[中国・延慶発/ロイター]世界一のジャガイモ生産国、中国――。Li氏らは国際ジャガイモセンター(CIP)の北京拠点で、高温がジャガイモに及ぼす影響を3年間にわたり研究している。着目しているのは、中国で最も一般的な2品種だ。
Li氏らが土から掘り出してみせたジャガイモはやけに小さく、うち一つなどはウズラの卵ほどの大きさだ。この研究施設で収穫されたジャガイモは重さ136グラムと、平均的なジャガイモの半分にも満たない。中国で人気のジャガイモは、野球ボール2個分程度の大きさがある。
だが、このジャガイモは将来の食料安全保障を視野に入れているのだ。気温の上昇が加速しているだけではなく、旱魃や洪水の被害も悪化している
「将来、どのような事態になるか心配だ。農家のジャガイモ収穫量が減り、食料安全保障に影響が出ると考えられる」(Li Jieping氏)
研究チームは、ジャガイモ栽培が盛んな北部の河北省や内モンゴル自治区の平均気温より3度高く設定した室内で、3カ月間ジャガイモを栽培した。その結果、高温の環境ではジャガイモの塊茎(イモの部分)の成長が10日早まる一方で、収量は半減することが明らかになった。論文は2024年11月に学術誌『Climate Smart Agriculture』に掲載された。
国連が24年10月に発表した報告書によると、現行の気候政策のままでは、2100年までに産業革命前より3.1度も気温が上がる可能性がある。
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