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人気の秘密は価格だけじゃないプライベートブランド…店舗担当者も参加、消費者の声を反映した商品開発

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 小売業界で、各社が企画するプライベートブランド(PB)の商品が存在感を高めている。メーカーが作るナショナルブランド(NB)の商品と比べて割安なものが多く、長引く物価高の中で消費者の支持は根強い。ただ、人気の秘密は価格だけではないようだ。

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イオン 500品目の新規投入・刷新

 「これ以上価格を下げることは難しいんじゃないかと。実は諦めかけていました」

 イオントップバリュの土谷美津子社長は10月22日、千葉県内で開いた説明会で語った。PB「トップバリュ」の一部商品を値下げし、約500品目を新たに投入・刷新すると発表した。

 昨年から期間限定の増量や値下げを繰り返してきた。粉末スープを個包装からチャック付きの大袋にしたり、製造拠点を分散させて輸送距離を短くしたり。様々な工夫で一段のコスト削減を図ったという。

 イオンのPBの歴史は50年前の1974年に遡る。石油危機で物価が高騰する中、メーカーによるカップ麺の値上げに反発した前身のジャスコが先駆けとなる「ジェーカップ」を発売。それまで当たり前だった付属のフォークを省き、85円という低価格を実現したのが始まりだ。

 その後、本格的にPB開発に着手し、94年に「トップバリュー」の展開が始まった。昨今の物価高のなか売れ行きは好調で、2024年2月期の売上高は1兆10億円と、イオンの営業収益全体の約1割を占める。

 PB商品はスーパーやコンビニなど小売企業が自ら企画し、独自のブランドとして売る。一般的に広告や宣伝のコストがかからないため、NB商品より安くすることが可能だ。在庫を抱えるリスクがある一方、独自のPBは消費者の来店動機につながりやすく、小売り各社が開発に力を入れている。

 セブン&アイ・ホールディングスが07年から展開している「セブンプレミアム」は、累計売上高が23年度に15兆円を突破した。強みは商品開発力だ。

 幅広い消費者の声を反映するため、傘下のコンビニやスーパーの担当者が参画する。23年度に全商品で最も売れたカップ麺「蒙古タンメン中本 辛旨味噌」は、店で味わうような高い再現度が人気という。

 成城石井は、品質の高さが売りの「desica」が人気を集める。こだわりのレシピに合わせてバイヤーが調達した原材料を使い、価格は決して安くはないものの売れ行き好調だ。

 ユニークな商品で支持を集めるのはディスカウント店ドン・キホーテ。「情熱価格」と銘打ち、「かける紅生姜」「動けるこたつウェア」などの商品を販売する。パッケージには商品の魅力や開発担当者の思いが長文でびっしりと書かれる。

 マツキヨココカラ&カンパニーは「matsukiyo」ブランドで医薬品や日用品、メイク用品などを販売。こだわりは品質とデザイン性だ。化粧品大手と連携した商品も展開している。

 調査会社インテージが全国の消費者を対象に行ったモニター調査によると、購入額に占めるPB商品の比率は13年の12.0%から23年には14.2%に増加した。物価高に加え各社のPBが消費者に浸透し、購入者が増えたことが背景とみられる。

 中でもハムやソーセージなど日常使いの食品や冷凍食品、トイレットペーパーなどでより上昇幅が大きい傾向があった。同社の木地利光アナリストは「コモディティー( 汎用はんよう )化が進んだ商品を中心にPB商品の比率は今後も高まるだろう。メーカー側には自社商品をPB商品と差別化するための品質向上が求められる」と指摘する。

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