てどり‐がわ〔‐がは〕【手取川】
手取川
手取川は、その源を霊峰白山(標高2,702m)に発し、尾添川、大日川、その他の支川を合流して白山市鶴来大国町付近に至り、これより山間部を離れ、石川県の誇る穀倉地帯である加賀平野を西流し、白山市湊町にて日本海に注ぐ流域面積809km2、幹川流路延長72kmの石川県最大の河川です。 |
加賀平野を流れる手取川。石川県最大の河川です。 |
河川概要 |
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○拡大図 |
1.手取川の歴史 |
"手取川は、古くより流域の人々に恵みをもたらしてきた一方、度々洪水を起こす「荒ぶる川」でもありました。
昔ながらの治水技術と、近年の治水事業や手取川ダムの完成により、現在では、河川氾濫による被害も激減し、安全な郷土形成の確固たる土台となっています。" |
高度な水利用と洪水とのたたかい |
手取川の下流部は、鶴来町を扇頂部として典型的な扇状地地形を形成していますが、その形成が始まったのは今からおよそ200万年前と考えられています。その後、扇状地が海になる海進時代と海岸線が後退する海退時代が繰り返され、現在のような地形が概ね完成されたのは、およそ縄文時代後期頃になってからです。 手取川本流は現在の山島川(山島川用水)の南川水系であったと考えられおり、日本海の海退の進行につれて左岸へ分流し、奈良時代には水流の趣くままに扇状地を広がって流れ、比楽河川と呼ばれていました。その後、本流は大慶寺川、比良瀬川へと移り、さらに冷川、今湊川、北川(中島用水)、南川へと移動して、現在の手取川へとその姿と呼び名を変えています。 荒ぶる川
昭和41年には一級河川に指定され、水衝部の補強、堤防の嵩上げなどの治水事業が進められました。昭和43年完成の大日川ダムと昭和55年完成の手取川ダムと合わせ洪水調節が可能となり、現在は河川氾濫による被害も激減し、手取川は安全な郷土形成の確固たる土台となっています。
洪水の歴史とともに治水事業の歴史も古く、下流の河道部には、洪水との闘いの歴史から生み出された治水技術である「霞堤」や「村囲堤」などが今も残っています。 |
2.地域の中の手取川 |
"手取川の豊富な水は、数々の伝統産業、先端産業を支えるとともに、石川県民の3/4に飲み水として供給されるなど、流域の人々の生活をも支えています。 全国屈指の清流である手取川は、野外学習や、祭り・イベントの場としても利用されており、自然と出会える場としての水辺づくりが進められています。" |
地域産業と豊富な水利用
また、手取川の豊富な水は、上流域では水力発電、下流扇状地では農業用水等への利用がなされているとともに、手取川ダムに貯められた水は石川県民の約3/4の飲み水として供給されており、石川県民の生活を根底から支えているといえます。 屈指の清流 手取川は全国屈指の清流であり、夏には子供たちが水辺で遊ぶほか、小学校などの野外学習の場や手取川を利用した祭りやイベントにも盛んに利用されています。そうした中、手取川がふるさとの川として人々に利用され、もっと親しまれるよう、地域の方々と協力しながら、水辺が自然体験の場、遊びの場として活用されるような活動を進めています。また、水辺のあり方についても自然の状態を極力保全して、生態系に配慮した自然環境の創出に努めています。水辺の楽校や水辺プラザなど、人が自然と出会える安全な水辺づくりを進めています。
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3.手取川の自然環境 |
"白山を源流とする手取川は、その多雨多雪の気候と豊かな自然から、非常に良好な水質と豊富な水量をほこっており、そこを棲みかとする数多くの動植物の生命を育んでいます。 また、中上流部には岩間噴泉塔や手取峡谷など、数多くの景勝地が存在し、美しい自然景観となっています。" |
下流部は、鶴来町を扇頂部として典型的な扇状地を形成しています。 手取川の水質は、環境基準点における近年の水質の変化を見ると、いずれの地点でも環境基準を大きく下回っていることから、非常に清浄であることがわかります。 手取川の上流部は、白山国立公園に指定されており、全国有数の良好なブナ自然林が分布し、また高山植物の宝庫ともなっています。こうした豊かな自然を棲みかとして、動物相も豊富であり、哺乳類ではニホンツキノワグマ、ニホンカモシカ(国指定特別天然記念物)、ニホンザル、ヤマネ(国指定天然記念物)など、鳥類ではイワヒバリ、イヌワシ(国指定天然記念物)など、両生類・爬虫類ではハコネサンショウウオ、イシガメ、タカチホヘビなど、魚類ではイワナ、ヤマメなどが生息しています。 また、下流扇状地においては、ツルヨシ群落、ススキ群落、ヤナギ低木群落、ヨシクラス、トクサなどが生育しており、魚類としてはアユ、トミヨなどが生息し、サケも遡上する自然度の高い河川となっています。 |
4.手取川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
手取川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/08 14:40 UTC 版)
手取川 | |
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水系 | 一級水系 手取川 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 72 km |
平均流量 | 72.48 m3/s |
流域面積 | 809 km2 |
水源 | 白山 |
水源の標高 | 2,702 m |
河口・合流先 | 日本海 |
流域 | 日本 石川県 |
手取川(てどりがわ)は、石川県の主に白山市を流れて日本海へ注いでいる一級河川。石川の通称で呼ばれた時代もあり、石川郡及び石川県の由来となっている[1]。
地理
石川県白山市南部の白峰地区の岐阜県境にそびえる白山に源を発し北流する。上流には手取川ダムがあり、中流域の鳥越地区及び吉野谷地区では河岸段丘を下刻して手取峡谷を形成している。鶴来市街地で流路を西へ変更し、山から金沢平野へ抜ける地点を扇頂とした扇状地を形成している。能美市及び能美郡川北町の境界を流れ、白山市美川地区で日本海に注いでいる。平均河床勾配1/27は日本有数の急流河川である。
河口より約40km北東に位置する千里浜海岸は、手取川が運搬した土砂が沿岸流によって運ばれ堆積したものである[2]
名称
倶利伽羅峠の戦いの後、平家軍を追う木曾義仲軍が篠原の戦いを前に、増水して濁流の川を渡るとき、多くの兵士が互いに手に手を取って流されないようにして渡ったことに由来する[3]。また、氾濫のたびに渡るのに手間取ったことに由来するとも言われる[4]。徳光パーキングエリアの南脇の大川、大慶寺川(現・大慶寺用水)など扇状地での流れも変わってきたが手取川と呼ばれる以前は「比楽河・ひらかがわ」とも呼ばれた[5][6][7]。河口の港は比楽湊、その後「本吉湊」と呼ばれ、室町時代には三津七湊の1つであった。
支流
- 柳谷川
- 三ツ谷川
- 大道谷川
- 百合谷川
- 赤谷川
- 下田原川
- 尾添川
- 瀬波川
- 大日川
- 直海谷川
七ヶ用水
七ヶ用水(しちかようすい)は、手取川を水源とし、金沢平野の北側半分を潤す7つの用水の総称である[8]。疎水百選。
ほとんどは新たに用水を掘ったのではなく、何度も流れを変えた手取川のかつての川筋を元にして作られている。
2006年(平成18年)に疎水百選に選定[8]、2014年(平成26年)には国際かんがい排水委員会によるかんがい施設遺産に登録されている[8]。また、大水門および給水口が土木学会の土木遺産に登録されている。2023年(令和5年)9月25日には、大水門・取入口隧道・冨樫用水取水口水門が国の重要文化財に指定された[9][10]。
災害
暴れ川として知られ、過去幾度となく洪水・氾濫を繰り返した。
1912年(大正元年)には、支流の甚之助谷が地すべり性崩壊を起こして荒廃。砂防事業による対策が進められた[11]。また1934年(昭和9年)7月11日[12]の災害は手取川最大の土砂災害が発生。前年の豪雪による残雪と豪雨の影響で水量が増加、上流の別当谷で大崩壊が発生し(別当崩れ)死者・行方不明者130人、家屋流失240戸、家屋浸水5,003戸の大災害となった[12]。白山麓の市ノ瀬集落はこの災害で壊滅した。2004年(平成16年)5月の災害では別当出合にある砂防新道の吊橋が流失した。国直轄の白山砂防事業として砂防堰/堤や砂防トンネル、地滑り対策が実施され、白山砂防科学館が設置されている。
手取川扇状地上の集落は洪水を避けるため自然堤防の微高地に立地しており、島集落と呼ばれる景観を形成している。
百万貫の岩
白峰地区白峰集落(旧牛首)の上流、石川県道33号白山公園線沿いの河床にある高さ16mの大岩。1934年(昭和9年)の大洪水の時に支流の宮谷川から流出した。大災害の様子を後世に伝える資料であり、県指定天然記念物に指定されているとともに日本の地質百選にも選定されている。
河川施設
1980年(昭和55年)に建設された手取川ダムは上水道、工業用水、電力、治水に利用される。上水道は、石川県の七尾市以南に広く供給されている。また、農業用水も各地から取水される。
一次 支川名 (本川) |
二次 支川名 |
ダム名 | 堤高 (m) |
総貯水 容量 (千m3) |
型式 | 事業者 | 備考 |
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手取川 | - | 手取川ダム | 153.0 | 231,000 | ロックフィル | 国土交通省 電源開発 石川県 |
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手取川 | - | 手取川第二ダム | 37.5 | 1,700 | 重力式 | 北陸電力 | |
尾添川 | - | 尾口第一ダム | 28.4 | 16 | 重力式 | 北陸電力 | |
尾添川 | - | 吉野谷ダム | 20.5 | - | 重力式 | 北陸電力 | |
尾添川 | 雄谷川 | 中宮ダム | 16.6 | - | 重力式 | 北陸電力 | |
大日川 | - | 大日川ダム | 59.9 | 27,200 | 重力式 | 石川県 | |
直海谷川 | - | 手取川第三ダム | 50.0 | 4,247 | 重力式 | 北陸電力 |
主な橋梁
上流より示す。
- 赤谷大橋(国道157号)
- 鴇が谷大橋(国道157号)
- 大倉谷大橋(国道157号)
- 女原大橋(国道157号)
- 対山橋(石川県道178号木滑釜清水線・石川県道302号手取川自転車道線)
- 黄門橋(国道360号)
- 江津橋(石川県道180号河合江津線)
- 広瀬大橋(石川県道44号小松鳥越鶴来線)
- 金名橋(石川県道302号手取川自転車道線)
- 鳥越大橋(石川県道44号小松鳥越鶴来線)
- 一の宮大橋(国道157号)
- 山上郷大橋(国道157号)
- 天狗橋(石川県道4号小松鶴来線)
- 川北大橋(旧川北大橋有料道路)
- 辰口橋(石川県道22号金沢小松線)
- 手取川橋(石川県道157号松任寺井線)
- 手取川大橋(国道8号)
- 手取川橋梁(北陸新幹線)[13][14]
- 川北能美大橋(石川県道25号金沢美川小松線 加賀海浜産業道路)[15]
- 手取川鉄橋(IRいしかわ鉄道線)[16][17]。
- 美川大橋(石川県道25号金沢美川小松線)
- 手取川橋(北陸自動車道)
水力発電
1911年(明治44年)に金沢電気瓦斯(現在の金沢市企業局の前身)が福岡に発電所を建設したのが手取川水系の水力発電の第1号である(現在の北陸電力福岡第一発電所)。現在は水系に22(電源開発:1、北陸電力:21)の発電所がある。
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北陸電力吉野第一発電所
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北陸電力福岡第一発電所
環境
河口では毎年秋にサケが遡上する[18]。有効利用調査の対象河川として、事前申込制で期間内にサケの遊漁ができる(手取川サーモンフィッシング)[18][19]。
舞台となった作品
※発表順
- 映画
脚注
- ^ 『意外と知らない石川県の歴史を読み解く! 石川「地理・地名・地図」の謎』実業之日本社、2015年1月5日、74頁。ISBN 978-4-408-11100-1。
- ^ 早川和宏・由比政年・石田啓「石川県千里浜海岸における海浜地形変化に関する基礎的研究」(『日本海域研究』第40号、2009年)、40‐41頁。
- ^ “木曽義仲の伝説 鶴来町”. 石川新情報府. 2010年7月20日閲覧。
- ^ 石川県. “手取川”. 石川県. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “昔々の手取川は「比楽河」”. 北陸先端科学技術大学院大学. 2010年7月20日閲覧。
- ^ “2.中・近世(1)中世の本吉湊、比楽湊・本吉湊(美川漁港)の「みなと文化」” (PDF). pp. 4-5/19 ページ. 2010年7月20日閲覧。
- ^ “白山・手取川と生きる、白山砂防通信” (PDF). 国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所. pp. 2/4ページ (2005年冬号、VOL.10). 2010年7月20日閲覧。
- ^ a b c 七ヶ用水(石川県) - 農林水産省
- ^ 令和5年9月25日文部科学省告示第108号。
- ^ 文化審議会の答申(国宝・重要文化財(建造物)の指定)(文化庁報道発表、2023年6月23日)。
- ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』293頁 河出書房新社刊 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
- ^ a b 『ふるさと石川歴史館』(2002年6月10日、北國新聞社発行)540頁。
- ^ “空中都市? いいえ、手取川橋梁です 北陸新幹線延伸工事”. 北國新聞 (2018年10月12日). 2019年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月21日閲覧。
- ^ “北陸新幹線の手取川橋梁が連結 石川・川北”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2019年6月26日) 2022年8月21日閲覧。
- ^ “加賀海浜産業道路(川北町橘〜能美市福島町間)の開通式について” (PDF). 石川県土木部道路建設課 (2023年3月2日). 2023年3月5日閲覧。
- ^ “北陸新幹線延伸、どうなる「サンダーバード」と新快速 - 敦賀駅へ”. マイナビニュース (2022年7月24日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “北陸新幹線24年延伸 JRと石川県、並行在来線譲渡で合意”. 日本経済新聞. (2022年8月17日) 2022年8月21日閲覧。
- ^ a b “手取川にサケが来た! 28日に釣り一般開放へ 6匹を初確認”. 北國新聞. (2021年10月22日). オリジナルの2021年10月30日時点におけるアーカイブ。 2022年8月21日閲覧。
- ^ 手取川サーモンフィッシング - 手取川サケ有効利用調査実行委員会
- ^ 千葉真一(日本語)『なんだ、こいつら。JACスーパーアクション in 激突』(Color)(VHS)東映ビデオ、1989年1月13日。
関連項目
- 白山手取川ジオパーク
- 白山国立公園
- 篠原の戦い
- 手取川の戦い - 1577年(天正5年)に起きたとされる織田氏と上杉氏の戦い。
- 島集落 - 手取川扇状地における独特な集落形態。
- 三津七湊 - 河口は本吉湊と呼ばれた七湊の1つ。
- 手取フィッシュランド - 能美市にある遊園地。手取川堤防に接して立地。
- 清酒「手取川」 - 株式会社吉田酒造店が醸造する日本酒。日本酒メーカー一覧を参照。
- 石川県道302号手取川自転車道線(手取キャニオンロード) - 手取川沿いに走る自転車専用道路
外部リンク
- 手取川 - 国土交通省水管理・国土保全局
- 手取川の概要 - 国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所
- 手取川七ヶ用水土地改良区
手取川と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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