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八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

2020年球磨川水害の遺族、河川整備の不備など訴え、熊本県と人吉市を提訴

 熊本県では、2020年7月の熊本豪雨をきっかけに、日本一の清流といわれる川辺川に国が巨大ダムを建設する計画が復活しました。川辺川は球磨川の最大支流です。一旦は中止と決まった川辺川ダム事業が復活したのは、水害発生後、川辺川ダムがあれば球磨川流域の犠牲者50人は死なずに済んだという話が広がったためです。
 しかし、その後、被災者であった球磨川流域住民は、犠牲者が水害時におかれた状況を一つ一つ調べ、森林の荒廃や河川改修の不備など、死因を具体的に突き止めてきました。こうした地道な検証の結果、たとえ川辺川ダムがあったとしても、犠牲者をほとんど減らすことができなかったという事実が明らかになりました。
 球磨川流域では、民主党政権下で川辺川ダム計画の中止方針が決まった後、ダムに代わる堤防整備や河川改修などの治水対策が議論されたものの、実際には進められぬまま、放置された状態が続いていました。

 報道によれば、このたび犠牲者の遺族が球磨川水系の河川整備や水害時の伝達の問題に関して、熊本県と人吉市に対して損害賠償を求める訴訟を起こしたとのことです。

◆2024年12月16日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20241216/5000024079.html
ー4年前の豪雨災害 遺族が県と人吉市に損害賠償求め提訴ー

 熊本県内で、災害関連死を含め67人が犠牲となった4年前の豪雨災害をめぐり、犠牲者の遺族の1人が、堤防の整備や避難情報の出し方に問題があったとして、県と人吉市を相手取り、あわせておよそ3000万円の損害賠償を求める裁判を、16日、熊本地方裁判所に起こしました。

 訴えを起こしたのは、人吉市で起きた川の氾濫で亡くなった犠牲者の遺族です。
 4年前の7月に起きた記録的豪雨「令和2年7月豪雨」では、熊本県南部を流れる球磨川とその支流の氾濫や土砂崩れなどで、県内では災害関連死を含めて67人が犠牲となり、今も2人の行方がわかっていません。

 熊本市で記者会見した遺族の代理人の弁護士によりますと、球磨川の支流が氾濫したのは、県が管理する堤防の整備が不十分だったとしているほか、人吉市の避難情報の出し方が不適切で、住民が危険性を認識できなかったことが死亡につながったなどとして、県と人吉市に対し、あわせておよそ3000万円の損害賠償を求めています。
 奥島直道弁護士は、「当時の避難情報の出し方などについて、裁判の中で明らかにしていきたい」としています。

 熊本県の木村知事は、「訴状が届いておらず、今後内容を確認し対応してまいります」とコメントしています。
 また人吉市は、「訴状の内容を確認しておらず、コメントを差し控えます」としています。

◆2024年12月16日 時事通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/12a8cf2c3277b085bd93b4383fc4c6da7c7e0d8f
ー熊本豪雨遺族、県など提訴 「堤防整備怠る」 地裁ー

 2020年7月に発生した熊本豪雨で、熊本県人吉市の住民が氾濫した川に流され死亡したのは県と市が堤防整備などの適切な措置を怠ったためだとして、遺族は16日、県と市に計約3000万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。

 原告代理人によると、熊本豪雨の犠牲者遺族が行政責任を問う訴訟を起こしたのは初めて。

 訴状によると、住民は球磨川支流の御溝川が氾濫し、住まいに水が流れ込んだことから避難しようとして死亡。原告は、この氾濫は、県が堤防整備などの適切な管理をしなかった別の支流の氾濫が一因で、県には管理責任があると主張した。市は住民に十分な避難指示を出していなかったとしている。

 提訴後に記者会見した原告代理人の奥島直道弁護士は「(氾濫の)危険性がきちんと住民に伝わっていなかった」と話した。今後、集団訴訟や追加訴訟を目指す方針という。

◆2024年12月16日 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20241216-QWDI2CRKM5OETLIDM46CGM5SLQ/
ー豪雨で球磨川支流氾濫「適切な堤防整備せず」 死亡男性の兄が熊本県など提訴ー

  九州を中心に甚大な被害をもたらした令和2年7月の豪雨で、熊本県人吉市の男性=当時(62)=が氾濫した川に流され死亡したのは、適切な堤防整備をせず避難情報を伝えなかったためだとして、兄が16日、県と市に計約2900万円の損害賠償を求め熊本地裁に提訴した。

訴状などによると、2年7月4日、球磨川の支流御溝川が氾濫し、男性のアパートに流れ込んだ。市は「球磨川が氾濫する」との理由で市全域の避難指示を防災無線で1回放送しただけで、住民は支流の氾濫まで想定できなかったとしている。

御溝川の氾濫は、県が適切に整備をしなかった他の支流が氾濫し流れ込んだのが一因としている。2年7月豪雨で、熊本県では球磨川流域などで関連死を含め67人が犠牲になった。 

◆2024年12月17日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241217-OYTNT50015/
ー「九州豪雨で住民死亡は河川整備の不備や避難情報の伝達に過失」…熊本県と人吉市に賠償求め、遺族提訴ー

 2020年7月の九州豪雨で熊本県人吉市の住民が死亡したのは河川整備の不備や避難情報の伝達に過失があったのが原因だとして、遺族が16日、県と市に慰謝料など2981万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。

 訴状によると、住民は20年7月、球磨川の支流が氾濫してアパートに流れ込み、避難しようとして濁流に流された。支流の増水は、県が適切な堤防整備をしなかった別の支流が氾濫して流れ込んだのが一因と主張。市は避難指示を防災行政無線で1回放送しただけで住民に十分に伝えなかったなどと指摘している。県と市は「訴状が届いておらず、今後、内容を確認して適切に対応する」としている。