2022年4月に修学旅行中の新潟市の中学生によって、“大地の芸術祭”の作品が壊された問題で、新潟市が十日町市に674万円の損害賠償金を支払うことで和解に合意したことが分かった。新潟市は12月市議会で和解する議案を提出するという。新潟市は「教育活動内での出来事だった」などとして、市が全額賠償金を支払い、保護者や学校には賠償を求めないとしている。また、警察の捜査で故意であることが立証されなかったことも判明した。
新潟市が全額賠償 保護者などに賠償求めず
2022年4月、修学旅行中の新潟市の中学生が、新潟県十日町市にある越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)に展示していた大地の芸術祭の作品2点を壊した。
この記事の画像(9枚)この問題をめぐり、十日町市は新潟市に損害賠償を請求。新潟市と十日町市は、壊された美術作品の算定額について協議を続けてきた。
その結果、新潟市が十日町市に損害賠償金として674万円を支払うことで合意し、和解する議案を12月新潟市議会に提出することが分かった。
警察の捜査で“故意であること立証されず”
新潟市によると、当時の学校が行った聞き取り調査などの中で、生徒たちから「柵に当たって動いてしまった」などの言葉があり、警察の捜査でも故意であることは立証されなかったという。
こうした状況を受け、新潟市は加害者が特定されていないこと、修学旅行という教育活動中の出来事だったことを考慮し、市で賠償金を全額支払い、保護者などには賠償を求めない方針だ。
賠償額については保険を適用するという。
作者は作品を修復「誰でも若いうちは失敗をするもの」
一方、当時の生徒たちは作者のクワクボリョウタさんなどに対して謝罪の手紙を書き、クワクボさんも「誰でも若いうちは、ちょっとした失敗をするもの。作者はまだ生きていて、作品を修復する気力も体力もあります」として作品を修繕したほか、壊れた作品からインスピレーションを受けた作品も制作。
「作品の修復を通して、今回の事件に関わる人々に悪い爪痕を残さないようにしたい」とコメントしていた。
修繕した作品は、12月3日現在も越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)に展示されている。
(NST新潟総合テレビ)