1月30日(日本時間)にグループステージ最終節が行なわれる2024-25シーズンのバレーボール・ヨーロッパチャンピオンズリーグ。3月に行なわれる準々決勝、そして5月17日、18日に行なわれる「ファイナル4」(準決勝、3位決定戦、決勝)に向…
1月30日(日本時間)にグループステージ最終節が行なわれる2024-25シーズンのバレーボール・ヨーロッパチャンピオンズリーグ。3月に行なわれる準々決勝、そして5月17日、18日に行なわれる「ファイナル4」(準決勝、3位決定戦、決勝)に向けて佳境を迎えている。
石川祐希が所属するペルージャは、これまでずっと逃してきたこのタイトルを手に入れる準備ができている。最近の大会(2017-18、2018-19、2020-21、2021-22、2022-23)で、ペルージャは常に準決勝止まりだった(2019-20はコロナ禍により開催されず。2023-24は不出場)。2017年にローマで行なわれた決勝では、あと一歩のところでロシアのゼニト・カザンに敗れてしまった。
グループステージ第5節のチェスケー・ブジェヨビツェ(チェコ)戦でMVPに選ばれた石川祐希 photo by CTK Photobank/AFLO
もちろんヨーロッパチャンピオンのタイトルを獲得するのは、そう簡単なことではない。特に一番重要なフェーズは、国内リーグ戦のプレーオフと時期がちょうど重なるため、どちらも最高の形で終えようとすれば、並々ならぬ努力が必要となる。
バレーボールのチャンピオンズリーグは、ヨーロッパでもっとも権威ある大会として1959-1960シーズンに誕生、当初はチャンピオンズカップと呼ばれていた。第1回大会から数シーズンは完全なるノックアウト方式で行なわれ、その後、いくつかの変遷を経て、数年前から現在の方式になった。
現在、大会には20チームが参加し、まずは4チームずつA~Eの5組に分かれ、ホーム&アウェーの総当たりでグループステージを戦い、順位を決める。各組の1位になった5チームは直接、準々決勝に進むことができる。一方、2位のチームと3位内で一番強かったチーム(残りの3位は、CEVカップ<チャンピオンズリーグに次ぐ欧州の大会>に準々決勝より参加)の計6チームでプレーオフを行ない、ベスト8に進む残り3チームを決める(ちなみにポイントの計算は3-0または3-1の勝者には3ポイント、敗者には0ポイント。3-2の場合は勝者に2ポイント、敗者に1ポイントが与えられる)。
2008年以降、強豪国であるイタリア、ポーランド、ロシアの3カ国のクラブが優勝を分けあってきたが、実力から言っても順当なところだろう。現在でもその勢力図は変わらず、強豪国に複数の出場枠が与えられている。ただし、ロシアはウクライナとの紛争が始まって以来、チャンピオンズリーグに出場していない。
【唯一1セットも落としていないペルージャ】
今シーズンはイタリアの3クラブ(ペルージャ、ミラン、モンツァ)とポーランドの3クラブ(ヤストシェンブスキ、ザビエルチェ、ワルシャワ)が出場しており、いずれもグループステージ6試合のうち1試合を残している現時点で、すでに各組の2位以上を決めている。つまりグループステージを突破する11チームのうち、6チームはこの2カ国によって占められているのだ。
チャンピオンズリーグは各国のトップクラブが集結しているのだから、もちろんそのレベルは高い。ただし落とし穴がある。国内リーグ戦はスクデットを決めるプレーオフの前に全22節の長いレギュラーシーズンがあるため、実力通りの順位になることが多い。しかし、チャンピオンズリーグは試合数が少ないので、少しでも間違えばグループステージ1位の座が危うくなる。2位になれば試合を多く戦わなければならなくなるので、どんな試合も気を緩めることができないのだ。
また、できるだけいい形で勝つことが必要になる。トーナメントの組み合わせはグループステージの順位や勝ち点、セット数、ポイント数で決定されるからだ。
グループステージ5試合を終えた時点で各組の1位はワルシャワ、モンツァ、ヤストシェンブスキ、ザビエルチェ、そしてペルージャだ。もちろん、これらのチームは大会の優勝候補でもある。
D組のペルージャは、グループステージのここまでの5試合すべてに勝利。各組の1位のなかで唯一、ここまで1セットも落としていないチームである。8強入りも早々に決め、チームは「今年こそ!」とタイトルへ向かっている。
ただ、すべてが順風満帆なわけではない。現在、ペルージャはウクライナ代表オレフ・プロトニツキを右ハムストリングのケガで欠いている。重要な局面で違いを見せるキープレーヤーの復帰に1カ月はかかるとは言われており、そのため、攻撃は石川祐希とポーランド代表カミル・セメニウクの手腕にかかっていると言っていい。
【大塚達宣のミラノにもチャンスが】
またペルージャは、ここにきて今シーズン初の3連敗を喫している。まずは3-2で敗れたリーグ戦のトレント戦。この試合でペルージャはマッチポイントを9回も逃がした。2戦目もリーグ戦でチヴィタノーヴァ戦(3-1)だ。そして最後は先週の土曜日に行なわれたコッパ・イタリア準決勝のヴェローナ戦。ペルージャは2-0とリードしていたものの、最終的には2-3と逆転され、カップ戦敗退が決まった。ペルージャの今季の目標は「すべてのタイトルを手に入れる」だったが、その夢はシーズン半ばで絶たれることになってしまった。
ただ、それでもペルージャが優勝候補の一角であることは間違いない。ペルージャの最大のライバルはやはりポーランド勢となるだろう。
また、石川の前所属チーム、ミラノもサプライズを起こす可能性は大いにある。今シーズンのミラノには挑戦できるだけのメンバーが揃っている。シーズン当初はフィジカル面で問題を抱えていた日本人アウトサイドヒッターの大塚達宣も、チームでますます大きな存在となってきている。
ロベルト・ピアッツァ監督率いるそのミラノは現在C組の2位。1月30日に行なわれるグループステージ最終節では、C組トップの座をかけてポーランドのザビエルチェと直接対決する。