HIS、71億円を調達 年内に増資完了予定
旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は13日、第三者割当増資と新株予約権の発行で約71億6000万円を調達したと発表した。創業者の沢田秀雄会長兼社長や海外投資会社を引受先として計215億円を3回に分けて調達する計画の一環で、今回が2回目の調達。3回目も年内に資金調達を実施することを決めた。
1回目の約71億6000万円は11月22日付けで払い込みが完了している。今回は2回目で、3回目は12月28日の払い込みを予定しており、一連の資本増強計画が完了する。
海外旅行が主力だったHISは新型コロナウイルス禍が直撃し、財務状況が悪化している。コロナ禍では2020年10月に約220億円の資本増強を発表して以来、2度目の増資となる。当面の運転資金にするほか、21年9月に売却した東京・虎ノ門の本社フロアの買い戻しのための積み立てなどに充てる方針だ。
HISを巡っては、子会社2社が政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」事業の補助金に関し、不適切な取引の可能性があったとして調査委員会を設置。13日に2021年10月期の決算発表を予定していたが、決算への影響を確認するとして発表を延期している。一連の資本増強計画については、「現時点で影響は出ていない」(IR担当者)としている。