軍政権の弾圧を生き抜くミャンマー医療者の過酷 来日した著名医師が日本の市民に訴えたこと
軍事クーデター以降、混乱したミャンマーを逃れる人たちの多くが目指すのは隣国タイだ。そうした人たちは国境付近にとどまり、避難民キャンプで生活するか、あるいはタイに入国して移民として生活している。タイに避難した人たちの多くは正規の滞在資格を持っておらず、州をまたいで移動したり国内で安定した職に就くこともできない。 そうしたことから一部の人たちは生活のために、 危険な不法行為に手を染めてしまう。
「特に若い人たちが売春や違法労働をして、危険な目に遭う例が多く発生しています。私たちは彼らが目標を失わず自ら考え正しい道を選び取れるようにサポートする活動を行っています」
国境地帯で主に子どもたちや女性に支援をしているスワナミン財団副代表のサンティファップマウンジャムラード氏はそう話す。
ミャンマーの子どものために学校を開設
同財団が 特に注力するのが子どもたちの教育だ。
現在、ミャンマーから逃れてきた人たちが学ぶ移民学校はタイ国内に63校、生徒の数は1万5000人以上にのぼる。単純計算で、1つの学校に230人以上が在籍していることになるが、物価が高騰するタイ国内で学校として借りられる敷地はさほど広くない。
加えて学校の教材費や教員たちの給料も払わなければならないが、 親たちの中には学費を払えない人もいる。国際的な支援や個人の寄付で賄っているため、運営状態はどこもギリギリだという。
その話を聞いていて、私はタイの移民学校で聞いた話を思い出した。
私は2024年1月にタイとミャンマーの国境地帯で取材した。その時に訪問した学校の校長(56)は、早朝2時間かけて山村に住み歩いてくることができない子どもたちを軽トラックで迎えに行き、そのあと自身の授業をこなし、学校の維持運営・管理などで夜中の12時から2時まで働いていると語った。
「子どもたちの送迎だけでもドライバーを雇ったほうがいいのでは」と尋ねてみたところ、「給料も払えないから、私がやるしかありません」とため息をついた。あまりのオーバーワークに顔色も悪く、ヘトヘトの顔をしてインスタントコーヒーをすすっていたのが印象的だった。
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