ホスト史上初の年間売り上げ5億円の大台に乗せた降矢まさき(33)が「日本一『嫌われない男』の億を売る仕事術」を刊行した。コロナ禍の2021年に5億2000万円を売り上げ、それまでの年間最高売り上げ記録だった降矢と同じ冬月グループの渋谷奈槻氏の3億3000万円を大幅に上回った。歌舞伎町で“神”と呼ばれる降矢の素顔に迫った。
ホストといえば「帝王」と称されるROLANDが思い浮かぶが、降矢の異名は「神」。帝王と神、降矢はROLANDを上回る存在なのか。
この質問に対して「ROLANDって何の記録を持ってると思いますか」と質問を返した降矢。答えに窮すると「ROLANDは、みんなが知ってるホストなんですよ。でも業界には数字とか記録というものがあって僕は年間売り上げの記録保持者。記憶のROLAND、記録の降矢まさきという感じです」。
東京・新宿の歌舞伎町は今、ホストバブルだという。売れているホストの基準が年間売り上げ1億円。その中でも降矢が21年にマークした年間売り上げ5億2000万円はケタ違い。
降矢が数字と記録にこだわるのには理由がある。「ホストって努力だけじゃなく運の要素も大きくて何が正解かわからない」。女性が本当に楽しんだのか、本心を知ることはできない。そのため、数値化することが一番分かりやすい。
「ホストっていろいろなナンバーワンがいるじゃないですか。指名本数ナンバーワンとか各グループ、各店舗のナンバーワン。僕は引退したホストも含めてホストの歴史の中で1年間の売り上げというトータルで1位を取った。それだけは誰にもできないとなって君臨している」
1日の最高売り上げは昨年の自身の誕生日に記録した6300万円。そのうち1人の女性が6200万円を支払ったという。どうして女性は降矢にお金を使いたくなるのか。
すると、降矢はそれまでの関係作りと使わせる理由作りが重要だと強調した。
「『使って』という言葉じゃなくて『このぐらいでこれぐらいの記録になりそう』と言うと、(女性が)『そうだね』みたいな(笑い)」
関係作りの秘訣が著書に記された“嫌われない方法”だ。風俗嬢の母のもとに生まれ、幼少期は風俗店が遊び場だった。学生時代は先輩に目を付けられないように常に周囲の顔色をうかがっていたという。その「嫌われたくない」という気持ちが育んだ洞察力こそがホストの神を誕生させた。
しかし神になって見えた景色は“孤独”だったという。その肩書が同僚ホストたちとの微妙な距離を生み「マジで1人ぼっちです。指名もしてもらえなくなります。『めっちゃくちゃ高そう』って言われます。来てくれりゃいいのに(笑い)」。
今年の売り上げは2億円(※取材時の時点)。「だいぶん落ちました」と話すが、そこには理由がある。降矢は太客をつなぎとめるのではなく、新規の客を開拓するために客を毎年入れ替えるのだ。
「絶対プラスになると思って全部を受け入れることにしています。ホストという仕事よりも少しでもメディアに出たいなとか。そういうのを強く思うようになりました。この孤独を乗り越えて、誰も見たことがない景色にたどりつきたいですよね」と話した。
☆ふるや・まさき 1989年9月27日生まれ。茨城県出身。中学卒業後にとび職を経て建築会社経営。26歳でホストに転身。昨年、ホスト史上最高の年間売り上げ5億2000万円を達成する。