以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1〜7を用いて、実施形態に係るアプリケータ10の構造を説明する。図1はアプリケータ10の下方からの斜視図である。図2は本体20の下方からの斜視図である。図3は本体20の正面図である。図4は本体20の右側面図である。図5はキャップ30の上方からの斜視図である。図6ではアプリケータ10の正面図、平面図、及び底面図を一つにまとめている。図7は図6(正面図)のA−A線断面図である。
アプリケータ10は、皮膚にマイクロニードルを適用させるために用いる円筒形の補助器具である。図1に示すように、アプリケータ10は、使用時に一端が皮膚に接する筒状の本体20と、その本体20の他端を覆うように該本体20に取り付けられた筒状のキャップ30とを備えている。以下では、本体20側をアプリケータ10の下側と定義し、キャップ30側をアプリケータ10の上側と定義する。
まず、図2〜4,6,7を用いて本体20を説明する。本体20は、皮膚に当てられたマイクロニードルにばね40の付勢力を与えるための柱状の伝達部材210と、その伝達部材210を収容して伝達部材210の往復動を案内する筒状のハウジング220とを備えている。
伝達部材210は、マイクロニードルと衝突する伝達板211と、伝達板211の面と直交する方向に延びる円筒形状の棒状部材212とにより構成されている。
伝達板211は、対向し合う第1の板部211a及び第2の板部211bと、これらの板部をつなぐ円柱状の連結部211cとから成っている(図2,7参照)。第1の板部211a及び第2の板部211bは円盤状である。
棒状部材212の途中には、該棒状部材212の軸方向(すなわち伝達部材210の軸方向)と直交する方向に延びる二つのストッパ213が設けられている。二つのストッパ213は、棒状部材212の径方向に沿って当該棒状部材212を貫通する一つの軸部材により実現されており、従って、一の直交軸上において互いに180度隔てて存在している(図4参照)。棒状部材212の下端には、伝達板211の第1の板部211aを収容するための空間(収容部)212aが形成されている(図7参照)。図7に示すように、本実施形態では伝達板211(第2の板部211b)の径が棒状部材212の下端の径よりも小さいので、アプリケータ10を下から見ると、図6(底面図)に示すように、棒状部材212の下端の一部が見える。
伝達板211は棒状部材212に固定されているのではなく、棒状部材212の軸方向の遊びを持たせて当該棒状部材212の下端部に設けられている。したがって、伝達板211は棒状部材212の軸方向に移動可能となっている。ただし、棒状部材212に対する伝達板211の可動範囲(遊びの範囲)は、第1の板部211aが収容部212a内を移動可能な範囲に限られる。
このように伝達板211は棒状部材212に引っ掛かっているので、棒状部材212が上方に移動する際には伝達板211も上方に移動する。後述するばね40により伝達部材210が作動すると、まず棒状部材212が伝達板211の第2の板部211bに衝突し、続いて棒状部材212及び伝達板211が一体となって下方に移動する。その後、棒状部材212の下端(収容部212a)はアプリケータ10の下端221よりも上の部分で止まるが、伝達板211は慣性力により落下し続け、ばね40の付勢力をマイクロニードルに伝える。
ハウジング220は、伝達部材210のうち伝達板211からストッパ213にかけての部分を覆っている。ハウジング220の下端221はアプリケータ10の使用時に皮膚と接し、伝達板211はこの下端221の付近に位置する。ハウジング220は、下段222の方が上段223よりも径が大きい2段の入れ子状に形成されている。下段222の側面の上端には、二つの突起224が互いに180度隔てて設けられている(図4参照)。突起224の断面形状は円である。
ハウジング220の上端225は、二つの鋸歯状の凸部230を有している。各凸部230は、半周(180度の範囲)にわたって螺旋状に傾斜した傾斜部(第1の傾斜部)231と、当該傾斜部231の頂部からハウジング220の軸方向に沿って切り落とされた壁部232とから成る(図3参照)。傾斜部231は、本体20を上方から見た場合に、反時計回りに(一の周方向に沿って)進むに従って上がっていく。図2に示すように、ハウジング220の上端225には棒状部材212のストッパ213が載せられる。外力が加えられていない状態では、各ストッパ213は壁部232に当たっている(図3参照)。
伝達部材210を収容したハウジング220の上端225には、さらに、ばね40の下端221を載せるための環状部材250が載せられる。環状部材250の径はハウジング220の上段223の径と略同じなので、本体20を上方から見ると、ストッパ213の先端部が露出する(図4参照)。
次に、図5〜7を用いてキャップ30を説明する。キャップ30は、下段のほうが上段よりも径が大きい2段の入れ子状(図7参照)に形成されたキャップ本体31と、当該上段を覆うようにキャップ本体31に被せられたグリップ部32とから成る。グリップ部32の外径はキャップ本体31の下段の外径に合わせられている。キャップ本体31はグリップ部32に対して回転可能である。
キャップ本体31の上段の内壁には、キャップ30が本体20に向かって押されたときにストッパ213に接する鋸歯状のストッパ誘導部310が二つ形成されている。各ストッパ誘導部310は、半周(180度の範囲)にわたって螺旋状に傾斜した傾斜部(第2の傾斜部)311と、当該傾斜部311の頂部からキャップ30の軸方向に沿って切り落とされた壁部312とから成る。一つのストッパ誘導部310は一つの凸部230に対応する。傾斜部311は、凸部230の傾斜部231と同様に、本体20を上方から見た場合に反時計回りに進むに従って上がっていく。傾斜部311の勾配(ストッパ誘導部310の勾配)は傾斜部231の勾配(凸部230の勾配)よりも大きい。キャップ本体31の上壁の中心部には、キャップ本体31の軸方向に沿って延びる筒状のばね案内部320が設けられている。
図6(正面図)に示すように、キャップ本体31の下段の側面には、ハウジング220の二つの突起224に対応させて略台形状の二つの開口330が形成されている。二つの開口330は互いに180度隔てて存在している。開口330を形成する辺のうち、互いに平行な一組の対辺は、キャップ本体31(キャップ30)の軸方向に沿って延びており、もう一組の対辺、すなわち上辺333及び下辺334はいずれも、キャップ本体31を上方から見た場合に、キャップ本体31の外壁を時計回りに進むに従って上がっていくように傾斜している(図1も参照)。したがって、上辺333は、傾斜部231,331とは反対の方向に(すなわち、ストッパ213の摺動方向とは反対の方向に)傾斜している。開口330の最下部331は、突起224が載るように面取りされており、開口330の最上部332は、突起224が収まる程度の大きさの切り欠き部となっている。
ばね40は、伝達部材210に所定の運動エネルギを付与する弾性部材であり、圧縮時にエネルギが蓄積される圧縮ばねである。ばね40は円柱状であり、図7に示すように、ばね案内部320を囲むようにキャップ30内(より具体的には、キャップ本体31内)に入れられる、ばね40の上端はキャップ本体31の上壁に接し、ばね40の下端は環状部材250に接する。
ばね40の付勢力により作動する伝達部材210のエネルギに関するパラメータとして、横弾性係数と、線径と、巻き数と、平均コイル径と、ばね40を自然長からどれくらい縮めるかを示す距離と、速度と、ばねの質量と、伝達部材の質量とが挙げられる。
横弾性係数はばねの材料によって定まり、例えば、ステンレスであれば68500N/m2、ピアノ線(鉄)であれば78500N/m2である。他のパラメータは、所望の付勢力やアプリケータ10の寸法などを考慮して決めればよい。
上記のパラメータを用いて、ばねに関する理論式は次のように定義される。式(1)はばね定数、ばねの形状、及び材料の関係を示し、式(2)はばねの質量と寸法との関係を示す。また、式(3)はばねエネルギと運動エネルギとの関係を示し、式(4)はばねの速度、エネルギ(E)、及び質量の関係を示す。下記式において、Gは横弾性係数(N/m
2)、dは線径(m)、nは巻き数、Dは平均コイル径(m)、kはばね定数(N/m)、xは距離(m)、vは速度(v/s)、lは伸長時のばねの長さ(m)、ρは密度(kg/m
3)、mはばねの質量(kg)、Mは伝達部材の質量(kg)である。
アプリケータの穿刺性能は伝達部材の質量及び速度に依存する。第1の板部211a及び第2の板部211bの質量を変えることにより、アプリケータ本体を変更することなく衝突パラメータを変えることができる。
アプリケータ10の寸法は、マイクロニードルの寸法に応じて決めてよい。例えば、ハウジング220の下端221の形状をマイクロニードルの形状に合わせ、該下端221の内径をマイクロニードルの外径に合わせれば、アプリケータ10の寸法をマイクロニードルの寸法に応じて小型化することができる。また、このように下端221を成型すれば、アプリケータ10をマイクロニードル上に位置決めする際に該マイクロニードルに対してアプリケータ10が径方向(幅方向)にずれない。したがって、マイクロニードルと平行な位置関係を維持したまま、伝達部材210を介して該マイクロニードルにばね40の付勢力を伝えることができる。これにより、穿刺を確実に行うことができる(穿刺の再現性が高まる)。なお、寸法の決め方はこれらに限定されるものではない。
アプリケータの材料も限定されないが、ばね40の付勢力を維持できる強度を持つ材料が望ましい。例えば、ABS樹脂やポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール(POM)樹脂などの合成又は天然の樹脂素材等の他、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、金属(ステンレス、チタン、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルト等)を用いてもよい。この中でも、ポリアセタール(POM)樹脂が、アプリケータの摺動性の面も考慮すると最も好ましい。また、伝達部材210は、マイクロニードルと同じ材料を用いて作製されてもよい。
次に、図8〜12を用いてアプリケータ10の使用方法を説明する。図8はアプリケータ10の使用時の初期状態を示す図である。図9は図8のB−B線断面図である。図10は伝達部材210が上がった状態を示す図である。図11は伝達部材210が作動した時のアプリケータ10の状態を示す図である。図12は図11のC−C線断面図である。
アプリケータ10の初期状態は図8,9に示す通りである。初期状態では、ばね40が伸長しているので、キャップ30は、その開口330の最下部331が突起224に当たる位置まで上がっている。また、ストッパ213はハウジング220の上端225の壁部232に当たった状態であり(図2〜4参照)、伝達板211はハウジング220の下端に位置している。
まず、アプリケータ10を、皮膚Sに当てたマイクロニードルDa上に位置決めして保持し、グリップ部32を持ちながらキャップ30を皮膚Sに向けて押す。なお、アプリケータ10を位置決めする前に、マイクロニードルDaをカバー材Dbにより皮膚に貼り付けていてもよい(図9参照)。また、伝達板211にマイクロニードルを保持させることで、当該マイクロニードルをアプリケータ10に内蔵させることも可能である。
使用者がキャップ30を押し始めると、ばね40が縮み始め、このばね40に付勢力が蓄えられ始める。また、キャップ30内部のストッパ誘導部310が下方に移動してストッパ213が傾斜部231上を滑り始める。
使用者がそのままキャップ30を押し続けると、開口330の上辺333が突起224と接触し、その後、突起224と接しながら下方に移動するので、キャップ本体31が、アプリケータ10の上方から見て反時計回りに回転する。このとき、ハウジング220の上端225の傾斜部231とキャップ本体31のストッパ誘導部310の傾斜部311とに挟まれたストッパ213が、回転しているキャップ本体31のストッパ誘導部310に押されることで傾斜部231に沿って上方に摺動する。したがって、伝達部材210が回転しながら上方に移動する。なお、キャップ30に関して言うと、回転するのはキャップ本体31のみであり、使用者が握っているグリップ部32は回転しない。
図10に示すように、ストッパ213が傾斜部231の頂部まで到達した時点で、ばね40には伝達部材210をマイクロニードルに衝突させるための所望の付勢力が蓄えられている。しかし、ストッパ213はまだ傾斜部231に載っているので、伝達部材210はその付勢力に抗して、ハウジング220の下端221から一定の距離だけ上昇した状態を維持している。
このような状態において使用者がキャップ30をさらに押すと、ストッパ213がアプリケータ10の上方から見て反時計回りに更に回転し、傾斜部231から外れる。これにより伝達部材210が支えを失ってばね40の付勢力によりアプリケータ10の下方に移動し(ストッパ213は壁部232に沿って下方に移動し)、図11,12に示すように、マイクロニードルDaに衝突する。この衝突により、マイクロニードルDaのニードル部分が皮膚の角質層を穿孔し、該マイクロニードルDaに塗布されていた活性成分がそのニードル部分を介して体内に投与される。なお、このときには、図11に示すように、開口330の最上部332に突起224が当たるので、キャップ30はこれ以上下がることはない。また、ストッパ213は壁部232に接した状態でハウジング220の上端225に再び載るので、伝達部材210がハウジング220の下端221よりも下がることはない。
上述したように、棒状部材212及び伝達板211が一体となって下方に移動した後に、棒状部材212の下端(収容部212a)はアプリケータ10の下端221よりも上の部分で止まるが、伝達板211は慣性力により落下し続ける。そして、伝達板211はばね40の付勢力をマイクロニードルに伝える。したがって、厳密に言うと、伝達板211はばね40の付勢力を直接的にではなく間接的にマイクロニードルに伝える。
このようにアプリケータ10を使用した後に使用者がキャップ30の押下を止めると、キャップ30はばね40の伸長力により、開口330の最下部331が突起224に当たるまで上方に移動する。この際には、開口330の下辺334が突起224に接するので、当該最下部331が突起224まで案内される。これにより、アプリケータ10は図8,9に示す初期状態に戻る。したがって、次にアプリケータ10を使用する際には、初期状態に戻ったアプリケータ10を別のマイクロニードル上に位置決めして保持し、キャップ30を皮膚に向けて押せばよい。したがって、アプリケータ10は自己作動型アプリケータである。
以上説明したように、本実施形態によれば、キャップ30が伝達部材210に向かって押されると、棒状部材212のストッパ213がハウジング220の上端225の傾斜部231に沿って移動することで、伝達部材210がばね40の付勢力に抗してマイクロニードルから離れていく。その後、さらにキャップ30が押されると、ストッパ213が傾斜部231から外れるので、伝達部材210がばね40の付勢力をマイクロニードルに伝える。これにより、皮膚にマイクロニードルが適用される。このように、伝達部材210をばね40の付勢力に抗した状態に保つ役割をハウジング220の一端に持たせることにより、ラッチ機構などのような、伝達部材210を固定させるための固定部材が不要となる。その結果、そのような固定部材の摩耗を引き起こすことなく、当該アプリケータ10の性能を長く維持することができる。アプリケータ10はラッチレス(Latch-less)アプリケータともいうことができる。
伝達部材210はストッパ213が傾斜部231から外れたときのみ作動するので、誰が投与しても、マイクロニードルに伝わる付勢力は一定になる。したがって、穿刺を確実に行うことができる(穿刺の再現性が高まる)。
また本実施形態では、キャップ30が押されて開口330の上辺333が突起224に接している間は、キャップ30(より具体的には、キャップ本体31)が、傾斜部231,311が上がっていく方向に向かって回転する。そして、この回転による力が、ストッパ213を押す傾斜部311に作用する。したがって、使用者は少ない力で簡単に伝達部材210を上方に移動させることができる。この操作の際には、キャップ本体31のみが回転し、使用者が握っているグリップ部32は回転しないので、使用者がキャップ30を押している間にその腕がねじれることがない。この点からも、アプリケータ10は使用者にとって使い勝手がよい。
また本実施形態では、傾斜部311の勾配が傾斜部231の勾配よりも大きいので、傾斜部311がストッパ213を押す力(傾斜部231に沿った方向に働く力)が増す。そのため、使用者がキャップ30を押すことで生じる力がより効率良くストッパ213に伝わる。したがって、使用者は少ない力で簡単に伝達部材210を上方に移動させることができる。
アプリケータ10が上記特許文献1に記載の自己作動性アプリケータよりも有利な点として、ラッチレスであるという特徴の他に、ばねを一つだけ用意すれば足りるという特徴がある。具体的には、上記特許文献1に記載の自己作動性アプリケータでは、圧しつけスプリングと予備−設定スプリングという二つのスプリングが必要なので、その分アプリケータが大掛かりなものにならざるを得ない。これに対して、アプリケータ10は弾性部材として一つのばね40を用意すれば足りるので、その分アプリケータ10を小型化することができる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
開口330の形状は、上辺333と同等の機能を有する辺を設けることを前提に、デザイン性などを考慮して任意に決めてよい。
上記実施形態ではキャップ本体31の下段に開口330が形成されていたが、突起224に接する部分に穴を開けず、キャップ本体31の下段の内壁に上記開口330と同一又は同等の形状の凹部を形成してもよい。この場合にも、キャップ30が押されて凹部の上辺が突起224に接している間は、キャップ本体31が、傾斜部231,311が上がっていく方向に向かって回転する。そして、この回転による力が、ストッパ213を押す傾斜部311に作用する。したがって、使用者は少ない力で簡単に伝達部材210を上方に移動させることができる。また、凹部を形成する場合にはその縁がキャップの外面に現われないので、そのようなデザインを望む場合にも対応することができる。
上記実施形態ではアプリケータ10は円筒形状であるが、アプリケータの外観の形状はこれに限定されない。例えば、アプリケータを持ちやすくしたり、皮膚にマイクロニードルを適用しやすくしたりために、アプリケータの断面形状を多角形にしたり、アプリケータの外壁に全体として丸みを持たせたり、外壁にくぼみあるいは段差を設けたりしてもよい。また、滑りにくくするために、外壁の表面に細かな溝を形成したりコーティングを施したりしてもよい。
キャップ30や伝達部材210には、空気を逃がすための空気孔を設けてもよく、これにより空気抵抗を少なくしたり軽量化したりすることができる。
上記実施形態では、二つのストッパ213を設け、これに合わせて、二つの凸部230及び二つのストッパ誘導部310を設けたが、ストッパの数はこれに限定されない。例えば、ストッパを一つだけ設けるとともに、凸部及びストッパ誘導部を一つずつ形成してもよい。この場合には、ハウジング側及びキャップ側の傾斜部はそれぞれ、360度にわたって形成されることになる。あるいは、互いに90度隔てて四つのストッパを設けるとともに、凸部及びストッパ誘導部を四つずつ形成してもよい。この場合には、ハウジング側及びキャップ側の双方において、各傾斜部が90度の範囲にわたって形成されることになる。あるいは、互いに120度隔てて三つのストッパを設けるとともに、凸部及びストッパ誘導部を三つずつ形成してもよい。この場合には、ハウジング側及びキャップ側の双方において、各傾斜部が120度の範囲にわたって形成されることになる。
上記実施形態における傾斜部231,311の勾配は、傾斜部311(キャップ30側)の勾配が傾斜部231(ハウジング220側)の勾配以上であることを前提に、任意に定めてよい。各傾斜部の勾配や上述したストッパの個数は、アプリケータの操作性を考慮して設定すればよい。
ばねの設置態様は上記実施形態のものに限定されない。例えば、図13(a)に示すように、棒状部材212の内部に円柱状のばね41を挿入してもよい。この場合には、ばね41の下端は、ストッパ213を実現するための軸部材に接し、ばね41の上端はばね案内部320に接する。また、図13(b)に示すように、上述した二つのばね40,41の双方を用いてもよい。
ばねの形状も限定されず、例えば、円錐状のばねを用いてもよい。これにより、圧縮時におけるばねの伸縮方向の長さを抑えることができるので、アプリケータの軸方向の寸法を抑えてアプリケータを小型化及び軽量化することができる。
上記実施形態ではばね40を用いたが、ばね以外の弾性部材を用いてもよい。
上記実施形態では伝達板211が遊びを持たせて棒状部材212に取り付けられていたが、伝達板211は棒状部材212に固定されていてもよい。例えば、伝達板211及び棒状部材212が一体成形されていてもよい。
上記実施形態では、キャップ本体31がグリップ部32に対して回転可能であるようにこれらキャップ30を設計したが、キャップ本体及びグリップ部が一体化されたキャップを採用してもよい。