衆議院選挙や、地方選挙でネット選挙としてSNSや動画サイトを通じた選挙運動の影響が高まっている。10月に行われた、衆議院選挙では国民民主党が「手取りを増やす」として掲げた動画サイトの閲覧数が選挙期間終盤にかけ急増、国民民主党は選挙前の4倍増の議席を獲得した。また、兵庫県知事選挙でも、選挙結果に大きな影響を与えたとされている。

こうした中、世論調査では、投票に際してネット選挙を通じたSNSや動画サイトでの情報をどの程度参考にするか質問した。「大いに参考にする」との答えは9.3%、「ある程度参考にする」37.5%となり、半数近くが「参考」にしていると答えた。一方で、「あまり参考にしない」31.1%、「まったく参考にしない」21.5%となり、5割強は「参考にしない」として意見が二つに分かれた。

【投票でのネット選挙情報の活用】
大いに参考にする    9.3%
ある程度参考にする  37.5%
あまり参考にしない  31.1%
まったく参考にしない 21.5%

調査では、さらに年代別に聞いたところ、「20代以下」では「大いに参考にする」15.3%、「ある程度参考にする」71.4%との結果で、“参考にする”との意見が併せて8割超にのぼった。また「30代」でも「大いに参考にする」18.5%、「ある程度参考にする」52.8%と、7割が“参考にする”と回答した。

一方で、「60代」では、「あまり参考にしない」41.9%、「全く参考にしない」35.0%と7割半ばが“参考にしない”と答え、70代以上でも「あまり参考にしない」43.5%、「全く参考にしない」39.2%と、“参考にしない”との答えが8割を超えた。

【投票でのネット選挙情報の活用(年代別)】
            20代以下 30代    60代  70代以上
大いに参考       15.3% 18.5%    5.6%   1.3%
ある程度参考      71.4% 52.8%   17.5%  14.3%
あまり参考にしない   11.2% 18.0%   41.9%  43.5%
まったく参考にしない   2.1% 10.7%   35.0%  39.2%

選挙におけるSNS活用のあり方について議論する自民党の選挙制度調査会と情報通信戦略調査会の合同会議
選挙におけるSNS活用のあり方について議論する自民党の選挙制度調査会と情報通信戦略調査会の合同会議
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ネット選挙情報の活用は支持政党別で大きな差

SNSや動画サイトを使ったネット選挙運動への活用について、政党の対応が始まっている。自民党は12月17日、選挙活動でのSNS活用をめぐり党内議論を行った。会合では、「ウェブサイトを活用した選挙運動が国民から見て、公明正大、あるべき選挙の姿から逸脱しているのではないかとの指摘が多く寄せられている」などの意見が出た。その他にも、偽情報対策や、収益に繋げる動画サイト選挙などが「問題点」として指摘された。

こうした問題点の修正に重点を置くべきとの意見の一方、選挙情報を伝達するツールとして活用を広げるべきとの意見も出ている。支持政党別にネット選挙の情報をどの程度、参考に活用しているのかをみてみると、支持政党別で大きな違いが見られた。

自民党支持層は「大いに」「ある程度」を合わせて、投票の「参考にする」との答えは、40.9%となった。また立憲民主党支持層では「参考にする」は27.9%、維新支持層では42.0%、公明支持層では49.0%となった。こうした中、国民民主支持層では「参考にする」と答えた人は76.8%に上った。

選挙後のこうした傾向から、大きな選挙で、ネット選挙を通じて政党や候補者の情報をいかに正しく、広範に伝えられるかということが、政党間の選挙結果、に今後も一層大きな影響を与えるようになるとみられる。

【投票でのネット選挙情報の活用(支持政党別)】
        参考にする    参考にしない
自民支持層    40.9%      56.4%
立憲支持層    27.9%      70.9%
維新支持層    41.9%      58.2%
公明支持層    49.0%      49.6%
国民民主層    76.8%      23.2%

西垣壮一郎
西垣壮一郎

フジテレビ報道局 政治部デスク 世論調査担当
2000年から政治部担当で報道記者・報道番組プロデューサーを歴任。
政治部官邸キャップ、自民党キャップ、野党キャップなどを担当。
ワシントン支局特派員(ブッシュ政権~オバマ政権)「BSフジLIVEプライムニュース」総合演出、「日曜報道 THE PRIME」プロデューサーなどを経て現職。
趣味は釣り。