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JPWO2020003780A1 - ウレタン樹脂組成物、表面処理剤、及び、物品 - Google Patents

ウレタン樹脂組成物、表面処理剤、及び、物品 Download PDF

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JPWO2020003780A1 JP2020527265A JP2020527265A JPWO2020003780A1 JP WO2020003780 A1 JPWO2020003780 A1 JP WO2020003780A1 JP 2020527265 A JP2020527265 A JP 2020527265A JP 2020527265 A JP2020527265 A JP 2020527265A JP WO2020003780 A1 JPWO2020003780 A1 JP WO2020003780A1
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Abstract

本発明は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を原料とするウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が300以上の密着性付与剤(C)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、前記ウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする表面処理剤、及び、その表面処理剤により形成された層を有することを特徴とする物品を提供するものである。前記密着性付与剤(C)は、酸基を有するものであることが好ましい。前記密着性付与剤(C)の酸価は、10〜70mgKOH/gの範囲であることが好ましい。前記密着性付与剤(C)は、ポリエステルであることが好ましい。前記密着性付与剤(C)の含有量は、0.45〜15.5質量%の範囲であることが好ましい。

Description

本発明は、ウレタン樹脂組成物、表面処理剤、及び、表面処理剤による層を有する物品に関する。
自動車内装レザー用シートの製造工程においては、その表面に耐薬品性および意匠性付与の観点から、表面処理剤により仕上げがなされている。従来の表面処理剤に用いられる材料は、有機溶剤を含んだ溶剤系樹脂組成物が主流であったが、近年の環境規制の高まりを受け、有機溶剤を実質的に含まない水性表面処理剤の開発が進められている。
前記水性表面処理剤としては、例えば、特定の機械物性を有するポリウレタン、カルボジイミド架橋剤、及び、フィラーを含有する水性表面処理剤が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、従来の溶剤系樹脂組成物を水系化すると塩化ビニル(PVC)シートに対する密着性が低下する問題があり、更なる改良が求められていた。
国際公開第2015/107933号公報
本発明が解決しようとする課題は、水を含有するウレタン樹脂組成物において、塩化ビニル(PVC)に対する密着性に優れる皮膜が得られるウレタン樹脂組成物を提供することである。
本発明は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を原料とするウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が300以上の密着性付与剤(C)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記ウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする表面処理剤、及び、その表面処理剤により形成された層を有することを特徴とする物品を提供するものである。
本発明のウレタン樹脂組成物は、塩化ビニル(PVC)に対する密着性(以下、「PVC密着性」と略記する。)に優れる皮膜を得ることができる。よって、本発明のウレタン樹脂組成物は、各種物品の表面処理剤として好適に用いることができ、特にPVCレザー用の表面処理剤として好適に用いることができる。
本発明のウレタン樹脂組成物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を原料とするウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が300以上の密着性付与剤(C)を含有するものである。
前記ウレタン樹脂(A)は、水(B)に分散し得るものであり、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するウレタン樹脂;乳化剤で強制的に水(B)中に分散したウレタン樹脂などを用いることができる。これらのウレタン樹脂(A)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いる方法が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−吉草酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記スルホニル基を有する化合物としては、例えば、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基及びスルホニル基は、樹脂組成物中で、一部又は全部が塩基性化合物に中和されていてもよい。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物などを用いることができる。
前記カチオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アミノ基を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミンなどの3級アミノ基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、オキシエチレン構造を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
前記オキシエチレン構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール等のオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオールを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
以上の親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料の使用量としては、より一層優れたPVC密着性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、及び、耐加水分解性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中0.1〜15質量%の範囲であることが好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、1.5〜7質量%の範囲が更に好ましい。
前記強制的に水(B)中に分散するウレタン樹脂を得る際に用いることができる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン性乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン性乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性乳化剤などを用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂(A)としては、具体的には、例えば、前記した親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を含むポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、及び、鎖伸長剤(a3)の反応物を用いることができる。これらの反応は公知のウレタン化反応を用いることができる。
前記ウレタン樹脂(A)の原料であるポリイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を用いることが必須である。これによりPVC密着性に優れるウレタン樹脂皮膜を得ることができる。前記ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)の使用量としては、ポリイソシアネート(a1)中50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
前記ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)以外に用いることができるポリイソシアネート(a1)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(a1)の使用量としては、より一層優れたPVC密着性、耐薬品性、及び、耐摩耗性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中5〜50質量%の範囲であることが好ましく、15〜40質量%の範囲がより好ましく、20〜37質量%の範囲が更に好ましい。
前記ポリオール(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のウレタン樹脂組成物が表面処理剤として使用される場合には、より一層優れた耐薬品性、及び、耐摩耗性が得られる点から、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、水酸基を2個以上有する化合物との反応物を用いることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた耐薬品性、及び、耐摩耗性が得られる点から、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタンジオール、及び、1,10−デカンジオールからなる群から選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールの使用量としては、より一層優れた耐薬品性、及び、耐摩耗性が得られる点から、ポリオール(a2)中85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量としては、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、及び、耐摩耗性が得られる点から、100〜100,000の範囲であることが好ましく、150〜10,000の範囲より好ましく、200〜2,500の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリカーボネートポリオール以外の前記ポリオール(a2)の数平均分子量としては、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、及び、耐摩耗性が得られる点から、500〜100,000の範囲であることが好ましく、700〜50,000の範囲より好ましく、800〜10,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記ポリオール(a2)の使用量としては、ウレタン樹脂(A)の原料中30〜80質量%の範囲であることが好ましく、40〜75質量%の範囲がより好ましく、50〜70質量%の範囲が更に好ましい。
前記鎖伸長剤(a3)としては、例えば、数平均分子量が50〜450の範囲のもの(前記ポリカーボネートポリオールを除く。)であり、具体的には、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ヒドラジン等のアミノ基を有する鎖伸長剤;エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン等の水酸基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤(a3)としては、前記した中でも、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、及び、耐摩耗性が得られる点から、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いることが好ましく、ピペラジン及び/又はヒドラジンがより好ましく、ピペラジン及びヒドラジンの合計量としては、前記鎖伸長剤(a3)中30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。また、前記鎖伸長剤(a3)としては、平均官能基数が3未満であること好ましく、2.5未満がより好ましい。また、
前記鎖伸長剤(a3)の使用量としては、より一層優れた耐薬品性、機械的強度、及び、耐摩耗性が得られる点から、ウレタン樹脂(A)の原料中0.5〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.7〜5質量%の範囲がより好ましく、0.9〜2.3の範囲が更に好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(a1)と前記ポリオール(a2)と前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料を反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマーと、前記鎖伸長剤(a3)とを反応させることによって製造する方法;前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、及び、前記鎖伸長剤(a3)を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば50〜100℃で3〜10時間行うことが挙げられる。
前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料が有する水酸基、前記ポリオール(a2)が有する水酸基、及び、前記鎖伸長剤(a3)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a1)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記ウレタン樹脂(A)に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を1個有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールの使用量としては、ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲であることが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、蒸留法等によって最終的には除去されることが好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、980〜4,000mmol/kgの範囲が好ましく、1,000〜3,500mmol/kgの範囲がより好ましく、1,100〜3,000mmol/kgの範囲が更に好ましく、1,150〜2,500mmol/kgの範囲が。なお、前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、315〜850mmol/kgの範囲であることが好ましく、350〜830mmol/kgの範囲がより好ましく、400〜800mmol/kgの範囲が更に好ましく、410〜770mmol/kgの範囲が更に好ましい。なお、なお、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造の含有量としては、より一層優れた耐薬品性、耐摩耗性、及び、耐候性が得られる点から、500〜3,000mmol/kgの範囲であることが好ましく、600〜2,900mmol/kgの範囲がより好ましく、700〜2,700mmol/kgの範囲が更に好ましい。なお、なお、前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
前記ウレタン樹脂(A)の含有量としては、塗工性、作業性および保存安定性の点から、ウレタン樹脂組成物中3〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲がより好ましい。
前記水(B)としては、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。前記水(B)の含有量としては、ウレタン樹脂組成物の塗工性、作業性および保存安定性の点から、ウレタン樹脂組成物中30〜95質量%の範囲であることが好ましく、50〜90質量%の範囲がより好ましい。
前記密着性付与剤(C)としては、優れたPVC密着性を得る点で、数平均分子量が300以上のものを用いることが必須である。前記密着性付与剤の数平均分子量としては、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、400〜10,000の範囲であることが好ましく、500〜5,000の範囲がより好ましく、1,000〜4,000の範囲が更に好ましい。なお、前記密着性付与剤(C)の数平均分子量は、化学構造式から算出できる場合はその値を示し、その他はゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記密着性付与剤(C)としては、例えば、酸基を有するポリマー、酸性基を有するポリマー、官能基を有するポリマー等を用いることができる。これらの密着性付与剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、酸基を有するポリマーを用いることが好ましい。
前記酸基を有するポリマーとしては、例えば、酸基を有するポリエステル、酸基を有するアクリルポリマー、酸基を有するスチレンポリマー、酸基を有するスチレン−イソプレンポリマー、酸基を有するスチレン−ブタジエンポリマー等を用いることができる。これらのポリマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水(B)への親和性、及び、保存安定性が良好であり、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、酸基を有するポリエステルを用いることが好ましい。
前記酸基を有するポリエステルとしては、例えば、2個以上の水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。
前記2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の化合物を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、2〜3個の水酸基を有する化合物を用いることが好ましく、3個の水酸基を有する化合物を用いることがより好ましい。
前記多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸等の脂肪族多塩基酸;シトラコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等の不飽和基を有する多塩基酸;オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等の芳香族多塩基酸などを用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、脂肪族多塩基酸を用いることが好ましい。
前記酸基を有するポリマーの酸価としては、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、10〜70mgKOH/gの範囲であることが好ましく、15〜40mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、前記酸基を有するポリマーの酸価は、JISK0070−1992に準拠した電位差滴定法により測定した値を示す。
前記密着性付与剤(C)には、必要に応じて、溶剤、中和剤等のその他の成分が含有されていてよい。これらの中でも、水(B)への親和性、及び、保存安定性がより一層向上する点から、中和剤を含有することが好ましい。
前記溶剤としては、例えば、1−メトキシ−2−ヒドロキシプロパン、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジピロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4−トリメチ−3−ヒドロキシオエンチルイソブチレ−ト、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、ダイアセトンアルコール、ジメチルカルビトール、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセチルアセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルカーボネート等を用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記溶剤を用いる場合の含有量としては、例えば、密着性付与剤(C)中1〜30質量%の範囲が挙げられる。
前記中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノール等の三級アミン化合物、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の二級アミン化合物、エチレンジアミン、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン等の一級アミン化合物、アンモニアなどを用いることができる。これらの中和剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記中和剤を用いる場合の含有量としては、例えば、密着性付与剤(C)中0.001〜3質量%の範囲が挙げられる。
前記密着性付与剤(C)の含有量(=密着性付与剤(C)の固形分)としては、より一層優れたPVC密着性が得られる点から、0.45〜15.5質量%の範囲であることが好ましく、0.6〜14質量%の範囲がより好ましく、0.7〜10質量%の範囲が更に好ましい。
本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、密着性付与剤(C)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を用いてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、フィラー(D)、架橋剤(E)、乳化剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、粘弾性調整剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤、防腐剤、可塑剤、浸透剤、香料、殺菌剤、殺ダニ剤、防かび剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料(例えば、チタン白、ベンガラ、フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー等)等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用しても良い。
前記その他の添加剤としては、本発明のウレタン樹脂組成物が表面処理剤として使用される場合には、その塗膜にマット感を付与するためにフィラー(D)、及び、塗膜の機械的強度を向上するために架橋剤(E)を用いることが好ましい。
前記フィラー(D)としては、例えば、シリカ粒子、有機ビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、アルミナシリケイト等を用いることができる。これらのフィラーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記シリカ粒子としては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ等を用いることができる。これらの中でも、散乱効果が高く光沢値の調整範囲が広くなることから、乾式シリカが好ましい。これらシリカ粒子の平均粒子径としては、2〜14μmの範囲であることが好ましく、3〜12μmの範囲がより好ましい。なお、前記シリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布測定結果の積算粒子量曲線において、その積算量が50%を占めるときの粒子径(粒度分布におけるD50での粒子径)を示す。
前記有機ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコンビーズ、オレフィンビーズ等を用いることができる。
前記フィラー(D)の使用量は、付与するマット感に応じて適宜決定することができるが、例えば、ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、3〜10質量部の範囲がより好ましい。
前記架橋剤(E)としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリジン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、メラミン架橋剤等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記架橋剤(E)の使用量としては、例えば、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、5〜40質量部の範囲であることが好ましく、10〜30質量部の範囲がより好ましい。
以上、本発明のウレタン樹脂組成物は、PVC密着性に優れる皮膜を得ることができる。よって、本発明のウレタン樹脂組成物は、合成皮革、ポリ塩化ビニル(PVC)レザー、熱可塑性オレフィン樹脂(TPO)レザー、ダッシュボード、インスツルメントパネル等の各種物品の表面処理剤として好適に用いることができ、特にPVCレザー用の表面処理剤として好適に用いることができる。
本発明の物品は、前記表面処理剤により形成された層を有する。
前記物品の具体的としては、例えば、合成皮革、人工皮革、天然皮革、ポリ塩化ビニル(PVC)レザーを用いた自動車内装シート、スポーツ靴、衣料、家具、熱可塑性オレフィン(TPO)レザー、ダッシュボード、インスツルメントパネル等が挙げられる。
前記表面処理剤による層の厚さとしては、例えば、0.1〜100μmの範囲である。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]ウレタン樹脂(A−1)水分散体の調製
攪拌機、温度計、および窒素還流管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン250質量部、及びオクチル酸第一錫0.001質量部を入れ、次いで、ポリカーボネートポリオール−3(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:2,000)を220質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸12質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート70質量部を入れ、70℃で1時間反応させ、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液に、ピペラジン4.5質量部、トリエチルアミン9質量部を混合させた後に、イオン交換水880質量部を加えてウレタン樹脂(A−1)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去し、更にイオン交換水を加えることで、不揮発分32質量%のウレタン樹脂(A−1)水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂(A−1)のウレタン結合の含有量は1,278mmol/kg、ウレア結合の含有量は435mmol/kg、脂環構造の含有量は1,713mmol/kgであった。
[合成例2]ウレタン樹脂(A−2)水分散体の調製
攪拌機、温度計、および窒素還流管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン250質量部、及びオクチル酸第一錫0.001質量部を入れ、次いで、ポリカーボネートポリオール−4(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:2,000)を138質量部、ポリカーボネートポリオール−5(1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:500)を55質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸13質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部を入れ、70℃で1時間反応させ、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液に、ピペラジン5.6質量部、トリエチルアミン10質量部を混合させた後に、イオン交換水880質量部を加えてウレタン樹脂(A−2)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去し、更にイオン交換水を加えることで、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(A−2)水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂(A−2)のウレタン結合の含有量は1,747mmol/kg、ウレア結合の含有量は576mmol/kg、脂環構造の含有量は2,341mmol/kgであった。
[比較合成例1]ウレタン樹脂(AR−1)水分散体の調製
攪拌機、温度計、および窒素還流管を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン250質量部、及びオクチル酸第一錫0.001質量部を入れ、次いで、ポリカーボネートポリオール−1(1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールを原料とするもの、数平均分子量:1,000)200質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸15質量部、イソホロンジイソシアネート49質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート34質量部を入れ、70℃で1時間反応させ、ウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、このウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液に、ヒドラジン6.8質量部、トリエチルアミン15質量部を混合させた後に、イオン交換水820質量部を加えてウレタン樹脂(AR−1)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去し、更にイオン交換水を加えることで、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(AR−1)水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂(AR−1)のウレタン結合の含有量は2,052mmol/kg、ウレア結合の含有量は698mmol/kg、脂環構造の含有量は715mmol/kgであった。
[実施例1]
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、密着性付与剤(アジピン酸およびトリメチロールプロパンを反応させた酸基を有するポリエステル、数平均分子量;2,788、酸価;29mgKOH/g、固形分;80質量%(その他、中和剤;ジメチルエタノールアミン0.5質量%、及び、溶剤;1−メトキシ−2−ヒドロキシプロパンを含有。)、以下「C−1」と略記する。)3質量部、水65質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[実施例2]
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、C−1を10質量部、水58質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[実施例3]
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−1)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、C−1を1質量部、水67質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[実施例4]
合成例2で得られたウレタン樹脂(A−2)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、C−1を3質量部、水65質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[実施例5]
合成例2で得られたウレタン樹脂(A−2)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、C−1を10質量部、水58質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[実施例6]
合成例1で得られたウレタン樹脂(A−2)水分散体25質量部、カルボジイミド架橋剤(株式会社製「カルボジライトV−02−L2」)5質量部、フィラー(エボニックデグサ社製「ACEMATT TS 100」、乾式法で製造されたシリカ粒子、平均粒子径:10μm)2質量部、C−1を1質量部、水67質量部を混合することで、ウレタン樹脂組成物を得た。
[比較例1]
実施例1において、C−1を除いた以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
[比較例2]
実施例1において、C−1に代えて、シランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製[KBM−403]、数平均分子量;236.3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
[比較例3]
実施例1において、C−1に代えて、シランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製[KBE−503]、数平均分子量;290.4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
[比較例4]
実施例1において、ウレタン樹脂(A−1)に代わり、ウレタン樹脂(AR−1)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物を得た。
[数平均分子量の測定方法]
合成例で用いたポリオール、及び、密着性付与剤の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[PVC密着性の評価方法]
PVCレザー上に50μmバーコーターを用いて上記水性表面処理剤を塗工し、120℃で2分間ギアオーブンにて乾燥させ、評価用サンプルを得た。この評価サンプルについて、スコット形耐揉み摩耗試験機(インテック株式会社製「IT−SCA−W」)を使用して、1kg荷重、2千回の条件で評価した。試料は幅30mm、長さ1,200mmの試験片を縦および横の方向から1枚ずつ取り、以下の基準で目視判定した。
「T」:外観変化なし。
「F」:表面処理層がPVCシートから浮き白化が発生した。
Figure 2020003780
Figure 2020003780
本発明のウレタン樹脂組成物は、優れたPVC密着性を有することがわかった。
一方、比較例1は特定の密着性付与剤(C)を一切使用しない態様であり、比較例2及び3はいずれも密着性付与剤(C)の代わりに、数平均分子量が本発明で規定する範囲を下回る密着性付与剤を用いた態様であるが、いずれもPVC密着性が不良であった。
また、比較例4は、ウレタン樹脂(A)の代わりに、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたウレタン樹脂を用いた態様であるが、PVC密着性が不良であった。

Claims (9)

  1. ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a1−1)を原料とするウレタン樹脂(A)、水(B)、及び、数平均分子量が300以上の密着性付与剤(C)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物。
  2. 前記密着性付与剤(C)が、酸基を有するものである請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
  3. 前記密着性付与剤(C)の酸価が、10〜70mgKOH/gの範囲である請求項2記載のウレタン樹脂組成物。
  4. 前記密着性付与剤(C)が、ポリエステルである請求項2又は3記載のウレタン樹脂組成物。
  5. 前記密着性付与剤(C)の含有量が、0.45〜15.5質量%の範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする表面処理剤。
  7. 更にフィラー(D)を含有する請求項6記載の表面処理剤。
  8. 請求項6又は7記載の表面処理剤により形成された層を有することを特徴とする物品。
  9. 塩化ビニルシートの上に、表面処理剤により形成された層を有する請求項8記載の物品。
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