三越伊勢丹、三越がテーマの小説刊行 東野圭吾氏ら執筆
三越伊勢丹は6日、文芸春秋から百貨店の三越をテーマとした短編小説集「時ひらく」を刊行する。同社の小説誌「オール読物」に掲載された、東野圭吾氏ら6人の作家の書き下ろし小説をまとめた。三越を舞台とした物語が描かれ、百貨店や三越の文化を小説を通じて広める。
三越が2023年で創業350周年、24年で百貨店を始めてから120年目を迎えた記念事業の一環だ。1冊770円で全国の書店やネットで販売する。23年5月号からオール読物に全6回掲載された、三越がテーマのオリジナル短編小説をまとめた。
著者には東野氏のほか辻村深月氏、伊坂幸太郎氏、阿川佐和子氏、恩田陸氏、柚木麻子氏が名を連ねた。作家の一部は日本橋三越本店(東京・中央)の店内や三越の歴史を紹介するツアーに参加したり営業時間外の店内の様子を取材したりし、物語を創作したという。書籍のカバーイラストには三越の包装紙「華ひらく」のデザインをあしらった。
5日に日本橋三越本店で開いた刊行記念イベントで、著者の一人である阿川氏は「店員の丁寧な対応や言葉遣いなど、百貨店には数字や形にならない魅力がある」と話した。阿川氏が書き下ろした「雨あがりに」は、三越で昔働いていた高齢の継母と日本橋三越本店で買い物する娘の物語を描いた。