驚くほど大ニュースが集中した1972年をカラー化…あなたの記憶に残っている出来事は?
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読売新聞の夕刊企画「Color the News」では、モノクロ(白黒)で残された昔のニュース写真を、AI(人工知能)の力を借りてカラー化している。
今回の題材は、昭和47年(1972年)の10大ニュース。この年は、大きなニュースが驚くほど集中した。
事件や事故では、10大ニュース第1位の「連合赤軍事件」をはじめ、多数の犠牲者が出たビル火災やトンネル列車火災が起こった。また、日本航空にとっては大変な受難の年で、ニューデリーとモスクワで墜落事故が起きた上に、ハイジャック事件まで発生している。
こうした事件・事故の写真をカラー化するのは、ためらわれる。このため、カラーリングする写真は前向きなニュースから選んだ。
1枚目は、札幌冬季オリンピックのスキージャンプ70メートル級で表彰台を独占した「日の丸飛行隊」である。この光景を懐かしく思い出す世代は60歳以上だろう。札幌五輪は、トワ・エ・モアが歌う「虹と雪のバラード」の旋律とともに、感動シーンを日本中に届けた。
2枚目は、ミュンヘン五輪でバレーボール男子が金メダルを決めた場面。日本中が喝采した同年9月9日の出来事も、実は幻に終わった可能性があった。同月5日、パレスチナ・ゲリラが選手村のイスラエル選手団を襲撃するという事件が起きたからだ。一時は五輪中止かと思われたが、競技は1日中断した後に続行されたのである。
3枚目は、戦後もグアム島に潜伏していた元日本兵、横井庄一さんが帰国した場面。そして4枚目は、日本の田中角栄首相と中国の周恩来首相が、国交正常化に向けて会見した場面である。個人のレベルでも、国のレベルでも、先の戦争のその後が大きなニュースとなっていた。
今回取り上げた1972年当時、新聞掲載の写真はまだモノクロだったものの、カラーフィルムはすでに家庭レベルまで普及していた。読売新聞にもグラビア用に撮影したカラー画像が残されており、これらを参考にカラーリングしている。