※本稿は、QuizKnock『QuizKnock 学びのルーツ』(新潮社)の一部を再編集したものです。一部漢字が正しく表示されない場合があります。
「身近なのに知らない」ギャップが漢字の魅力
漢字の魅力ってなに? とよく聞かれるんですが、その一つに身近さと意外性のギャップがあると思います。
漢字ってすごく身近じゃないですか。道の看板、駅の表示、ペットボトルのラベル……日本で暮らしていると、街中に漢字があふれていますよね。空気のように当たり前にあるのが漢字です。
でも、身近でも意外な秘密が潜んでいたりするのが漢字の面白い所なんです。たとえば「心」という漢字と「太」という漢字がありますよね。どちらも小学校2年生で習う、誰でも知っている当たり前の漢字です。
じゃあ、この二つの文字をくっつけた「心太」という単語を知っていますか? 見たことがないという人も多いと思いますが、実はこれは「ところてん」と読みます。あの、食べ物のところてんには漢字の表記もあるんです。
こんなふうに、身近なのに知らない読み方があったりするのが漢字の面白い所の一つです。
1文字覚えるだけでレベルアップを感じられる
他にも漢字の魅力はありますよ。これは幼かった僕が漢字にハマった理由でもあるんですが、僕にとって漢字は、他の学問や科目よりも、達成感を手に入れやすいものだったんです。
数学や英語で「うん、自分は前よりできるようになったな」と実感するためには相当の勉強が必要ですけど、漢字は、極端な話、1文字覚えるだけなら数秒でOKですよね。それだけの時間でもレベルアップを感じられるのは漢字のいいところだと思いますね。
世の中には僕以外にも漢字好きがいて、LINEのグループを作って見つけた面白い漢字を報告し合ったりしているみたいです。でも他の学問、たとえば物理学で「面白い理論を見つけた!」という人がいても、シェアされた理論の楽しさを味わうのは簡単じゃないですよね。理解するためには長い時間がかかりますから。短時間でカジュアルに楽しめるのは、漢字のいいところじゃないかな。