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写真はイメージ=PIXTA

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「イヤなことが起こったり、ストレスのかかる瞬間に出会うことは原則として避けられません。大事なのは、その悪い流れに引きずり込まれないように流れを断ち切り、いい流れに変えること」。自律神経研究の第一人者で医師の小林弘幸氏によれば、これがリセットです。ライフプランを考え、リスキリングに向き合うときにも意識しておきたい行動習慣といえるでしょう。NIKKEIリスキリングでは、リセットの考え方やノウハウをまとめた同氏の著書『リセットの習慣』(日経ビジネス人文庫)から、その一部を紹介します。3回目は、第2章「減らす、片づける、軽くなる」から3つの習慣を紹介します。

連載リセットの習慣」 
第1回 リセットには自律神経が効果的 気持ちより体を整える
第2回 1週間に1日の「リセットデー」を いい流れを生み出す
第3回 (今回)
第4回 マイルールでOK グズグズ悩まず「軸」を持って整える
第5回 自分との向き合い方を決めておく イライラしたら「ゆっくり」動く
第6回 迷ったら「傘」と「上着」は持っていく 自律神経を乱さない習慣
第7回 人との付き合い方をリセットする習慣 「ここまでやる」 を決めておく
第8回 ストレスが消える「日々のリセット術」 駅までの道を速めに歩く
第9回 疲れが消える「体のリセット術」 指先で身体の一部をトントンと叩く

◇   ◇   ◇

「ゴール」でなく「スタート」を目指す

多くの人は定年を迎えるとき、職場のデスク周りを片づけると思います。定年退職でなくても、転職や異動でも同じでしょう。

私も3年半後には大学を辞める日がやってくるので、そろそろデスク周りを片づけ始めてもいい頃かなと思っています。

そういうと「ちょっと早すぎるんじゃないですか」と多くの人がおっしゃいますが、私にしてみればそんなことはありません。

なぜなら「何のために片づけるか」の意味合いが違うからです。

多くの人は「その職場での終わり」に向かって片づけます。いわば、ゴールに向かって片づけているのです。

しかし、生きていく上で大事なのは「ゴールに向かう意識」ではなく「スタートに向かうこと」。

私にとって大学を辞める日は終わりではなく、次の何かに向かってスタートするときです。

常に意識が向いているのはスタート。だからこそ前もっていろんなものを整理しますし、準備もします。

次の何かに向かう準備に(整理や考える時間も含めて)3年かけるとしたら、決して長すぎることはありません。むしろ一週間前になってバタバタと片づけ始めるから、次のスタートが上手に切れないのです。

3年後に職場を去ることが決まっているなら、そのタイミングから身の回りを一つひとつ整理し、次の人生や生き方を考えていく。思い出の品を整理するのではなく、次の人生に必要なものを取捨選択し、準備していく。

人生の転機で上手にリセットするコツは「ゴールに向かわず、スタートに向かうこと」です。その準備に早すぎることはありません。

写真はできるだけ処分する

私は写真など「思い出の品」はできる限り処分するようにしています。

「ゴールでなく、スタートを目指して生きる」と話した通り、過去に囚われるより、常に「次のスタート地点」を目指そうとしているからです。

もちろん「写真」というのは「思い出の品」の代表例として述べているだけですが、その他さまざまな思い出の品を過剰に大事にしていると、それだけ過去に囚われます。「写真はすべてを捨てたほうがいい」とまではいいませんが、半分でもいいので一度思い切って処分してみることをおすすめします。

物理的にものを捨てると、確実に気持ちはスッキリします。物理的にも、精神的にも軽くなってみる。その瞬間、自律神経は整っているものです。

人は死んだら何も残りません。

私は医師として人が亡くなる場面に何度となく遭遇してきました。しかしそれ以上に心に残る体験として、私は高校生の頃、母を亡くしています。当時、母は46歳。亡くなった母は位牌だけになり、ほかに何も残りませんでした。

でも、それでいいのだと思っています。

人によっては「冷たい」と感じるかもしれませんが、人は皆、何も持たずに畳一畳で死んでいきます。そのゴールは決まっています。

だからこそ、私たちはそんなゴールに向かって生きるのではなく、常にスタートを目指していく。そんな意識が大事なのです。

あと10年しか生きられないと知ったのならば、そこからスタート。それが2年でも、3カ月でも同じです。今からスタートを切ります。

これまで生きてきた過去に囚われ、過去を見つめて生きるのではなく、次のスタートを見つめて生きる。その方法のひとつとして「物理的な過去」はできるだけ処分し、身軽になっておく。大事な心がけだと私は考えます。

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帰宅したら着替える前にどこか一カ所片づける

身の回りを片づけることが自律神経を整えるのに有効であることはこれまで何百回となく発信し続けてきました。

すると「私はなかなか片づける習慣が身につけられないのですが、いい方法はありませんか」とよく聞かれます。

たしかに、何かのついでにササッと片づけられる人となかなかできない人はいるでしょう。

後者の人にぜひ試してみてもらいたいのは「着替える前に片づける」方法。

会社を出て家に着いたら、たいていの人は荷物を下ろし、着替えをします。リラックスできる部屋着に着替えてゆったりとくつろいだり、食事の用意をしたりするわけです。

その流れを変えて、家に着いたら着替える前に一カ所でもいいので、まず片づけをします。クローゼットから捨てる服を選んでまとめるでもいいですし、本棚に入っていない本が散らばっているなら、それを本棚に戻す作業でも構いません。

ゴミがいっぱいになっているなら、ゴミ袋に入れて、そのままゴミ捨て場に持っていけるようにしておくのもいいでしょう。

とにかく「家に着く → 着替える → リラックスする」の流れに乗ってしまったら、片づけのタイミングは来ないと思ってください。

だからこそ「家に着く → どこか1カ所片づける → 着替える → リラックスする」の流れに変えてみるのです。

スーツなどの外出着を着ているうちは「外出モード」。その「外出モード」のまま片づけまでセットにしてしまうのです。

私はこの習慣を8年ほど続けていますが、案外悪くないものです。外出モードの勢いがあると、それほど苦もなく片づけができます。

※書籍の『リセットの習慣』(日経ビジネス人文庫)では、「軸を持つ大切さ」「自分や人との向き合い方」「日々の生活で取り入れたいヒント」など99個の「リセット術」をご紹介しています。一つひとつは簡単で、すぐにでも取り入れられるものばかり。連載では、その一部をご紹介していきます。リセットの習慣の基本となる自律神経の基礎知識は第1回をご参照ください。
連載リセットの習慣」 
第1回 リセットには自律神経が効果的 気持ちより体を整える
第2回 1週間に1日の「リセットデー」を いい流れを生み出す
第3回 (今回)
第4回 マイルールでOK グズグズ悩まず「軸」を持って整える
第5回 自分との向き合い方を決めておく イライラしたら「ゆっくり」動く
第6回 迷ったら「傘」と「上着」は持っていく 自律神経を乱さない習慣
第7回 人との付き合い方をリセットする習慣 「ここまでやる」 を決めておく
第8回 ストレスが消える「日々のリセット術」 駅までの道を速めに歩く
第9回 疲れが消える「 体のリセット術」 指先で身体の一部をトントンと叩く
小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
 順天堂大学医学部教授。1960年埼玉県生まれ。順天堂大学大学院医学研究科修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手、アスリート、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。

リセットの習慣 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 小林弘幸
出版 : 日経BP 日本経済新聞出版
価格 : 880 円(税込み)

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