大関の相星決戦で賜杯争いが決する。豊昇龍(25=立浪)は関脇の霧島を豪快につり出して、自己最多の13勝目をあげた。
琴桜(27=佐渡ケ嶽)も大の里を上手投げで1敗をキープ。千秋楽の直接対決で豊昇龍は昨年名古屋場所以来、大関昇進後初、琴桜は悲願の初優勝をかける。両大関がハイレベルな優勝争いを展開し、来場所はダブル綱とりとなる可能性もある。
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念願の初優勝へ、大関琴桜(27=佐渡ケ嶽)が王手をかけた。大の里との大関同士の一戦。圧力をかけて出ようとする相手に対し、左上手でしっかり耐えると、巧みに体を開いて上手投げで白星を挙げた。「落ち着いて、しっかり取ることだけを考えていた」。勝負を決める投げを繰り出した場面は「反応してくれた」と短い言葉で振り返った。
初優勝の前に、まずは初の年間最多勝を確定させた。場所前の時点でトップの大の里に4差をつけられていたが、白星を並べて前日ついに並び、この日の直接対決で追い抜いた。千秋楽も勝てば単独でのタイトル獲得となるが、「後からついてくるもの。明日の取組に向けて、やれることをやっていきたい」。目の前の一番に集中するのみだ。
大関在位5場所目。昇進2場所目からは、母方の祖父である元横綱のしこ名を継いだ。その名を汚すわけにはいかない。千秋楽では同じく1敗の大関豊昇龍との相星決戦。高まる周囲の熱気とは対照的に、「変わらずしっかり準備して、集中していくだけ」と静かに構える。自身初の賜杯は、“琴桜”としては初代が最後に制した73年名古屋場所以来51年ぶりの優勝にもなる。半世紀の時を超え、大輪の桜を咲かせるか。【奥岡幹浩】