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村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】外国人の生活保護受給について

suenagayukari.hatenablog.com

 

上記と関連した調査です。

浜田聡事務所より国会図書館へ下記調査依頼を送りました。回答と併せてご紹介します。

 

【依頼内容】

①在留外国人への生活保護給付を認められないと判断した一番初めの判例と、その理由 

資料1によれば、外国人に対する生活保護法(昭和 25年法律第 144号)の適用関係が訴訟で表向き争われた最初のケースは、東京地判昭和53年3月31日判決とされます。 

・東京地判昭和53年3月31日判決(東京都足立福祉事務所長事件)(資料1~3)
生活保護の準用を受けていた在日朝鮮人が、犯罪で起訴されたことによる保護廃止決定に対し、外国人も生活保護の対象者であることなどを理由に、その処分の取り消しを求めた事案です。判決は、生活保護法の適用対象は日本国民であり、外国人はその適用対象外であると解釈するのが相当とし、請求を棄却しました。 
上記の判例は、もともと生活保護の受給を受けていた者が、廃止処分の取消を請求したものです。これに対して、適法に在留している外国人による生活保護の開始請求を認めなかった事例としては、最高裁第二小法廷平成26年7月18日判決があります。 

最高裁第二小法廷平成26年7月18日判決(大分外国人生活保護訴訟)(資料4~7)
永住者の在留資格を有する中国人が、大分市生活保護を申請したところ却下されたことから、市を相手に申請却下処分の取消と生活保護開始決定の義務付けを請求した事案です。判決は、外国人は生活保護法のいう国民に含まれず、法に基づく保護の対象ではないため、生活保護の受給権を有しないとし、請求を棄却しました。 


②当該判例がいくつあるか、同じ判断(理由)となっているか

外国人と生活保護法の適用関係が問題となった判例について、お調べした限りでは、以下の3事例がありました。 

・神戸地判平成7年6月19日判決(ゴドウィン訴訟)(資料1,8)
留学目的で入国したスリランカ人が、くも膜下出血に伴う医療について神戸市から生活保護(医療扶助)の準用を受けたところ、政府がその経費支出を拒否したため神戸市の負担となったことについて、神戸市民が市に代位して、国に対しその負担を求めた事案です。

判決は、手続的理由から請求を却下しました。なお、外国人の生活保護については、生活保護法は保護を受けることができる者を国民に限っていることから、外国人が同法によって具体的権利を共有していると解することはできないとしつつ、憲法国際人権規約等の趣旨に鑑み、法律をもって外国人の生存権に関する何らかの措置を講ずることが望ましいとされました。ただし、その立法措置については、専ら国の立法政策にかかわる事柄であり、直ちに司法審査の対象となるものではないとしています。 

最高裁第三小法廷平成13年9月25日判決(宋事件上告審判決)(資料9~11)
在留期間を超えて滞在していた中国人が、交通事故を原因として中野区に生活保護を申請したところ却下されたことから、申請却下処分の取消を請求した事案です。 
判決は、生活保護法が不法残留者を保護の対象とするものではないことは、その規定及び趣旨に照らし明らかというべきとし、請求を却下しました。また、本件の1審判決では、外国人が生活保護の対象とならない実質的な理由として、生活保護は全額国費負担であること、要保護者は日本社会で適法に社会生活・活動をすべきこと、外国人は資産・能力の調査が不能であること、生活保護は納税の対価ではないこと等が挙げられました。

・千葉地判令和6年1月16日判決(資料12,13) 
日本で働いていたガーナ人が、腎不全を原因として就労不能に陥り、千葉市生活保護を申請したところ却下されたことから、生活保護開始を請求した事案です。 
判決は、外国人は生活保護法のいう国民に含まれず、法に基づく保護の対象ではないため、生活保護の受給権を有しないとし、請求を棄却しました。令和6(2024)年8月6日に行われた控訴審では、東京高裁は一審判決を支持し、控訴を棄却しました。

 

▼資料リスト(紙資料はタイトルのみご紹介)

資料1 *高藤昭「外国人に対する生活保護法適用関係判例の問題性(特集 生活保護争訟
判例評釈)」『法律時報』879号, 1995.5.1, pp.100-103. 

資料2 *「東京地判昭和53年3月31日判決 生活保護廃止処分等取消請求事件」LEX/DB
インターネット TKC法律情報データベースから打ち出し 

資料3 *佐藤敬二「外国人と生活保護法の適用」『別冊ジュリスト』113号, 1991.10, pp.174-175. 

資料4 *「最高裁第二小法廷平成26年7月18日判決」LEX/DBインターネット TKC法律
情報データベースから打ち出し 

資料5 *松崎勝「外国人と生活保護法との関係」『判例自治』468号, pp.99-100. 

資料6 *渡辺豊「永住外国人に対する生活保護法の適用」『新・判例解説Watch』16巻, 2015.4,pp.323-326. 

資料7 *三輪まどか「永住外国人生活保護法の適用」『別冊ジュリスト』227号, 2016.5, pp.160-161. 

資料8 *「神戸地判平成7年6月19日判決 国庫負担金代位請求事件」 LEX/DBインター
ネット TKC法律情報データベースから打ち出し 

資料9 「最高裁第三小法廷平成13年9月25日判決 生活保護申請却下処分取消請求事件」
2001.9.25. 最高裁判所ウェブサイト

<https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62831

資料10 *国京則幸「非定住外国人への生活保護適用」『別冊ジュリスト』227号, 2016.5, pp.1213. 

資料11 *成嶋隆「不正規滞在外国人への生活保護法の適用―宋事件上告審判決―」『法学教室』260 号, 2002.5, pp.128-129. 

資料12 *「千葉地判令和6年1月16日判決 生活保護開始決定義務付け請求事件」LEX/DB
インターネット TKC法律情報データベースから打ち出し 

資料13 *「最高裁向け「あきらめず」」『東京新聞』2024.8.7.

【調査資料】外国籍の方の日本の運転免許保有者数の推移と、事故件数の推移(警察庁資料)

suenagayukari.hatenablog.com

suenagayukari.hatenablog.com

 

上記ブログの続きです。

浜田聡事務所より警察庁へ資料要求を行いました。

 

【要求内容】

①日本で発給した運転免許証のうち、外国籍の人に発給した発給数の平成26
年から令和5年までのもの 

回答/お尋ねの外国籍の方への運転免許証の発給数については統計として把握し
ていませんが、平成26年から令和5年までの毎年12月末時点の外国籍の方
の運転免許保有者数は下記のとおりです。

 

平成26年から令和5年までの外国籍の方の事故件数の、国籍別の内訳

回答/下記のとおりです。

 

実数で見ると、概ね下記の傾向が読み取れるのではないでしょうか。

 

✓日本で発給した運転免許証のうち、外国籍の方の運転免許保有者数は増加数が年々上がっている(令和5年は平成26年の増加数と比べると、約3.7倍にも)

✓外国籍の方の交通事故件数は、コロナ禍の影響を受けた年度は減少し、令和5年はコロナ禍以前の事故件数に戻っている

 

現在、外国籍の方の運転免許保有者数の推移を追加で資料要求中です。これが分かれば概ねの国籍別の事故率が出ると思います。

また資料が手元に来次第ご紹介します。

【NHK問題】要介護や障害等により契約者が意思表示困難な場合、NHKは配慮した対応をしているのか

yurinoki-dori.com

浜田聡事務所よりNHK経営企画局へ下記質問を送りました。

 

【質問内容】

高齢者等の契約者の契約や支払いの意思能力の確認手段について

①NHK受信契約の締結時、または契約変更時(本人の申出の有無を問わず)に契約者の意思能力は確認されていますか。

確認されている場合その手段について詳細を教えてください。

②NHK受信料の支払について、契約者の意思能力は確認されていますか。確認されている場合その手段について詳細を教えてください。

※本人からの申出の有無を問わず教えてください。

③①②について、契約又は受信料支払い後に家族等から契約者の意思能力が無い事の申出があった場合、NHKはどのような対応を取りますか。

申出のあった家族へNHKが「契約者の意思能力が無い事を確認する」ために求める内容を教えてください。

④①②について、NHKの確認または後日家族等からの申出等により契約者の意思能力がないと認められる場合、その後NHKが取る対応を教えてください。

⑤④について、意思能力が無い契約者がNHK受信料を訪問員に言われるまま支払った後、成年後見人または財産管理をしている家族等が時効援用を申し出た場合についてNHKの対応方針を教えてください。

 

NHK経営企画局より、昨年末に回答を頂きました。

【回答】 
お客様とのやりとりの中で、ご高齢であることや障害があること等により、対応が難しい状況であれば、後日、あらためてご家族に説明させていただくなど、丁寧な対応に努めています。仮定のお尋ねにはお答えすることはできませんが、受信料のお手続きについて、ご家族等からお問い合わせがあった場合、お客様の状況や対応内容等を確認したうえで、個別の事情に応じて適切に対応することとしています。

 

 

おそらくですが、明確な対応方針の記載が回答に無い事を鑑みると、NHKは契約者に意思表示があるかどうか、ロクに配慮をしておらず、家族からの申出にはロクに対応していないのではないかと思います。

要介護の方が誤った契約をしてしまった等、もしお困りのことがあれば下記より浜田事務所へお気軽にお問い合わせください。(本来NHKの窓口で適切に対応されるべきですが、NHK窓口の対応が不適切である可能性があります。)

www.syoha.jp

【調査資料】「手取りを増やす」の「手取り」の定義とは何か 乗数効果の実証分析と併せて調べました

www.jiji.com

 

国民民主党衆議院選挙において議席数を4倍に伸ばしたことが注目されており(他にも要因はありますが)、国民民主党の政策「手取りを増やす」という言葉をよく耳にするようになりました。

しかし、「手取りを増やす」とはいったい何を指すのでしょうか。

上記に挙げた国民民主党の政策では、減税政策をもって「手取りを増やす」とされていますが、名古屋市長選に立候補した大塚耕平氏は「手取りを上げる」としていましたが、具体的な政策を見ると給食費無料、敬老パスの無料化等、減税政策ではなく、無償化(納税者から徴収している税金で負担することで、利用者の負担が無料であるかのようにする政策)でした。また、日本維新の会の馬場前代表は、下記記事によると、手取りを増やす方策として▽消費税の減税▽社会保険料の負担減▽教育の無償化を掲げたそうで、これは減税政策と無償化が混在しています。

手取り増やす策を推進 維新・馬場代表が来県 | 香川のニュース | 四国新聞社

 

一見、減税政策も無償化も同じように感じますが、乗数効果を調べると異なることがわかります。

 

乗数効果とは

https://imidas.jp/ichisenkin/g01_ichisenkin/?article_id=a-51-028-11-03-g204

 

乗数効果の実証分析について、浜田聡事務所より参議院調査室へ調査依頼したところ、下記回答を頂いています。

【依頼内容】

乗数効果等について

財政支出よりも減税政策の方が乗数効果が高いという実証分析(海外)があるようなのですが、可能な範囲でその詳細が知りたいです。

②①について、内閣府の短期経済マクロモデルでは供給側への影響を想定していないため、財政支出の方が乗数効果が高くなっているという有識者の見解があるようなのですがこの見解の根拠を可能な範囲で調査頂きたいです。

 

【回答】

財政政策の効果を示す指標の一つとして財政乗数がありますが、

これには、ご案内のとおり、政府支出の増加によるものを指す「政府支出乗数」(政府購入乗数等ともよばれる)と減税によるものを指す「租税乗数」があります。

 

教科書的(参考資料①352-355頁参照)には、政府支出乗数は、1/(1-MPC)(MPCは限界消費性向)である一方、租税乗数は-MPC/(1?MPC)で求められるとされ、MPCは0から1の値をとることから、政府支出乗数に比べ、租税乗数の方が小さくなるとされます。これは、政府支出の増加は、GDP増加にそのままつながる一方で、減税は、減税によって家計等に所得移転された分が消費されることを通じてGDPに影響を与えるところ、必ずしも減税分の全てが消費されるわけではないことによります。

 

このように、理論上は政府支出乗数>租税乗数となることが考えられますが、①でお尋ねいただいている、租税乗数の方が高くなることを示す実証分析について、教科書(参考資料①359頁)でも取り上げられているものとして以下の二つがあります。

 

▼Alberto Alesina and Silvia Ardagna, “Large Changes in Fiscal Policy:Taxes versus Spending”,Tax Policy and the Economy, 24 , 2010, pp. 35-68

この論文では、減税に基づく財政刺激策は、歳出増に基づく財政刺激策よりも成長率を高める可能性が高いとしています。

→論文全体の要旨の和訳、回帰結果とその解釈の部分の要旨(和訳)

 

▼Robert J. Barro and Charles J. Redlick, “Macroeconomic Effects from Government Purchases and Taxes”,  Quarterly Journal of Economics, 126, February 2011, pp. 51-102

この論文では、政府支出乗数(国防費に限る)と租税乗数を算出し、政府支出乗数<租税乗数であることを報告しています。

→回帰結果とその解釈の部分の要旨(和訳)




②について

内閣府による短期日本経済マクロ計量モデルを用いて推定した財政乗数については、参議院予算委員会へも資料提出がなされております。

上記資料の中で内閣府は、

「本モデルは、短期的な需要面での分析を目的に開発されており、供給面での影響

を十分にとらえることが出来ない。本モデルにおける法人税引き下げの効果は、法人税減税が需要サイドに与える短期的な影響を評価しており、生産性の向上やイノベーション、企業 立地への影響等の中長期的な供給サイドを通じた効果は、シミュレーション結果には反映されていない」

と述べています。

 

財政政策のマクロ経済への効果については、総需要に及ぼす効果が大きいと言われる一方で、総供給への効果も大きいとの見方があります。

そして、供給面への効果が大きいとする理由としては、減税による労働供給の増加が挙げられているほか、政府支出の増加と比較して減税は投資需要をより大きく押し上げるとの見方もあります。

参考/マンキューマクロ経済学Ⅰ 入門編(第5版)より

(マンキューのブログ:https://gregmankiw.blogspot.com/2008/12/spending-and-tax-multipliers.html

 

②でお尋ねいただいている、有識者の見解の根拠についてですが、上で述べたような総供給への効果を意識した見方(減税で労働供給が増加する・減税で投資が増加する)があることを背景として、これが反映されていない可能性がある内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルでは政府支出乗数>租税乗数となっていると主張されているのではないかと推察いたします。

参考/マンキュー経済学Ⅱ マクロ編(第4版)

↓P566より抜粋

サプライサイダーと呼ばれる経済学者は、減税が総供給に及ぼす影響は非常に大きいと論じてきた。

 

―――――

 

「手取り」の定義について、浜田聡事務所より参議院調査室へ下記調査依頼を行いました。

 

【依頼内容】

「手取り」の定義について、

所得税などの基礎控除引き上げ等減税や社会保障の控除額等の国民負担の引下げを以て「本来稼いだお金等から手元に残るお金」のこと

・上記の他、再エネ賦課金等の法令で支払が義務化されているものの負担を引き下げ、手元に残るお金のこと

・最低時給の引き上げなどで、今の働き方で総支給額が増えること

のほか、

補助金支給や●●無償化等、財政支出により個人や世帯の所得を上げること

という定義が混ざっているもの等があるようです。この「手取り」の定義について、可能な範囲で下記ご調査をお願いします。

①政府側の答弁や資料に記載のある「手取り」の定義

→国会等の答弁のほか、各省庁で作成した資料に「手取り」の記載があればその定義

→過去のものと現在と定義に違いがあるか

②国政政党の主張する「手取り」の定義

→各政党の「手取り」の定義

→ピンポイントで恐縮ですが、国民民主党の「手取り」の定義と、名古屋市長選で大塚耕平候補が「手取りを増やす」政策を主張しており、その定義との違い

③主要メディアの世論調査の「手取り」の定義

 

【回答】

「手取り」の定義について 
①政府側の答弁や資料に記載のある「手取り」の定義 

▼国会等の答弁のほか、各省庁で作成した資料に「手取り」の記載があればその定義 

・国会答弁では「可処分所得、ネット所得、それから実質的賃金、手取り賃金、これはすべて私どもとしては同じものを指す」(厚生省年金局長、平成6年10月31日参議院厚生委員会)といった答弁や「手取りすなわち可処分所得」(大蔵大臣、昭和58年9月22日参議院予算委員会)といった答弁がございました。 

・政府の資料としては、総務省が実施する家計調査の用語解説において「可処分所得……「実収入」から税金、社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額で、いわゆる手取り収入のことである」とされているほか、金融庁の資料である「基礎から学べる金融ガイド」では「手取り収入とは、会社員の場合は給与から税金(所得税、住民税)と社会保険料雇用保険、健康保険、厚生年金保険など)を差し引いた後の金額です」とされています。 


▼過去のものと現在と定義に違いがあるか 
・国会答弁を過去の定義とすれば、現在と同様に可処分所得を手取りと定義していると考えられます。 


②国政政党の主張する「手取り」の定義 

▼各政党の「手取り」の定義 
・調査した限りでは、明確に手取りの定義を示していない政党もございました。 
・一方で、日本維新の会は政策パンフレットや馬場伸幸氏の発信内容から可処分所得と手取りを同義としているように推察できます。また、国民民主党は手取りを増やす方策として、減税や社会保険料の軽減に加えて、家計・子育て支援を挙げています。そのため、可処分所得から更に生活に必要不可欠なエネルギー費用や教育費を除いた金額を手取りと定義しているのかもしれません。 

 

▼国民民主党の「手取り」の定義と、名古屋市長選で大塚耕平候補が「手取りを増やす」政策を主張しており、その定義との違い

大塚耕平氏は名古屋市長選において、「手取りを増やす」政策として、給食費、敬老パス負担金、がん検診代を無料とする「3つのゼロ」を訴えていたようにも読み取れます。そのため、手取りとしては可処分所得からこうした経費を除いた金額を手取りと定義しているかもしれません。よって、国民民主党が掲げる手取りと近いものを想定していると考えらます。 


③主要メディアの世論調査の「手取り」の定義 
・手取りに関する世論調査は存在しましたが、世論調査における手取りの定義は確認できませんでした。

 

「手取り」の定義によって、経済への影響や国民の生活への影響範囲等が変わる事は留意しておくべき点だと思います。

また、同じ「手取り」という言葉で語るのではなく、区別すべきではないかと思います。

【調査資料】ビットコイン準備金法案を参議院法制局へ相談しました(論点メモのご紹介)

 

ビットコイン準備金について、浜田聡事務所及びNHK党内で話題が出ています。具体的には、アメリカの動き等を踏まえて、検討すべきではないかという話が出ています。

forbesjapan.com

上記質問主意書の答弁がまだ来ていませんが、浜田聡事務所より参議院法制局へ相談していた「ビットコイン準備金法案について」論点メモが参りましたので共有させて頂きます。

 

ビットコインを国家として保有することについて(メモ) 】


ビットコインを含む暗号資産の性質・実態について 

・一般に、暗号資産とは、“インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、不特定の者に対して代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨と相互に交換可能で、電子的に記録され移転できるもので、法定通貨又は法定通貨建ての資産ではないもの”※1あるいは“デジタルに取引可能であって、交換手段・計算単位・価値貯蔵として機能する価値をデジタルに表象したもの”※2とされており、具体的にはビットコインイーサリアム等がある。 

・このうちビットコインは、

①暗号資産の中で取引シェアが最も高く、最近では暗号資産全体の時価総額の約4~5割を占めている※3、

②発行者や中央管理者が存在しない、

③実物資産の裏付けがなく需給のみで価格が決まるため値動きが極めて激しい※4

等の特徴があるとされる。 

・このような暗号資産について、政府は、マネーロンダリングのリスク、投機のリスク、投資詐欺のリスク等について言及しており、国民に対して利用を推奨している状況にはない※5。一方で、実態としては、暗号資産を利用している者は現に多数存在しており※6、利用者保護の観点から所要の規制を行っている。

 

ビットコインを国家として保有する必要性・目的について 

・上記のような値動きのリスクその他様々な課題を有するビットコインを国家として保有する必要性・目的について、どのように考えるか。 

・二本松哲也氏の投稿記事には、「特定の通貨への過度な依存は、経済的リスクの増加を招く恐れがあ〔る〕」「特定通貨の覇権に左右されない中立的な資産の確保は、日本経済の安定性を維持するために必要」「特定の国家や通貨への依存を回避し、国家間の経済活動を支える資産となり得〔る〕」「法定通貨や CBDC※7が直面するインフレリスクに対抗する手段」等とあるが、このような目的から、ビットコインを国家として保有することについて、国民の理解が得られるかどうか。

 

――――

※1 日本銀行ホームページ「暗号資産(仮想通貨)とは何ですか?」 
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/money/c27.htm>(資料1) 
※2 高橋康文ほか編『新・逐条解説 資金決済法【第2版】』金融財政事情研究会,2023,p.71. 
※3 日本暗号資産取引業協会「暗号資産取引についての年間報告」(2022年度・2023年度)2023.9,p.8.・2024.9,p.8.(資料2) 
※4 谷合正成「暗号資産取引に係る所得税制の現状と動向」『経済のプリズム』241号,2024.12,p.4.(資料3・図表1) 
※5 令和6年5月8日第213回国会衆議院財務金融委員会における鈴木国務大臣答弁ほか(資料4) 
※6 谷合 前掲論文,p.4.(資料3・図表2) 
※7 中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)を指す。 

 

ビットコイン保有のスキームについて 
・仮にビットコインを我が国として保有するとした場合、どのようなスキームが考えられるか。 

・二本松氏の投稿記事では、「日本銀行法および関連法令を改正し、国家準備資産としてビットコイン保有する」とあるが、日本銀行はリスク資産として ETFREIT保有しているものの、これらはあくまで金融政策として、金利がゼロ付近にあってこれ以上政策金利が下げられない状況で、更なる金融緩和を行う目的で保有しているものとされているところ、二本松氏の想定している保有目的・保有のスキームが日本銀行の目的(日本銀行法第1条)と整合するかどうか。 

・二本松氏の挙げるような目的でビットコイン保有するとすれば、政府において管理するスキームとなるのではないか。この場合、ビットコインの特性や、保有目的を踏まえれば、一般会計と区分して経理し、かつ、運用の状況を明確化するため、新たな特別会計を設置する、あるいは外国為替資金特別会計の目的を拡張し、同特別会計の中に新たな勘定を設置することが考えられるかどうか。 

 

リスク管理の在り方について 

ビットコインは値動きが激しいものであるが、リスク管理、リスク許容度について、(保有目的との関係等で)どのように考えるか。 

・例えば、時価が大きく下落し、取得価格の10分の1以下になったとしても、保有を継続することが、2の保有目的との関係で許容されるか。また、それが国民(納税者)の理解を得られるか。 

・一定の状況が生じた場合には、一部又は全部を売却することも考えるか。その場合、基準をどのように設定するか。

 

5 セキュリティ対策の在り方について 
ビットコインを含む暗号資産については、ハッキング等のセキュリティ上のリスクも指摘されているところであるが、国家としてビットコイン保有する場合、特別なセキュリティ対策の要否について、どのように考えるか。 

※8 8高橋ほか 前掲書 pp.32-36等を参照。

 

6 情報公開の在り方について 

・国民(納税者)に由来する資金を用いてビットコイン保有する以上は、その保有・管理の状況(保有量、取得価格、時価等)について国民に開示することが求められると考えられるが、どのような内容、頻度で開示を行うか。

 

質問主意書の答弁等も踏まえて、引き続き議論を進めて参ります。

【調査資料】ジュネーブ条約について(警察庁からの回答)

suenagayukari.hatenablog.com

 

上記ブログの続きです。

浜田聡事務所より警察庁に対し、外務省と同様の質問をお送りしましたので、回答をご紹介します。

 

【回答】

 

ジュネーブ条約 附属書10

 

道路交通法107条の2

https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105/20201201_502AC0000000042

 

道路交通法施行令

https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000270/

 

道路交通法107条の7

 

【調査資料】令和2年1月に行われた基礎控除(一律10万円引上げ)と給与所得控除の改正の事務コスト

【質問内容

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/r2kaisei.pdf

令和2年1月に行われた基礎控除(一律10万円引上げ)と給与所得控除の改正について

自治体などの関連団体及び国民等へ向けて様々に事務連絡等を行っていると思いますが、関連する文書全て頂きたいです。

②改正によって税務ソフトや関連システムの改修があった場合、把握されている範囲でその詳細を伺いたいです。 ∟自治体に関するもの、関連団体に関するもの等、相手先別に教えて頂けますでしょうか。

③算出可能な範囲で事務コストがいくらかを伺いたいです。

④改正に向けた事務的なプロセスの所要期間を教えてください。

 

↑Xでポストした件について、情報量が多かったためブログでご紹介します。

こちらの質問は財務省主税局税制第一課の方よりご回答頂きました。

 

【回答】

1 自治体などの関連団体及び国民へ向けて様々に事務連絡等を行っていると思うが、関連文書を全ていただきたい。

 

国税庁総務省から納税義務者及び地方自治体向けに基礎控除及び給与所得控除の関係で送付した資料等については、以下の別添の資料をご参照ください。

なお、通常の税制改正の周知に加え、所得情報を活用している社会保障制度等における対応も必要であったことから、別添2のとおり、各府省庁にも施行に向けた措置を講じるよう依頼をしています。

 

国税関係】

・別添1 納税者向け広報資料

国税関係)

源泉徴収関係 

【説明動画】 
・ 令和2年分年末調整のしかた(動画)(HP掲載終了) 
・ 令和2年分法定調書の作成と提出(動画)(HP掲載終了) 

 

【申告書等及び記載例】 
・ 令和2年分扶養控除等(異動)申告書(HP掲載終了) 
・ 《記載例》令和2年分扶養控除等(異動)申告書(HP掲載終了) 
・ 令和2年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(HP掲載終了) 
・ 《記載例》令和2年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(HP掲載終了) 
・ (外国語版)令和2年分給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(HP掲載終了) 
※ 英語、中国語、ポルトガル語スペイン語及びベトナム語版の様式を掲載。 
・ 令和2年分給与所得に対する源泉徴収簿(HP掲載終了) 
・ (令和2年分以後の)給与所得の源泉徴収票 
 (F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

 

【パンフレット】 
・ 令和2年分年末調整のしかた 
令和2年分 年末調整のしかた|国税庁) 

・ 令和2年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 
令和2年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引|国税庁) 

・ 源泉所得税の改正のあらまし 平成30年4月 
  (https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/h30aramashi.pdf

・ 令和2年分 源泉徴収税額表 
  (令和2年分 源泉徴収税額表|国税庁


2 確定申告関係 

【申告書及び記載例】 

・ 令和2年分の所得税及び復興特別所得税の申告書A 
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/01.pdf

・ 令和2年分の所得税及び復興特別所得税の申告書B 
 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/02.pdf

・ 令和2年分所得税及び復興特別所得税の手引き(確定申告書A用) 
 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/pdf/001.pdf) 

・ 令和2年分所得税及び復興特別所得税の手引き(確定申告書B用) 
 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/pdf/002.pdf

 

【パンフレット】 

・ 平成30年分 所得税の改正のあらまし 
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h30kaisei.pdf) 

・ 令和2年度 所得税の改正のあらまし 
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/r2kaisei.pdf

 ・ 「令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります!!(リーフレット)」(HP掲載終了)

 

地方税関係)

・別添2 各府省庁向け事務連絡

・別添3 各地方自治体・議会向け資料

・別添4 地方税法施行規則の一部を改正する省令

・別添5 各地方自治体税制担当課向け事務連絡

 

2 改正によって税務ソフトや関連システムの改修があった場合、把握されている範囲でその詳細を伺いたい。自治体、関連団体に関するもの等、相手先別にご教示いただきたい。また、算出可能な範囲で事務コストがいくらかご教示いただきたい。(国税関係)

[税務ソフトや関連システムの改修関係]

民間事業者が提供しているソフトやシステムの所得税の平成30年度改正による給与所得控除等から基礎控除への振替への対応状況については、網羅的には把握しておりませんが、例えば、給与及び源泉徴収所得税・個人住民税(特別徴収)の計算を含めた人事労務関係のシステムを提供する企業(59社)が加盟する企業人事労務システム協議会の会員企業がご提供されている、市販ソフト及びその他のソフトの中で所得税の税額計算を含むものについては、全てのソフトにおいて、当該改正項目を踏まえた税額計算ができるように、改修いただいたものと承知しています。

 

国税庁関係]

ご質問の基礎控除及び給与所得控除の改正の事務コストについては、通常の年末調整事務や確定申告事務に関する既定経費の内数であるため、お答えすることが困難です。

また、基礎控除及び給与所得控除の改正の国税庁関係システムの改修経費については、他の改修と合わせた経費の内数であるため、お答えすることが困難です。

 

3 改正に向けた事務的なプロセスの所要期間をご教示いただきたい。

→給与所得控除等から基礎控除への振替を含む平成30年度改正に関する税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案)については、平成30年3月28日に国会で可決され成立し、平成30年3月31日に公布されています。

給与所得控除等から基礎控除への振替については、令和2年1月1日から始まる暦年の所得について適用をしています。

本改正について、周知期間を約2年間とした理由については以下の通り国会で説明をしておりますので、ご参照ください。

 

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第196回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号 平成30年2月21日

○杉本委員

(前略)

あと、済みません、十分弱ぐらいありますので、条文ごとの質問を幾つか飛ばしながらお伺いしたいんですけれども、今次、所得税を始めとする大きな改正、周知期間についてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども。  今回、改正をすると、実際適用するのは三十二年、二〇二〇年分からということで、周知期間を約二カ年とするということのようでありますが、二十六年、二十八年の改正がそんなタイミングでしたよという例示がありますけれども、もっと昔にさかのぼってを含めて御答弁があればありがたいですけれども、この周知期間を二年置くということがいかがなものかなということで、私は適正かというふうに正直思っています。しかし、大きな、いろいろな制度的な、税に限らずですけれども、変えるということというのは、国民の皆様へのインパクトというのはかなり、それこそディープインパクトになる可能性があると思っています。  そんな意味で、ちょっとオーストラリアの例を引いて恐縮ですけれども、年金の支給開始年齢、七十歳引上げということを決められたのが数年前だったと思いますけれども、十五年先のいわゆる年金支給開始年齢の引上げということで、現役世代に余り衝撃が大きくなくて、若い世代の方々にある程度覚悟を持っていただくような周知期間を置いたのが、オーストラリアの年金支給開始年齢の引上げであったのではないかということと絡めながら、この二年間の期間といったものをどういうふうに認識されて置かれているのか、確認をさせてください。

 

○星野政府参考人 お答え申し上げます。  今回、所得税の見直しを行っているわけでございますけれども、通常、税制、所得税等を直しますと、翌年の所得から適用されるような改正を行うことが通常でございます。ただ、今回は二カ年ということで、通常よりも周知期間を長目に設けているということでございます。  税制でございますので、今先生御指摘になられた、例えば年金の支給年齢のようなそういう改正ですと相当長期間かけて行うということもあろうかと思いますけれども、税制の場合は一年ないし二年ということでございます。  今回、二年にしているという理由でございますけれども、今回の所得税の見直しにおきましては、所得税が個人の負担に直結するものであること、また、源泉徴収事務を行う企業において混乱が生じないようにする必要があること、それから、給与所得控除等から基礎控除への振替に伴いまして、所得税又は個人住民税の総所得金額等を活用している社会保障制度等の給付や負担の水準について意図せざる影響や不利益が生じないよう、当該制度等の所管府省において適切な措置を講じるための検討に一定の期間を要することなどを踏まえまして、平成三十二年分、二〇二〇年分の所得税から適用することとしたところでございます。  これまでの給与所得控除の見直しについて申し上げますと、控除限度額の導入は、平成二十三年度改正における政府提出法案を経て平成二十四年度改正で法案が成立し、二十五年分の所得税から適用されたところでございます。また、控除限度額の引下げにつきましては、平成二十六年度改正で決定し、平成二十八年分、二十九年分の所得税から適用されたところでございます。

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