登録日:2022/12/21 Wed 11:40:36
更新日:2024/12/01 Sun 22:13:10
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世のため人のため、メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3!
この日輪の輝きを恐れぬなら、かかってこい!!
CV:鈴置洋孝
【概要】
シン・ザ・シティに居を構える謎の金持ちで、
メガノイドの気配があるところに駆けつけてはその企みを打ち砕いている。
両親と兄の4人家族で、宇宙進出の為に火星で新たなるサイボーグの研究を行っていた。
しかし、その研究の中でサイボーグは「メガノイド」を名乗り、反乱を起こした。
万丈は母の手引きでマサア・ロケットにて脱出をさせられて現在に至る。
彼の資金源はその際に一緒に乗せられた莫大な金塊によるもので、一生暮らせるだけの額になるが、彼は戦う事を選んだのだった。
現在は
執事のギャリソン時田とアシスタントの戸田突太、ビューティフル・タチバナ、そして三条レイカと行動を共にしている。
ギャリソンはどこまでもマイペースではあるが、万丈を慕う有能な執事。
突太ことトッポは子供でありながら万丈のアシスタントをしており、ダイターンを操縦した事もある。
まだ未熟で迷惑をかける事も多いが、万丈もトッポには一目置いている。
ビューティーは物語開始前からの付き合いで、普段は万丈のガールフレンドのようないまいち軽い雰囲気だが、メガノイドと戦う万丈の覚悟を理解し付き合う強い絆がある。
レイカとは1話にて出会うが、万丈と共に戦う中でビューティーに並ぶほどの強い意志を見せた。
主に赤いジャケットに胸元の開いた橙のインナー、下は
ジーンズ姿でいる事が多い。
パイロットスーツは橙をベースに、キャッチャーの防具のようなプロテクターのあるデザインとなっている。
また、タキシードも真っ赤なものであり、とことんまで暖色系のカラーリングの似合う男である。
陽炎のゆらめく太陽のような逆立ったヘアスタイルも特徴。
ずば抜けた身体能力を持っており、
キャリーガンと呼ばれる換装型の万能銃を操る。
素手で鉄格子を捻じ曲げたり、鉄製の
拘束具を引き抜いたり、巨大な怪獣
ロボットとヒートロッド一本で格闘して急所を貫いて倒したり、
冷下40度の雪原にパンツ一丁で放り出されても凍える程度で済む、人間では抗えない精神支配を自力で打ち破るなど、心身ともに人間離れしているといえよう。
なお、担当声優の鈴置氏はこの万丈が初主演作。
「万丈は俺の役、誰にも渡せない」と公言するほどの思い入れを持っており、それを受けてかスパロボシリーズでは、氏の没後も徹頭徹尾ライブラリ出演となっている。
【人物】
本人も自称する通りの快男児であり、明朗快活で、時にひょうきんであったりシャレの効いたキザな人物であったり、美人に弱い一面を見せたりと、親しみやすい性格。
「〜〜のよ」「〜〜ね」など、ちょっとオネエ入った富野節もよく使っており、「なんと!」が口癖であると公式サイトでも紹介されている。
だが、それはあくまで私生活でのこと。
これがメガノイドに関わると一変し、文字通り目の色を変えて敵意をあらわにする。
そしてそのメガノイドを生み出した自身の父、破嵐創造にも同じ感情を抱いており、敵のコマンダーすら「人間はここまで肉親に怒りを抱けるものなのか」と驚愕させたほど。
また、メガノイドを倒すためなら仲間の救出をも諦める非情な部分もあるが、仲間もそんな万丈だからこそ信じて共に戦っているのである。
ただ、完全に非情になりきれる訳でもなく、メガノイドの中でも落ちこぼれのような奴には毒気を抜かれたり、
美人には鼻の下を伸ばし、人の心を取り戻した者を許すなど、人間味溢れる部分も多く見られる。
白富野の明るさと、黒富野の苛烈さを併せ持ったキャラといえるだろう。
ちなみに、成熟した落ち着いた雰囲気と強い覚悟から立派な大人と思われるが、
実はまだ齢18歳の青年である。
単独で行動する謎の金持ちという特性が便利すぎるためか、参戦をしては陰ながら主人公らを支援し、危機に陥った仲間を間一髪で助けるという美味しい役回りを得やすく、
原作で悲しい運命を辿るはずのキャラを救い出す役も担う事が多々ある。
特にオリジナル不在の
α外伝では
プロと並んで「実質的な主人公」とまで言われるほどの大活躍を見せる。
Zにおいては「ザ・ストーム」というコードネームを名乗っているが、苗字の嵐の字から取ったのだろう。
項目冒頭の口上を「○○の野望」に入れ替えて発言する汎用性の高い
決め台詞も魅力の一つと言える。
ただ、肝心のメガノイドは物語開始前に倒してしまっている事が多く、直接対決する機会は中々無い。
そのおかげで、
復讐者としての負の面はあまりピックアップされず、明るい印象の強いキャラとなっている。
なお、スパロボの万丈は「27歳くらいのイメージ」で書かれてしまっているらしく、
シナリオ書いてる製作陣からしても原作に沿った
年齢設定の万丈を書いてもしっくりこないんだとか。
スパロボにおいて特筆すべきは「破嵐財閥」の設定であろう。
これはスパロボオリジナルの設定であり、原作では金持ちではあるが財閥を経営していたという設定は存在しない。
もっとも、していないとも言ってない為、もしかすると原作でも何かしらの経営をしていた可能性はあるが。
ダイターンの性能面では安定して強力なスーパーロボットであり、飛行可能、変形可能、豊富な武装に強力な必殺技と幅広い活躍が可能。
特に近年ではサンアタックに「装甲ダウン」の追加効果が加わるようになった為、初手でサンアタックにお世話になる事も多いだろう。
1人乗りである為精神コマンドには物足りなさもあるが、魂を習得する事が多く、万丈と言えば魂という印象を持つプレイヤーも多いはず。
サンアタック以上の
必殺技が無いために終盤では少々火力不足に追いやられるが、シリーズによってはザンボット3、トライダーG7との合体攻撃も追加される為、うまく活用していきたい。
エースボーナスはシナリオクリア時に追加で資金を得られるというもの。
額は一定である為、万丈が加入してエースになる頃にはそこまで大きな額では無いが、それでも資金はいくらあっても困らない為、非常に有用なボーナスであると言える。
また、
カスタムボーナスで「運動性+50」という脅威的な伸びを見せるが、原作での身軽な動きを再現した結果であると語られている。
なお、作品によってはギャリソンやアシスタントらがダイターンに搭乗する事も可能。
あくまで可能なだけであり、お遊び要素と考えた方がいいだろう。
原作ではコクピットに全員乗れる程度には広いので精神要員として残ってほしいと願うのは誰もが思うはずである。
【名(迷)台詞】
「世のため人のため、メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3!この日輪の輝きを恐れぬなら、かかってこい!!」
項目冒頭にもあるが、やはりこの決め台詞は欠かせないだろう。
ギャリソンが最後の一言を「かかって参られい」とアレンジして使用したり、アシスタントらも含めた全員で声を合わせて使った事もあった。
原作においては「特に美人のため」という割とひどいバリエーションも存在する。
「日輪の力を借りて、今必殺の! サン・アタック!!」
こちらも御馴染みのサンアタック時の台詞。
この後ダイターンクラッシュに続くのが必勝パターン……と思いきや、本編ではサンアタックのみで十分決め手になる事も多い。
「礼儀は心得てるつもりだ」
パーティ会場のガラスをぶち破った直後、着ている潜水服を脱ぎ捨ててタキシード姿になった際の言葉。
ドレスコード以前の問題な気もするが、これが初登場直後の台詞なのだからインパクトは抜群である。
「冗談でもそんな事を言うな! メガノイドはロボット以下、人間にとっては悪魔だ!」
美しさを保てるならと冗談めかしてメガノイドへの憧れを口にしたレイカに対する、万丈の怒りの言葉。
まさに目の色を変えた迫真の表情であり、メガノイドへの明確な憎しみが見て取れる。
「ちっとも大きくならない赤ん坊がな。だがこの子たちは違う!」
「この子も今はお前たちにとって役に立たんだろうが、成長して人を愛し、また子供を産む事ができる。そしてお前たちを!」
「赤ん坊を愛おしいと思う気持ちがあればこそ、人間は強く生きられる。それがわからんメガノイドには人間を越えられん!」
赤ん坊を身を挺して守った事を嘲笑い、赤ん坊などいつでも作れると吐き捨てるコマンダーブランドルに対する言葉。
人間とメガノイドの生物としての違いと、人間の愛を軽視するメガノイドに対する、万丈の答えとも言うべきシーン。
「マリア、僕は戦う。 君のひたむきな愛へのせめてもの償いに、僕の熱い血潮が騒ぐのよ!」
メガノイドの脱走者であるマリアに向けて、カメラ目線でニヤけたキメ顔をしながらのセリフ。
だが、この直後にも攻撃を受けてイマイチ決まらない。
しかも当のマリアはその時コマンダーフランケンと良い雰囲気になっていた為、完全な道化である。
万丈が二枚目半である事を痛感する一言。
「たった二人のソルジャーの為に戦えるコマンダーなど、メガノイドのクズだよな」
愛する二人のソルジャーを失い、復讐に燃える「落ちこぼれ」コマンダーバンチャーに対する台詞。
一見非情な言葉だが、憎むべきメガノイド失格という事は人間らしさを持っているという事の裏返しであり、万丈は戦いの後彼らへの弔いをした。
「僕はビューティーを助け、コロスを倒せるほど格好良くは出来てはいない。 この一度のチャンスを取り逃すわけにもいかない。 僕にはそんな余裕もない!」
「ビューティー、死ぬときは一思いにやってやる。苦しまずにな」
「戦いはゲームではないんだ、コロス。 殺さば殺せ!」
コロスに人質にされたビューティーに対する台詞。
この後本当に万丈は発砲し、コロスは撤退して事なきを得たが、ビューティーと万丈の絆が揺らぐ事はなかった。
「君がメガノイドである限り、僕は手段を選びはしない! メガノイドに心を売ったコマンダーに何の慈悲がかけられるか!」
メガノイドでありながら生身の戦いを望むコマンダーマゾニーに対して、万丈のスタンスが窺えるセリフ。
「なめるなメガノイドめ! どんな恐怖の幻を見せようと、忌まわしい過去の記憶を呼び起こそうと、僕が弱気になったり恐れたりする事はない!」
過去の家族団欒の映像を見せられ、一時はその幻影に囚われるも、すぐにメガノイドへの怒りを思い出して自分を取り戻した。
「僕への謝罪のつもりか、父さん……今のは僕の、僕自身の力だ……僕自身の力なんだ! 父さんの力など、借りはしない……!」
最終決戦で、ドン・ザウサーの攻撃に苦しめられる万丈を励ます父に対する言葉。
万丈は最後まで自身の力で戦い、ドン・ザウサーを打ち破った。
「ぼ、僕は……厭だ……!」
本編最終盤で、崩れゆくドンを最期まで眺めながら力尽きたコロスを見て絞り出した台詞。
何を思っての発言なのかは語られていない。
【余談】
同じ読みの熟語がある為紛らわしいが、破壊の破に嵐と書いて「破嵐万丈」である。
波乱万丈でも波瀾万丈でもない。
が、サンライズクルセイドというカードゲームでは「波嵐万丈」と間違われている。
一見単なる誤植だが、エラッタの関係上別カードとして扱えてしまうため、かえって特徴が出てしまったという奇妙な一枚となった。
万丈が住まうシン・ザ・シティという都市は、富野監督が当時住んでいた
埼玉県南部にある「
新座市」が由来。
詳しい描写がされる事はほぼ無いが、小説においては東京湾に浮かぶ海上都市であると描写された。
なお、埼玉に海はない。
その親しみやすいキャラクター性は製作陣にも好評で、後に富野氏が「破嵐万丈シリーズ」として4冊もの
スピンオフ小説を発行した。
ダイターンこそ登場しないが、万丈の活躍を描く物語である。
また、担当声優の鈴置洋孝氏もオーディションの段階で惚れ込んでおり、この役は誰にも渡せないと意気込んでいた。
後の作品「
機動戦士ガンダム」第14話にて、ジオン兵の前で手品を披露するマジシャンが登場する。
が、「つまらない」とヤジを飛ばす兵たちの最前列で素敵な笑顔で鑑賞している万丈そっくりのジオン兵がおり、そしてその隣にはギャリソン似の兵が並んでいる。
また、そのマジシャン自身も本作に登場するコマンダーエドウィンそのまんまであり、万丈が再び夢を見せてくれたエドウィンに笑顔になっていると思うと微笑ましい一幕である。
サンライズの公式スタッフが制作した「アジバ3」という、ダイターン3のOP映像を
伝説巨神イデオンのバッフ・クラン軍主要メンバーが再現したパロディアニメーションが存在する。
主役の万丈を演じたのはドバ総司令だが、いかにサムライといえど鉄格子は曲げられないまま宇宙の果てに消えたり、娘のカララを地球人の男に
寝取られたりと悲哀を感じる作品と言える。
メガノイドを憎む彼だが、そんな彼自身もメガノイド……特に、人間の精神を残した「完成されたメガノイド」なのではないかと考察するファンの意見もある。
前述の通り人間離れした身体能力がその根拠であり、最終決戦でもドン・ザウサーに「お前はメガノイドなのか?」と驚きの声をかけられている。
何より、その強すぎるメガノイドへの憎しみ自体が、エゴを強化したメガノイドのそれではないかと言う推察もあるのだ(つまり、万丈が強化されたエゴとは「メガノイドを憎み、否定すること」という話である)。
その事から、
スパロボにおいては明確な言及は避けながらも、万丈がメガノイドである事が何度も暗示されている。
- 『α』では碇ゲンドウに「君は破嵐博士が人工進化研究所で計画していた通りの性能を発揮している」と言われる。暗示と言ったな?初っ端から確定である。
- さらにその60話では強化人間であるプルシリーズと自身を同じく「改造された存在」として語った上で、自分の存在はプルシリーズ以上の悲劇であると言っており、
プル達と比べても自分は人間からかけ離れていると自虐している。
- 『第2次α』ではサイボーグでもなければ危険すぎて乗り込ませられないという場所に、「鍛え方が違う」と言って乗り込んでくる。
- 『第3次α』ではルアフ・ガンエデンに「そろそろ人間を見限ったらどうだい?君にはそれだけの力があるようだ」と言われる。
- 『IMPACT』ではA級ジャンパーでもないのに、生身ならば死んでもおかしくないようなボソンジャンプしてもピンピンしている。ちなみに『V』ではA級ジャンパーという設定。
- 同じく『IMPACT』ではノイ・レジセイアとの会話で自分が「進化できない存在である」事を自嘲していると思しき場面がある。
- 『V』ではブラックノワールから「人を超える力を持つ者」として名指しされている。
- 『DD』では『Z』の前日譚を描いたストーリーで自分が「メガノイド打倒というエゴに憑りつかれている」と自覚している。
このため、少なくとも
(一部の)スパロボに限っては万丈はメガノイドで間違いないと思われる。同じ
歪んだ科学で生まれた改造人間と潰し合う、
仮面の戦士のようなものか。
だが、真相は生みの親たる御大のみぞ知るところであり、受け止め方は人それぞれと言えるであろう。
追記・修正は素手で鉄格子を捻じ曲げられる人がお願いします。
- 故鈴置さんのお気に入りだからスパロボでも未だに代役じゃなくてライブラリ使い続けてるんだっけか -- 名無しさん (2022-12-21 14:09:16)
- 監督にキャストに、いろんな人から愛された幸せなキャラよね -- 名無しさん (2022-12-21 16:05:48)
- ここまでメガノイド絶殺マンだからこそ木戸川の回が光る -- 名無しさん (2022-12-21 17:33:29)
- 収録時よりまわりの音質が上がってるんだろうけど、さすがにエコーがきつすぎる -- 名無しさん (2022-12-21 18:13:57)
- 名台詞の欄見てると気分悪くなってきたから色変えた方がいいと思う -- 名無しさん (2022-12-21 18:33:42)
- ↑ごめんね、ご指摘ありがとう。とりあえず赤からクリムゾンに変えてみたので、もしもうちょっときつかったら別の色にしたり、背景色なしで赤文字だけとかにしてもらえれば。 -- 名無しさん (2022-12-21 18:53:31)
- ドン・ザウサー=破嵐創造説もあるから重い -- 名無しさん (2022-12-21 21:32:52)
- ↑6 というより、スパロボでオリキャス収録済みからライブラリじゃなくなる条件は公式で後任が決まること(ガンダムキャラとか)か不祥事(宮迫あしゅら)だからというのもあると思う -- 名無しさん (2022-12-21 21:39:36)
- 富野監督は最後まで言及しないんだろうな。彼の正体は -- 名無しさん (2022-12-21 22:30:47)
- 第3次スパロボで知ったけど、あの頃から今に至るまで、これほどいっしょにいて安心できるヒーローも珍しいと思う -- 名無しさん (2022-12-22 00:08:09)
- 実はスパロボのイメージ程メガノイド絶対コロスマンではない。甘いのは女子供のみと思いきや男のメガノイドにも場合によっては苦い思いで討伐せざるを得なかったり、果ては見逃すことすらある -- 名無しさん (2022-12-22 02:02:43)
- 18歳は「子供」といっても通じる。メガノイドを滅ぼした後でも、きっと彼は彼自身を探しに行くのに間に合うはずだ -- 名無しさん (2022-12-22 18:24:52)
- 『あ~る』イメージアルバムでのノリノリの鈴置さんを思い出す。「日輪の力を借りて、今必殺のサ(突っ込まれて一気にトーンダウン)スイッチオン」 -- 名無しさん (2022-12-23 00:45:25)
- 一回、メガノイド開発者の一人が逃げて来た回で包囲網をやぶるために「メガノイドに殺されるくらいなら俺が殺してやる!」といって相手に道を開けさせるシーンが。後に「敵の狙いはあんただから殺されると困る」と理由を話して「それであんな演技をしたんだね」って納得されていた…演技じゃなかった気もせんでもない。 -- 名無しさん (2023-02-09 18:58:11)
最終更新:2024年12月01日 22:13