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手取川とは? わかりやすく解説

てどり‐がわ〔‐がは〕【手取川】

読み方:てどりがわ

石川県南部流れる川。県南端、岐阜との県境にある白山に源を発し支流合わせ白山市日本海に注ぐ。長さ72キロ上流手取湖中流手取峡谷がある。下流早場米産地扇状地形成する県下最大河川


手取川

白山恵み能登までつなぐ手取川
手取川は、その源を霊峰白山標高2,702m)に発し尾添川大日川その他の支川合流して白山市鶴来大国町付近に至り、これより山間部離れ石川県の誇る穀倉地帯である加賀平野西流し白山市湊町にて日本海に注ぐ流域面積809km2幹川流路延長72kmの石川県最大河川です。

加賀平野を流れる手取川。石川県最大の河川です。
加賀平野流れる手取川。石川県最大河川です。

河川概要
水系手取川水系
河川名手取川
幹川流路延長72km
流域面積 809km2
流域内人 32万人
流域関係都県石川県

手取川流域図
○拡大図
1.手取川の歴史
"手取川は、古くより流域人々恵みもたらしてきた一方、度々洪水起こす荒ぶる川」でもありました昔ながら治水技術と、近年治水事業手取川ダム完成により、現在では、河川氾濫による被害激減し安全な郷土形成確固たる土台となってます。"

高度な水利用洪水とのたたかい

流路変遷の年代図
流路変遷年代
水流趣くままに流路変えてきた手取川
手取川の下流部は、鶴来町扇頂部として典型的な扇状地地形形成していますが、その形成始まったのは今からおよそ200万年前と考えられています。その後扇状地が海になる海進時代海岸線後退する海退時代繰り返され現在のような地形概ね完成されたのは、およそ縄文時代後期になってからです。
手取川本流現在の山島川(山島用水)の南川水系であった考えられおり、日本海海退進行につれて左岸分流し、奈良時代には水流趣くままに扇状地広がって流れ、比楽河川呼ばれていましたその後本流大慶寺川比良瀬川へと移り、さらに冷川、今湊川北川中島用水)、南川へと移動して現在の手取川へとその姿と呼び名変えてます。

荒ぶる
昭和9年7月洪水の状況
昭和9年7月洪水状況
手取川は古くより、石川県穀倉地帯である加賀平野潤し流域人々恵みもたらしてきた一方、その急流河川天井川という河道特性ゆえに、度々洪水起こす荒ぶる川」でもありました。特に被害大きかったのは、昭和9年7月11日洪水です。活発な梅雨前線による記録的な豪雨に、残雪による融雪出水加わり氾濫となり、堤防越水侵食により数カ所で破堤し、97名の人命奪われ、2,113町歩耕地が手取川から流出した土砂などにより埋没したという記録残されています。
昭和41年には一級河川指定され水衝部補強堤防嵩上げなどの治水事業進められました。昭和43年完成大日川ダム昭和55年完成の手取川ダム合わせ洪水調節が可能となり、現在は河川氾濫による被害激減し、手取川は安全な郷土形成確固たる土台となってます。

霞堤(河口から7.0k付近)
霞堤河口から7.0k付近
霞堤」「囲堤」
洪水歴史とともに治水事業の歴史古く下流河道部には、洪水との闘い歴史から生み出され治水技術である「霞堤」や「囲堤」などが今も残ってます。
2.地域の中の手取川
"手取川の豊富なは、数々伝統産業先端産業支えとともに石川県民の3/4飲み水として供給されるなど、流域人々の生活をも支えてます。
全国屈指の清流である手取川は、野外学習や、祭り・イベントの場としても利用されており、自然と出会える場としての水辺づくりが進められています。"

地域産業豊富な水利用
 手取川ダム
手取川ダム
手取川流域伝統産業としては、全国的に有名な九谷焼寺井町)や酒造りなどがありますまた、稲作は手取川扇状地上の市町村行われており、加賀早場米として全国的に有名ですが、年々第1次産業割合減少しているのが現状です。一方中・下流部では、扇状地上にある市町村工場誘致行いそれに伴い第2次産業などの割合大きく増加してます。これは近年、手取川扇状地良質な伏流水利用したビール工場電子産業などの企業立地したことが大きな要因として挙げられます。
また、手取川の豊富なは、上流域では水力発電下流扇状地では農業用水等への利用なされているとともに手取川ダムに貯められた石川県民の約3/4飲み水として供給されており、石川県民の生活根底から支えているといえます


屈指の清流
手取川は全国屈指の清流であり、夏には子供たち水辺で遊ぶほか、小学校などの野外学習の場や手取川を利用した祭りイベントにも盛んに利用されています。そうした中、手取川がふるさとの川として人々利用され、もっと親しまれるよう、地域方々協力しながら、水辺自然体験の場、遊びの場として活用されるような活動進めてます。また、水辺あり方についても自然の状態を極力保全して、生態系配慮した自然環境創出努めてます。水辺の楽校や水辺プラザなど、人が自然と出会え安全な水辺づくりを進めてます。

水辺の楽校(川北町)水辺の楽校(川北町)
水辺の楽校(川北町手取火まつり川北町
3.手取川の自然環境
"白山源流とする手取川は、その多雨多雪気候豊かな自然から、非常に良好な水質豊富な水量をほこっており、そこを棲みかとする数多く動植物生命育んでます。
また、中上流部には岩間噴泉塔手取峡谷など、数多く景勝地存在し美し自然景観となってます。"


 手取峡谷
手取峡谷
手取川流域のうち、最上流部は中部日本縦断する山岳地帯の西縁にあたる加賀美濃山地の端にあり、白山中心とした急峻な地形となってます。白山火山至近噴火1659年)よる温泉変質受けた手取中生層の岩石柔らかいため、地すべり崩壊の原因となってます。
岩間噴泉塔群
岩間噴泉塔
中、上流部には、日本最古岩石といわれる飛騨変成岩植物化石を含む手取中生層が分布しており、上流部には昭和9年起きた洪水流れ出た百万貫の岩」と呼ばれる体積1,890m3重量4,839トンの岩や、温泉溶解していた石灰成分沈殿してできる石灰華が塔状をなした岩間噴泉塔群(国指定特別天然記念物)などがあるほか、中流部には河成段丘の下に河床浸食してできた高さ約30mの断崖渓谷手取峡谷)が続いており、特に美し景観となってます。
下流部は、鶴来町扇頂部として典型的な扇状地形成してます。

手取川の水質は、環境基準点における近年水質変化を見ると、いずれの地点でも環境基準大きく下回っていることから、非常に清浄であることがわかります

手取川の上流部は、白山国立公園指定されており、全国有数良好なブナ自然林分布し、また高山植物宝庫ともなってます。こうした豊かな自然を棲みかとして、動物相も豊富であり、哺乳類ではニホンツキノワグマニホンカモシカ(国指定特別天然記念物)、ニホンザルヤマネ国指定天然記念物)など、鳥類ではイワヒバリイヌワシ国指定天然記念物)など、両生類爬虫類ではハコネサンショウウオイシガメタカチホヘビなど、魚類ではイワナヤマメなどが生息してます。
また、下流扇状地においてはツルヨシ群落ススキ群落ヤナギ低木群落、ヨシクラス、トクサなどが生育しており、魚類としてはアユトミヨなどが生息しサケ遡上する自然度の高い河川となってます。
4.手取川の主な災害

発生発生原因被災市町村被害状況
昭和9年7月梅雨前線川北村
白峰村
他沿川24市町村
死者97
行方不明15
負傷者35
埋没耕地2113町歩
流出耕地695町歩
家屋流出172
倒壊65
床上浸水586戸
昭和11年6月梅雨前線半壊家屋1戸
床上浸水486
床下浸水1251戸
昭和19年7月死者2名
床下浸水1485名
昭和27年7月鶴来町
川北村
辰口町
昭和34年8月台風7号死者1名
負傷者1名
床上浸水3210戸
床下浸水1251戸
昭和36年9月台風18号
第2室戸台風
白峰村
尾口村
鳥越村
鶴来町
床上浸水57
田畑浸水18ha
昭和39年7月梅雨前線堤防欠壊
昭和40年9月梅雨前線辰口町堤防欠壊
昭和56年7月梅雨前線手取川ダム完成により氾濫被害なし蛇籠流出
護岸欠壊
昭和58年7月梅雨前線
蛇籠流出
護岸欠壊
昭和59年7月梅雨前線
根固護岸の洗堀破損
天然河川欠壊
平成10年9月台風7号
導流提の洗堀破損
河川欠壊

(注:この情報2008年2月現在のものです)

手取川

読み方:テドリガワ(tedorigawa)

所在 石川県

水系 手取川水系

等級 1級


手取川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/08 14:40 UTC 版)

手取川
手取川(白山市鶴来地区付近)
水系 一級水系 手取川
種別 一級河川
延長 72 km
平均流量 72.48 m3/s
流域面積 809 km2
水源 白山
水源の標高 2,702 m
河口・合流先 日本海
流域 日本 石川県
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手取川(てどりがわ)は、石川県の主に白山市を流れて日本海へ注いでいる一級河川石川の通称で呼ばれた時代もあり、石川郡及び石川県の由来となっている[1]

地理

手取峡谷。右側に綿ヶ滝

石川県白山市南部の白峰地区岐阜県境にそびえる白山に源を発し北流する。上流には手取川ダムがあり、中流域の鳥越地区及び吉野谷地区では河岸段丘を下刻して手取峡谷を形成している。鶴来市街地で流路を西へ変更し、山から金沢平野へ抜ける地点を扇頂とした扇状地を形成している。能美市及び能美郡川北町の境界を流れ、白山市美川地区で日本海に注いでいる。平均河床勾配1/27は日本有数の急流河川である。

河口より約40km北東に位置する千里浜海岸は、手取川が運搬した土砂が沿岸流によって運ばれ堆積したものである[2]

名称

倶利伽羅峠の戦いの後、平家軍を追う木曾義仲軍が篠原の戦いを前に、増水して濁流の川を渡るとき、多くの兵士が互いに手に手を取って流されないようにして渡ったことに由来する[3]。また、氾濫のたびに渡るのに手間取ったことに由来するとも言われる[4]徳光パーキングエリアの南脇の大川、大慶寺川(現・大慶寺用水)など扇状地での流れも変わってきたが手取川と呼ばれる以前は「比楽河・ひらかがわ」とも呼ばれた[5][6][7]河口の港は比楽湊、その後「本吉湊」と呼ばれ、室町時代には三津七湊の1つであった。

支流

尾添川
大日川
  • 柳谷川
  • 三ツ谷川
  • 大道谷川
  • 百合谷川
  • 赤谷川
  • 下田原川
  • 尾添川
  • 瀬波川
  • 大日川
  • 直海谷川

七ヶ用水

七ヶ用水(しちかようすい)は、手取川を水源とし、金沢平野の北側半分を潤す7つの用水の総称である[8]疎水百選

ほとんどは新たに用水を掘ったのではなく、何度も流れを変えた手取川のかつての川筋を元にして作られている。

七ヶ用水の高橋川(富樫用水)取水口

2006年(平成18年)に疎水百選に選定[8]2014年(平成26年)には国際かんがい排水委員会によるかんがい施設遺産に登録されている[8]。また、大水門および給水口が土木学会土木遺産に登録されている。2023年令和5年)9月25日には、大水門・取入口隧道・冨樫用水取水口水門が国の重要文化財に指定された[9][10]

  • 富樫(とがし)用水:高橋川となって伏見川から犀川に注ぐ。
  • 郷用水
  • 中村用水
  • 山島用水
  • 大慶寺用水
  • 中島用水
  • 新砂川用水

災害

北陸本線・手取橋梁での1934年(昭和9年)7月増水の状況

暴れ川として知られ、過去幾度となく洪水・氾濫を繰り返した。

1912年(大正元年)には、支流の甚之助谷が地すべり性崩壊を起こして荒廃。砂防事業による対策が進められた[11]。また1934年昭和9年)7月11日[12]の災害は手取川最大の土砂災害が発生。前年の豪雪による残雪と豪雨の影響で水量が増加、上流の別当谷で大崩壊が発生し(別当崩れ)死者・行方不明者130人、家屋流失240戸、家屋浸水5,003戸の大災害となった[12]。白山麓の市ノ瀬集落はこの災害で壊滅した。2004年平成16年)5月の災害では別当出合にある砂防新道の吊橋が流失した。国直轄の白山砂防事業として砂防堰/堤や砂防トンネル、地滑り対策が実施され、白山砂防科学館が設置されている。

手取川扇状地上の集落は洪水を避けるため自然堤防の微高地に立地しており、島集落と呼ばれる景観を形成している。

百万貫の岩

百万貫の岩

白峰地区白峰集落(旧牛首)の上流、石川県道33号白山公園線沿いの河床にある高さ16mの大岩。1934年(昭和9年)の大洪水の時に支流の宮谷川から流出した。大災害の様子を後世に伝える資料であり、県指定天然記念物に指定されているとともに日本の地質百選にも選定されている。

河川施設

1980年(昭和55年)に建設された手取川ダムは上水道、工業用水、電力、治水に利用される。上水道は、石川県の七尾市以南に広く供給されている。また、農業用水も各地から取水される。

一次
支川名
(本川)
二次
支川名
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
型式 事業者 備考
手取川 - 手取川ダム 153.0 231,000 ロックフィル 国土交通省
電源開発
石川県
手取川 - 手取川第二ダム 37.5 1,700 重力式 北陸電力
尾添川 - 尾口第一ダム 28.4 16 重力式 北陸電力
尾添川 - 吉野谷ダム 20.5 - 重力式 北陸電力
尾添川 雄谷川 中宮ダム 16.6 - 重力式 北陸電力
大日川 - 大日川ダム 59.9 27,200 重力式 石川県
直海谷川 - 手取川第三ダム 50.0 4,247 重力式 北陸電力

主な橋梁

金名橋
天狗橋(架け替え前の旧橋)
川北大橋

上流より示す。

水力発電

1911年明治44年)に金沢電気瓦斯(現在の金沢市企業局の前身)が福岡発電所を建設したのが手取川水系の水力発電の第1号である(現在の北陸電力福岡第一発電所)。現在は水系に22(電源開発:1、北陸電力:21)の発電所がある。

環境

河口では毎年秋にサケが遡上する[18]。有効利用調査の対象河川として、事前申込制で期間内にサケの遊漁ができる(手取川サーモンフィッシング)[18][19]

舞台となった作品

※発表順

映画

脚注

  1. ^ 『意外と知らない石川県の歴史を読み解く! 石川「地理・地名・地図」の謎』実業之日本社、2015年1月5日、74頁。ISBN 978-4-408-11100-1 
  2. ^ 早川和宏・由比政年・石田啓「石川県千里浜海岸における海浜地形変化に関する基礎的研究」(『日本海域研究』第40号、2009年)、40‐41頁。
  3. ^ 木曽義仲の伝説 鶴来町”. 石川新情報府. 2010年7月20日閲覧。
  4. ^ 石川県. “手取川”. 石川県. 2019年9月6日閲覧。
  5. ^ 昔々の手取川は「比楽河」”. 北陸先端科学技術大学院大学. 2010年7月20日閲覧。
  6. ^ 2.中・近世(1)中世の本吉湊、比楽湊・本吉湊(美川漁港)の「みなと文化」” (PDF). pp. 4-5/19 ページ. 2010年7月20日閲覧。
  7. ^ 白山・手取川と生きる、白山砂防通信” (PDF). 国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所. pp. 2/4ページ (2005年冬号、VOL.10). 2010年7月20日閲覧。
  8. ^ a b c 七ヶ用水(石川県) - 農林水産省
  9. ^ 令和5年9月25日文部科学省告示第108号。
  10. ^ 文化審議会の答申(国宝・重要文化財(建造物)の指定)(文化庁報道発表、2023年6月23日)。
  11. ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』293頁 河出書房新社刊 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  12. ^ a b 『ふるさと石川歴史館』(2002年6月10日、北國新聞社発行)540頁。
  13. ^ 空中都市? いいえ、手取川橋梁です 北陸新幹線延伸工事”. 北國新聞 (2018年10月12日). 2019年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月21日閲覧。
  14. ^ “北陸新幹線の手取川橋梁が連結 石川・川北”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2019年6月26日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000020170 2022年8月21日閲覧。 
  15. ^ 加賀海浜産業道路(川北町橘〜能美市福島町間)の開通式について” (PDF). 石川県土木部道路建設課 (2023年3月2日). 2023年3月5日閲覧。
  16. ^ 北陸新幹線延伸、どうなる「サンダーバード」と新快速 - 敦賀駅へ”. マイナビニュース (2022年7月24日). 2022年8月21日閲覧。
  17. ^ “北陸新幹線24年延伸 JRと石川県、並行在来線譲渡で合意”. 日本経済新聞. (2022年8月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1736E0X10C22A8000000/ 2022年8月21日閲覧。 
  18. ^ a b “手取川にサケが来た! 28日に釣り一般開放へ 6匹を初確認”. 北國新聞. (2021年10月22日). オリジナルの2021年10月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211030091750/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/559155 2022年8月21日閲覧。 
  19. ^ 手取川サーモンフィッシング - 手取川サケ有効利用調査実行委員会
  20. ^ 千葉真一日本語)『なんだ、こいつら。JACスーパーアクション in 激突』(Color)(VHS東映ビデオ、1989年1月13日。 

関連項目

外部リンク




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