水性インク組成物及ぴ水性インク組成物用ウレタン樹脂組成物
技術分野 ―
本発明は、水性インク組成物に関し、詳しくは、ブラックインク組成物、及ぴこのブラ ックインク組成物を含むインクセット、該インクセットを用 V、る記録方法並びに該インク セットによる記録物並びに水性インク組成物用ウレタン樹脂組成物に関する。 背景技術
[0002] インクジェット記録方法等で、良好なモノクロ画像やグレースケールを得る目的で、 カーボンブラック濃度の異なる 2種類又は 3種類以上のブラックインクを含むインクセ ットを用レ、ることがある。この種のブラックインクとしては、力一ポンプラック濃度とその カーボンブラック濃度に対応して所定量の微粒子ェマルジヨンの固形分濃度を規定 するブラックインク組成物が開示されている(特開 2004— 225036号公報、特開 200 4一 225037号公報)。こうしたブラックインク組成物のうち顔料濃度の低いものにあつ ては、樹脂含有量が通常の水性インク組成物よりも高くなつている。これらのブラック インク組成物によれば、薄レヽプラックインク組成物を用レ、て記録した画像に蛍光灯や 外光が反射したときに生じる反射光が金色のような光沢 (ゴールデンダロス)を発生す る現象や、中間階調用ブラックインク組成物を用いて記録した画像において、位相ず れ (記録媒体上に印字された記録画像に対して観察者の観察角度を変化させたり、 光源の照射角度を変化させたりすることにより記録領域の一部で本来の灰色の明度 が黒色側又は白色側にずれて観察される現象)を抑制できる。
[0003] また、インクジェットプリンタ等に用レ、られるインクとして顔料を用 、た水性インク組 成物が知られているが、顔料は、染料に比べて、耐光性および耐水性に優れており 、記録後より良好な発色状態をより長期間にわたって可能とするインクの着色剤とし て利用されている。顔料は、一般に水に不溶であるため、顔料をインクに用レ、る場合 には、顔料を樹脂などの分散剤とともに混合し、水に安定分散させる必要がある。顔 料を水に安定的に分散させるためには、顔料の種類、粒径、用いる榭脂の種類、お
よび分散手段等を検討する必要があり、これまで多くの分散方法およびインクジェット 記録用インク組成物が提案されている。特開 2000— 1639号には、水性榭脂として のポリウレタン榭脂を水性インク組成物に用いて吐出安定性と耐摩擦性などの皮膜 物性を向上できることが記載されている。 発明の開示
[0004] インク組成物が付着して記録紙などの記録媒体上に画像を形成後、プリンタ力ゝら排 出されるまでの工程で、記録画像にプリンタ内に備える記録紙押さえなどの記録物 接触部材が触れることがある。記録紙押さえ部材は、画像への影響を考慮して画像 接触部分は微細な突起状となった歯車状の回転体であることが多い。本発明者らが 、上記した所定組成の従来のブラックインク組成物による記録物にっ 、て調査したと ころ、連続印刷後の記録物において極めて微小な凹状ドットがライン状に形成される ことがあった。このような記録物上の所見は、他のインク組成物では認められておらず 、精査したところ、凹状ドットは、記録紙押さえなどの記録物接触部材の接触軌跡で あることがわかった。
[0005] そこで、本発明は、こうした記録物上の微細な表面欠陥が有効に抑制された記録 物を得ることのできるブラックインク組成物、インクセット及び該インクセットを用いた記 録方法及び記録物を提供することを目的とする。また、本発明は、表面欠陥が有効 に抑制されるとともに、良好なモノクロ画像やグレースケール画像を備える記録物を 得ることのできるブラックインク組成物、インクセット、該インクセットを用いた記録方法 及び記録物を提供することを他の一つの目的とする。
[0006] また、水性インク組成物にお!、て、ポリウレタン榭脂などの水に分散可能な榭脂を 用いて従来どおりの方法で顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液に水溶性有 機溶媒を含むインクのビヒクルを混合してインクなどの水性インク組成物を調製すると 、調製直後にインクの粘度が急激に上昇しその後緩慢にインクの粘度が低下するこ とがあった。このようなインクの粘度変化は、貯蔵安定性を損ねる可能性がある他、ィ ンクジェットプリンタ用のインク組成物として調製した場合には、ノズル力ものインクの 吐出安定 ¾を損なう恐れもあった。さらに、上記のようなブラックインク糸且成物などの
榭脂含有量の多 、インクにお!、てはなおさらであった。
[0007] そこで、本発明は、上記のようなブラックインク糸且成物などポリウレタン榭脂含有量の 高い水性インク組成物の粘度変化などの物性変化を有効に回避又は抑制できるポリ ウレタン榭脂組成物及びその製造方法を提供することを一つの目的とする。また、本 発明は、粘度変化などの物性変化を有効に回避又は抑制できる水性インク組成物 及びその製造方法を提供することを他の一つの目的とする。
[0008] 本発明者らは鋭意検討したところ、水溶性ポリウレタン榭脂をこうしたブラックインク 組成物に所定量含有させることで、ゴールデンダロスや位相ずれを抑制又は回避す るとともに、記録物上における表面欠陥の発生を回避又は抑制できることを見出した
[0009] また、本発明者らは、インク組成物の粘度変化にっ 、て種々検討した結果、粘度等 の物性変化は水性インク組成物の調製時においてポリウレタン榭脂と水溶性有機溶 媒とが混合されることで生じることを見出し、さらに、水性インク組成物の製造工程に おいて、ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒とを予め混合して時間経過させておいた ポリウレタン榭脂組成物を顔料分散液やその他のインク成分に添加することにより、 粘度等の物性変化を抑制あるいは回避して安定性に優れた水性インク組成物が得 られることを見出した。
[0010] これらの知見によれば、ブラックインク組成物を含む水性インク組成物及びその製 造に関し、以下の手段が提供される。
[0011] 本発明によれば、水と、カーボンブラックと、水溶性ポリウレタン榭脂とを含有するブ ラックインク糸且成物であって、
前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満のときには、前 記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記カーボンブラックの含有量の 0. 6 7倍以上 2. 5倍以下であり、
前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%未満のときには、前記水溶性ポリウレ タン樹脂の固形分含有量が前記カーボンブラックの含有量の 7. 5倍以上である、組 成物が提供される。
[0012] 前記水溶性ポリウレタン榭脂は、酸価が 10以上 300以下であり、重量平均分子量
力 S 100以上 20万以下であり、ガラス転移温度が- 50°C以上 200°C以下であり、最大 粒径が 0. 3 m以下とすることができる。また、この組成物においては、前記カーボン ブラックの含有量が 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満のときには、前記水溶性ポリウ レタン樹脂の固形分が 0. 2重量%以上 4重量%以下であり、前記カーボンブラックの 含有量が 0. 4重量%未満のときには、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分が 1重 量%以上 10重量%以下とすることができる。
[0013] また、本発明の組成物の他の好ま 、態様は、微粒子ェマルジヨンを含有すること ができる。さらに、この微粒子ェマルジヨンは、ポリアルキレン型ェマルジヨン力も選択 されるものとすることができる。また、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分と前記微 粒子ェマルジヨンの固形分との合計含有量は 0. 5重量%以上 20重量%以下とする ことができる。
[0014] また、本発明によれば、水と、カーボンブラックとを含有するブラックインク糸且成物で あり、該ブラックインク糸且成物のカーボンブラック濃度よりも高 、カーボンブラック濃度 である他のブラックインク組成物と組み合わせて使用するためのブラックインク組成物 であって、
水溶性ポリウレタン榭脂を含有し、
該水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 0. 2重量%以上 10重量%以下であ る、組成物が提供される。
[0015] 本発明の好ましい態様は、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 0. 5重 量%以上 5重量%以下であり、他の好ましい態様は、微粒子ェマルジヨンを含有する ものである。また、微粒子ェマルジヨンを含有するとき、前記水溶性ポリウレタン榭脂 の固形分含有量は、前記水溶性ポリウレタン榭脂と前記微粒子ェマルジヨンの固形 分との合計量の 40重量%以上 80重量%以下であることが好ましい。また、さらに他 の好ましい態様は、前記他のブラックインク組成物は、 1. 5重量%以上のカーボンブ ラックを含有するものである。前記他のブラックインク組成物は、 6重量%以上のカー ボンブラックを含有することができる。この他のブラックインク組成物は、自己分散型力 一ボンブラックを含有することができる。
[0016] また、他の好ましい態様の一つは、前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%以
上 1. 5重量%未満であり、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 0. 2重量 %以上 4重量%以下であり、他の一つは、前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重 量%未満であり、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 1重量%以上 10重 量%以下であるブラックインク組成物である。
[0017] さらに、他の好ましい態様の一つは、前記水溶性ポリウレタン榭脂の少なくとも一部 は、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度変化を 有しな 、ポリウレタン榭脂組成物として添加されて 、る、ブラックインク組成物である。
[0018] この態様においては、前記水溶性機溶媒は、 1種又は 2種以上のジオール類であ ることが好ましい。また、前記水溶性有機溶媒を前記水溶性ポリウレタン榭脂固形分 に対して 10wt%以上 50wt%以下含有することも好ましい。さらに、前記ポリウレタン 榭脂組成物は、前記水溶性有機溶媒は 1種又は 2種以上のジオール類と 1種又は 2 種以上のトリオール類とを含むことが好ましぐ前記トリオール類はグリセリンを含むこ とが好ましい。
[0019] さらに、前記ポリウレタン榭脂組成物は、前記トリオール類を、水溶性ポリウレタン榭 脂固形分に対して 10wt%以上 100wt%以下含有していてもよいし、前記ジオール 類は 1, 2—へキサンジオールを含み、前記トリオール類はグリセリンを含んでいても よい。さらにまた、前記ポリウレタン榭脂組成物は、前記水溶性有機溶媒を 0. 5wt% 以上 20wt%以下含有することができ、前記水溶性ポリウレタン榭脂を 5wt%以上 50 wt%以下含有することもできる、また、前記ポリウレタン榭脂組成物は、加熱を伴うェ 一ジングが施されて得られるものであることが好ましい。さらには、前記ポリウレタン榭 脂組成物の所定量を密封して 70°C士 3°Cの恒温下で 24時間静置し、該静置期間開 始時と終了後の粘度を測定し、これらの粘度から下記式(1)に基づいて得られる粘 度変化率(Δν)が 2. 5%以下である、請求項 15〜24のいずれかに記載の組成物。
Δν (%) = I V-V
0 I /V Χ ΙΟΟ· · · (1)
0
[0020] また、これらの各種態様のブラックインク組成物は、補色用着色剤を含有することが できる。さらに、インクジェット記録用のインク組成物とすることができる。
[0021] 本発明によれば、さらに、上記いずれかの態様の 1種又は 2種以上のブラックインク 組成物と、
これらのブラックインク糸且成物のカーボンブラック濃度よりも高いカーボンブラック濃 度である他のブラックインク組成物と、
を含む、インクセットが提供される。
[0022] この発明の好ましい態様は、上記いずれかの態様の 1種又は 2種以上の前記ブラッ クインク糸且成物は、カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%未満であるブラックインク 糸且成物とカーボンブラックの含有量が 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満のブラックィ ンク糸且成物であり、前記他のブラックインク糸且成物は、カーボンブラックの含有量が 1. 5重量%以上である組成物である。
[0023] また、前記他のブラックインク糸且成物は、 6重量%以上のカーボンブラックを含有す ることができる。この他のブラックインク組成物は、自己分散型カーボンブラックを含有 することができる。
[0024] また、他の好まし 、態様は、シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエロ 一インク組成物とを含むインクセットである。さらに、ライトシアンインク組成物と、ライト マゼンタインク組成物とを含むことが好まし 、。
[0025] また、ブラックインク組成物以外のカラーインク組成物が水溶性ポリウレタン榭脂を 含有することができ、カラーインク糸且成物中の前記水溶性ポリウレタン榭脂の少なくと も一部は、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度 変化を有しな 、ポリウレタン榭脂組成物として添加されて 、ることが好ま 、。
[0026] さらにまた、本発明によれば、インク組成物の液滴を吐出して、該液滴を記録媒体 に付着させて画像を形成する記録方法であって、
上記 、ずれかの態様のインクセットを用いる、記録方法が提供される。
[0027] この発明の好ましい態様は、記録媒体上に画像を有する記録物であって、
前記記録媒体上に上記いずれかの態様のインクセットに含まれるインク組成物の付 着物層からなる画像を有する、記録物が提供される。
[0028] 本発明の一つの態様によれば、水性インク組成物用のポリウレタン榭脂組成物であ つて、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度変化 を有しない組成物が提供される。この態様においては、前記水溶性有機溶媒はジォ ール類カゝら選択されることが好ましい。前記水溶性有機溶媒は、 1, 2—へキサンジォ
ールとしてもよい。また、前記水溶性有機溶媒を前記水溶性ポリウレタン榭脂固形分 に対して 10wt%以上 50wt%以下含有することができる。
[0029] また、この態様においては、前記水溶性有機溶媒は 1種又は 2種以上のジオール 類と 1種又は 2種以上のトリオール類とを含むことができる。前記トリオール類はグリセ リンを含むことが好ましぐまた、前記トリオール類を、水溶性ポリウレタン榭脂固形分 に対して 10wt%以上 100wt%以下含有することが好ましい。さらに、記ジオール類 は 1, 2—へキサンジオールを含み、前記トリオール類はグリセリンを含むことが好まし い。
[0030] また、この態様においては、前記水溶性有機溶媒は 1種又は 2種以上のジオール 類と 1種又は 2種以上のトリオール類とを含むことができる。さらに、前記トリオール類 はグリセリンを含めることができ、前記トリオール類は、水溶性ポリウレタン榭脂固形分 に対して 10wt%以上 100%以下含有することができる。
[0031] この態様においては、前記ジオール類は 1, 2—へキサンジオールを含み、前記トリ オール類はグリセリンを含むことができる。
[0032] この態様においては、前記水溶性有機溶媒を 0. 5wt%以上 20wt%以下含有して V、てもよ 、し、前記水溶性ポリウレタン榭脂を 5wt%以上 50wt%以下含有して 、て もよぐさらに、加熱を伴うエージングが施されて得られるものであってもよい。また、こ の態様においては、前記ポリウレタン榭脂組成物の所定量を密封して 70°C ± 3°Cの 恒温下で 24時間静置し、該静置期間開始時と終了後の粘度を測定し、これらの粘 度から下記式(1)に基づいて得られる粘度変化率( Δν)が 2. 5%以下であることが 好ましい。
Δν (%) = I V-V (1)
0 I /V Χ ΙΟΟ· · ·
0
なお、こうした態様のポリウレタン榭脂組成物は、いずれも、前記水性インク組成物 は、カーボンブラックを含有するブラックインク糸且成物であって、前記カーボンブラック の含有量が 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満のときには、前記水溶性ポリウレタン榭 脂の固形分含有量が前記カーボンブラックの含有量の 0. 67倍以上 2. 5倍以下であ り、前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%未満のときには、前記水溶性ポリウ レタン樹脂の固形分含有量が前記カーボンブラックの含有量の 7. 5倍以上である水
性インク組成物用とすることができる。なかでも、濃淡のあるブラックインクセットのイン ク組成物の調製用として用いることが好まし 、。
[0033] 本発明の他の一つの態様によれば、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と 水とを含む混合物の粘度を低下させるエージング工程を備える、ポリウレタン榭脂組 成物の製造方法が提供される。この態様においては、前記エージング工程は、前記 混合物を 60°C以上 80°C以下としてもよぐまた、エージング工程を 120時間以上 21 6時間以下として実施してもよい。エージング工程は、好ましくは、前記混合物を静置 する工程である。さらに、前記水溶性有機溶媒は 1種又は 2種以上のジオール類と 1 種又は 2種以上のトリオール類とを含んで 、てもよ 、。
[0034] また、本発明のさらに他の一つの態様によれば、上記したポリウレタン榭脂組成物 の製造方法によって得られるポリウレタン榭脂組成物も提供される。
[0035] さらに、本発明の別の態様によれば、水性インク組成物の製造方法であって、以下 の(a)〜(c):
(a)水と顔料とを含む顔料分散液、
(b)水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度変化を 有しないポリウレタン榭脂組成物、及び
(c)前記 (a)及び (b)以外の前記水性インク組成物の成分
を用いて前記水性インク組成物を調製する工程を備える、製造方法も提供される。こ の態様において、前記 (a)の顔料分散液は、水分散性スチレン—アクリル酸榭脂を 含有していてもよい。また、前記ポリウレタン榭脂組成物は、前記水溶性ポリウレタン 榭脂と前記水溶性有機溶媒と水とを含む混合物をエージングして得られるものであ つてもよい。
[0036] さらに、この態様において、前記水性インク組成物は、カーボンブラックを含有する ブラックインク糸且成物であって、前記カーボンブラックの含有量が 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満のときには、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記カー ボンブラックの含有量の 0. 67倍以上 2. 5倍以下であり、前記カーボンブラックの含 有量が 0. 4重量%未満のときには、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 前記カーボンブラックの含有量の 7. 5倍以上である組成物としてもよ 、。
[0037] また、本発明の他の一つの態様によれば、有彩色顔料を含有するカラーインク組 成物であって、前記有彩色顔料の含有量が 1. 5重量%以上 7重量%未満のときに は、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記有彩色顔料の 0. 04倍以上 0. 3 5倍以下であり、前記有彩色顔料の含有量が 0. 5重量%以上 1. 5重量%未満のとき には、前記水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記有彩色顔料の 0. 67倍以 上 2. 5倍以下であり、上記いずれかの態様のポリウレタン榭脂組成物を含有する、力 ラーインク組成物が提供される。
[0038] また、本発明の他の一つの態様によれば、上記 、ずれかに記載の水性インク組成 物の製造方法によって得られる、水性インク組成物が提供される。さらにまた、本発 明の他の一つの態様によれば、水性インク組成物であって、顔料分散液に上記いず れかに記載のポリウレタン榭脂組成物を混合して得られる、組成物が提供される。
図面の簡単な説明
[0039] [図 1]3種のブラックインク組成物を用いてグレースケールを印刷する場合に位相ず れ及びゴールデンダロスが発生する領域を模式的に示すグラフ。
[図 2]グレーレベルが 140、 100、 50及び 20のブラックインク組成物のグレーレベルと 印字デューティーとの関係を示すグラフ。
[図 3]プリンタ Aにおいて良好なグレースケールパッチ作製時における各インク組成 物のインク使用量とグレーレベルとの関係を示す図。
[図 4]プリンタ Bにおいて良好なグレースケールパッチ作製時における各インク組成物 のインク使用量とグレーレベルとの関係を示す図。
[図 5]各種ブラックインク組成物の印字デューティと光学濃度との関係を示す図。
[図 6]各種ブラックインク組成物の印字デューティと光学濃度との関係を示す図。
[図 7]ライトマゼンタインク組成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 8]ライトシアンインク組成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 9]マゼンタインク糸且成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 10]シアンインク組成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 11]イェローインク糸且成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 12]中濃度ブラックインク組成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。
[図 13]低濃度ブラックインク組成物の印字デューティと光沢度との関係を示す図。 発明を実施するための最良の形態
[0040] 本発明の実施形態は、ブラックインク組成物、インクセット、該インクセットを用いた 記録方法及び記録物等の各種の態様を包含して 、る。これらの各種の発明の態様 は、いずれもブラックインク組成物に関連している。本発明のブラックインク組成物に よれば、水溶性ポリウレタン榭脂を所定量含有することで、表面欠陥などが回避又は 抑制された良好な状態の記録物を提供できる。また、本発明のブラックインク組成物 は、表面欠陥が回避又は抑制されるとともに、所定量のカーボンブラックを含有する ことで、ゴールデンダロスや位相ずれなどが有効に回避又は抑制されたモノクロ画像 又はグレースケール画像を備える記録物を提供できる。本発明のブラックインク組成 物によれば、所定量の水溶性ウレタン榭脂を含有することにより、記録物接触部材等 へのインク組成物の榭脂成分の付着性を低下させ、これにより付着物が固化して接 触部材が膨大化すること等の不具合が抑制される。このため、接触部材が記録物に 接触することが繰り返されたとしても接触部分が膨大化されず、接触の痕跡を残し〖こ くくなる。また、ブラックインク組成物は所定量の水溶性ウレタン榭脂を含有することで 、接触部材が記録物上の固化前のブラックインク組成物に接触してもその接触痕跡 を残留させない程度の流動性 (粘性)を一定期間保持することができると考えられる。
[0041] また、本発明の他の実施形態は、ポリウレタン榭脂組成物であって、水溶性ポリウレ タン樹脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度変化を有しな!/ヽ組成物、 当該組成物の製造方法、当該組成物を用いた水性インク組成物の製造方法および 水性インク組成物等の各種の態様を含んで ヽる。本発明の組成物を用いて水性イン ク組成物を調製することにより、粘度変化を回避又は抑制された水性インク組成物が 得られる。本発明のポリウレタン榭脂組成物は、好ましくは、水溶性ポリウレタン榭脂 と水溶性有機溶媒と水とを含む混合物を当該混合物の粘度を低下させるエージング 工程を実施することによって得ることができる。また、水性インク組成物は、本発明の ポリウレタン榭脂組成物と、水と顔料とを含有する顔料分散液と、残余の成分とを用 V、て調製することができる。顔料分散液に本発明のポリウレタン榭脂組成物を混合す
ることで、容易に粘度変化が回避又は抑制された水性インクを得ることができる。こう して製造された水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインク組成物として用い る場合、ノズルからの吐出安定性が確保されたインクを提供することができる。また、 こうした水性インク組成物によれば、粘度等が安定ィ匕するのを待って巿場に供給する 必要もないため、効率的な生産及び供給が可能となる。
[0042] 以下、説明の都合上、本発明の第 1の実施形態であるブラックインク組成物、インク セット、記録方法及び記録物の各種態様について先ず説明し、その後、第 2の実施 形態であるポリウレタン榭脂組成物等について説明する。なお、本発明の第 2の実施 形態は、本発明の第 1の実施形態であるブラックインク組成物の調製に好適なもので ある力 水性インク組成物一般に使用できるものである。
[0043] (ブラックインク組成物)
本発明のブラックインク組成物は、 1種又は 2種以上の他のブラックインク組成物と 組み合わせて使用されることがあるブラックインク組成物である。こうした組み合わせ によって、「位相ずれ」や「ゴールデンダロス」を回避又は抑制することができる。
[0044] 「位相ずれ」とは、前記のとおり、記録媒体上に印字された記録画像に対して、観察 者
の観察角度を変化させたり、光源の照射角度を変化させると、中間階調用ブラックィ ンク組成物で記録した領域の一部で灰色の明度がずれて、本来の灰色よりも黒色側 あるいは白色側にずれて観察される現象である。位相ずれが発生すると、その領域 が本来の灰色よりも薄い灰色に見えたり、暗い灰色に見えたり、あるいは完全に真つ 黒になるので、画像の輪郭までも判別することが非常に困難になる。こうした現象は 特にダロス調又はセミグロス調といった光沢系の記録媒体に記録した際に生じやすく 、マット調の記録媒体では比較的には起こりにくい。
[0045] 位相ずれが発生する領域について、図 1に基づいて説明する。図 1に模式的に示 すように、濃いブラックインク組成物 K1と、中間階調用ブラックインク組成物 K2と、薄 いブラックインク組成物 K3との使用割合を変化させることによって、黒色から白色に 至るグレースケールを適切に作成することができる。このように、 3種類のブラックイン ク組成物 Kl、 Κ2、及び Κ3を用いると、前記のように、グレーバランスの安定性とメタ
メリズムを飛躍的に向上させることができる。しかしながら、図 1の「位相ずれ発生領域 」に示すとおり、主に、中間階調用ブラックインク組成物 K2によって記録される領域 に、位相ずれが発生する。
[0046] 前記の「位相ずれ発生領域」は、グレーレベル約 35〜約 55の領域を中心として、 約 30〜約 60の領域にまで及ぶ(ここでグレーレベル 0を絶対黒とし、グレーレベル 2 55を絶対白とする)。また、「位相ずれ発生領域」の明度範囲は、約 25〜約 30を中 心領域とし、約 20〜約 35の領域まで及ぶ。 2種以上のブラックインク組成物を用いて 黒白モノクロ画像を記録する場合には、位相ずれ発生領域を記録するのに用いられ るブラックインク組成物は、通常、カーボンブラックをそのブラックインク組成物の全重 量に対して 0. 4重量%以上 1. 5重量%以下の量で有する中間階調用ブラックインク 組成物(以下、当該濃度範囲のカーボンブラックを含有するブラックインク組成物を、 特に第 1のブラックインク糸且成物という。)である。
[0047] 一方、「ゴールデングロス」(golden gloss;以下、 GGと略称すること
がある)とは、前記のとおり、記録媒体上に印字された記録画像に対して、観察者の 観察角度を変化させたり、光源の照射角度を変化させると、薄いブラックインク組成 物で記録した領域の一部が金色にキラキラ光る現象である。本発明者の研究によれ ば、ゴールデンダロスは、或る特定領域にのみ発生する。このゴールデンダロスが発 生すると、その発生領域は勿論、その近辺領域においても、記録物の色調の判別は 不能になり、記録画像の輪郭までも判別することが非常に困難になる。
[0048] ゴールデンダロスが発生する領域は、図 1の「GG発生領域」(すなわち、ゴールデ ングロス発生領域)に示すとおり、主に、薄いブラックインク組成物 K3によって記録さ れる領域である。前記の「GG発生領域」は、グレーレベル約 100〜約 140の領域を 中心として、約 90〜約 160の領域にまで及ぶ(ここでグレーレベル 0を絶対黒とし、グ レーレベル 255を絶対白とする)。また、「GG発生領域」の明度範囲は、約 50〜約 6 0を中心領域とし、約 40〜約 70の領域まで及ぶ。 2種以上のブラックインク組成物を 用いて黒白モノクロ画像を記録する場合には、 GG発生領域を記録するのに用いら れるブラックインク組成物は、通常、カーボンブラックをそのブラックインク組成物の全 重量に対して 0. 4重量%未満の量 (特には、 0. 01重量%以上で 0. 4重量%未満の
量)で有する濃度の比較的薄 、ブラックインク組成物(以下、当該濃度範囲のカーボ ンブラックを含有するブラックインク組成物を、特に第 2のブラックインク組成物と 、う。 )である。
[0049] (水溶性ポリウレタン榭脂)
本ブラックインク組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂を含有している。水溶性ポリウレ タン榭脂は、特に制限はなぐジイソシァネートイ匕合物とジオールィ匕合物とを反応して 得られる水溶性のポリウレタン榭脂を使用することができる。ジイソシァネートイ匕合物 としては、例えば、へキサメチレンジイソシァネート、 2, 2, 4 トリメチルへキサメチレ ンジイソシァネート、水添キシリレンジイソシァネート、 1, 4ーシクロへキサンジィソシ ァネート、 4, 4ージシクロへキシルメタンジイソシァネート等の脂環式ジイソシァネート 化合物、キシリレンジイソシァネート、テトラメチルキシリレンジイソシァネート等の芳香 脂肪族ジイソシァネートイ匕合物、トルイレンジイソシァネート、フエ-ルメタンジイソシァ ネート等の芳香族ジイソシァネートイ匕合物、これらジイソシァネートの変性物 (カルボ ジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変性物など)等が挙げられる。
[0050] ジオール化合物としては、例えば、エチレンォキシド、プロピレンォキシド等のアル キレンォキシドゃテトラヒドロフラン等の複素環式エーテルを (共)重合させて得られる ジオールィ匕合物が挙げられる。斯カるジオールィ匕合物の具体例としては、ポリエチレ ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリへ キサメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルジオール、ポリエチレンアジペート 、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ 3—メチルペンチルァ ジペート、ポリエチレン Zブチレンアジペート、ポリネオペンチル Zへキシルアジぺー ト等のポリエステルジオール、ポリ力プロラタトンジオール等のポリラタトンジオール、 ポリカーボネートジオールが挙げられる。これらの中では、ポリエーテル系、ポリエス テル系及びポリカーボネート系のうち 1種以上が好ましい。
[0051] また、上記の他、カルボン酸基、スルホン酸基などの酸性基を有するジオールィ匕合 物も使用でき、その具体例としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、 ジメチロール酪酸などが挙げられる。これらの中では、ジメチロールプロピオン酸が好 ましい。これらのジォールイ匕合物は、 2種以上を併用してもよい。
[0052] 水溶性ポリウレタン系榭脂の合成に際しては、低分子量のポリヒドロキシィ匕合物を添 加してもよい。低分子量のポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルジオールの原 料として使用される、グリコール、アルキレンォキシド低モル付加物、グリセリン、トリメ チロールェタン、トリメチロールプロパン等の 3価アルコール及びそのアルキレンォキ シド低モル付加物が挙げられる。また、このようにして得られたウレタンプレポリマーは 、ジメチロールアルカン酸に由来する酸基を中和した後または中和しながら水延長ま たはジ (トリ)ァミンで鎖延長することができる。鎖延長の際に使用されるポリアミンとし ては、へキサメチレンジァミン、イソホロンジァミン、ヒドラジン、ピぺラジン等が挙げら れ、これらは 2種以上を併用してもよい。
[0053] 水溶性ポリウレタン榭脂としては、望ましくは、ジオールィ匕合物としてポリエーテル系 、ポリエステル系、ポリカーボネート系のジオールを用いて得られるポリエーテル系ポ リウレタン榭脂、ポリエステル系ポリウレタン榭脂、ポリカーボネート系ポリウレタン榭脂 が挙げられる。水溶性ポリウレタン榭脂の形態も特に限定されない。代表的には、ェ マルジヨンタイプ、例えば、自己乳化工マルジヨンや、自己安定ィ匕タイプが挙げられる 。特に、上記の化合物のうちカルボン酸基、スルホン酸基などの酸性基を有するジォ ールを用いたり、低分子量のポリヒドロキシィ匕合物を添加したり、酸性基を導入したゥ レタン樹脂、中でもカルボキシル基を有するものが望ましい。さらに、後述する架橋処 理により、これらカルボキシル基等の官能基を架橋させるの力 光沢向上、耐擦性向 上等の点から望ましい。
[0054] 水溶性ポリウレタン榭脂は、中和したものを使用することもできる。中和に使用する 塩基としては、例えば、ブチルァミン、トリェチルァミン等のアルキルァミン、モノエタノ ールァミン、ジエタノールァミン、トリエタノールァミン等のアルカノールァミン、モルホ リン、アンモニア、水酸ィ匕ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。
[0055] ポリウレタン榭脂の酸価は、記録物上の表面欠陥及びゴールデンダロス又は位相 ずれを抑制する観点からは、好ましくは 10〜300であり、一層好ましくは 20〜: LOOで ある。なお、酸価は、榭脂 lgを中和させるのに必要な KOHの mg量である。また、ポ リウレタン榭脂の架橋前の重量平均分子量 (Mw)は、記録物上の表面欠陥及びゴ 一ルデンダロス又は位相ずれを抑制する観点からは、好ましくは 100〜20万であり、
より好ましくは 1000〜5万である。 Mwは、例えば、 GPC (ゲルパーミエーシヨンクロ マトグラフィー)で測定する。ポリウレタン榭脂のガラス転移温度 (Tg ;JIS K6900に 従い測定)は、記録物上の表面欠陥及びゴールデンダロス又は位相ずれを抑制する 観点からは、好ましくは 50〜200°Cであり、一層好ましくは— 50〜100°Cである。 さらに、ポリウレタン榭脂は、本発明の顔料分散液中において微粒子状に分散してい る場合と顔料に吸着している場合とがある力 記録物上の表面欠陥及びゴールデン ダロス又は位相ずれを抑制する観点からは、ポリウレタン榭脂の最大粒径は 0.
以下であることが好ましぐ平均粒径は 0. 2 m以下(さらに好ましくは 0. 以下 )であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成し ている粒子としての分子径 (体積 50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラック U PA (Microtrac Inc.社)を使用して測定することができる。
[0056] 水溶性ポリウレタン榭脂の好まし 、具体例としては、 NeoRez R— 960 (ゼネ力製) 、 NeoRez R— 989 (ゼネ力製)、 NeoRez R— 9320 (ゼネ力製)、 NeoRad NR— 4 40 (ゼネカ製)、ハイドラン AP— 30 (大日本インキ工業 (株)製)、ハイドラン APX— 6 01 (大日本インキ工業 (株)製)、ハイドラン SP— 510 (大日本インキ工業 (株)製)、ハ イドラン SP— 97 (大日本インキ工業 (株)製)、エラストロン MF - 60 (第一工業製薬 ( 株)製)、ヱラストロン MF—9 (第一工業製薬 (株)製)、 M— 1064 (第一工業製薬 (株 )製)、アイゼラックス S— 1020 (保土ケ谷ィ匕学 (株)製)、アイゼラックス S— 1040 (保 土ケ谷ィ匕学 (株)製)、アイゼラックス S— 1085C (保土ケ谷ィ匕学 (株)製)、アイゼラック ス S— 4040N (保土ケ谷化学 (株)製)、ネオタン UE - 5000 (東亞合成 (株)製)、 R U— 40シリーズ (スタール'ジャパン製)、ユーコート UWS— 145 (三洋化成(株)製) 、パーマリン UA— 150 (三洋化成(株)製)、 WF— 41シリーズ (スタール 'ジャパン製 )、 WPC - 101 ( 0本ウレタン工業 (株)製)が挙げられる。
[0057] なお、本発明のブラックインク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂とともに あるいは水溶性ポリウレタン榭脂として、エージングされた水溶性ポリウレタン榭脂組 成物を用いることができる。エージングされたポリウレタン榭脂組成物に関しては、後 段で詳細に説明する。
[0058] 本発明のブラックインク組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂を、榭脂固形分として、 0
. 2重量%以上 10重量%以下含有していることが好ましい。この範囲であると、効果的 にブラックインク組成物の付着性や粘度を低下させることができ、記録物上における 表面欠陥を回避又は抑制できる。また、位相ずれやゴールデンダロスも同時にさらに 効果的に回避又は抑制できる。より好ましくは、 0. 5重量 %以上であり、また、 5重量% 以下である。
[0059] 特に、第 1のブラックインク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分は 0. 2重量%以上 4重量%以下であることが好ましい。この範囲であると、第 1のブラック インク組成物のカーボンブラック濃度域において有効に表面欠陥を回避又は抑制で きる。また、位相ずれも効果的に回避又は抑制できる。より好ましくは、 0. 5重量 %以 上であり、また、 2重量%以下である。 0. 5重量%以上であると、第 1のブラックインク組 成物の形成するインク層に適切な膜厚の榭脂層を付与してゴールデンダロスをより回 避又は抑制できる。 2重量%以下であると、第 1のブラックインク組成物の粘度を適切 な範囲に保持しやすぐ吐出安定性を確保できるからである。さらに好ましくは、 1. 5 重量%以下である。
[0060] また、第 2のブラックインク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分は 1重量%以上 10重量%以下であることが好ましい。この範囲であると、第 2のブラックィ ンク組成物のカーボンブラック濃度域において有効に表面欠陥を回避又は抑制でき る。また、ゴールデンダロスも効果的に回避又は抑制できる。より好ましくは、 2重量% 以上であり、また、 6重量%以下である。 2重量%以上であると、第 2のブラックインク組 成物の形成するインク層に適切な膜厚の榭脂層を付与してゴールデンダロスをより回 避又は抑制でき、 6重量 %以下であると、第 2のブラックインク組成物の粘度を適切な 範囲に保持しやすぐ吐出安定性を確保できるからである。さら〖こ好ましくは、 4重量% 以下である。
[0061] さらに、例えば、第 1のブラックインク組成物と第 2のブラックインク組成物とさらに力 一ボンブラック濃度の高い他のブラックインク組成物(例えば、 1. 5重量 %以上)と組 み合わせて用いる場合、第 1のブラックインク組成物と第 2のブラックインク組成物との 関係では、第 2のブラックインク組成物における水溶性ポリウレタン榭脂の固形分濃 度が第丄の当該固形分濃度よりも高いことが好ましい。カーボンブラックの含有量が
少ないときに水溶性ポリウレタン榭脂の固形分の絶対量が多いと、安定した膜厚の榭 脂膜を備えるインク層を形成できるからである。第 2のブラックインク組成物の水溶性 ポリウレタン榭脂の榭脂固形分濃度は、第 1のブラックインク組成物の同榭脂の固形 分濃度の 2倍以上であることが好ましぐより好ましくは、 3倍以上である。第 1のブラッ クインク糸且成物と第 2のブラックインク糸且成物とのカーボンブラック濃度差を考慮すれ ば、当該濃度比が 2倍以上であると、カーボンブラック濃度に関わらず、安定した膜 厚の榭脂膜を形成でき、それぞれの組成物において効果的に記録物上の表面欠陥 、位相ずれやゴールデンダロスを回避又は抑制できる。
[0062] また、第 1のブラックインク組成物において、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分は、力 一ボンブラック含有量の 0.67倍以上 2. 5倍以下であることが好ましい。この範囲の 濃度比であると、位相ずれを回避又は抑制しつつ、記録物上の表面欠陥を抑制でき る。より好ましくは、 1. 0倍以上であり、さらに好ましくは 1. 2倍以上である。また、より 好ましくは 2. 0倍以下であり、さらに好ましくは 1. 6倍以下である。
[0063] また、第 2のブラックインク組成物にぉ 、て、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分は、力 一ボンブラック含有量の 7. 5倍以上であることが好ましい。 7. 5倍以上であると、ゴー ルデンダロスを回避又は抑制しつつ記録物上の表面欠陥を抑制できる。より好ましく は、 10倍以上であり、さらに好ましくは 12倍以上であり、最も好ましくは 13倍以上で ある。
[0064] (微粒子ェマルジヨン)
本発明のブラックインク組成物は、微粒子ェマルジヨンを含有してもよい。本発明の ブラックインク組成物が含有することのできる微粒子ェマルジヨンは、分散媒が水であ り、分散質がポリマー微粒子である水系分散液の形態を採ることができる。この微粒 子ェマルジヨンに含まれるポリマー微粒子の最低造膜温度 (MFT)は、特に限定され るものではないが、好ましくは 25°C以下、より好ましくは 0〜25°C、更に好ましくは 10 〜20°Cである。 MFTは、 JIS K 6800〖こ従って測定される。 MFTが前記範囲内の ェマルジヨンを含有する本発明に係るインク組成物を用いて記録媒体に印字すること により、室温下で印字面を被覆する保護膜が自動的に形成される。
[0065] 微粒子ェマルジヨンに含有される前記ポリマー微粒子のガラス転移温度 (Tg)は、
該ェマルジヨンの MFTを前記範囲内に調整する観点から、 15〜10°Cであること が好ましぐ 5〜5°Cであることが更に好ましい。 Tgは、 JIS K6900に従って測定さ れる。ェマルジヨンの MFTを前記範囲内に調整するその他の方法としては、市販の MFT降下剤を使用する方法を挙げることができる。
[0066] 前記ポリマー微粒子は、インク組成物中における分散安定性の観点から、その平 均粒子径が 5〜200nmであることが好ましぐ 5〜: LOOnmであることが更に好ましい
[0067] また、前記ポリマー微粒子は、親水性部分と疎水性部分とを有するものが好ま 、 。前記ポリマー微粒子の構造は、単相構造、複相構造 (コアシェル構造)等のいずれ でもよい。該コアシェル構造は、異なる 2種以上のポリマーが相分離して存在する構 造であればよぐ例えば、シェル部がコア部を完全に被覆している構造、シェル部が コア部の一部を被覆している構造、シェル部ポリマーの一部がコア部ポリマー内にド メイン等を形成している構造、コア部とシェル部の中間に更にもう一層以上、組成の 異なる層を含む 3層以上の多層構造であってもよ 、。
[0068] 前記ポリマー微粒子として、前記コアシェル構造のものを用いる場合、コア部がェポ キシ基を有するポリマーからなり、シェル部がカルボキシル基を有するポリマー力もな るものが好ましい。インク組成物に、このようなポリマー微粒子を含有させることにより 、前記保護膜の形成時に、前記コア部のエポキシ基と前記シェル部のカルボキシル 基とが結合して網目構造を形成するので、該保護膜の強度を向上させることができる
[0069] また、前記ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビュルモノマーに由 来する構造を 1重量%以上 10重量%以下有し、且つ重合可能な二重結合を好ましく は 2つ以上、更に好ましくは 3つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造 (架橋性モノマーに由来する構造)を 0. 2重量%以上 4重量%以下有するものが好 ましい。インク組成物に、このようなポリマー微粒子を含有させることにより、ノズルプレ ート表面が該インクにより濡れ難くなるので、該インク液滴の飛行曲がりを防止するこ とができ、吐出安定性をより向上させることができる。
[0070] 前記カルボキシル基を有する不飽和ビュルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、ィタコン酸、フマル酸、マレイン酸等を挙げることができ、特にメタクリル 酸が好ましい。
[0071] 前記架橋性モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールアタリレート、トリェチ レングリコールジアタリレート、 1, 3—ブチレングリコールジアタリレート、 1, 6—ブチレ ングリコールジアタリレート、 1, 6—へキサンジオールジアタリレート、ネオペンチルグ リコールジアタリレート、 1, 9ーノナンジオールジアタリレート、ポリプロピレングリコー ルジアタリレート、 2, 2'—ビス(4—アタリロキシプロピロキシフエ-ル)プロパン、 2, 2 —ビス(4—アタリ口キシジエトキシフエ-ル)プロパン等のジァクリレートイ匕合物;トリメ チロールプロパントリアタリレート、トリメチロールェタントリアタリレート、テトラメチロー ルメタントリアタリレート等のトリアタリレートイ匕合物;ジトリメチロールテトラアタリレート、 テトラメチロールメタンテトラアタリレート、ペンタエリスリトールテトラアタリレート等のテ トラアタリレートイ匕合物;ジペンタエリスリトールへキサアタリレート等のへキサアタリレ ート化合物;エチレングリコールジメタタリレート、ジエチレングリコールジメタタリレート 、トリエチレングリコールジメタタリレート、ポリエチレングリコールジメタタリレート、 1, 3 ーブチレングリコールジメタタリレート、 1, 4ーブチレングリコールジメタタリレート、 1, 6—へキサンジオールジメタタリレート、ネオペンチルグリコールジメタタリレート、ジプ ロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタタリレート、ポリブチ レングリコールジメタクリレート、 2, 2 '—ビス(4ーメタクリロキシジエトキシフエ-ル)プ 口パン等のジメタクリレートイ匕合物;トリメチロールプロパンメタタリレート、トリメチロール ェタントリメタクリレート等のトリメタクリレートイ匕合物;メチレビスアクリルアミド、ジビュル ベンゼン等を挙げることができる。
[0072] 前記ポリマー微粒子は、前記ェマルジヨンとして、本発明に係るインク組成物に含 有される力 該ェマルジヨンは、公知の乳化重合により製造することができる。例えば
、不飽和ビュルモノマーを、界面活性剤 (乳化剤)、重合触媒、重合開始剤、分子量 調整剤及び中和剤等の存在下、水中で乳化重合させることにより、前記ポリマー微 粒子の前記ェマルジヨンが製造される。
[0073] 前記不飽和ビュルモノマー(前記ポリマー微粒子を構成するモノマー)としては、一 般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモ
ノマ一類、芳香族ビュルモノマー類、ビュルエステルモノマー類、ビ-ルシアン化合 物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、ォレフィンモノマー類及びジェンモノマー類 等を挙げることができる。具体的には、メチルアタリレート、ェチルアタリレート、イソプ 口ピルアタリレート、 n—ブチルアタリレート、イソブチルアタリレート、 n—ァミルアタリレ ート、イソアミルアタリレート、 n—へキシルアタリレート、 2—ェチルへキシルアタリレー ト、ォクチルアタリレート、デシルアタリレート、ドデシルアタリレート、ォクタデシルアタリ レート、シクロへキシルアタリレート、フエ-ルアタリレート、ベンジルアタリレート、グリシ ジルアタリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタタリレート、ェチルメタタリレート 、イソプロピノレメタタリレート、 n—ブチノレメタタリレート、イソブチノレメタタリレート、 n—ァ ミルメタタリレート、イソアミルメタタリレート、 n—へキシルメタタリレート、 2—ェチルへ キシルメタタリレート、ォクチルメタタリレート、デシルメタタリレート、ドデシルメタクリレ ート、ォクタデシルメタタリレート、シクロへキシルメタタリレート、フエ-ルメタタリレート 、ベンジルメタタリレート、グリシジルメタタリレート等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビ -ル等のビュルエステル類;アクリロニトリル等のビュルシアン化合物類;塩化ビ-リ デン、塩化ビュル等のハロゲン化モノマー類;スチレン、 2—メチルスチレンビニルト ルェン、 tert—ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルァニソール、ビニルナフタレン 等の芳香族ビュル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のォレフィン類; ブタジエン、クロ口プレン等のジェン類;ビニルエーテル、ビニノレケトン、ビニノレピロリド ン等のビュルモノマー類を挙げることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、ァ-オン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスル ホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフエ ートのアンモ-ゥム塩等)及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルェ 一テル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸 エステル、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ ルァミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等)を挙げることができ、これらの 1種又は 2種以上を用いることができる。また、アセチレングリコール [ォレフイン Y並びにサー フィノール 82, 104, 440, 465及び 485 (何れも Air Products andChemicals Inc .製) ]を用いることもできる。
[0075] 前記ェマルジヨン (前記ポリマー微粒子)の製造時にお!、ては、印刷安定性の向上 の観点から、前記乳化重合の際に、前記不飽和ビュルモノマーに加えて、アクリルァ ミド類及び水酸基含有モノマー力 なる群力 選ばれる 1種又は 2種以上を配合する ことが好ましい。該アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド及び N, Ν'—ジメ チルアクリルアミド等を挙げることができ、使用に際しては、これらの 1種又は 2種以上 を用いることができる。また、該水酸基含有モノマーとしては、例えば、 2—ヒドロキシ ェチルアタリレート、 2—ヒドロキシェチルメタタリレート及び 2—ヒドロキシプロピルメタ タリレート等を挙げることができ、これらの 1種又は 2種以上を用いることができる。
[0076] また、前記ポリマー微粒子として、前記コアシェル構造のものを用いる場合、それを 含有するェマルジヨンは、例えば、特開平 4 76004号公報に開示されている方法( 前記不飽和ビニルモノマーの多段階の乳化重合)等により製造することができる。な お、前述したように、コアシェル構造のポリマー微粒子は、そのコア部がエポキシ基を 有するポリマー力もなることが好ましいが、コア部へのエポキシ基の導入方法としては 、例えば、エポキシ基を有する不飽和ビュルモノマーであるグリシジルアタリレート、グ リシジルメタタリレート、ァリルグリシジルエーテル等を他の不飽和ビュルモノマーと共 重合させる方法、あるいは一種以上の不飽和ビニルモノマーを重合させてコア部(コ ァ粒子)を調製する際に、エポキシィ匕合物を同時に添加し、これらを複合化させる方 法等を挙げることができる。特に、前者の方法が、重合の容易さや重合安定性等の 点で好ましい。
[0077] ブラックインク組成物における、微粒子ェマルジヨンの固形分濃度は、 0. 5重量% 以上 20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、 1重量%以上である。また 、より好ましくは 0. 5重量%以上 10重量%以下であることが好ましい。より好ましくは 1 重量%以上である。添加量が 0. 5重量%以上であると、ゴールデンダロス、位相ずれ を抑制して印字品質が得られやすくなり、 10重量%以下であると、インクの保存安定 性や目詰まり回復性を確保することができる。
[0078] また、第 1のブラックインク組成物における前記微粒子ェマルジヨンの固形分濃度 は、 0. 5重量%以上 5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは 3重量%以下 である。また、第 2のブラックインク組成物における微粒子ェマルジヨンの固形分濃度
は、 1重量%以上 10重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、 8重量%以下 である。さらに好ましくは 5重量%以下である。
[0079] 本ブラックインク組成物が微粒子ェマルジヨンを含有するとき、水溶性ポリウレタン 榭脂の固形分と微粒子ェマルジヨンの固形分との合計量は、 0. 5重量%以上 20重 量%以下であることが好ま 、。この範囲であるとブラックインク組成物の粘度を適切 な範囲に維持しやすぐ吐出安定性を確保できるからである。より好ましくは 1重量% 以上であり、さらに好ましくは 1. 5重量%以上である。また、より好ましくは 10重量% 以下であり、さらに好ましくは 8重量%以下である。
[0080] また、第 1のブラックインク組成物が微粒子ェマルジヨンを含有する場合、水溶性ポ リウレタン榭脂の固形分と微粒子ェマルジヨンの固形分との合計量は、 0. 8重量%以 上 10重量%以下であることが好まし 、。この範囲であるとブラックインク組成物の粘 度を適切な範囲に維持しやすぐ吐出安定性を確保できる力もである。より好ましくは 、 1重量%以上であり、さらに好ましくは 1. 5重量%以上である。また、より好ましくは 、 8重量%以下であり、さらに好ましくは 5重量%以下である。
[0081] 第 2のブラックインク組成物が微粒子ェマルジヨンを含有する場合、水溶性ポリウレ タン樹脂の固形分と微粒子ェマルジヨンの固形分との合計量は、 0. 2重量%以上 20 重量%以下であることが好ましい。この範囲であると良好な印字品質と吐出安定性を 確保でき、インクの信頼性も確保できるからである。より好ましくは、 0. 5重量%以上 であり、さらに好ましくは 1重量%以上である。また、より好ましくは、 15重量%以下で あり、さらに好ましく 8重量%以下である。
[0082] 本発明の第 1のブラックインク組成物において、前記微粒子ェマルジヨンの固形分 含有量は、前記カーボンブラックの含有量の 2倍量以上である。上限は特に限定され ないが、前記カーボンブラックの含有量の 10倍量以上になると、吐出不良となってし まう場合がある。前記微粒子ェマルジヨンの含有量力 前記カーボンブラックの含有 量の 2倍量未満になると、位相ずれを充分に抑制することができな!/、。
[0083] また、本発明の第 2のブラックインク組成物において、前記微粒子ェマルジヨンの固 形分含有量は、前記カーボンブラックの含有量の 20倍量以上である。上限は特に限 定されないが、前記カーボンブラックの含有量の 50倍量以上になると、吐出不良とな
つてしまう場合がある。前記微粒子ェマルジヨンの含有量力 前記カーボンブラックの 含有量の 20倍量未満になると、ゴールデンダロスを充分に抑制することができな!/、。
[0084] なお、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分は、微粒子ェマルジヨンの固形分との合計 量の 40重量%以上 80重量%以下とすることができる。 40重量%未満であると、記録 物上の表面欠陥、ゴールデンダロス、位相ずれを抑制又は回避しに《なり、 80重量 %を超えるとブラックインク組成物の粘度を適切は範囲に保持しにくくなり吐出安定 性が確保しに《なるからである。また、第 1のブラックインク組成物においては、水溶 性ポリウレタン榭脂の固形分は、前記合計量の 40重量%以上 60重量%以下である ことが好ましぐ第 2のブラックインク組成物においては、 50重量%以上 80重量%以 下であることが好ましい。また、第 1のブラックインク組成物と第 2のブラックインク組成 物との関係においては、第 2のブラックインク組成物における水溶性ポリウレタン榭脂 の固形分の合計量に対する割合が高 、ことが好ま 、。
[0085] (ポリアルキレン型ェマルジヨン)
ポリマー微粒子を構成する榭脂成分としては、特に、ポリアルキレン系榭脂を用い ることができる。すなわち、本ブラックインク組成物は、ポリアルキレン系榭脂のエマル ジョン(以下、ポリアルキレン型エマルジョンという。)を含有することができる。ポリアル キレン系榭脂としては、ォレフィン系骨格を主体とするポリマーを用いることができる。
[0086] 本発明にお 、てポリアルキレン系榭脂の好まし 、例としては、高密度ポリエチレン、 中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ— 4—メチ ルペンテン一 1、エチレンと α ォレフインとの共重合体、エチレン一プロピレンゴム、 エチレン プロピレン ジェン三元共重合体(EPDM)、エチレン 酢酸ビュル共重 合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、低結晶性エチレン プロピレン共重合体、プロピ レンーブテン共重合体、エチレン ビュルエステル共重合体が挙げられる。これらの 榭脂を二種以上用いることもできる。ポリアルキレン系榭脂としては、ポリエチレン又 はポリプロピレンなどポリオレフイン系榭脂のェマルジヨンが挙げられる。なかでも、ポ リプロピレン系ポリマーが好ましく用いられる。ポリアルキレン系榭脂は、公知の方法 によりェマルジヨンの形態として利用できる。ポリアルキレン型ェマルジヨンは、通常、 水性ェマルジヨンとして本ブラックインク組成物に適用される。
[0087] なお、ポリアルキレン榭脂は、不飽和カルボン酸又はその無水物によって変性され ていてもよい。変性のための不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル 酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、ケィヒ酸、ィタコン酸、シトラコン酸、フマル 酸など;および無水マレイン酸、無水ィタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カル ボン酸無水物が挙げられる。
[0088] 本発明のブラックインク組成物がポリアルキレン型ェマルジヨンを含有する場合、ポ リアルキレン型ェマルジヨンの固形分は、 0. 5重量%以上 10重量%以下であること が好ましい。より好ましくは 1重量%以上である。また、より好ましくは 5重量%以下で あり、さらに好ましくは 3重量%以下である。また、第 1のブラックインク組成物におけ るポリアルキレン型ェマルジヨンの固形分濃度は、 0. 5重量%以上 5重量%以下であ ることが好ましい。より好ましくは 3重量%以下である。また、第 2のブラックインク組成 物におけるポリアルキレン型ェマルジヨンの固形分濃度は、 1重量%以上 10重量% 以下であることが好ましい。より好ましくは、 8重量%以下である。さらに好ましくは 5重 量%以下である。
[0089] また、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分とポリアルキレン型子ェマルジヨンの固形分 との合計量は、 0. 5重量%以上 20重量%以下であることが好ましい。この範囲であ るとブラックインク組成物の粘度を適切な範囲に保持しやすく吐出安定性を確保でき る力らである。より好ましくは 1重量%以上であり、さらに好ましくは 1. 5重量%以上で ある。また、より好ましくは 10重量%以下であり、さらに好ましくは 8重量%以下である
[0090] また、第 1のブラックインク組成物がポリアルキレン型ェマルジヨンを含有する場合、 水溶性ポリウレタン榭脂の固形分とポリアルキレン型ェマルジヨンの固形分との合計 量は、 0. 8重量%以上 10重量%以下であることが好ましい。この範囲であると良好な 印字品質と吐出安定性を確保できるからである。より好ましくは、 1重量%以上であり 、さらに好ましくは 1. 5重量%以上である。また、より好ましくは、 8重量%以下であり 、さらに好ましくは 5重量%以下である。
[0091] 第 2のブラックインク組成物がポリアルキレン型ェマルジヨンを含有する場合、水溶 性ポリウレタン榭脂の固形分とポリアルキレン型ェマルジヨンの固形分との合計量は、
0. 2重量%以上 20重量%以下であることが好ましい。この範囲であると良好な印字 品質と吐出安定性を確保できるからである。より好ましくは、 0. 5重量%以上であり、 さらに好ましくは 1重量%以上である。また、より好ましくは、 15重量%以下であり、さ らに好ましく 8重量%以下である。
[0092] (他の榭脂成分)
また、本発明のブラックインク組成物は、場合によりその他の榭脂成分を含有するこ とがある。その他の榭脂成分とは、ブラックインク組成物の製造に通常用いられる榭 脂成分を意味し、例えば、榭脂系分散剤、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビ- ルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸 アクリル-トリル共重合体、アクリル酸カリ ゥム—アクリル-トリル共重合体、酢酸ビュル アクリル酸エステル共重合体、アタリ ル酸ーアクリル酸エステル共重合体などのアクリル系榭脂、スチレン アクリル酸共 重合体、スチレンーメタクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル酸 アクリル酸エステ ル共重合体、スチレン α—メチルスチレン アクリル酸共重合体、スチレン α— メチルスチレン アクリル酸 アクリル酸エステル共重合体などのスチレン アクリル 榭脂、スチレン マレイン酸共重合体、スチレン 無水マレイン酸共重合体、ビュル ナフタレン アクリル酸共重合体、ビュルナフタレン マレイン酸共重合体、及び酢 酸ビニルーエチレン共重合体、酢酸ビニルー脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸 ビ-ルーマレイン酸エステル共重合体、酢酸ビ-ルーク口トン酸共重合体、酢酸ビ- ルーアクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩、並びに榭脂 系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン アルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシェチレ ンアルキルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルァミン、ポリオキシェチレ ンアルキルアミドなどを挙げることができる。
[0093] (カーボンブラック)
本発明のブラックインク組成物に用いるカーボンブラックとしては、酸化チタン及び 酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって 製造されたカーボンブラックを使用することができる。
[0094] また、本発明にお 、ては、マット系メディアや普通紙の発色性に特に優れると!、う点
で、自己分散型カーボンブラックを用いることもできる。 自己分散型カーボンブラック は、分散剤を用いることなく水性媒体中に分散および Zまたは溶解することが可能な カーボンブラックである。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散および zまたは溶 解」とは、カーボンブラックを分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に安 定に存在している状態をいう。こうした自己分散型カーボンブラックは、表面に多数の 親水性官能基およ
び Zまたはその塩 (以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキル エーテル基、ァリール基等を介して間接的に結合させたものが挙げられる。
[0095] 親水性付与基としては、—COOH、 -CO,—OH、—SO H、 一 PO Hなどの酸
3 3 2 性基及び第 4級アンモ-ゥム並びにそれらの塩が例示できる。
[0096] 自己分散型カーボンブラックは、例えば、カーボンブラック表面に物理的処理また は化学的処理を施すことで、前記分散性付与基または前記分散性付与基を有する 活性種をカーボンブラックの表面に結合 (グラフト)させることによって製造される。前 記物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また前記化学的 処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、 p— ァミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフエ-ル基を介してカルボキシル 基を結合させる方法等が例示できる。
[0097] 本発明においては、次亜ハロゲン酸及び Zまたは次亜ハロゲン酸塩による酸化処 理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料が、高発色と いう点で好ましい。本発明における自己分散型カーボンブラックとしては、典型的に はこうした酸ィ匕処理により前記酸性基又はその塩が導入された酸ィ匕処理カーボンブ ラックが挙げられる。
[0098] 以上説明したことから、本発明において用いるカーボンブラックとしては、具体的に は、三菱ィ匕学(株)製の No. 2300, No. 900, HCF88, No. 33, No. 20B、 No. 40, No. 45, No. 52, MA7, MA8, MA100, No2200B等力 コロンビア社製の Raven5750, Raven5250, Raven5000, Raven3500, Ravenl255, Raven70 0等が、キャボット社製の Regal400R, Regal330R, Regal660R, Mogul L, Mon arch700, Monarch800, Monarch880, Monarch900, MonarchlOOO, Mon
archl lOO, Monarchl300, Monarchl400等が、デグッサ社製の Color BlackF Wl, Color BlackFW2, Color BlackFW2V, Color BlackFW18, Color Black FW200, Color BlackS150, ColorBlackS160, Color BlackS170, Printex 3 5, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black5, SpecialBlack 4A, Special Black 4、 Special Black250等が挙げられる力 これ らに限定
されるものではない。
[0099] カーボンブラックの粒径は、特に限定されるものではないが、 10 μ m以下が好まし ぐ更に好ましくは 0. 1 μ m以下である。また、本発明によるインクセットにおいて、各 ブラックインク組成物が含有するカーボンブラックは、それぞれ同じであることも異なる ことちでさる。
[0100] 本発明の第 1のブラックインク組成物において、カーボンブラックの含有量は、位相 ずれ発生領域の記録に用いることのできる量であり、具体的には、ブラックインク組成 物の全重量に対して 0. 4重量%以上 1. 5重量%未満、より好ましくは、 0. 5重量% 以上 1. 2重量%以下、特には 0. 6重量%以上 1. 0重量%以下である。また、第 2の ブラックインク組成物におけるカーボンブラックの含有量は、 GG発生領域の記録に 用いることのできる量であり、具体的には、ブラックインク糸且成物の全重量に対して 0. 4重量%未満、特には、 0. 01重量%以上で 0. 4重量%未満、好ましくは 0. 05重量 %以上 0. 3重量%以下、より好ましくは、 0. 1重量%以上 0. 25重量%以下である。
[0101] また、本発明のブラックインク組成物は、カーボンブラックが本来的に有している帯 色性 (濃色部における帯赤性、又は、特には淡色部における帯黄性)を無彩色化す るための補色用の着色剤を含有することもできる。補色用の着色剤とは、ブラックイン クによる記録画像に生じる帯色を低減ないし解消して無彩色の画像を得るためにブ ラックインク組成物中に含有させる着色剤を意味し、例えば、カラーインデックス'ビグ メントブルー 60 (C. I. PB60)、カラーインデックス'ビグメントブルー 15 : 3、及びカラ 一インデックス ·ビグメントブルー 15: 4などを挙げることができる。
[0102] 前記ビグメントブルー 60は、カーボンブラック含有量 0. 01重量%以上 1重量%以 下のブラックインク組成物に用いることが好ましぐその含有量は、特に限定されるも
のではないが、例えば、前記ブラックインク組成物の全重量に対して、 0. 01-0. 5 重量%の量であることが好ましい。また、前記ビグメントブルー 15 : 3及びピグメントブ ルー 15 :4は、カーボンブラック含有量 1重量%以上 10重量%以下のブラックインク 組成物に用いることが好ましぐその含有量も、特に限定されるものではないが、例え ば、前記ブラックインク糸且成物の全重量に対して、 0. 1重量部以上 5重量部以下であ ることが好ましい。
[0103] (ブラックインク組成物の組成と製造方法)
本発明のブラックインク組成物は、従来公知のブラックインク組成物と同様の配合 成分を含む水系インクとして調製することができる。また、従来公知の各種の記録方 法用インクとして利用することができ、好ましくはインクジェット記録用インクとして利用 することができる。
[0104] 以下に、本発明のブラックインク組成物力インクジェット記録用であり、特に、水系ィ ンク組成物である場合の上記以外の成分とインクの製造方法について簡単に説明す る。
[0105] 本発明のブラックインク糸且成物にぉ 、て、カーボンブラックは、例えば、分散剤で水 性媒体中に分散させた顔料分散液としてインク組成物に添加するのが好ましい。顔 料分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調製する のに用いられて!/ヽる分散剤、例えば高分子分散剤や界面活性剤を使用することがで きる。
[0106] 本発明のブラックインク組成物に含有される分散剤の量は特に限定されるものでは ないが、好ましくは 0. 01重量%以上 10重量%以下、より好ましくは 0. 1重量%以上 5重量%以下の範囲である。分散剤の含有量が 0. 01重量%未満になると界面活性 効果が十分に得られず、 10重量%を超えると結晶の析出、液晶の形成、あるいは顔 料の安定性低下などによる吐出不良の原因となる場合が認められる。
[0107] 分散剤としては、慣用の界面活性剤の他、顔料分散液を調製するのに慣用されて いる分散剤、例えば高分子分散剤を好適に使用することができる。なお、この顔料分 散液に含まれる分散剤がブラックインク組成物の分散剤及び界面活性剤としても機 能するであろうことは当業者に明らかであろう。より好ましい分散剤としては、高分子
分散剤、特に榭脂分散剤を使用することができる。高分子分散剤の好ましい例として は天然高分子を挙げることができる。その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼィ ン、又はアルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、又はトラガントゴムなどの天然 ゴム類、サボニンなどのダルコシド類、アルギン酸、あるいはアルギン酸プロピレンダリ コールエステル、アルギン酸トリエタノールァミン、又はアルギン酸アンモ-ゥムなどの アルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシェチ ルセルロース、又はェチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などを挙げ ることがでさる。
[0108] また、高分子分散剤の好ま 、例としては合成高分子も挙げられる。その具体例と しては、ポリビュルアルコール類、ポリビュルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸 アクリル-トリル共重合体、アクリル酸塩—アクリル-トリル共重合体、酢酸ビュル アクリル酸エステル共重合体、又はアクリル酸 アクリル酸エステル共重合体などの アクリル系榭脂、スチレン アクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル酸共重合体、 スチレンーメタクリル酸一アクリル酸エステル共重合体、スチレン α—メチルスチレ ン—アクリル酸共重合体、又はスチレン α—メチルスチレン アクリル酸 アクリル 酸エステル共重合体などのスチレン アクリル榭脂、スチレン マレイン酸共重合体
、スチレン 無水マレイン酸共重合体、イソブチレン マレイン酸榭脂、ロジン変性マ レイン酸榭脂、ビュルナフタレン アクリル酸共重合体、ビュルナフタレン マレイン 酸共重合体、あるいは、酢酸ビニルーエチレン共重合体、酢酸ビニルー脂肪酸ビニ ルエチレン共重合体、酢酸ビ-ルーマレイン酸エステル共重合体、酢酸ビ-ルーク 口トン酸共重合体、又は酢酸ビニル アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重 合体及びそれらの塩を挙げることができる。これらの中でも、スチレン アクリル酸共 重合体、スチレンーメタクリル酸共重合体、アクリル酸 アクリル酸エステル共重合体 、及びスチレン 無水マレイン酸共重合体が前記分散剤として好ま U 、。
[0109] また、榭脂分散剤としては、市販のものを使用することができ、その具体例としては 、ジョンソンポリマー株式会社製、ジョンクリル 68 (分子量 10000、酸価 195)、ジョン クリル 61J (分子量 10000、酸価 195)、ジョンクリル 680 (分子量 3900、酸価 215)、 ジョンクリル 682 (分子量 1600、酸価 235)、ジョンクリル 550 (分子量 7500、酸価 20
0)、ジョンクリル 555 (分子量 5000、酸価 200)、ジョンクリル 586 (分子量 3100、酸 価 105)、ジョンクリル 683 (分子量 7300、酸価 150)、ジョンクリル B— 36 (分子量 68 00、酸価 250)等を挙げることができる。
[0110] 本発明のブラックインク組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性 剤の具体例としては、ァ-オン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸 ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフエ ートのアンモ-ゥム塩など)、ノ-オン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアル キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン 脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフエ-ルエーテル、ポリオキシエチレン アルキルァミン、又はポリオキシエチレンアルキルアミドなど)、両性界面活性剤(例え ば、 N, N ジメチル— N アルキル— N カルボキシメチルアンモ -ゥムベタイン、 N, N ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩、 N, N、 N トリアルキル— N—ス ルホアルキレンアンモ-ゥムベタイン、 N, N ジアルキル N, N—ビスポリオキシェ チレンアンモ-ゥム硫酸エステルべタイン、又は 2—アルキル 1 カルボキシメチル - 1—ヒドロキシェチルイミダゾリ-ゥムベタイン)等を挙げることができ、これらは単独 で又は二種以上を組合せて使用することができる。
[0111] この添カ卩によってブラックインク組成物の記録媒体への浸透性を向上することができ
、種々の記録媒体においてにじみの少ない記録を期待することができる。本発明で 用いるブラックインク組成物にぉ 、て用いられるアセチレングリコール系界面活性剤 の好ましい具体例としては、一般式(1):
(式中、 0≤m+n≤50であり、 R1, R 、 R、及び R4はそれぞれ独立したアルキル基 、好ましくは炭素数 6以下のアルキル基である)で表わされる化合物を挙げることがで きる。
[0112] 前記一般式(1)で表される化合物の中で、特に好ましくは 2, 4, 7, 9ーテトラメチル ー5—デシン—4, 7—ジオール、 3, 6—ジメチルー 4ーォクチン—3, 6—ジオール、 3, 5—ジメチルー 1一へキシン— 3オールなどを挙げることができる。前記一般式(1) で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能で あり、その具体例としてはサーフィノール 104、 82、 465、 485、又は TG (いずれも Ai r Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、オルフイン STG、オノレフイン El 010 ( 、ずれも日信化学社製の商品名)を挙げることができる。
[0113] 本発明のブラックインク組成物は、一般式(2):
(式中、 R
U〜R
17は、独立して、 C1— 6アルキル基を表し、 j及び kは、独立して、 1以 上の整数を表し、 EOはエチレンォキシ基を表し、 POはプロピレンォキシ基を表し、 s 及び tは 0以上の整数を表す力 但し s + tは 1以上の整数を表し、 EO及び POは、 [ ] 内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい)で表され るシリコーン系界面活性剤を含むのが好ましい。この添カ卩によってブラックインク組成 物の記録媒体への浸透性を向上することができる。
[0114] 前記一般式(2)で表されるシリコーン系界面活性剤において好ましい化合物は、前 記一般式(2)において、 RU〜R17が、独立して、 C1— 6アルキル基、より好ましくはメ チル基であり、 j及び k力 独立して、 1以上の整数、より好ましくは 1〜2であり、 s及び tは 0以上の整数を表す力 但し s+tが 1以上の整数、より好ましくは s+tは 2〜4であ る化合物である。
[0115] 前記一般式(2)で表されるシリコーン系界面活性剤にお 、て特に好ま U、化合物 は、前記式(2)において、 j及び kが同じ数であり、しかも 1〜3、特には 1又は 2である 化合物であり、更に好ましい前記一般式(2)で表される化合物の、 Rn〜R17は全てメ チル基を表し、 jが 1を表し、 kが 1を表し、 uが 1を表し、 sが 1以上の整数、特には 1〜 5の整数を表し、 tが 0を表すィ匕合物である。
[0116] 前記一般式(2)で表されるシリコーン系界面活性剤の添加量は適宜決定されてよ いが、本発明で用いるブラックインク組成物の全重量に対して 0. 03〜3重量%が好 ましぐより好ましくは 0. 1〜2重量%程度であり、更に好ましくは 0. 3〜1重量%程度 である。
[0117] 前記一般式(2)で表されるシリコーン系界面活性剤は市販されており、それを利用 することが可能である。例えば、ビックケミー 'ジャパン株式会社より市販されているシ リコーン系界面活性剤 BYK— 347又は BYK— 348が利用可能である。
[0118] 界面活性剤の含有量が 0. 01重量%未満になると界面活性効果が十分に得られ ず、 10重量%を超えると結晶の析出、液晶の形成、あるいは顔料の安定性低下など による吐出不良の原因となる場合が認められる。
[0119] 各ブラックインク組成物に添加される水溶性有機溶媒の含有量は、ブラックインク組 成物の全重量に対して、好ましくは 0. 5重量%以上 40重量%以下程度であり、より
好ましくは 2重量%以上 30重量%以下である。前記の水溶性有機溶媒としては、通 常の水性顔料インク組成物に配合される水溶性有機溶媒を用いることができ、具体 的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコ ール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコーノレ、 1, 2, 6—へキサントリオール、チ オダリコール、へキシレンダリコール、グリセリン、トリメチロールェタン、若しくはトリメチ ロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノェチルエーテル、 エチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、 ジエチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ 、トリェチエレングリコーノレモノメチノレエーテル、トリエチレングリコーノレモノェチノレエー テル、若しくはトリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのァ ルキルエーテル類;あるいは、 2—ピロリドン、 N—メチル—2—ピロリドン、 1, 3—ジメ チル一 2—イミダゾリジノン、又はトリエタノールアミンを挙げることができる。
[0120] また、本発明のブラックインク組成物は、防腐剤、金属イオン捕獲剤、及び Z又は 防鲭剤を更に含有するのが好ましい。ここで、防腐剤は、アルキルイソチアゾロン、ク ロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、ォキサ ゾリジン系化合物、及びクロルキシレノールカ なる群力 選択された 1種以上の化 合物が好ましぐ金属イオン捕獲剤は、エチレンジァミン四酢酸塩が好ましぐ防鲭剤 は、ジシクロへキシルアンモ-ゥムニトラート及び/又はベンゾトリアゾールが好ましく 用いられる。
[0121] その他、インク成分の溶解性を向上させ、更に記録媒体、例えば、紙に対する浸透 性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止する成分として、エタノール、メタノー ル、ブタノール、プロパノール、又はイソプロパノールなどの炭素数 1〜4のアルキル アルコール類、ホルムアミド、ァセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタ ン、ァセチン、ジァセチン、トリァセチン、スルホランなどを挙げることができ、これらを 適宜選択して使用することができる。
[0122] また、 pH調整剤、ジエタノールァミン、トリエタノールァミン、プロパノールァミン、モ ルホリンなどのアミン類及びそれらの変成物、水酸ィ匕カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化リチウムなどの無機水酸ィ匕物、水酸ィ匕アンモ-ゥム、 4級アンモ-ゥム塩 (テトラメ チルアンモ -ゥムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類 、その他、燐酸塩などを挙げることができる。その他の添加剤として、尿素、チォ尿素 、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネー ト類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのピウレット類など、 L —ァスコルビン酸及びその塩、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いること ができる。
[0123] また、本発明のブラックインク組成物は、表面張力が 45mNZm以下であることが 好ましぐ更に好ましくは、 25〜45mNZmの範囲である。表面張力が 45mNZmを 越えると、印字の乾燥性が悪くなり、滲みが発生しやすくなり、カラーブリードが発生 する等のため、良好な記録画像が得られにくい。また、表面張力が 25mNZm未満 では、プリンタヘッドのノズル周囲が濡れやすくなるためにインク滴の飛行曲がりが発 生する等、吐出安定性に問題が生じ易い。上記表面張力は、通常に用いられる表面 張力計によって測定することができる。インクの表面張力は、インクを構成する各成分 の種類や組成比などを調整することにより上記範囲内とすることができる。本発明の インクジェット記録用インクセットに含まれる第 1のブラックインク組成物及び第 2のブ ラックインク組成物は、通常の方法で調製することができる。
[0124] 更に、本発明のブラックインク組成物は、 pH調整剤として三級アミンを含有すること が好ましい。本発明のブラックインク組成物に添加することができる三級アミンは、トリ メチルァミン、トリエチルァミン、トリエタノールァミン、ジメチルエタノールァミン、ジェ チルエタノールァミン、トリイソプロペノールァミン、ブチルジェタノールアミン等を挙げ ることができる。これらは、単独で使用しても併用しても構わない。これら三級ァミンの 本発明のブラックインク組成物への添加量は、 0. 1重量%以上 10重量%以下、より 好ましくは、 0. 5重量%以上 5重量%以下である。
[0125] また、本発明のブラックインク組成物には、浸透促進剤、糖、及び Z又はアルギン 酸誘導体を含有させることもできる。前記浸透促進剤としては、例えば、多価アルコ ールの炭素数 3以上のアルキルエーテル誘導体、例えば、ジエチレングリコールモノ ブチノレエーテノレ、トリエチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモ
ノブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることが でき、これらの 1種又は 2種以上を用いることができる。糖の例としては、単糖類、二糖 類、オリゴ糖類 (三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類を挙げることができ、好ましく はグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、ァラビノース、ガラタト ース、アルドン酸、グルシトール、 (ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラタトース、 スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などを挙げることができる。ここで、多糖類 とは広義の糖を意味し、アルギン酸、 α—シクロデキストリン、セルロースなど自然界 に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体とし ては、
前記した糖類の還元糖 (例えば、糖アルコール(一般式 HOCH2 (CHOH) nCH20 H (ここで、 nは 2〜5の整数を表す)で表される)、酸ィ匕糖 (例えば、アルドン酸、ゥロン 酸など)、アミノ酸、チォ糖などを挙げることができる。特に糖アルコールが好ましぐ 具体例としてはマルチトール、ソルビットなどを挙げることができる。また、市販品とし て HS - 500又は HS - 300 (林原生物化学研究所製)等を用いることができる。これ ら糖類の添加量は 0. 1〜40重量%程度が好ましぐより好ましくは 1〜30重量%程 度である。
[0126] アルギン酸誘導体の好まし 、例としては、アルギン酸アルカリ金属塩 (例えば、ナト リウム塩、カリウム塩)、アルギン酸有機塩 (例えば、トリエタノールァミン塩)、アルギン 酸アンモ-ゥム塩、等を挙げることができる。このアルギン酸誘導体のブラックインク 組成物への添加量は、好ましくは 0. 01〜1重量%程度であり、より好ましくは 0. 05 〜0. 5重量%程度である。アルギン酸誘導体の添カ卩により良好な画像が得られる理 由は明確ではないが、反応液に存在する多価金属塩が、ブラックインク組成物中の アルギン酸誘導体と反応し、着色剤の分散状態を変化させ、着色剤の記録媒体への 定着が促進されることに起因するものと考えられる。本発明のブラックインク組成物に は、その他、必要に応じて、防腐剤、防かび剤、及び Z又はリン系酸化防止剤等を 添カロすることちでさる。
[0127] 本発明のブラックインク組成物は、常法によって調製することができ、例えば、前記 の各成分を適当な方法で分散、及び混合することによって製造することができる。好
ましくは、まず、顔料と高分子分散剤とイオン交換水とを適当な分散機 (例えば、ボー ルミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コ ロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔 料分散液を調製する。次いで、前記の微粒子ェマルジヨン〔特には、 pH調整榭脂ェ マルジヨン、ポリアルキレン型ェマルジヨン〕、イオン交換水、水溶性有機溶媒、防腐 剤、及び Z又は防黴剤等を常温で充分に攪拌してインク溶媒を調製する。このインク 溶媒を適当な分散機で攪拌した状態のところに前記顔料分散液を徐々に滴下して 充分に攪拌する。充分に攪拌した後に、 目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を 除去するために濾過を行って目的のブラックインク組成物を得ることができる。なお、 前記のポリアルキレン型ェマルジヨンは、市販のものを使用することができる。例えば
、ビックケミ一'ジャパン株式会社より市販されている AQ593や AQ513又は PEM— 17を利用することができる。
(インクセット)
上記した各種態様のブラックインク組成物は、当該ブラックインク組成物のカーボン ブラック濃度とは異なるカーボンブラック濃度のブラックインク組成物の 1種又は 2種 以上を含むインクセットを構成することができる。第 1のブラックインク組成物及び/又 は第 2のブラックインク糸且成物は、カーボンブラック濃度のさらに高い他のブラックイン ク組成物を組み合わせることができる。当該他のブラックインク組成物としては、カー ボンブラック濃度が 1. 5重量%以上のブラックインク組成物が挙げられる。より好まし くは、カーボンブラック濃度が 2重量%以上のブラックインク組成物である。このブラッ クインク組成物は、好ましくは、カーボンブラック濃度が 6重量%未満であり、また、力 一ボンブラックは自己分散型でないカーボンブラックである。また、当該他のブラック インク糸且成物としては、カーボンブラック濃度が 6重量%以上のブラックインク糸且成物 であり、好ましくは、既に説明した自己分散型カーボンブラックを含有するブラックィ ンク糸且成物が挙げられる。当該他のブラックインク糸且成物としては、カーボンブラック 濃度が 1. 5重量%以上 6重量%未満のブラックインク糸且成物とカーボンブラック濃度 力 S6重量%以上のブラックインク組成物との双方を含んで 、てもよ 、し、 V、ずれか一 方を含んでいてもよい。
[0129] 本発明のインクセットの好ましい態様は、本発明のブラックインク組成物である第 1 のブラックインク糸且成物と第 2のブラックインク糸且成物とのほ力 カーボンブラック濃度 が 1. 5重量%以上 (好ましくは 6重量%未満であり、また、自己分散型でないカーボ ンブラックを含有する)のブラックインク組成物とを含有するインクセットである。このィ ンクセットによれば、位相ずれ及び GGが回避又は抑制されるとともに、記録物上の 表面欠陥も回避又は抑制されて、高画質なモノクロ画像やグレースケール画像を有 する記録物を得ることができる。また、こうした態様によれば、特に、光沢性媒体にお V、て上記した効果とともに優れた光学濃度とグレーバランスを得ることができる。
[0130] 本発明のインクセットの他の好ましい態様は、本発明のブラックインク組成物である 第 1のブラックインク糸且成物と第 2のブラックインク糸且成物とのほ力 カーボンブラック 濃度が 6重量%以上 (好ましくは自己分散型カーボンブラック)のブラックインク組成 物とを含有するインクセットである。
このインクセットによれば、特に、マット紙などの非光沢性媒体において、高画質なモ ノクロ画像やグレースケール画像と、優れた光学濃度とグレーバランスとを得ることが できる。
[0131] 本発明のインクセットのさらに他の好ましい態様は、本発明のブラックインク組成物 である第 1のブラックインク組成物と第 2のブラックインク組成物とのほ力、カーボンブ ラック濃度が 1. 5重量%以上 (好ましくは 6重量%未満であり、また、自己分散型でな いカーボンブラックを含有する)のブラックインク組成物と、カーボンブラック濃度が 6 重量%以上 (好ましくは自己分散型カーボンブラック)のブラックインク組成物とを含 有するインクセットである。このインクセットによれば、媒体の種類に応じて他のブラッ クインク組成物を切替え使用することで上記した双方の態様の効果を得ることができ 、媒体の光沢性に関わらず上記効果とともに良好な光学濃度とグレーバランスの記 録画像を得ることができる。
[0132] 本発明のインクセットは、モノクロ記録用のインクセット又はカラー記録用のインクセ ットであることができる。モノクロ記録用の場合には、複数種類のブラックインク組成物 からインクセットが構成される。各ブラックインク組成物は、それぞれ適切な補色用着 色剤を含むことができるし、モノクロ記録用インクセットに、例えば、補色を印刷するこ
とが可能なカラーインク組成物、例えば、ライトマゼンタとライトシアンの組合せ、ライト マゼンタとライトシアンとイェローの組合せのカラーインク組成物を含めることもできる
[0133] (カラー記録用インクセット)
カラー記録用インクセットの場合には、ブラックインク組成物のほかに、シアン、マゼ ンタ、イェロー等の有彩色のカラーインク組成物からインクセットが構成される。典型 的な本発明によるインクセットとしては、例えば、イェローインク糸且成物、シアンインク 組成物、マゼンタインク組成物、第 1のブラックインク組成物及びさらに高濃度のカー ボンブラックを含有するブラックインク糸且成物を加えて 5色のインクセット;前記 5色イン クセットにライトシアンインク組成物及びライトマゼンタインク組成物をカ卩えた 7色のィ ンクセット;前記 7色インクセットにダークイェローインク糸且成物をカ卩えた 8色のインクセ ット;前記 5色インクセットにレッドインク組成物、グリーンインク組成物、及びブルーィ ンク組成物をカ卩えた 8色のインクセット;前記 5色インクセットにオレンジインク組成物、 グリーンインク組成物、及びブルーインク組成物をカ卩えた 8色のインクセット;並びに 前記 5色インクセットにオレンジインク組成物、グリーンインク組成物、及びバイオレツ トインク糸且成物をカ卩えた 8色のインクセット;並びに、前記の各インクセットに第 2のブラ ックインク組成物をカ卩えたインクセット;を挙げることができる。
[0134] なお、「ライトマゼンタ」及び「ライトシアン」の各インク組成物とは、一般的には、濃度 変調による記録画像の画質向上を目的に、それぞれマゼンタインク組成物、及びシ アンインク組成物の色材濃度を低くしたインク組成物である。また、「ダークイェロー」 のインク組成物とは、シャドー部等の暗色に対する色再現性を向上させる目的で、ィ エローインク組成物よりも明度.彩度の低 ヽ色材 (顔料)を用いたイェローインク組成 物である。そして、「レッド」、「オレンジ」、「グリーン」、「ブルー」、及び「バイオレット」 の各インク組成物は、色再現範囲を向上させるために、イェロー、マゼンタ、シアンの 中間色を構成する要素として使用されるインク組成物である。
[0135] (カラーインク組成物)
本発明のインクセットに用いる各種カラーインク組成物及び本発明のインクセットと 独立して用いるカラーインク組成物にぉ 、ても、上記した水溶性ポリウレタン榭脂及
びエージングされた水溶性ポリウレタン榭脂組成物を用いることができる。すなわち、 ブラック以外の有彩色顔料を含有するカラーインク組成物であれば、水溶性ポリウレ タン榭脂及びエージングされた水溶性ポリウレタン榭脂組成物を用いることは有効で ある。そして、本発明のブラックインク組成物と同様、濃度の異なるマゼンタインク組 成物(マゼンタ、ライトマゼンタ)及び濃度の異なるシアンインク組成物(シアン、ライト シアン)について、組成物に含まれる顔料濃度に応じて、上記水溶性ポリウレタン榭 脂等の濃度を設定することができる。なお、ライトマゼンタインク組成物やライトシアン インク組成物は、それぞれ通常のマゼンタインク組成物及びシアンインク組成物と組 み合わせて用いることができる。
[0136] 例えば、ライトカラーインク組成物として有彩色顔料濃度が 0. 5wt%以上 1. 5wt% 未満の水性インク組成物が挙げられる。有彩色顔料の含有量が 0. 5wt%以上 1. 5 wt%未満のライトカラーインク組成物としては、例えば、水溶性ポリウレタン榭脂の固 形分含有量が前記有彩色顔料の含有量の 0. 67倍以上 2. 5倍以下とすることができ る。また、このライトカラーインク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂固形分量 が 0. 3wt%以上 4wt%以下とすることができる。こうしたライトカラーインク組成物で は、水溶性ポリウレタン榭脂を主要榭脂とするため、エージングした水溶性ポリウレタ ン榭脂を用いることが効果的である
[0137] なお、こうしたライトカラーインク組成物と組み合わせて使用されることもある力ラーイ ンク組成物は、有彩色顔料の含有量が 1. 5wt%以上 7wt%未満とすることができる 。こうしたカラーインク組成物においては、例えば、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分 含有量が前記有彩色顔料の含有量の 0. 04倍以上 0. 35倍以下とすることができる 。また、このカラーインク糸且成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂固形分量が 0. 0 5wt%以上 2. 5wt%以下であってもよい。こうしたカラーインク糸且成物であっても、水 溶性ポリウレタン榭脂を主要榭脂とするため、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂 を用いることが効果的である。
[0138] 顔料濃度に応じて水溶性ポリウレタン榭脂及び Z又はエージングされた水溶性ポリ ウレタン榭脂糸且成物を用いることにより、表面光沢度が印字デューティに関わらず安 定したインク組成物、すなわち、光沢ムラが回避又は抑制されたインク組成物を得る
ことができる。光沢ムラが大きいインクで記録すると、記録画像上において打ち込み 量が多!、領域と少な 、領域とで光沢レベルが相違するために、画像が沈んで見えた り周囲と違和感が生じてしまったりする。したがって、光沢ムラが改善されたインク組 成物を用いることで、このような問題のない良好な画像を得ることができる。特に、顔 料濃度の低いカラーインク組成物において、光沢ムラが出現しやすいため、顔料濃 度の低 、カラーインク組成物にお 、て有効である。
[0139] こうしたカラーインク組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂ゃエージングされた水溶性 ポリウレタン榭脂組成物以外にも、本発明のブラックインク組成物と同様のインク構成 成分を用いることができ、同様に製造することができる。
[0140] なお、イェローインク組成物に使用される顔料としては、 C. I.ビグメントイエロー 1、 2、 3、 12、 13、 14、 16、 17、 73、 74、 75、 83、 93、 95、 97、 98、 109、 110、 114、 128、 129、 138、 150、 151、 154、 155、 180、 185等を挙げ、ること力 Sでき、好ましく ίま C. I.ビグメン卜イエ ρ— 74、 109、 110、 128及び 138力らなる群力ら選択される 1 種又は 2種以上の混合物である。
[0141] また、マゼンタインク組成物及びライトマゼンタインク組成物に使用される顔料として は、 C. I.ビグメントレッド、 5、 7、 12、 48 (Ca)、 48 (Mn)、 57 (Ca)、 15 : 1、 112、 1 22、 123、 168、 184、 202、 209及び C. I.ピグメントノィォレット 19等を挙げ、ること ができ、好ましくは C. I.ビグメントレッド 122、 202、 209及び C. I.ビグメントバイオレ ット 19からなる群力 選択される 1種又は 2種以上の混合物である。
[0142] さらに、シアンインク組成物及びライトシアンインク組成物に使用される顔料としては 、 C. I.ビグメントブルー 1、 2、 3、 15 : 3、 15 :4、 15 : 34、 16、 22、 60及び C. I.ノ ッ トブルー 4、 60等を挙げることができ、好ましくは C. I.ビグメントブルー 15 : 3、 15 :4 及び 60からなる群力も選択される 1種又は 2種以上の混合物である。
[0143] 顔料の具体例として、レッドインク組成物に使用される顔料としては、 C. I.ビグメン トレッド 177、 C. I.ビグメントレッド 178、 C. I.ビグメントレッド 254、 C. I.ビグメントレ ッド 264を挙げることができ、より好ましくは、 C. I.ビグメントレッド 177、 C. I.ビグメン トレッド 264である。
[0144] 本発明のインクセットは、従来公知の各種の記録方法用インクとして利用することが
できる。好ましいインクセットは、水系であり、特にインクジェット記録用インクセットで ある。また、本発明の記録方法は、インク組成物の液滴を吐出して、前記液滴を記録 媒体に付着させて記録を行う記録方法であって、本発明のインクセットを用いる。ここ で、記録方法は、本発明のインクセットが収容されたインクカートリッジ (各ブラックイン ク組成物が個別に収容されたインクカートリッジ)を公知のインクジェット記録装置に 搭載させて、記録媒体に対して記録することにより、好適に行うことができる。ここで、 インクジェット記録装置としては、電気信号に基づ 、て振動可能な電歪素子が搭載さ れるとともに、前記電歪素子の振動によって、本発明に係るインクセットが含むインク を吐出することができるように構成されたインクジェット記録装置が好ましい。また、ィ ンクセットを収容するインクカートリッジ (収容ケース)としては、公知のものを好適に使 用することができる。また、本発明の記録物は、各種態様の本発明のインクセットの付 着物層からなる画像を有している。この画像は、位相ずれの発生や GGが良好に抑 制されるとともに、微小な凹状ドットなどの表面欠陥も回避又は抑制されている。
[0145] 本発明のブラックインク組成物及びインクセットは、任意の記録方法に用いることが でき、例えば、水性グラビアインク、水性フレキソインク、又は特にインクジェット記録 用水性インクとして好適に使用することができる。また、水性塗料として使用することも 可能である。
[0146] また、本発明のブラックインク組成物は、記録媒体として、ブラックインク組成物に含 まれる着色剤 (特に顔料)と水溶性ポリウレタン榭脂と微粒子ェマルジヨン〔ポリアルキ レン型ェマルジヨン〕の榭脂成分をその表面上に実質的に残留させるが前記ブラック インク組成物の液体成分を実質的に吸収する記録媒体に用いるのが好ましい。こうし た記録媒体は、例えば、表面の平均孔径が、前記顔料の平均粒径よりも小さい。好 ま ヽ記録媒体は、前記顔料の平均粒径よりもそれぞれ小さ!ヽ平均孔径を有するィ ンク受容層を含む記録媒体である。
[0147] 本発明のブラックインク組成物及びインクセットに好ましい記録媒体として、多孔質 顔料を含有するインク受容層を、基材上に設けた記録媒体を使用することができる。 インク受容層は、記録媒体の最上層である力、あるいはその上に、例えば、光沢層を 有する中間層であることもできる。このような記録媒体としては、そのインク受容層中
に多孔質顔料及びバインダー榭脂を含有する、いわゆる吸収型 (空隙型ともいう)の 記録媒体と、前記インク受容層中にカゼイン、変性ポリビュルアルコール (PVA)、ゼ ラチン、又は変性ウレタン等の榭脂を更に含有する、いわゆる膨潤型の記録媒体とが 知られており、本発明のブラックインク組成物はいずれの記録媒体にも使用すること 力 Sできる。吸収型記録媒体のインク受容層に含有される前記多孔質顔料としては、 例えば、沈殿法、ゲルタイプ、又は気相法等のシリカ系、擬ベーマイト等のアルミナ 水和物、シリカ Zアルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土、炭酸カルシウム、硫酸力 ルシゥム、硫酸バリウム、二酸化チタン、カオリン、白土、タルク、珪酸マグネシウム、 又は珪酸カルシウム等を挙げることができ、これらの 1種又は 2種以上を用いることが できる。
[0148] また、吸収型記録媒体のインク受容層に含有される前記バインダー榭脂としては、 結着能力を有し、インク受容層の強度を高めることのできる化合物であれば特に限定 されず、例えば、ポリビュルアルコール、シラノール変性ポリビュルアルコール、酢酸 ビュル、澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチ ン、スチレン ブタジエン共重合体等の共役ジェン系共重合体ラテックス、エチレン 酢酸ビュル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、アクリル酸及びメタクリル 酸の重合体等のアクリル系共重合体ラテックス等を挙げることができる。
[0149] 前記インク受容層には、吸収型記録媒体のインク受容層の場合も、膨潤型の記録 媒体のインク受容層の場合も、必要に応じ、定着剤、蛍光増白剤、耐水化剤、防か び剤、防腐剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、 PH調整剤、消泡剤、及び Z又は保 水剤等の各種添加剤を含有させることもできる。前記の各インク受容層が設けられる 前記基材としては、紙 (サイズ処理紙を含む);ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリ エステル等を紙にコートしたレジンコート紙;バライタ紙;ポリエチレンテレフタレート、 ポリエチレン、又はポリプロピレン等の熱可塑性榭脂フィルム;合成紙;合成繊維で形 成されたシート状物等を挙げることができる。
[0150] 特に好ましい態様の記録媒体は、前記基材と、その上に設けた最上層としての前 記インク受容層とを有する記録媒体であり、それらの基材及びインク受容層も、例え ば、以下の物性を有するものが好ましい。前記基材としては、紙 (木材パルプを含有
するもの)が好ましぐその坪量は、好ましくは lOOgZm2以上 350gZm2以下、更に 好ましくは 180〜260gZm2である。また、厚みは、好ましくは 100 μ m以上 400 μ m 以下、更に好ましくは 180 m以上 260 m以下である。前記インク受容層は、イン ク受容層全体の重量を基準として、固形分換算で、前記多孔質顔料として湿式法シ リカゲルを 50重量%以上 60重量%以下の量で含有し、前記バインダー榭脂としてポ リビュルアルコールを 30重量%以上 40重量%以下の量で含有すること力 インク吸 収性、及び印字堅牢性等の点で好ましい。また、前記インク受容層の塗工量は、固 形分換算で、 5gZm2以上 50gZm2以下であることが、インク吸収性の点で好ましい 。なお、インク受容層自体の厚みとしては、好ましくは 10 m以上 40 m以下、更に 好ましくは 20 m以上 30 m以下である。本発明のブラックインク組成物を記録する 記録媒体は、前記記録媒体の表面 (特には、インク受容層)の平均孔径が 50nm以 下であることが好ましぐ 30nm以下であることがより好ましい。平均孔径が 300nmを 超えると、顔料力 Sインク受容層内部まで浸透し、発色性が低下することがある。
[0151] (エージングポリウレタン榭脂組成物)
水溶性ポリウレタン榭脂とともにあるいは水溶性ポリウレタン榭脂として、エージング ポリウレタン榭脂組成物を用いることができる。エージングポリウレタン榭脂組成物と は、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とを含有し、実質的な粘度変化を 有しない組成物である。
[0152] エージングポリウレタン榭脂組成物を用いることで水溶性ポリウレタン榭脂を含有す る水性インク組成物の粘度変化を抑制できる。特に、本発明のブラックインク組成物 やライトカラーインク組成物においては、相対的に水溶性ポリウレタン榭脂固形分を 多く含有しているため、経時的なインク組成物の粘度変化の影響が大きいと考えられ る力 エージングポリウレタン榭脂を少なくとも水溶性ポリウレタン榭脂の一部として、 好ましくは、水溶性ポリウレタン榭脂をエージングポリウレタン榭脂組成物として含有 させることにより、特別に粘度変化を抑制するための処理をインク組成物にカ卩えたり、 あるいはそのための添加剤をインク組成物に加えたりすることなぐインク組成物の粘 度を安定ィ匕することができる。し力も、エージングポリウレタン榭脂組成物を使用して
も本発明のブラックインク組成物等に含有されている水溶性ポリウレタン榭脂の本来 の目的を妨げることなく粘度安定性を確保することができたのである。
[0153] エージングポリウレタン榭脂組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と 水とを含有している。一方、エージングポリウレタン榭脂組成物は、顔料を含有してい ない。ここで、水溶性とは、水あるいは水を含む水性媒体に分散可能、好ましくは溶 解可能であることを意味する。本組成物に用いるポリウレタン榭脂は、特に限定しな いが、既に説明したポリウレタン榭脂を用いることができる。
[0154] エージングポリウレタン榭脂組成物におけるポリウレタン榭脂は、最終的に調製しよ うとする水性インク組成物に含まれる当該ポリウレタン榭脂の 80wt%以上であること が好ましい。 80wt%未満であると、エージングの効果が十分に得られないからである 。より好ましくは 90wt%以上であり、最も好ましくは全量である。
[0155] また、エージングポリウレタン榭脂組成物におけるポリウレタン榭脂の濃度は、 5wt %以上 50wt%以下であることが好まし 、。 5wt%未満であるとエージングの効果が 得られにくいからであり、 50wt%を超えると安定な組成物を調製しに《なるからであ る。より好ましくは、 10wt%以上 40wt%以下である。
[0156] (水溶性有機溶媒)
エージングポリウレタン榭脂組成物は、 1種又は 2種類以上の水溶性有機溶媒を含 むことができる。水溶性有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であれば特に限定 しな 、で用いることができる力 水性インク組成物の水性媒体を構成するものであつ て、ポリウレタン榭脂と混合した際、混合物の粘度が上昇又は変化するような水溶性 有機溶媒を用いることが好ましい。こうした水溶性有機溶媒としては、多価アルコール の低級アルキルエーテル類、ピロリドン類、ジオール類が挙げられる。なかでも、ジォ ール類が好ましい。ジオール類としては、炭素数 5 7の直鎖アルキルジオール類が 好ましぐより好ましくは、 1, 2—へキサンジオールである。 1, 2—へキサンジオール は、水性インク組成物において好ましい水溶性有機溶媒であるとともに、ポリウレタン 榭脂と混合した際に粘度が上昇するからである。したがって、予めポリウレタン榭脂と 1, 2 キサンジオールとを混合し粘度を安定化させておくことで粘度等の安定性 に優れるエージング榭脂を得ることができる。なお、水性インク組成物に用いる水溶
性有機溶媒の全量がポリウレタン榭脂組成物力 供給される必要はなぐポリウレタン 榭脂組成物には、ポリウレタン榭脂をエージングするのに有効量の水溶性有機溶媒 が含まれていればよい。
[0157] 水溶性有機溶媒としては、トリオール類も好ましい。トリオール類は、水ゃジオール 類との相溶性が良好であるほか、トリオール類は、ポリウレタン榭脂組成物を低温下 で保存する場合、榭脂組成物の凍結及び凍結による粘度上昇を抑制することができ る力らである。こうしたトリオール類としては、炭素数 3〜5の直鎖アルキルトリオール 類が好ましぐより好ましくは、グリセリン(1, 2, 3—プロパントリオール)である。グリセ リンは、水性インク組成物の保湿剤成分でもあることから、本ポリウレタン榭脂組成物 を用いた水性インク組成物の組成や物性を大きく変えることなく用いることができる。
[0158] また、エージングポリウレタン榭脂組成物における水溶性有機溶媒の濃度は、 0. 5 wt%以上 20wt%以下であることが好ましい。 0. 5wt%未満であるとエージングの効 果が得られにく 、からであり、 20wt%を超えると安定な組成物を調製できな 、からで ある。より好ましくは、 lwt%以上 15wt%以下である。
[0159] エージングポリウレタン榭脂組成物におけるポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒との 重量比は特に限定しない。最終的に得ようとする水性インク組成物における榭脂量 にもよるが、本混合物における水溶性有機溶媒は、ポリウレタン榭脂の固形分に対し て 10wt%以上 100wt%以下とすることができる。この範囲で、有効にエージングで さるカゝらである。
[0160] ジオールなどの水溶性有機溶媒は、ポリウレタン榭脂の固形分に対して 50 %以 上 100wt%以下とすることができる。この範囲であると、カーボンブラック等の顔料濃 度が 1. 5wt%以上の水性インク組成物において有効な粘度安定ィ匕効果を得ること ができる。より好ましくは 80wt%以下であり、さらに好ましくは 73wt%以下である。ま た、下限はより好ましくは、 60wt%以上である。
[0161] また、ジオール類などの水溶性有機溶媒は、ポリウレタン榭脂の固形分に対して 10 wt%以上 50wt%未満であることが好ましい。この範囲であると、カーボンブラック等 の顔料の含有量が 1. 5wt%未満 (特には、 0. 4wt%未満)の水性インク組成物にお いて、有効な粘度安定ィ匕効果を得ることができる。こうした顔料含有量の低い水性ィ
ンク組成物にぉ ヽて相対的に多量の水溶性ポリウレタン榭脂を含有する場合、上記 比率で水溶性有機溶媒を含有することで水溶性ポリウレタン榭脂による粘度変化等 を有効に抑制できる。より好ましくは、 15wt%以上であり、さらに好ましくは 20wt% 以上である。また、上限はより好ましくは 40wt%以下である。なお、顔料濃度 1. 5wt %未満の水性インク組成物にっ 、ては後述する。
[0162] トリオール類などの水溶性有機溶媒は、ポリウレタン榭脂の固形分に対して 10wt% 以上 100wt%以下であることが好ましい。より好ましくは、 15wt%以上である。さらに 好ましくは 30wt%以上であり、一層好ましくは 50%以上である。
[0163] (その他の成分)
エージングポリウレタン榭脂組成物は、少なくとも水溶性ポリウレタン榭脂および水 溶性有機溶媒を含有し、これらのみカゝら構成されていてもよいが、これらはともに水に 分散あるいは溶解可能であることから、混合物は好ましくは水を含んでいる。例えば、 本組成物は、ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒と水とのみカゝら構成することができる 。水は水性インク組成物およびインク組成物において主要な媒体成分であり、水を含 む状態でエージングすることで効果的にエージングを行なうことができる。水は、ろ過 されたイオン交換水以上のグレードの水を用いることが好ましい。なお、本組成物は 、顔料を含まないことが好ましい。
[0164] エージングポリウレタン榭脂組成物には、ポリウレタン榭脂を水に分散あるいは溶解 可能とするために、アルカリゃァミン類などの塩基性ィ匕合物を含んでいてもよい。また 、組成物には、他に、エージング工程に悪影響を与えない範囲で、顔料以外の他の 水性インク組成物の成分を含めることができる。例えば、水性インク組成物を調製す るのにあたって、用いられる界面活性剤、 pH調製剤などの成分を添加することも可 能である。界面活性剤、 pH調整剤等については後述する。
[0165] 混合物の調製方法は特に限定しな!、。ポリウレタン榭脂と水溶性有機溶媒との所 定量を混合した後、必要に応じて水を添加することもできるし、ポリウレタン榭脂と水 溶性有機溶媒と水とをおおよそ同時に混合することもできるし、ポリウレタン榭脂ある いは水溶性有機溶剤の 、ずれかと水との混液を調製後に、残部を添加し混合しても よい。ポリウレタン榭脂の安定性確保の観点からは、ポリウレタン榭脂の水溶液を混
合物に用いることが好ましい。
[0166] エージングポリウレタン榭脂組成物は、実質的な粘度変化を有しない。ここで実質 的な粘度変化を有しないとは、粘度が時間経過に伴って大きく変化せず、ほぼ一定 であることを意味している。こうした特性は、具体的には、密封可能な容器 (粘度に対 する蒸発等の影響を排除することができる程度の密封性容器)にポリウレタン榭脂組 成物の所定量を封入して所定温度 (例えば、 70°C± 3°C)の恒温下で所定期間静置 し、該静置期間開始時と終了後の粘度を測定し、これらの粘度力 下記式(1)に基 づ 、て得られる粘度変化率( Δ V)に基づ 、て判断することもできる。
Δν (%) = I V-V
0 I /V Χ ΙΟΟ· · · (1)
0
ただし、 VOは静置期間開始時の粘度であり、 Vは静置期間終了後の粘度である。 なお、粘度の測定温度は 20°Cとすることが好ま 、。
[0167] エージングポリウレタン榭脂組成物にっ 、ては、静置期間を 1日としたとき前記粘度 変化率が 3. 0%以下であることが好ましぐより好ましくは 2. 5%以下であり、さらに好 ましくは 2. 0%以下である。 3. 0%以下であれば、最終的に得ようとする水性インク 組成物の粘度変化を回避又は抑制できる。
なお、エージングポリウレタン榭脂組成物おける粘度は、動粘度(単位 Pa' s)として 測定され、その測定は逆流式粘度管を用いた測定方法あるいはこれと同等の精度及 び正確性が得られる測定方法によることが好ましい。具体的には、キャノンフェンスケ 型の逆流式粘度管(典型的には、離合社製の VMC— 252型)を用い、 20°Cにおけ る管内の液体 (インク)の移動時間により測定することができる。
[0168] また、グリセリンなどのトリオール類を含有するエージングポリウレタン榭脂組成物に あっては、低温において実質的な粘度変化を有しない。なお、本明細書において低 温とは、 5°C以下を意味し、好ましくは 0°C以下、より好ましくは 5°C以下、さらに好 ましくは— 10°C以下を意味している。また、実質的に粘度変化を有しないとは、既に のべたのと同義である。こうした低温時における特性は、具体的には、密封可能な容 器 (粘度に対する蒸発等の影響を排除することができる程度の密封性容器)にポリウ レタン樹脂組成物の所定量を封入して所定の低温 (例えば、 20°C士 3°C)の恒温 下で所定期間静置し、該静置期間開始時と終了後の粘度を測定し、これらの粘度か
ら上記式(1)に基づいて得られる粘度変化率( Δν)に基づいて判断することもできる 。なお、粘度の測定温度は 20°Cとすることが好ましい。
[0169] トリオール類を含有するエージングポリウレタン榭脂組成物については、 20°C士 3°Cでの静置期間を 4日としたとき前記粘度変化率が 10. 0%未満であることが好ま しぐより好ましくは 6. 0%未満である。 10. 0%未満であれば、最終的に得ようとする 水性インク組成物の粘度変化を回避又は抑制できる。
[0170] (エージングポリウレタン榭脂組成物の製造方法)
ポリウレタン榭脂組成物にこうした特性を付与するには、水溶性ポリウレタンと水溶 性有機溶媒との混合物 (以下、実質的な粘度変化のない状態に至る前のポリウレタ ン榭脂組成物を混合物と ヽぅものとする。 )の粘度を低下させるエージング工程を実 施することができる。本発明において、エージングとは、物質が時間の経過とともに化 学変化やその他の現象を起こす現象あるいはそのような現象を起こさせるための操 作をいう。したがって、本発明におけるエージング工程は、エージングを実施しない 場合と比較して水性インク組成物調製時および Zまたは調製後にお 、て粘度などの 液体の物性が改善な 、し安定ィ匕できる程度に、前記混合物にっ 、て時間を経過さ せる工程であれば足り、必ずしも外部力も人為的になんらかの作用(温度等)を付与 するものである必要はない。したがって、エージング工程は、工程間における待機あ るいは保管時の雰囲気での一定時間の経過であってもよいし、独立する工程でなく 他の工程に付随するものであってもよい。
[0171] エージング工程は、例えば、混合物自体の粘度が安定ィ匕するまで行なうか、ある!/ヽ は、最終的に得ようとするインク組成物のその調製後一定期間における粘度変化が 一定以下に抑制できる程度に安定ィ匕するまで行なうことができる。なお、混合物の粘 度は、例えば、インクなどの分野で用いられている粘度測定法であればよぐ例えば 、キャノンフェンスケ型逆流式粘度管を用いる方法を用いることができる。
[0172] エージング工程の温度は 40°C以上であることが好ま U、。 40°C以上であれば、適 切な期間内でエージング工程を完了できるからである。より好ましくは 50°C以上であ り、さらに好ましくは 60°C以上である。また、当該温度は 80°C以下であることが好まし い。 80°C以下であれば、インク用としてのポリウレタン榭脂組成物の物性等が維持さ
れる力らである。したがって、エージング工程においては、 40°C以上 80°C以下である ことが好ましぐより好ましくは 60°C以上 80°C以下である。最も好ましくは約 70°Cであ る。こうしたエージング温度を確保するには、エージング工程を加熱を伴って実施す ることが好ましい。
[0173] エージング工程の時間は、 24時間以上であることが好ましい。 24時間以上であれ ば、エージングの効果が得られる力もである。より好ましくは 48時間以上であり、さら に好ましくは 72時間以上である。 120時間以上であることが好ましい場合もある。また 、エージング工程は 216時間以下とすることができる。 216時間以内であれば、時間 に応じた効果が得られやすいからである。生産効率の観点からは、好ましくは、 168 時間以下である。より好ましくは 144時間以下である。したがってエージング工程の 好ましい所要時間の範囲の例としては、 24時間以上 168時間以下、 48時間以上 14 4時間以下、 72時間以上 216時間以下、 120時間以上 216時間以下等が挙げられ る。
[0174] エージング工程の所要時間は、混合物中における水溶性有機溶媒量によっても相 違することがある。例えば、水溶性有機溶媒量が水溶性ポリウレタン榭脂(固形分)量 に対して多いほど相対的にエージング所要時間が短くなる傾向があり、水溶性有機 溶媒量が少ないほど相対的にエージング所要時間が長くなる傾向がある。したがつ て、水溶性有機溶媒が水溶性ポリウレタン榭脂の固形分に対して 10wt%以上 50wt %未満の混合物には、 120時間以上 216時間以下であることが好ましぐ 168時間 以上 216時間であることがより好ましい。また、水溶性有機溶媒が 50wt%以上 lOOw t%以下の混合物には、 24時間以上 168時間以下であることが好ましぐ 72時間以 上 120時間以下であることがより好ましい。
[0175] 以上のことから、好ましいエージング工程としては、約 70°Cで 48時間以上 144時間 以下とすることが挙げられる。さらに好ましくは、約 70°Cで 72時間以上 120時間以下 とすることが挙げられる。また、これらのエージング条件によって混合物に付与されう るエージング効果と同様の効果を付与できる限り、他のエージング条件であってもよ い(以下、このような他のエージング条件を当該条件と等価なエージング条件という) 。一つのエージング条件と等価なエージング条件は、時間および Zまたは温度を変
化させた条件でエージング工程を実施して得られる効果を評価することで取得できる
[0176] また、他の好ましいエージング工程としては、約 70°Cで 120時間以上 216時間以 下とすることが挙げられる。さらに好ましくは、約 70°Cで 168時間以上 216時間以下 とすることが挙げられる。さらに、これらの条件と等価なエージング効果が得られるェ 一ジング条件が挙げられる。
[0177] こうしてエージング工程を経て得られるエージングポリウレタン榭脂組成物は、エー ジングによって粘度等の経時変化が低減されて安定ィ匕され、単にこれらが混合され たものとは粘度等の物性を含む物理ィ匕学的特徴が相違したものとなって 、る。したが つて、エージング工程後のポリウレタン榭脂組成物は、水性インク組成物の調製に適 したポリウレタン榭脂組成物となって 、る。
[0178] また、トリオール類を含有する混合物をエージングして得られるポリウレタン榭脂組 成物は、上記した特徴のほか、低温で保存した場合であっても、凍結及び凍結によ るポリウレタン榭脂組成物の変性 (例えば、粘度上昇など)を抑制して、水性インク組 成物の調製に適した物性を維持することができる。
[0179] (水性インク組成物及びその製造方法)
エージングポリウレタン榭脂組成物を用いた水性インク組成物の製造方法にっ 、て 言及しておく。水性インク組成物は、少なくとも、水溶性ポリウレタン榭脂、水溶性有 機溶媒、水および顔料を含有しており、水性インク組成物は、顔料分散液とエージン グポリウレタン榭脂組成物とこれら以外の残余のインク成分とを用いて製造することが できる。
[0180] エージングポリウレタン榭脂組成物を用いて水性インク組成物を調製するには、特 に限定しないで、従来公知の各種方法を採用することができる。典型的には、顔料と 顔料の分散剤とを混合し、均一な顔料分散液を調製し、当該顔料分散液と、エージ ングポリウレタン榭脂組成物と、水、浸透促進剤、水溶性有機溶媒、 pH調製剤、防 腐剤、防かび剤等の残余の成分とを混合し十分に攪拌し溶解させる。十分に攪拌し た後、 目詰まりの原因となる粗大粒径及び異物を除去するためにろ過等を行って水 性インク組成物を得ることができる。こうした水性インク組成物の調製にあたって、残
余の成分は、ポリウレタン榭脂組成物に添加し混合しておくこともできる。特に、スチ レン—アクリル酸榭脂にて顔料分散液を調製することが好ましい。
[0181] なお、上記典型例では、エージングポリウレタン榭脂組成物とは別個に顔料分散液 を調製したが、エージングポリウレタン榭脂組成物と顔料とを用いて顔料分散液を調 製し、別途調製した残余の成分を含むビヒクルと混合して水性インク組成物を調製し てもよい。また、エージングポリウレタン榭脂組成物と水性インク組成物を構成する他 の全ての成分を任意の配合順序で適当に混合して水性インク組成物としてもょ 、。
[0182] なお、水性インク組成物を調製するのにあたっては、適当な分散機 (例えば、ボー ルミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コ ロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)を用いることができる
[0183] なお、エージングポリウレタン榭脂組成物を用いた水性インク組成物には、既にブ ラックインク組成物において説明したように、顔料のほか、必要に応じて、分散剤、水 溶性有機溶媒、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、導電率調整剤 、表面張力調整剤、浸透促進剤、保湿剤、 pH調整剤、界面活性剤、粘度調整剤、 消泡剤、防カビ剤、溶解助剤等を含んでいる。
[0184] 顔料は、第 1の実施形態において説明した各種の顔料を適宜用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、顔料の平均粒径が 150nm以下であることが好まし ぐより好ましくは 50nm以上 lOOnm以下程度のものである。顔料の添加量は十分な 画像濃度が実現できる範囲で適宜決定されてよ ヽが、最終製品たる水性インク組成 物中においては、 0. lwt%以上 20wt%以下とすることが好ましぐより好ましくは、 0 . 2wt%以上 10wt%以下である。
[0185] なお、顔料の配合量は濃淡インク組成物等のインク組成物の種類に応じて適宜変 更することができる。顔料濃度が 1. 5wt%未満の水性インク組成物としては、ライトブ ラックインク組成物が挙げられる。ライトブラックインク組成物は、カーボンブラック 1. 5 wt%以上のブラックインク組成物と組み合わされてインクジェット記録用等として使用 されるものである。こうしたライトブラックインク組成物としては、特開 2004— 225036 号公報及び特開 2004— 225037号公報に記載のカーボンブラック含有量が 0. 4w
t%以上 1. 5wt%未満のライトブラックインク糸且成物やカーボンブラック含有量が 0. 0 lwt%以上 0. 4wt%未満のライトブラックインク組成物がある。
[0186] エージングポリウレタン榭脂組成物を用いる水性インク組成物としては、カーボンブ ラックの含有量が 0. 4wt%以上 1. 5wt%未満のライトブラックインク組成物に用いる ことが好ましい。例えば、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記カーボンブ ラックの含有量の 0. 67倍以上 2. 5倍以下の組成物が挙げられる。このライトブラック インク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂固形分量が 0. 2wt%以上 4wt% 以下、好ましくは 0. 5wt%以上 2wt%以下であってもよい。こうしたライトブラックイン ク組成物では、水溶性ポリウレタン榭脂を主要榭脂とするため、エージングした水溶 性ポリウレタン榭脂を用いることが効果的である。こうした、ライトブラックインク組成物 中の顔料の含有量は、 0. lwt%以上 1. 3wt%以下であることが好ましぐ 0. 4wt% 以上 1. Owt%以下であることがさらに好ましい。
[0187] また、カーボンブラックの含有量が 0. 4wt%未満のライトブラックインク糸且成物として は、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記カーボンブラックの含有量の 7. 5倍以上である組成物が挙げられる。このライトブラックインク組成物においては、水 溶性ポリウレタン榭脂固形分量が lwt%以上 10wt%以下、好ましくは 2wt%以上 6 wt%以下であってもよい。このようなライトブラックインク組成物では、ポリウレタン榭 脂ポリウレタン榭脂が主要榭脂であり、また、顔料に対して多量の水溶性ポリウレタン 榭脂を含有しているため、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いることが一層 効果的である。
[0188] また、エージングポリウレタン榭脂糸且成物を用いる水'性インクとしては、濃度が 1. 5 wt%未満の水性インク組成物としては、ブラック以外の有彩色顔料を含んだライト力 ラークインク組成物が挙げられる。例えば、ライトマゼンタ組成物、ライトシアンインク 組成物などである。これらのライトカラーインク組成物は、通常、有彩色顔料が 1. 5w t%以上のカラーインク組成物と組み合わされてインクジェット記録用等として使用さ れる。
[0189] 有彩色顔料の含有量が 0. 5wt%以上 1. 5wt%未満のライトカラーインク組成物と しては、例えば、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が前記有彩色顔料の含有
量の 0. 67倍以上 2. 5倍以下の組成物が挙げられる。このライトカラーインク組成物 においては、水溶性ポリウレタン榭脂固形分量が 0. 3wt%以上 4wt%以下とするこ とができる。こうしたライトカラーインク組成物では、水溶性ポリウレタン榭脂を主要榭 脂とするため、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いることが効果的である
[0190] なお、有彩色顔料の含有量が 1. 5wt%以上 7wt%未満の通常濃度の各種有彩色 のカラーインク糸且成物としては、例えば、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分含有量が 前記有彩色顔料の含有量の 0. 04倍以上 0. 35倍以下の組成物が挙げられる。この カラーインク糸且成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂固形分量が 0. 05wt%以上 2. 5wt%以下であってもよい。こうしたカラーインク組成物であっても、水溶性ポリウ レタン榭脂を主要榭脂とするため、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いるこ とが効果的である。
[0191] (分散剤)
顔料分散液等に用いられる顔料の分散剤として好ましい高分子材料としては、第 1 の実施形態で例示した分散材料が挙げられるが、なかでも、特に、カルボキシル基( 塩の形態であることが好まし 、)を有する高分子化合物(例えば、上記のスチレン アクリル酸榭脂、スチレン一マレイン酸榭脂、スチレン一無水マレイン酸榭脂、ビュル ナフタレン アクリル酸共重合体、ビュルナフタレン マレイン酸共重合体、酢酸ビ 二ルーアクリル酸共重合体)、疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーと の共重合体、及び疎水性基と親水性基を分子構造中に合わせ持ったモノマーから なる重合体を用いることが好ましい。より好ましくは、スチレン一アクリル酸榭脂である 。上記の塩としては、ジェチルァミン、アンモニア、ェチルァミン、トリエチルァミン、プ 口ピルァミン、イソプロピルァミン、ジプロピルァミン、ブチルァミン、イソブチルァミン、 トリエタノールァミン、ジエタノールァミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどの 塩が挙げられる。これらの(共)重合体は、重量平均分子量が 3, 000-30, 000であ るの力 子ましく、より好ましくは 5, 000〜15, 000である。
[0192] さらに他の好ましい高分子材料としては、天然高分子が挙げられ、その具体例とし ては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラ ガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのダルコシド類、アルギン酸及びアルギン
酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールァミン、アルギン酸アンモ -ゥムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ ドロキシェチノレセノレロース、ェチノレヒドロキシセノレロースなどのセノレロース誘導体など が挙げられる。
[0193] 分散剤としては、また、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコー ル硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、 スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキル ァリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモ-ゥ ム塩、スルホ -ゥム塩、ホスホ-ゥムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレン アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキル エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界 面活性剤などが挙げられる。上記した界面活性剤はインク組成物に添加されることで 、界面活性剤としての機能をも果たす。なお、既に述べたポリウレタン榭脂も分散剤と して使用でき、また、エージングしたポリウレタン榭脂も分散剤として使用できる。
[0194] また、本発明に使用されるインク組成物には、上述した顔料に替えて、顔料粒子表 面に直接分散性付与基をィ匕学的に導入した、いわゆる表面処理顔料(自己分散顔 料)を用いることもできる。
[0195] (水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒としては、エージングポリウレタン榭脂組成物に含有される水溶性 有機溶媒を用いてもよ!ヽし、当該水溶性有機溶媒以外の別の水溶性有機溶媒を用 いても、これらを組み合わせて用いてもよい。こうした水溶性有機溶媒としては、ダリ セリン、エチレングリコーノレ、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー ル、 Mw2000以下のポリエチレングリコール、 1, 3—プロピレングリコール、イソプ ロピレングリコール、イソブチレンダリコール、メソエリスリトーノレ、ペンタエリスリトール 等の多価アルコール類、ピロリドン類が挙げられる。なお、多価アルコール類としては より好ましくはグリセリンである。これらの水溶性有機溶媒は、水性インク組成物中の 他成分のインク組成物への溶解性を向上させ、さらに記録媒体たとえば紙に対する
浸透性を向上させ、さらにはノズルの目詰まりを有効に防止できるなどといった点に おいて好ましい。こういった水溶性有機溶媒の添加量は適宜決定されてよいが、水 性インク組成物中約 lwt%以上約 30wt%以下であることが好ましぐより好ましくは 約 5wt%以上約 20wt%以下である。
[0196] また、他の好まし 、水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピル アルコール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジェチ レングリコーノレモノェチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、トリエ チレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノブチノレエーテノレ、プ ロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテ ル類、ジオール類が挙げられる。これらの 1種又は 2種以上を用いることができる。な お、低級アルキルおよび低級アルコールとは、炭素数 1〜5程度の直鎖および分岐 アルキル基あるいはそのアルコールを ヽぅものとする。これらの水溶性有機溶媒は、 紙などの濡れ性を高めて記録媒体への浸透性を向上させることができる。ジオール 類としては、既に説明したように、例えば、炭素数 5〜7の直鎖アルキルジォール類が 好ましぐより好ましくは、 1, 2—へキサンジオールである。これらの水溶性有機溶媒 は、水性インク組成物中、約 lwt%以上約 15wt%以下であることが好ましぐより好 ましくは約 2%以上約 10wt%以下である。
[0197] また、浸透促進剤としては、カチオン性界面活性剤、ァ-オン性界面活性剤、ノ- オン性界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。前記浸透促進剤とし て、第一の実施形態にて説明した一般式(1)で表わされるアセチレングリコール系化 合物や、一般式(2)で表されるポリシロキサン系化合物を使用することもできる。該ァ セチレングリコール系化合物としては、市販されているものを用いることができ、例え ば、サーフィノール 82, 440, 465, STG (商品名、エア'プロダクツ'アンド'ケミカル ズ社製),オルフイン Y,オルフイン E1010 (商品名、 日信化学工業製)などが挙げら れ、これらの 1種又は 2種以上が用いられる。また、該ポリシロキサン系化合物として は、例えば、ビッグケミー 'ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性 剤 BYK— 345、 BYK— 346、 BYK— 347、又は BYK— 348が利用可能である。該 アセチレングリコール系化合物及び Z又はポリシロキサン系化合物は、前記インク中
、好ましくは、 0. l〜5wt%、更に好ましくは、 0. 5〜2wt%含有される。
[0198] また、防腐剤 ·防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフエノール ナトリウム、 2—ピリジンチオール— 1—オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デ ヒドロ酢酸ナトリウム、 1, 2—ジベンジンチアゾリン— 3—オン (Avecia社のプロキセル CRL、プロキセル BND、プロキセル GXL、プロキセル XL— 2、プロキセル TN)等を 挙げることができる。
[0199] さらに、 pH調整剤または溶解助剤の例として、ジエタノールァミン、トリエタノールァ ミン、プロパノールァミン、モルホリンなどのアミン類及びそれらの変成物、水酸化カリ ゥム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸ィ匕アンモニゥム、四級 アンモ-ゥム水酸ィ匕物 (テトラメチルアンモ -ゥムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム 、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいは N—メチルー 2—ピロリド ン、尿素、チォ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネ ートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどの ビウレット類など、 Lーァスコルビン酸及びその塩を挙げることができる。
[0200] 酸化防止剤及び紫外線吸収剤の例としては、チバガイギ一社の Tinuvin328、 90 0、 1130、 384、 292、 123、 144、 622、 770、 Irgacor252、 153、 Irganox 1010 、 1076、 1035、 MD1024、ランタ-ドの酸化物等を挙げることができる。
[0201] エージングポリウレタン榭脂組成物によれば、水溶性ポリウレタン榭脂を含有する水 性インク組成物の調製時および調製後における、水性インク組成物の粘度等の物性 変化を安定ィ匕することができる。したがって、特に、水溶性ポリウレタン榭脂含有量の 冬、、水性インク組成物の粘度変化を回避又は抑制して、安定した吐出性能を発揮で きるとともに画像形成能に優れたインク組成物を提供できるようになる。
[0202] また、エージングポリウレタン榭脂組成物によれば、顔料を含まな 、状態でポリウレ タン樹脂と水溶性有機溶媒とを含むポリウレタン榭脂組成物をエージングすることに より、小スケールおよび Zまたは少ない時間でエージング効果が得られる。このため 、効率的な製造が可能となる一方、生産調整も容易となる。
[0203] こうして得られた水性インク組成物は、ポリウレタン榭脂組成物を用いな力つた場合 と比較してその調製直後あるいはその後にお 、て粘度等の物性が安定化されて 、る
。したがって、例えばインクジェットプリンタ用の水性インク組成物として良好な吐出安 定性を備えたものとなっている。また、本発明の水性インク組成物は、密封可能な容 器に前記組成物の所定量を封入して所定温度 (好ましくは目標温度士 3°C)の恒温 下で所定期間経過するまでの期間継続して静置し、該静置期間開始時と終了後の 粘度を測定し、これらの粘度力も下記式(1)から算出される粘度変化率(AV)が予 め決められた数値以下あるいは未満となって 、ることが好ま 、形態である。
Δν(%) = I V-V
0 I /V Χ ΙΟΟ· · · (1)
0
ただし、 Vは静置期間開始時の粘度であり、 Vは静置期間終了後の粘度である。
0
なお、静置期間は、所定温度で静置を開始したとき力 開始できる。例えば、水性 インク組成物の製造時から開始することもできる。水性インク組成物の製造時とは、水 性インク組成物がタンク内等で調製された時点 (第一の時点)、タンク力ゝら貯留用容 器に充填された時点(第二の時点)、ある!、は水性インク組成物が包装容器あるいは それに類した容器に充填された時点 (第三の時点)とすることができる。
[0204] また、エージングポリウレタン榭脂組成物を用いた水性インク組成物の評価基準と しては、前記目標温度を 50°C〜70°Cの範囲の一つの温度とすることができる。具体 的には、 50°C、 60°C、 70°C等である。また、前記静置期間としては、適宜設定するも のであるが、 3日以上とすることができる。さらに、前記粘度変化率としては、水性イン ク組成物の用途やノズル構造に基づ!/、て要求される特性等によって異なる力 例え ば、 70°C± 3°Cで保存する場合には 6日間で 10%未満とすることができ、好ましくは 7%未満、より好ましくは 4%未満とすることができる。
[0205] なお、水性インク組成物おける粘度は、動粘度(単位 Pa · s)として測定され、その測 定は逆流式粘度管を用いた測定方法あるいはこれと同等の精度及び正確性が得ら れる測定方法によることが好ましい。具体的には、キャノンフェンスケ型の逆流式粘度 管(典型的には、離合社製の VMC— 252型)を用い、 20°Cにおける管内の液体 (ィ ンク)の移動時間により測定することができる。
[0206] また、水性インク組成物においては、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分が 0. 5wt% 以上 10wt%以下であることが好ましい。水溶性ポリウレタン榭脂が 0. 5wt%未満で あるとインクジェット組成物として機能を果たせなくなり、 10wt%を超えると組成物の
粘度が上昇してしまい、やはりインクとしての機能を果たせなくなるからである。より好 ましくは、水溶性ポリウレタン榭脂の固形分が lwt%以上 8wt%以下である。
[0207] 特に、本発明の水性インク組成物は、上記したライトブラックインク組成物であること が好ましい。本発明の水性インク組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂の含有量が高い ほど有効であるからである。水溶性ポリウレタン榭脂を主要榭脂とするライトブラックィ ンク組成物が良好な粘度安定性を備えていることにより、精度の高いモノクロ画像や グレースケールを再現性よく得ることができる。
[0208] 本発明の水性インク組成物においては、前記水溶性有機溶媒を 0. 5wt%以上 20 wt%以下含有していることが好ましい。この範囲であると、組成物の粘度上昇を抑制 するとともにエージング効果が十分に発揮されるからである。より好ましくは、水溶性 有機溶媒が lwt%以上 10wt%以下である。特に、本発明の水性インク組成物にお いては、 1, 2—へキサンジオールなどの 1, 2—ジオールを lwt%以上 10wt%以下 含有することが好ましい。また、グリセリンなどの保湿成分を 5wt%以上 25wt%以下 含有することが好ましい。
[0209] さらに、水性インク組成物においては、水分散性スチレン アクリル酸榭脂を分散 剤として含有していることが好ましい。水分散性スチレン一アクリル酸榭脂を 0. 5wt %以上 10wt%以下含有していることが好ましい。 0. 5wt%未満であると分散が不安 定となり、 10wt%を超えるとやはり分散が不安定となるからである。より好ましくは lwt %以上 1 Owt%以下である。
[0210] なお、本発明によれば、インク組成物を付着させて記録媒体に印刷を行う記録方法 であって、前述したインク組成物を使用する記録方法が提供される。例えば、インクジ ット記録方式、ペン等の筆記具による記録方式、その他各種の印刷方式が挙げら れる。特に、本発明によれば、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付 着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として前述したイン ク組成物を用いる記録方法が提供される。さらにまた、本発明によれば、前述した記 録方法によって印刷された記録物が提供される。 実施例
[0211] 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲 を限定するものでない。なお、実施例中の「%」及び「部」は特に断らない限り、重量 基準である。
[0212] 実施例 I
(1)ブラックインク組成物の調製
以下の表 1に記載の 9種のブラックインク組成物に関して、以下のように顔料分散液 を調製し、その後、水溶性ポリウレタン榭脂等を添加し混合して、ブラックインク組成 物を得た。
[0213] 具体的には、表 1に示す顔料 (カーボンブラック、ビグメントブルー 15 : 3)及び水溶 性榭脂 (分散剤)を混合して顔料分散液を調製し、さらに水溶性ポリウレタン榭脂 (ポ リエステル系ポリウレタン榭脂、酸価 50、トリェチルァミン中和)等をカロえ、サンドミル( 安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm;混合物の 1. 5倍量 (重量)〕ととも に 2時間分散させ、 9種のブラックインク組成物を得た。すなわち、 1種類のカーボン ブラックについて高濃度の高濃度ブラックインク組成物 Kl、 4種類の中間階調 用の中濃度ブラックインク組成物として Κ2, Κ4 (実施例)及び Κ6、Κ8 (比較例)、さ らに、 4種類の低濃度ブラックインク組成物として Κ3、 Κ5 (実施例)及び Κ7、 Κ9 (比 較例)を得た。表 1に記載の水溶性榭脂 (分散剤)としては、スチレン—アクリル酸共 重合体(分子量 = 15000 ;酸価 = 100)を用いた。また、 AQ593は、ポリプロピレン 型ェマルジヨン(ビックケミージャパン株式会社製)であり、 ΒΥΚ348は、シリコーン系 界面活性剤である。表 1において、単位は最下欄から 3行を除いて重量%であり、各 インクには、その他に全体を 100%とする純水が含まれている。
(2)インクセット
表 1に示す各ブラックインク組成物と、ライトシアンインク組成物、ライトマゼンタ組 成物、イェローインク組成物を表 2に示すように組み合わせて、実施例 1及び 2のイン クセットと比較例 1及び 2のインクセットとを構成した。なお、ライトシアンインク組成物 ( 1%)、ライトマゼンタ組成物(1%)及びイェローインク組成物(5. 0%)の顔料には、 それぞれ PB— 15 : 3 PV— 19 PY— 74を用いた。
[0216] (3)評価方法 1 (位相ずれ及びゴールデンダロス)
[1]記録方法
実施例 1〜 2及び比較例 1〜 2の各インクセットを、インクジェットプリンタ(PM— 400 OPX;セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジのブラックインク室(高濃度ブ ラックインク組成物 K1)、グレーインク室 (K2、 Κ4、 Κ6、 Κ8の中間階調用ブラックィ ンク組成物)及びシアンインク室 (Κ3、 Κ5、 Κ7、 Κ9の低濃度ブラックインク組成物) にそれぞれ充填した。また、同様に、ライトシアンインク組成物、ライトマゼンタインク 組成物及びイェローインク組成物も、以下の表 3に示すインク室にそれぞれ充填した 表 3 桂用し インク組成物 使用したインク室
高 a度ブラックインク組成物 κι ブラックインク室
中濃度ブラックインク組成物 Κ2、 Κ4、 Κ6、 Κ8 グレーインク室
低濃度ブラックインク組成物 Κ3、 Κ5、 Κ7、 Κ9 シアンインク室
ライ卜シアンインク組成物 ライ卜シアンインク室
ライ卜マゼンタインク組成物 マゼンタインク室
イエローインク組成物 ライ卜マゼンタインク室
[0217] 出力は、各インクセットについて、インクジェット用専用記録用紙 (ΡΜ写真用紙:セ イコーエプソン株式会社製)に対して、解像度 1440 X 720dpiで行い、それぞれ白 から黒へのグレーの階調パターン (グレースケール)を、階調を区切らずに無段階で 行った。なお、出力は各インクの吐出量を分配して行った。
[0218] [2]位相ずれの確認評価
位相ずれの評価は 5人の観察者によって行った。出力した記録物を室内光である 蛍光灯の直下 1. 5mの机上に設置し、観察者を机脇に立たせた。観察者は直立し た状態力 光りをさえぎらないように、印刷物の右端力 左端までを、種々の視角で 視線を動力して印刷物を観察した。その観察結果を以下の表 4に示す。なお、位相 ずれが発生している記録物では、或る一定の角度の視線によって観察した場合に、
グレーレベル 40〜60の範囲の黒い出力色において、蛍光灯の光りが白く強く反射し てしまい、反転したように見えてしまう。表 4において、分母は観察者全員の人数(5 人)を示し、分子は位相ずれを確認した人の人数を示す。
[0219] [3]ゴールデングロスの確認評価
ゴールデンダロスの評価は 5人の観察者によって行った。出力した記録物を室内光 である蛍光灯の直下 1. 5mの机上に設置し、観察者を机脇に立たせた。観察者は直 立した状態力 光をさえぎらないように、印刷物の右端力 左端までを、種々の視角 で視線を動かして印刷物を観察した。その観察結果を以下の表 5に示す。なお、ゴー ルデンダロスが発生している記録物では、或る一定の角度の視線によって観察した 場合に、グレーレベル 140前後の範囲の黒い出力色において、蛍光灯の光りが金色 気味に強く反射して見えてしまう。表 5において、分母は観察者全員の人数 (5人)を 示し、分子はゴールデンダロスを確認した人の人数を示す。
[0220] 表 4及び 5に示すように、実施例のインクセットによれば、 、ずれも位相ずれ及びゴ 一ルデンダロスが回避されたことがわ力つた。したがって、実施例のインクセットによ れば、位相ずれ及び GGが有効に回避又は抑制された記録物が得られることがわか つた o
[0221] (4)評価方法 2 (表面欠陥)
[1]記録方法
実施例 1〜2及び比較例 1〜2の各インクセットを、インクジェットプリンタ(PX— G90 0;セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジのブラックインク室(高濃度ブラッ クインク組成物 K1)、マットブラックインク室 (K2、 Κ4、 Κ6、 Κ8の中間階調用ブラック
インク組成物)及びイェローインク室 (K3、 Κ5、 Κ7、 Κ9の低濃度ブラックインク組成 物)にそれぞれ充填した。また、同様に、ライトシアンインク組成物、ライトマゼンタイン ク組成物及びイェローインク組成物も、以下の表 6に示すインク室にそれぞれ充填し た。
表 6 使用しナ:イン 成 #) 便用したインク室
高 *度ブラックインク組成物 Κ1 ブラックインク室 中濃度ブラックインク粗成物 Κ2、 Κ4、 Κ6、 Κ8 マツ卜ブラックインク室
低濃度ブラックインク組成物 Κ3、Κ5、Κ7、Κ9 イエロ一^ンク室 ライ卜シアンインク組成物 シアンインク室 ライトマゼンタインク組成物 マゼンタインク室 イェローインク組成物 グロスオプティマイザインク室
[0222] 出力は、インクジェット専用記録用紙 (PM写真用紙:セイコーエプソン株式会社製) 【こ対して、解像度 2880 X 1440dpiで、図 2【こ示すグレーレべノレ 140、 100、 50、 20 の 4点の濃度の分割グレーべタパターンを 100ページ連続印刷した。
[0223] [2]表面欠陥の確認評価
連続印刷後の記録物につき、 5人の観察者によって出力物の記録紙押さえ部材の 接触痕跡カゝらなる表面欠陥を観察した。この接触痕跡は、記録紙押さえである歯車 状の薄板であるローラの突状あるいはそれに榭脂成分が付着固化したものが記録物 の画像表面に接触することによって微小な凹状ドットの軌跡 (ローラ跡)を残すことに よって形成される。観察結果を表 7に示す。表 7において、分母は観察者全員の人数 (5人)を示し、分子は表面欠陥を確認した人の人数を示す。
[0224] 図 2及び表 7に示すように、実施例のインクセットによれば、広いグレーレベルにわ たってローラ跡などの表面欠陥が回避されていたことがわ力つた。したがって、実施 例のインクセットによれば、位相ずれや GGが有効に回避又は抑制されるとともに、表 面欠陥のない高品質な表面を有する記録物が提供できることがわ力つた。
[0225] 実施例 II
次に、 Kl (フォトブラックインク組成物-自己分散型ではないカーボンブラック)と K10 (マットブラックインク組成物-自己分散型カーボンブラック)のインクチェンジ を行い、さらに中濃度、低濃度ブラックインクと組み合わせて非光沢性媒体 (マット系 メディア)に画像を印刷して得られた記録物にっ 、ての実施例にっ 、て説明する。
[0226] (1)ブラックインク組成物の調製
以下の表 8に記載の K10のブラックインク組成物に関して、以下のように水成媒体 等を添加し混合して、ブラックインク組成物を得た。
[0227] 具体的には、表 8に基づいて顔料(自己分散型カーボンブラック)を水性媒体と混 合し、サンドミル (安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm;混合物の 1. 5 倍量 (重量)〕とともに 2時間分散させ、 K10の自己分散型カーボンブラックを含有す るブラックインク組成物を得た。
[0228] 表 8
(重量
[0229] (2)インクセット
表 1に示す K2及び K3の各ブラックインク組成物と、上記の方法で調製した、 K10 のブラックインク組成物のほ力、シアンインク組成物、ライトシアンインク組成物、マゼ ンタ組成物、ライトマゼンタインク組成物及びイェローインク組成物を表 9に示すように 組み合わせて、実施例 3のインクセットを構成した。また、これらのインクセットの各ィ ンク糸且成物を表 9に示すように、インクジェットプリンタ A (PX—G900 ;セイコーェプソ
ン株式会社製)の専用カートリッジの各インク室に充填した。以下、このプリンタをプリ ンタ A (実施例 3)と称する。
[0230] なお、シアンインク組成物(4.0%)、ライトシアンインク組成物(1%)、マゼンタインク 組成物(5.5%)、ライトマゼンタ組成物(1%)及びイェローインク組成物(
5. 0%)の顔料には、それぞれ PB— 15 : 3、 PV—19、 PY— 74を用いた。なお、比 較例として、市販の PX—G900のインクカートリッジ(フォトブラックインク糸且成物(カー ボンブラック濃度 1. 5%)、マットブラックインク糸且成物 (カーボンブラック濃度 6%)、シ アンインク組成物、マゼンタインク組成物、ブルーインク組成物、レッドインク組成物 及びダロスオプティマイザインク組成物のインクセットが各インク室に充填されたもの) をインクジェットプリンタ A (PX—G900 ;セイコーエプソン株式会社製)に装着した。 以下、このプリンタをプリンタ B (比較例 3)と称する。
しナニインク インク
マットブラックインク組成物(K10) ブラックインク室
中濃度ブラックインク組成物(K2) マツ卜ブラックインク室
低濃度ブラックインク組成物 (K3) イェローインク室 シアンインク組成物 レッドインク室
ライトシアンインク組成物 シアンインク室
マゼンタインク組成物 ブルーインク室
ライ卜マゼンタインク組成物 マゼンタインク室 イエローインク組成物 ゲロスォプ亍イマイザインク宰
[0231] (3)評価方法 (インク重量ばらつきの発生による色相変化の評価)
プリンタ A及び Bを用いて、専用記録紙 (セイコーエプソン社製、フォトマット紙)に対 して解像度 1440 X 720にて印刷を行い、 18階調のパッチを持つグレースケールを 出力した。両者は、出力色がほぼ同一となるような出力データを使用した。更に、そ の際、各インクセットに含まれる 1つのインク組成物の吐出インク重量のみを 10%減 少させ、順々に、吐出インク重量を 10%減少させるインク組成物の種類を変えて、そ れぞれのインク重量の組み合わせについて同一データを出力した。なお、規定のィ ンク重量を得るための駆動電圧は、ヘッドを駆動させる電圧を変化させてインクを吐 出させ、そのインク重量を実測することにより決定した。
[0232] 通常のインク重量で得られた出力データと、インク重量を減少させて得られた出力 データとを、それぞれ、グレタグ社製グレタグマクベス SPM50を用いて測色し、各パ ツチについて、 CIE規定の a * b *値を求めた。測色条件は、光源 D50、光源フィル タなしで白色基準は絶対白とし、視野角は 2度とした。通常のインク重量で得られた 出力データと、インク重量を減少させて得られた出力データとの変化度 Δ a * b *を 算出し、以下の基準で評価した。結果を表 10に示す。
A:全てのパッチにお!、て Δ a * b *が 2以下
B: 3個以内のパッチにお!、て Δ a * b *が 2を越えるが、他のパッチは 2以下
C: 6個以内のパッチにお!、て Δ a * b *が 2を越えるが、他のパッチは 2以下
D: 7個以上のパッチにお!、て Δ a * b *が 2を越える
[0233] 表 10に示すように、プリンタ Aではすベてのパッチにおいて Δ a * b *が 2以下で結 果は Aであったのに対して、プリンタ Bを用いた場合は結果力 Cだった。以上のことか ら、プリンタ Aで用いたインクセットによれば、フォトマット紙など非光沢媒体において、 好ましいグレースケールを安定的に得られることがわかった。プリンタ A及び Bにおい て良好なグレースケールパッチ作製時における各インク組成物のインク使用量とダレ 一レベルとの関係を図 3及び図 4に例示する。
[0234] なお、ブラックインク糸且成物 Kl、 Κ2、 Κ3及び K10の各インク糸且成物について、イン クジェットプリンタ A (PX—G900 ;セイコーエプソン株式会社製)を用いて、印字デュ 一ティを 10〜100%の範囲で 2種類の専用記録紙 (フォトマット紙、及び PM写真紙( 光沢紙)、 、ずれもセイコーエプソン株式会社製)に対して解像度 1440 X 720にて 印字して、ダレタグ社製ダレタグマクベス SPM50を用いて測色して光学濃度を測定 した。測色条件は、光源 D50、光源フィルタなしで白色基準は絶対白とし、視野角は 2度とした。結果を表 11並びに図 5及び図 6に示す。
表 11
K1 K2 K3 K10
MaxOD値 (PM写真紙) 2.30 1.40 0.53 2.04
MaxOD値 (フォトマット紙) 1.40 1.23 0.75 1.80
[0235] 表 11並びに図 5及び図 6に示すように、ブラックインク組成物 K1は、 PM写真紙に おいて優れた光学濃度を示し、ブラックインク組成物 K10は、フォトマット紙において 優れた光学濃度を示していた。したがって、ブラックインク組成物 K1とブラックインク 組成物 K10とをそれぞれ光沢性媒体及び非光沢性媒体に対して用いることで媒体 の光沢性に関わらず表面欠陥がなく良好なグレースケールの記録画像が得られると ともに、良好な光学濃度の記録画像が得られることがわ力つた。
[0236] 実施例 III
(1)エージングした水溶性ポリウレタン榭脂液の調製
水分散性ポリエステル系ポリウレタン榭脂(酸価 50、トリェチルァミン中和)の榭脂固 形分 15%のポリウレタン榭脂組成物 (榭脂溶液)を表 12に示す組成となるように調製 した。この榭脂溶液を密閉容器に充填し、表 12に併せて示す条件で静置してエージ ング工程を実施して、ポリウレタン榭脂水溶液を得た。なお、この榭脂水溶液は、 1, 2—へキサンジオールを水溶性ポリウレタン榭脂固形分に対して 33. 3%含有してい た。なお、水溶性ポリウレタン榭脂水溶液は、エージング工程開始前において高い粘 度を示すが、エージング開始後 5日間経過後には顕著に粘度が低下し、その後安定 化し、エージング工程終了時には、実質的に粘度変化を有しない液体となっていた。 表 12
(重量%)
[0237] ( 2) pH調製榭脂ェマルジヨンの調製
メタクリル酸ェチル 60部、メタクリル酸メチル 36部、メタクリル酸 4部、分子量調整剤 としてチォグリコール酸ォクチル 3部、ポリビュルアルコール 1部及びイオン交換水 2
8 0部を攪拌混合して、単量体混合物の分散物を調製した。別の攪拌機付き反応器 に、イオン交換水 1 3 0部及び過硫酸カリウム 2部を仕込み、 8 0 °Cに昇温し、そし て前記単量体混合物の分散物を 4時間かけて連続添加して重合させた。連続添カロ 終了後、 80°Cにて、 3 0分間の後反応を行った。重合転化率は、 99%以上であつ た。次いで、仕込みのメタクリル酸と当モル量の水酸ィ匕ナトリウムに相当する量の 10 %水酸ィ匕ナトリウム水溶液を反応器に添加し、更に 80°Cにて、 1時間熱処理した後 に、適量のイオン交換水を加えて、固形分濃度 15%の pH調整榭脂ェマルジヨン Aを 得た。この pH調整榭脂ェマルジヨン Aの酸価は 30であった。
(3)ブラックインク組成物の調製
次に、以下の表 13に記載の組成に従って、 4種のブラックインク組成物(K11〜K1 4)及び 2種のブラックインク組成物 (K15、 K16)を調製した。具体的には、表 13に 示す顔料 (カーボンブラック、ビグメントブルー 15 : 3)及び水溶性榭脂 (分散剤)を混 合して顔料分散液を調製し、さらに(1)で調製したエージングポリウレタン榭脂水溶 液又は pH調製榭脂ェマルジヨン Αを加え、サンドミル (安川製作所製)中でガラスビ ーズ〔直径 = 1. 7mm;混合物の 1. 5倍量 (重量)〕とともに 2時間分散させ、 6種のブ ラックインク組成物を得た。すなわち、 3種類の中間階調用の中濃度ブラックインク組 成物として Kl l, K13 (実施例)及び K15 (比較例)、さらに、 3種類の低濃度ブラック インク組成物として Κ12、 Κ14 (実施例)及び Κ16 (比較例)を得た。なお、表 13に記 載の水溶性榭脂 (分散剤)としては、スチレン アクリル酸共重合体 (分子量 = 1500 0 ;酸価 = 100)を用いた。また、 HS— 500は、糖を主成分とする溶剤である。
表 13
* :樹脂面形分
[0239] (4)インクセットの構成
調製したブラックインク組成物及びライトシアンインク組成物、ライトマゼンタインク組 成物及びイェローインク組成物とを表 14に示すように組み合わせて実施例 4〜7のィ ンクセット及び比較例 4〜6のインクセットを構成した。なお、ブラックインク組成物 K1 〜K9については、実施例 1、 2で既に調製したものと同様のものを用いた。
表 14
[0240] (5)評価方法 1 (位相ずれ及びゴールデンダロス)
[1]記録方法
実施例 4〜7及び比較例 4〜6の各インクセットを、インクジェットプリンタ(PM— 400 0PX;セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジの各種インク室に表 15に示 すように割り当ててそれぞれ充填した。出力は、各インクセットについて、実施例 2 と同様に行った。
表 15
位相ずれ'ゴールデングロス評価 PX4000PX
使用したインク fflffcfe! 用 -インク室
高 S度ブラックインク組成物 (Ki) ブラックインク室
中 S度ブラックインク組成物(Κ2,Κ4,Κ6.Κ8,Μ 1.Κ13.Κ15) グレーインク室 低澳度ブラックインク組成物(Κ3,Κ5,Κ7.Κ9,Κ12,Κ14,Κ16) シアンインク室 ライトシアンインク組成物 ライ卜シアンインク室
ライ卜マゼンタインク組成物 マゼンタインク室
イェローインク 成物 ライ卜マゼンタインク
[2]位相ずれ及びゴールデンダロスの確認評価
位相ずれの評価及びゴールデンダロスの評価はそれぞれ 5人の観察者によって、 実施例 2と同様にして行った。結果を、表 16に示す。
表 16 実施例 比較例
評価項目 4 5 6 7 4 5 6 位相ずれの 0/5 0/5 0/5 0/5 4/5 5/5 0/5
実施例 比較例
4 5 6 7 4 5 6 ゴールデングロスの 認 0/5 P/5 0/5 0/5 5/5 5/5 0/5
[0242] 表 16に示すように、実施例のインクセットによれば、いずれも位相ずれ及びゴール デングロスが回避されたことがわ力つた。すなわち、 pH調整榭脂ェマルジヨン Aに替 えて水溶性ポリウレタン榭脂溶液又はエージングした水溶性ポリウレタン榭脂溶液を 用いても位相ずれ及びゴールデンダロスが改善されることがゎカゝつた。
[0243] (6)評価方法 2 (表面欠陥)
[1]記録方法
実施例 4〜7及び比較例 4〜6の各インクセットを、インクジェットプリンタ(PX— G90 0 ;セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジの各種インク室に対して表 17に 示す割り当てでそれぞれ充填した。出力は、実施例 2と同様にして行った。
表 17
[0244] [2]表面欠陥の確認評価
連続印刷後の記録物につき、 5人の観察者によって出力物の記録紙押さえ部材の 接触痕跡カゝらなる表面欠陥を観察した。結果を表 18に示す。
[0245] 表 18に示すように、実施例のインクセットによれば、広いグレーレベルにわたって口 ーラ跡などの表面欠陥が回避されていたことがわ力つた。すなわち、 PH調整榭脂ェ マルジヨン Aに替えて水溶性ポリウレタン榭脂溶液又はエージングした水溶性ポリウ レタン樹脂溶液を用いることで、位相ずれ及びゴールデンダロスが改善されるとともに 、表面欠陥のない高品質な表面を有する記録物が提供できることがわ力つた。
[0246] (7)評価方法 3 (インク保存安定性)
次に、実施例のインクセット(実施例 4〜7)及び比較例のインクセット (比較例 4〜6) に用いた各種ブラックインク組成物(K2〜K9、 Κ11〜Κ16)について、インク保存安 定性の評価を行った。評価方法は、水性インク組成物を調製直後にインクパックに 5 Occ封入し、 70°Cの環境下で 6日間(144時間)放置した。放置前後のインク組成物 の粘度を、 Physica社製粘弾性試験機を用いて測定 (測定温度 20°C)し、次式により 粘度変化率(Δν)を求めた。粘度変化率を、以下の基準で評価した。結果を表 19に 示す。
Δν(%) = I V-V
0 I /V X 100
0
ただし、 Vは、放置時の粘度であり、 Vは 6日経過時の粘度である。
0
評価 A:インクの粘度変化力 未満であった。
評価 B :インクの粘度変化が 4%以上 7%未満であった。
評価 C:インクの粘度変化が 7%以上であった。
[0247] 表 19に示すように、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いたブラックインク 組成物 (K11〜K14)は良好な保存安定性を示した。これに対して、エージングして Vヽな 、水溶性ポリウレタン榭脂を用いたブラックインク組成物 Κ2〜Κ5は、 、ずれも 保存安定は良好ではな力つた。これにより、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂 水溶液を用いることで良好な保存安定性が得られることがわ力つた。なお、水溶性ポ リウレタン榭脂を用いて 、な 、ブラックインク組成物(Κ6〜Κ9及び K15及び K16 (ρ Η調整榭脂ェマルジヨン Α使用))も良好な保存安定性を示し、水溶性ポリウレタン榭 脂の使用がインク組成物の保存安定性を低下させることが明らかであった。
[0248] また、以上の評価方法 1〜3の結果をブラックインクセットについてまとめたものを表 20に示す。
表 20
[0249] 表 20に示すように、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いたブラックインク 組成物による実施例 6〜7のインクセットは、水溶性ポリウレタン榭脂の使用による優 れた特性 (位相ずれ及びゴールデンダロスの改善並びに表面欠陥の抑制)を有する とともに、水溶性ポリウレタン榭脂に起因する保存不安定性が解消されて良好な保存 安定性をも有していることがわ力つた。すなわち、エージングした水溶性ポリウレタン
榭脂を用いることによって、水溶性ポリウレタン榭脂によって得られる良好な表面特性 を維持しつつ保存安定性を向上させることができた。
[0250] 実施例 IV
以下の実施例では各種カラーインク組成物を調製し、光沢ムラ及び保存安定性に ついて評価した。
[0251] (1)カラーインク組成物の調製
表 21に示す組成にしたがって、実施例の 10種類のカラーインク組成物と比較例の 5種類のカラーインク組成物を調製した。具体的には、表 21に示す各種顔料及び水 溶性榭脂 (分散剤)を混合して顔料分散液を調製し、さらに実施例 ΠΙで調製したエー ジングポリウレタン榭脂水溶液又は該エージング前のポリウレタン榭脂水溶液を加え 、サンドミル (安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm;混合物の 1. 5倍量 (重量)〕とともに 2時間分散させ、合計 15種類のカラーインク組成物を得た。なお、表 21に記載の水溶性榭脂 (分散剤)としては、スチレン アクリル酸共重合体 (分子量 = 15000 ;酸価 = 100)を用 、た。
表 21
インク Ho. C1 C2 C3 C4 ?5 C6 C7 C8 C9 ピゲメントバイオレット 1 9 1.0 1.0 1.0 5.5 5.5 5.5 ピゲメントブルー 1 5: 3 1.0 1 ,0 1.0
ピゲメントイ ロー 74
0.15 0.15 0.15 0.3 0-3 0.3 0.15 0.15 0.15 水溶性ポリウレタン 水 (固形分 15S) 6.67 6.67 5.5
- ンゲ SCOjkSW*ポリウレタン《ΒΒΛ»» * 6.67 6.67 5.5
AQ593( 分 30S) 0.67 0.67 0.67 0.67 0.67 0.67
グリセリン 19 19 20 19 20 20 14.5 14.5 18
1 . 2-へキサンジオール 4.75 4.75 5 4.75 4.75 5 4.7 4.7 5 Jエタノールァミン 0.9 0.9 0.9 0,9 0,9 0-9 0.9 0.9 0.9
BYK348 0.5 0.5 0.5 0 5 0 5 0.5 0.8 0.8 0.8
EDTA 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02
SP 残嚣 残撒 残曾 残世 残《 «» 残骨 台計 (1量%) 100 100 100 100 100 100 100 100 100 インク Φのポ' Jウレタン《B§ »«) 1-0 1 0 0.0 1.0 1.0 00 0.8 0-8 0-0
* :樹脂固形分 1 5%
*:樹脂固形分 15¾
(2)評価方法 1 (光沢ムラ)
調製した各種カラーインク組成物(C1〜C15)とブラックインク組成物 (K1〜K3、 Κ 6、 K7、 Kl l¾tJ^K12,実施例 I及び III参照)を、インクジェットプリンタ(PM— G900 ;セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジの各種インク室に表 22に示すよう に割り当ててそれぞれ充填した。
表 22
表面光沢度測定
使用したインク組成物 使用したインク室
高濃度ブラックインク組成物(K1 ) ブラックインク室
中 a度ブラックインク組成物 (K2.K6.K1 1) マツ卜ブラックインク室
低 ;¾度ブラックインク組成物 (K3.K7.K12) イエロ一インク室
シアンインク組成物(C10.C1 1.C12) レツ Kインク室
ライトシアンインク組成物(C4.C5.G6) シアンインク室
マゼンタインク組成物 (C7.C8.C9) ブルーインク室
ライトマゼンタインク祖成物(C1.C2.C3) マゼンタインク室
イェローインク ¾成物(C13,C C1 5) グロスオプティマイザインク室 出力は、インクジェット専用記録用紙 (PM写真用紙:セイコーエプソン株式会社製)
に対して、解像度 1440 X 720dpiで、単色で各インクを Duty 10〜: L00%までの 10 パッチを印刷した。印字サンプルを 1曰乾燥させた後、 自動変角光度計 (GP— 200 株式会社村上色彩技術研究所)を用いて、 45度光沢度測定を行った。結果を表 23 及び図 7〜図 11に示す。なお、ブラックインク組成物についても同様に測定した。結 果を表 24及び図 12、図 13に示す。また、光沢ムラについて以下の基準で評価した 評価結果を表 25に示す。
八:0 10 100%までの10パッチの45度グロスの\1^値と^ 直の差カ 以上30未満 B : DutylO 100%までの 10パッチの 45度グロスの Max値と Min値の差が 30以上 60未 満
C : DutylO 100%までの 10パッチの 45度グロスの Max値と Min値の差が 60以上
表 24
表 25
カラーインク組 物の評価結 i
インク組成物 インク種 インク組成物に用いた fttfl インゥ保存 Λラ β
C 1 ポリウレタン檄脂木溶液 Β A
Light
C2 エージング ポリウレタン樹脂水溶液 A A
Magenta
C3 なし A C
C4 ポリウレタン榭脂水涪液 B A
Light
C5 エージング ポリウレタン樹 B 水港液 A A
C an
C6 なし A C
C7 ポリウレタン樹脂水溶液 B A
C8 Magenta エージング ポリウレタン 水溶液 A A
C9 なし A A
C 1 0 ポリウレタン樹腥水溶液 B A
C 1 1 Cyan ジング ポリウレタン樹脂水溶液 A A
C 1 2 なし A B
C 1 3 ポリウレタン樹脂水溶液 β A
C 1 4 Yellow エージング ポリウレタン樹脗水溶 ¾ A A
C 1 5 なし A A 表 26
[0254] 表 23及び図 7〜図 11に示すように、実施例のカラーインク組成物(Cl、 C2、 C4, C5、 C7、 C8、 C10、 Cl l、 C13、 C14)は、それぞれ比較例のカラーインク組成物( C3、 C6、 C9、 C12、 C15)に比較して広い範囲の打ち込み量において安定した光 沢度を有していた。特に、顔料濃度の低いカラーインク組成物において顕著であつ たが、水溶性ポリウレタン榭脂を用いることでこうした不具合が回避又は抑制されてい ることがわ力つた。また、表 24並びに図 12及び図 13に示すように、ブラックインク糸且 成物においても水溶性ポリウレタン榭脂を用いることで光沢ムラが回避又は抑制でき ることがわかった。
[0255] (3)評価方法 2 (インク保存安定性)
次に、実施例のカラーインク組成物と比較例のカラーインク組成物について、インク 保存安定性の評価を行った。評価方法は、水性インク組成物を調製直後にインクパ ックに 50cc封入し、 70°Cの環境下で 6日間(144時間)放置した。放置前後のインク 組成物の粘度を、 Physica社製粘弾性試験機を用いて測定 (測定温度 20°C)し、次 式により粘度変化率(Δν)を求めた。粘度変化率を、以下の基準で評価した。結果 を表 25にあわせて示す。
ΔΥ(%) = I V-V I /V X 100
ただし、 Vは、放置時の粘度であり、 Vは 6日経過時の粘度である。
0
評価 A:インクの粘度変化力 未満であった。
評価 B :インクの粘度変化が 4%以上 7%未満であった。
評価 C:インクの粘度変化が 7%以上であった。
[0256] 表 25に示すように、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いカラーインク組成
(C2、 C5、 C8、 Cl l、 C14)は、良好な保存安定性を示した。これに対して、エージ ングしていない水溶性ポリウレタン榭脂を用いたカラーインク組成物(Cl、 C4、 C7、 C10、 C13)の保存安定性は良好ではな力つた。これにより、カラーインク組成物に ぉ 、ても、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂水溶液を用いることで良好な保存 安定性が得られることがわ力つた。なお、水溶性ポリウレタン榭脂を用いていないカラ 一インク組成物(C3、 C6、 C9、 C12、 C15)は良好な保存安定性を示し、水溶性ポリ ウレタン榭脂の使用がインク組成物の保存安定性を低下させることが明らかであった
[0257] 以上のことから、表 25に示すように、エージングした水溶性ポリウレタン榭脂を用い たカラーインク組成物は、水溶性ポリウレタン榭脂の使用による優れた特性 (光沢ムラ の回避又は抑制)を有するとともに、水溶性ポリウレタン榭脂に起因する保存不安定 性が解消されて良好な保存安定性をも有していることがわ力つた。すなわち、エージ ングした水溶性ポリウレタン榭脂を用いることによって、水溶性ポリウレタン榭脂によつ て得られる良好な表面特性を維持しつつ保存安定性を向上させることができた。
[0258] 実施例 V
(エージング榭脂の調製)
水分散性ポリエーテル系ポリウレタン榭脂 (分子量約 6000)の榭脂固形分 15%の ポリウレタン榭脂組成物 (榭脂溶液)の試料 A〜Fを表 27に示す組成となるように調 製した。試料 A〜Cは、溶液中に 1, 2—へキサンジオールを含有する実施例試料で あり、試料 D〜Fは、溶液中に 1, 2—へキサンジオールを含有しない比較例試料で ある。これらの試料 A〜Fを密閉容器に充填し、表 28に併せて示す各条件で静置し てエージング工程を実施して、ポリウレタン榭脂水溶液 A〜Fを得た。なお、榭脂水 溶液 A〜Cは、 1, 2—へキサンジオールを水溶性ポリウレタン榭脂固形分に対して 3
3. 3%含有していた。
表 27
:wt%
[0259] 各エージング榭脂水溶液 A〜Fの粘度を Physica社製粘弾性試験機を用 V、て測定 した結果 (測定温度 20°C)を表 28に示す。表 28に示すように、 1, 2—へキサンジォ ールとともにエージングする実施例のポリウレタン榭脂水溶液 A〜Cでは、エージング 工程開始前において高い粘度を示すが、その後 5日間経過後には顕著に粘度が低 下し、その後ほぼ安定ィ匕した。一方、比較例のポリウレタン榭脂水溶液 D〜Fは、ェ 一ジング開始工程時及びその後 、ずれの時点にお!、ても実施例より低!、粘度であ つたが、粘度の低下程度が小さくかつ緩慢であった。
表 28
[0260] (インク組成物の調製)
次に、表 29に示す組成の水性インク組成物を調製した。なお、これらの水性インク 組成物は、いずれも、カーボンブラック含有量が 0. 4%未満のライトブラックインク組 成物である。具体的には、以下の表 3に記載の各ブラックインク組成物についての各 配合成分を混合し、サンドミル (安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm; 混合物の 1. 5倍量 (重量)〕とともに 2時間分散させることにより調製し、実施例 3種及
び比較例 3種の計 6種のブラックインク組成物とした。なお、表 3に記載の水溶性榭脂 (分散剤)としては、スチレン—アクリル酸共重合体 (分子量 = 15000 ;酸価 = 100) を用いた。また、 AQ593は、ポリプロピレン型ェマルジヨン(ビックケミージャパン株式 会社製)であり、 BYK348は、シリコーン系界面活性剤である。さらに、表 29におい て、各インクには、その他に全体を 100wt%とする為の純水が含まれている。
表 29
:wt%
(インク保存安定性の評価)
次に、上記のようにして調製した実施例 1〜3及び比較例 1〜3の水性インク組成物 を用いて、インク保存安定性の評価を行った。評価方法は、水性インク組成物を調製 直後にインクパックに 50cc封入し、 70°Cの環境下で 6日間(144時間)放置した。放 置前後のインク組成物の粘度を、 Physica社製粘弾性試験機を用いて測定 (測定温 度 20°C)し、次式により粘度変化率(Δν)を求めた。粘度変化率を、以下の基準で 評価した。結果を表 30に示す。
ΔΥ(%) = I V-V I /V X IOO
ただし、 Vは、放置時の粘度であり、 Vは 6日経過時の粘度である。
0
評価 A:インクの粘度変化力 未満であった。
評価 B :インクの粘度変化が 4%以上 7%未満であった。
評価 C:インクの粘度変化が 7%以上であった。
表 30
[0262] 表 30に示すように、実施例 1〜3の水性インク組成物はいずれもその粘度変化率が 7%未満であって、良好な安定性を示していた。なかでも、実施例 2及び 3は、 4%未 満であってさらに良好な安定性を示していた。これに対して、比較例 1〜3の水性イン ク組成物は、いずれも 7%以上の粘度変化率であった。これらのことから、本実施例 によれば、水溶性ポリウレタン榭脂は、水性インク組成物に用いる水溶性有機溶媒と 予め混合しエージングしておくことで、ポリウレタン榭脂と水とのみでエージングする のに比べて、水性インク組成物の調製時にぉ 、て当該組成物の粘度を安定ィ匕させる ことが示された。また、水溶性ポリウレタン榭脂をエージングするには、 1, 2—へキサ ンジオールとエージングすることが好ましいことが示された。
[0263] さらに、本実施例によれば、本実施例のポリウレタン榭脂組成物 A〜Cを、 70°Cで 5 日(120時間)以上 9日(216時間)以下エージングすることで好ましいライトブラックィ ンク組成物が得られることが示された。また、 70°Cで 7日(168時間)以上 9日(216時 間)以下エージングすることがより好まし 、ことも示された。
[0264] 実施例 VI
(エージング榭脂の調製)
水分散性ポリエーテル系ポリウレタン榭脂 (分子量約 6000)の榭脂固形分 15%の 水溶性ポリウレタン榭脂組成物 (榭脂溶液)の試料 2A〜2Hを表 31に示す組成とな るように調製した。試料 2A〜2Fは、溶液中に 1, 2—へキサンジオールとグリセリンと を含有する実施例試料であり、試料 2Gは 1, 2—へキサンジオールのみを含有する
実施例試料であり、 2Hは、溶液中に 1, 2 キサンジオールを含有しない比較例 試料である。これらの試料 2A 2Hを密閉容器に充填し、表 31に併せて示す各条 件で静置してエージング工程を実施して、ポリウレタン榭脂水溶液 2A 2Hを得た。 なお、榭脂水溶液 2A 2Gは、 1, 2 キサンジオールを水溶性ポリウレタン樹脂 固形分に対して 33. 3%含有し、 2A 2Cはグリセリンを水溶性ポリウレタン樹脂固形 分に対して 33. 3%含有し、 2Dから 2Fは同 66. 6%を含有していた。
表 31 添加割合 (wt.¾)
調製樹脂水溶液 1 ,2-へキサ エージング条件 ポリウレタン樹脂 グリセリン 水
ンジオール
樹脂 2A 15 5 5 75 70 C X 5day 樹脂 2B 15 5 5 75 70°C x 7 day 樹脂 2C 15 5 5 75 70°C x 9day 樹脂 2D 15 5 10 70 70°C x 5day 樹脂 2E 15 5 10 70 70°C x 7 day 樹脂 2F 15 5 10 70 70DC x 9day 樹脂 2G 15 5 0 80 70°C x 7day 樹脂 2H 15 0 0 85 70°C x 7day (低温保存評価)
こうしてエージングした各水溶性ポリウレタン樹脂水溶液 2A 2Hについて以下に 示す方法で低温保存評価を行った。すなわち、ポリウレタン樹脂水溶液 50mlをガラ ス瓶に封入し、— 20°Cの環境下で 4日間放置し、放置前後のポリウレタン樹脂水溶 液の粘度を Physica社製粘弾性試験機を用いて測定し (測定温度 20°C)、粘度変化 率を算出した
。なお、低温評価は、以下の基準で行った。結果を表 32に示す。
評価 A:ポリウレタン樹脂水溶液の粘度変化が 6%未満
評価 B :ポリウレタン樹脂水溶液の粘度変化が 6%以上 10%未満
評価 C :ポリウレタン榭脂水溶液の粘度変化が 10%以上
表 32
ポリウレタン樹脂
低温保存結果
水溶液
樹脂 2A A
樹脂 2B A
樹脂 2C A
樹脂 2 D A
樹脂 2E A
樹脂 2F A
樹脂 2G C
樹脂 2H C
[0266] 表 32に示すように、 1, 2—へキサンジオールとグリセリンとを含有する 2A 2Gの 水溶性ポリウレタン榭脂水溶液では、低温で保存しても良好な粘度安定性を有して いたが、 1, 2 キサンジオールのみを含有する榭脂水溶液 2G及びポリウレタン榭 脂のみで有機溶媒を含まない榭脂水溶液 2Hは、ともに凍結力 解凍時において粘 度が上昇し、粘度変化率が 10%を超える結果となった。
[0267] (インク組成物の調製)
次に、調製した水溶性ポリウレタン榭脂水溶液 2A 2Hを用いて表 33に示す組成 で水性インク組成物を調製した。なお、これらの水性インク組成物は、いずれも、カー ボンブラック含有量が 0. 4wt%未満のライトブラックインク組成物である。具体的には 、以下の表 7に記載の各ブラックインク組成物についての各配合成分を混合し、サン ドミル (安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm;混合物の 1. 5倍量 (重量 )〕とともに 2時間分散させることにより調製し、実施例 3種及び比較例 3種の計 6種の ブラックインク組成物とした。なお、表 33に記載の水溶性榭脂(分散剤)としては、ス チレン—アクリル酸共重合体(分子量 = 15000 ;酸価 = 100)を用いた。また、 AQ5 93は、ポリプロピレン型ェマルジヨン(ビックケミージャパン株式会社製)であり、 BYK 348は、シリコーン系界面活性剤である。さらに、表 33において、各インクには、その 他に全体を 100wt%とする為の純水が含まれている。
(インク保存安定性の評価)
次に、上記のようにエージング工程を実施して調製した水溶性ポリウレタン榭脂水 溶液 2A 2Hを用いて実施例 4 10及び比較例 4の水性インク組成物を用いて、ィ
ンク保存安定性の評価を行った。評価方法は、水性インク組成物を調製直後にイン クパックに 50cc封入し、 70°Cの環境下で 6日間(144時間)放置した。放置前後のィ ンク組成物の粘度を、 Physica社製粘弾性試験機を用いて測定 (測定温度 20°C)し、 次式により
粘度変化率(Δν)を求めた。粘度変化率を、以下の基準で評価した。結果を表 34に 示す。
Δν(%) = I V-VO I /VO X 100
ただし、 V0は、放置時の粘度であり、 Vは 6日経過時の粘度である。
評価 A:インクの粘度変化力 未満であった。
評価 B :インクの粘度変化が 4%以上 7%未満であった。
評価 C:インクの粘度変化が 7%以上であった。
表 34
表 34に示すように、実施例 4〜: L0の水性インク組成物はいずれもその粘度変化率 力 7%未満であって、良好な安定性を示していた。なかでも、実施例 5, 6, 8, 9及び 10は、 4%未満であってさらに良好な安定性を示していた。これに対して、比較例 4 の水性インク組成物は、 7%以上の粘度変化率であった。これらのことから、水溶性 ポリウレタン榭脂は、水性インク組成物に用いるジオール類とトリオール類とともに予 め混合しエージングしておくことで、ポリウレタン榭脂と水とのみでエージングするの に比べ、また、ポリウレタン榭脂と 1, 2—へキサンジオールとをエージングするのに比 ベて、低温保存性が優れるととともに、こうしたトリオール類を含んでいても、エージン
グ条件を変える必要もなぐし力も、水性インク組成物の調製時において当該組成物 の粘度を安定化させることが示された。
実施例 VII
(インク組成物の調製)
実施例 VIで調製したエージング榭脂 2E、 2G及び 2Hを用いて、表 35に示す組成 で実施例 11〜20及び比較例 5〜9の合計 15種類の各種の水性カラーインク組成物 を調製した。具体的には、以下の表 35に記載の各カラーインク組成物についての各 配合成分を混合し、サンドミル (安川製作所製)中でガラスビーズ〔直径 = 1. 7mm; 混合物の 1. 5倍量 (重量)〕とともに 2時間分散させることにより調製した。なお、表 35 に記載の水溶性榭脂 (分散剤)としては、スチレン—アクリル酸共重合体 (分子量 = 1 5000;酸価 = 100)を用いた。
表 35
インク成分
1 1 12 13 14 15 16
ビグメントバイオレット 1 9 1.0 1.0 5.5 5.5
ビグメントブル一 1 5 : 3 1.0 1.0
ビグメン卜イエロ一
水溶性樹脂 (分散剤) 0.15 0.15 0.3 0.3 0.15 0.15
ポリウレタン樹脂水濬液 2
6.67 6.67 5.5
E (固形分 1 5%)
ポリウレタン樹脂水溶液
6.67 6.67 5.5
2G (固形分 1 5%)
ポリウレタン樹脂水溶液
2H (固形分 1 5%)
AQ593 (固形分 30%) 0.67 0.67 0.67 0.67
グリセリン 19 20 19 20 14.5 15
1 , 2—へキサンジォ一ル 4.5 4.5 4.5 4.5 4.7 4.7
トリエタノ一ルァミン 0.9 0.9 0.9 0.9 0.9 0.9
BYK348 0.5 0.5 0.5 0.5 0.8 0.8
EDTA 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02
残量 残攀 残零 残甭 残翠
合計(%) 100 100 100 100 100 100
インク中のポリウレタン樹
1.00 1.00 1.00 1.00 0.83 0.83
脂添加量%
単位: wt%
:: wt%
[0271] (インク保存安定性の評価)
次に、実施例 11〜10及び比較例 5〜9の合計 15種類のカラーインク組成物につ いて、インク保存安定性の評価を行った。
[0272] 評価は、水性インク組成物を調製直後にインクパックに 50cc封入し、 70°Cの環境 下で 6日間(144時間)放置して行った。放置前後のインク組成物の粘度を、 Physica 社製粘弾性試験機を用いて測定 (測定温度 20°C)し、次式により粘度変化率( Δ V)
を求めた。粘度変化率を、以下の基準で評価した。結果を表 36に示す。
Δν(%) = I V-V I /V X 100
0 0
ただし、 Vは、放置時の粘度であり、 Vは 6日経過時の粘度である。
0
評価 A:インクの粘度変化力 未満であった。
評価 B :インクの粘度変化が 4%以上 7%未満であった。
評価 C:インクの粘度変化が 7%以上であった。
表 36
[0273] 表 36に示すように、実施例 11〜20のカラーインク組成物は、いずれもその粘度変 化率が 4%未満であって、良好な安定性を示していた。これに対して、比較例 5〜9 のカラーインク組成物は、いずれも 7%以上の粘度変化率であった。これらのことから 、水溶性ポリウレタン榭脂は、水性インク組成物に用いるジオール類あるいはジォー ル類とトリオール類とともに予め混合しエージングしておくことで、ポリウレタン榭脂と 水とのみでエージングするのに比べて、水性インク組成物の調製時において当該組 成物の粘度を安定化させることが示された。
[0274] 本発明は、 2005年 2月 18日に出願された日本国特許出願第 2005— 042141号 、 2005年 3月 9曰〖こ出願された曰本国特許出願第 2005— 065926号、 2005年 5 月 10日に出願された日本国特許出願第 2005— 137394号、 2005年 5月 10日に 出願された日本国特許出願第 2005— 137395号、 2006年 2月 16日に出願された 日本国特許出願第 2006— 039706号、 2006年 2月 16日に出願された日本国特許
出願第 2006— 039707号を優先権主張の基礎としており、それらの内容の全てが 引用により本明細書に含まれる。 産業上の利用可能性
本発明は、インク、プリンタ、及び印刷分野で利用できる。