「変なカフェ」渋谷に登場、ロボットがコーヒー
エイチ・アイ・エス(HIS)は2月1日、ロボットがコーヒーなどをいれる「変なカフェ」の1号店を東京都渋谷区に開く。HISの旅行店舗内に設けて集客面での相乗効果を見込む。ロボットが働くグループの「変なホテル」と、ハウステンボス(長崎県佐世保市)で培ったノウハウを生かす。運営ノウハウなどを蓄積しながら、全国展開も検討する。
変なカフェはJR渋谷駅に近い商業施設「渋谷モディ」地下1階にあるHIS渋谷本店の一角に開く。スペースは13平方メートルほど。米リシンク・ロボティクス社が開発した人間の隣で作業できる協働型ロボット「ソーヤー」と、ノズルが円を描きながらお湯を注いでドリップコーヒーをいれる米国製バリスタマシン「ポアステディ」を設置した。
購入者は備え付けの紙コップを所定の場所に置き、券売機から出たバーコード付きチケットを読み取り機にかざす。するとソーヤーが動き出し、腕の部分でカップや削ったコーヒー豆などを移動させる。金属フィルタの洗浄などもこなし、「おいしいコーヒーはいかがですか」などと話す。
看板メニューはグアテマラやエチオピアなどの高品質なコーヒー豆を混ぜた「本格ドリップコーヒー」(230ミリリットル、320円)で、3~4分で提供する。ほかにカフェラテ(380円)など計7種類を用意する。購入客は店内の休憩スペースなどで味わう。
同規模のカフェは2~3人が働くのが一般的だが、変なカフェは豆の補充や機器の不具合に対応するスタッフが1人待機するだけ。飲み物を作って提供する一連の作業はロボットが担う。人件費を抑えたことで一般的なカフェより数十円ほど割安にしたという。今後は冷たい飲み物やクッキーなども順次、販売する。
労働集約型の旅行店舗を多数出してきたHISは、低いといわれるサービス業の生産性を高める研究を続けている。子会社のハウステンボスではレストランなどでロボットが働く。長崎や千葉、東京などにある「変なホテル」は接客や清掃などをロボットがこなす。旅行店舗と親和性の高いカフェでもロボットを活用し、少人数で運営するノウハウを磨く。
HIS渋谷本店にはハウステンボスが運営する仮想現実(VR)体験施設もあり、カフェとあわせて旅行店舗の集客力のテコ入れにもつなげる。
HISの沢田秀雄会長兼社長は記者団に「生産性の高さと、おいしさ、楽しさを両立するカフェだ」と強調した。利用者の反応をみながら変なカフェを全国展開することも検討するという。