福岡・北九州市で起きた中学生2人殺傷事件。いまだ犯行の動機は明らかになっていない。逮捕された容疑者の男とは、どんな男だったのか。

パトカーに見守られながら登校

北九州市内の多くの小中学校では12月23日、2学期の終業式が行われ、学校職員などが通学路に立ち、子どもたちを見守った。パトカーが巡回するなかでの登校風景だった。

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見守り活動をしている保護者のひとりは「捕まったということで安心できる部分はあるが、身近なところで事件があったので…」といまも不安を感じているという。

事件が起こったのは、12月14日の夜。北九州市小倉南区のマクドナルドで中島咲彩さん(15)と男子生徒(15)が男に刺され、中島さんが失血死した。

男子生徒に対する殺人未遂の疑いで逮捕された平原政徳容疑者(43)は、現在も犯行の動機については話していない。

なぜ事件は起きたのか。取材を続けると平原容疑者の素顔と変化が見えてきた。

窓から“青い光” 拡声器で“奇声”

平原容疑者の自宅近くに住む人は「家から、たまにブルーの光が見えたり…」とその不気味なようすを語る。最近、平原容疑者の自宅窓から青い光を見たというのだ。事件現場近くの一戸建ての住宅で1人暮らしをしていた平原容疑者。家族は、2024年に入ってから何らかの理由で家から出て行ったという。

平原容疑者の自宅
平原容疑者の自宅

さらに近くに住む人は、平原容疑者のただならぬ声を耳にしていた。奇声だ。

「独り言で、何かに対して怒っている。誰かを怒っている。拡声器を使っていたから。一人芝居をしている。誰もいないのにケンカをしている」と耳にした奇声について話した。

また平原容疑者は、近所の店から定期的に同じ銘柄の瓶ビールをケースで購入していて、それを自宅で、1人で飲んでいたとみられる。マクドナルドで事件を起こした後は自宅に引きこもり、近所の飲食店から3日連続で昼食用にカツ丼などの出前を取っていたことも分かっている。

3日続けてカツ丼を出前注文

出前を運んだ飲食店の人は「(後で)事件を知って、よく食べれるなと思った」と常識では考えられない行動に呆れていた。「月曜日がカツ丼とざるそば。火曜日もカツ丼とざるそば。水曜日がカツ丼とゴボウ天うどん、それといなりとかしわおにぎり」だったという。

特に3日目は、出前を盆に載せて持って行くと、平原容疑者はビール瓶を片手に応対。片手では盆を受け取ることが出来ないので、ビール瓶を床に落としたというのだ。「ビール瓶を置いておけばいいのに」と出前を運んだ人は訝ったという。

12月19日、警察が自宅に突入。その際の平原容疑者のようすも詳しく判明した。捜査関係者によると、平原容疑者はリビングの椅子に堂々と座り、逮捕状を読み上げられても一切動揺することはなかったという。その落ち着きぶりに憤慨した捜査員もいたということだ。

捜査本部は平原容疑者について、中島さんに対する殺人容疑での再逮捕を視野に捜査を進めている。

容疑者逮捕後も地域社会には不安

今回の事件を受け、北九州市内の学校などで事件への不安から登校を控えた子どもの数は、16日から20日の延べ人数で実に1万人を超えた。さらに23日の終業式も78人が登校を控えていて、容疑者が逮捕された後も地域社会の不安感は拭えていない。

事件が起きた後に被害生徒が通っていた中学校で保護者向けに配布されたプリントには、ショックを受けた子どもたちに現れる変化がまとめられてある。「食欲がない」「1人でいることを怖がる」「寝つきが悪い」「胸がドキドキすると訴える」「誰とも遊びたがらない」などだ。

市の教育委員会は、冬休みの間も『24時間子ども相談ホットライン』で相談を受け付けていて、担当者は「不安を感じたらいつでも電話してほしい」と話している。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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