は変わっていません。
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猿渡由紀 認証済み | 3日前 L.A.在住映画ジャーナリスト 報告
ここに来て「配信は本当に儲かるのか」との疑問がメディアアナリストからも聞かれるようになってきました。配信モデルでは常に話題の新作を出し続けることで会員を惹きつけておく必要があり、終わりがないからです。Netflixは昨年、コンテンツ制作または獲得のために170億ドルを費やし、キャッシュフローは赤字となりました。今年は190億ドルを費やすようです。ライバルも負けておらず、ディズニーは今年度Disney+、Hulu、ESPN+のコンテンツに330億ドルを費やすとのこと。2020年5月の立ち上げ時には苦戦したワーナーメディアのHBO Maxのアプリは、昨年娯楽関係で最も多くダウンロードされ、後発のParamount+、NBCユニバーサルのPeacockもオリジナル制作に必死です。しかし消費者の予算には限界があり、このゲームが永遠に続く中で全員がどう勝者になれるのか、見えないでいます。