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暗黒恐獣(遊戯王OCG)

登録日:2021/11/17 Wed 06:00:20
更新日:2025/02/14 Fri 21:53:24
所要時間:約 4 分で読めます




暗黒(ブラック・)恐獣(ティラノ)は「遊戯王OCG」のモンスター。
「暗黒恐竜」ではない。「あんこくきょうじゅう」でもない。

【テキスト】

効果モンスター
星7/地属性/恐竜族/攻2600/守1800
相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

【概要】

初収録は2003年7月の「暗黒の侵略者」
最初に登場した恐獣である。

最上級モンスター故の重さがあり、攻撃力も最上級にしては低いものの、直接攻撃効果により高攻撃力のモンスターとの戦闘を回避して、相手のLPを根こそぎ消し去るアタッカー。

……だったらよかったのだが、実際は轅下の駒である。

このテキストだと、一見「相手フィールドに攻撃表示モンスターが一体もいない、そして守備表示モンスターがいる」ことが効果適用条件だと読める。
しかしその場合、「相手のモンスターゾーンに守備表示モンスターしか存在しない場合」と表記するのが正しい。
そしてこのカードのテキストは「相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合」である。
「フィールド」なので、モンスターゾーンだけでなく魔法・罠ゾーンとフィールド魔法を置くフィールドゾーンも見る。
つまり条件は「相手の魔法・罠ゾーン、フィールドゾーンにカードが無く、相手のモンスターゾーンに守備表示モンスターしか存在しない場合」が正しい。

わざわざ書くことでもないかもしれないが、効果適用条件がとても厳しく、効果を活かせる場面がかなり少ない。
このカードが初めて世に出たのは2003年の7月だが
  • 2002年5月から大嵐が制限、後の2010年9月からは禁止
  • 2000年5月からハーピィの羽根帚が制限、後の2004年3月からは禁止
  • 2004年9月からサイクロンが制限。当時は緩和されることはないと思われていた。下位互換も続々と出ていたし。
この様子から、当時の環境で相手の魔法罠カードを殲滅させることがいかに難しかったかがわかるだろう。
ハリケーンや砂塵の大竜巻など、規制を受けていない魔法罠除去カードもあったものの、ただでさえ暗黒恐獣共々サーチ方法が無い中で、
魔法罠カードだけでなく攻撃表示モンスターを処理する手立てに加え、暗黒恐獣の召喚手立てまで用意する負担を合わせると、戦術として組み込むには不安定な部分があまりにも大きい。

それでいて恐竜族が誇る究極恐獣との噛み合いの悪さ*1、わざわざ守備モンスターを避ける理由の弱さを踏まえると大きなリターンとは呼べなかった。
攻撃力の高いモンスターは、戦闘で相手モンスターの数を減らすのも大きな役目である。
同じ地属性・恐竜族の《暗黒ドリケラトプス》も攻撃力こそ200劣るが守備モンスターに強い貫通効果を持っているし、リリースも1体で済む。
ライフアドを重視するにしても《巨大化》を装備してさえ5200ダメージと勝利にはまだ遠い。
《追い剥ぎゴブリン》等と組み合わせるなら小回りの利く下級ダイレクトアタッカーの方が良い。
1ショットキルに挑戦できなくもないヤリザ殿の方がまだロマンがある。

今となっては魔法罠の除去方法は色々あるものの、守備表示自体が下火な上に守備表示にならないリンクモンスターの登場、
効果で直接攻撃するよりもモンスターを除去する方が早いという環境、そしてなによりも暗黒恐獣の効果がインフレに追い付いていないことから居場所はなくなっている。
暗黒恐獣と同じレベル7・恐竜族・攻撃力2600というステータスの《ダイナレスラー・パンクラトプス》を差し置いて抜擢されることは今後ないだろう。

追い打ちをかけるように、元々強くないくせにデュエルリンクスで更なる弱体化を被るのだった
(デュエルリンクスのテキストでは「魔法・罠カードが存在せず」の一文が追加されたことで効果の誤解は発生しなくなったものの
そのせいで守備表示の罠モンスターが相手フィールド上に存在する場合は条件を満たせなくなった)。
とことんカードテキストに振り回されたカードである。

ちなみにこの体たらくだが、「暗黒の侵略者」ではウルトラレアで収録されており、暗黒恐獣こそが恐竜族初の最上級モンスターである。
効果が貧弱な上、そもそも当時【恐竜族】自体がファンデッキ以外の何物でもなかったものの、《超進化薬》などで特殊召喚する切り札としての存在価値はあった。

現在は恐竜族サポートが登場して多少は使い勝手は良くなっており、《ジュラシック・パワー》ならリリースなしで召喚できる上に攻撃力が300上がることで3回の直接攻撃でライフを削り切ることは可能。
肝心の直接攻撃の条件は何も改善されていないが。

【アニメ・漫画での扱い】

なおこのカードは恐竜プッシュの激しかったGXにおいてティラノ剣山に使われて…いない。
公式サイトの予告では剣山がこのカードを使っている旨の文があり使用される予定だったはずが、本放送時に実際にアニメに登場したのは《ダークティラノ》というオリジナルカード。このカードは影も形もなかった。
漫画版GXでも先行掲載されたラフ画では龍牙なるデュエリストに使用されていた…のだが実際に登場したのは《サイバー・ダイナソー》なる別モンスターだった。

ダークティラノは「守備表示モンスターだけなら魔法・罠があっても直接攻撃可」という暗黒恐獣の上位互換になっており、このカードの効果の欠陥からこのような事態となったことは疑う余地がない。効果を考慮しなければ剣山が使っていたのだろうか。
サイバー・ダイナソーは逆に「相手フィールドに守備モンスターしかいない時に、自分フィールドのモンスターをリリースすることで直接攻撃可」というまさかまさかの完全下位互換だった。OCG化時に効果が別物になった理由とは多分関係ない

代わりに初代DMでは登場の早さを生かして竜崎が使用している。
真紅眼の黒竜》に《タイラント・ドラゴン》と切り札をドラゴン族に頼ってきた竜崎が使った貴重な最上級恐竜族である。
が、攻撃する機会すら回ってこないまま羽蛾の《インセクト女王》共々、ジークかませ犬にされてしまった。
ちなみにインセクト女王はそれまでの回で度々活躍していたので、暗黒恐獣の方がよっぽど不遇である。


追記・修正は魔法・罠を一掃してからお願いします。

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最終更新:2025年02月14日 21:53

*1 究極恐獣が敵モンスターをすべて戦闘破壊するため、直接攻撃の効果が事実上意味をなさない