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JPWO2017212556A1 - 回転電機冷却装置 - Google Patents

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Abstract

固定子鉄心11の外周面11Pに配設された第1の筒状部材12と、第1の筒状部材12の外周面12Pと円環状の空隙23を隔てて配設された第2の筒状部材13と、第2の筒状部材13の一端側に設けられた供給口14から、円環状の空隙23を通じて第2の筒状部材13の他端側に設けられた排出口15へ冷却液16が通過する冷却流路20と、を備え、冷却流路20は、供給口14に連通する環状の供給口側ヘッダ流路21と、第1の筒状部材12の外周面12Pに設けられた円状の環状溝24と、を有する。

Description

本発明は、回転電機を冷却する回転電機冷却装置に関する。
従来、鋼板が積層された積層鉄心であり、固定子コイルが巻き付けられた固定子鉄心と、固定子鉄心の外周面に接触して設けられたフレームと、冷却液をフレーム内に流すことにより固定子の冷却を行う冷却装置と、を有する回転電機がある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の回転電機のフレームは、固定子鉄心の外周面に設けられた第1フレームと、第1フレームの外周面に接触して設けられた第2フレームとを有し、第1フレームの第2フレームに接触する面には、円周方向に伸びるように微小な環状の隙間が形成され、第1フレームの第2フレームに接触する面の微小な環状の隙間を冷却液溝となるようにしている。
特開2003−199291号公報
しかしながら、特許文献1のような冷却装置を備えた回転電機は、冷却液が冷却液溝の流路を流れるにつれて徐々に温度境界層を発達させるので、冷却能力が低下する。従って、固定子鉄心の軸方向長さが大きくなると冷却液溝の流路が長くなり、必要な冷却能力が得られない、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冷却能力の高い回転電機冷却装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、固定子鉄心の外周面に配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外周面と円環状の空隙を隔てて配設された第2の筒状部材と、前記第2の筒状部材の一端側に設けられた供給口から、前記円環状の空隙を通じて前記第2の筒状部材の他端側に設けられた排出口へ冷却液が通過する冷却流路と、を備え、前記冷却流路は、前記供給口に連通する環状の供給口側ヘッダ流路と、前記排出口に連通する環状の排出口側ヘッダ流路と、前記第1の筒状部材の外周面に設けられた円状の環状溝と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、冷却能力の高い回転電機冷却装置を提供することができる。
実施の形態1に係る回転電機冷却装置を示す断面図 実施の形態1に係る回転電機冷却装置の第1の筒状部材の斜視図 実施の形態1に係る環状溝を設けた第1の筒状部材と第2の筒状部材とから形成される円環状の空隙の断面図 実施の形態1に係る円環状の空隙と環状溝とに冷却液が通過する様子を示す部分拡大断面図 実施の形態1に係る冷却流路において、円環状の空隙の隙間高さが冷却能力に与える影響を示したグラフ 実施の形態1に係る環状溝の幅wと深さhとの比(w/h)が冷却能力に与える影響を示したグラフ 実施の形態1に係る供給口側ヘッダ流路、円環状の空隙及び排出口側ヘッダ流路の断面図 図7のVIII−VIII線断面図 実施の形態1に係る円環状の空隙内の流速比に与える流路断面積比の影響を示したグラフ 実施の形態1に係る回転電機冷却装置の段付き円筒状構造の断面図 実施の形態1に係る変形例の環状溝を設けた第1の筒状部材と第2の筒状部材とから形成される円環状の空隙の断面図 実施の形態2に係る回転電機冷却装置を示す断面図 実施の形態1及び実施の形態2と従来の構造における冷却能力について有限体積法による数値解析結果の比較図 実施の形態3に係る回転電機冷却装置を示す断面図
以下に、本発明の実施の形態に係る回転電機冷却装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る回転電機冷却装置を示す断面図である。回転電機は、固定子コイル11aを備えた筒状の固定子鉄心11と、固定子鉄心11の内側に回転可能に支持される図示しないロータとを有する。回転電機は、固定子コイル11a及び固定子鉄心11の発熱を抑える回転電機冷却装置10を有する。回転電機冷却装置10は、固定子鉄心11を冷却する。回転電機冷却装置10は、第1の筒状部材12と、第2の筒状部材13と、冷却流路20と、を備える。
第1の筒状部材12は、固定子鉄心11の外周面11Pに配置されている。第2の筒状部材13の一部は、第1の筒状部材12の外周面12Pの一部と円環状の空隙23を隔てて配設される。第2の筒状部材13の一端側13TFに設けられた供給口14から、円環状の空隙23を通じて第2の筒状部材13の他端側13TSに設けられた排出口15へ冷却液16が通過する。
冷却流路20は、供給口14と接続する円環状の供給口側ヘッダ流路21と、排出口15と接続する円環状の排出口側ヘッダ流路22と、供給口側ヘッダ流路21と排出口側ヘッダ流路22とを接続し、かつ冷却液16が通過する円環状の空隙23と、第1の筒状部材12の外周面12Pに設けられた円状の環状溝24と、を有する。本実施の形態において、環状溝24は、第1の筒状部材12の円環状の空隙23側の面に形成されて、第1の筒状部材12の円周方向に沿って延びる、互いに独立な複数の環状溝24を配置している。この複数の環状溝24は、第1の筒状部材12の軸Zr方向と平行な方向に対して直交する方向に延びるが、限定されない。複数の環状溝24は、第1の筒状部材12の軸Zr方向と平行な方向に対して交差する方向に延びてもよい。
供給口側ヘッダ流路21は、第2の筒状部材13に形成され、供給口14と連通している。排出口側ヘッダ流路22は、第2の筒状部材13に形成され、排出口15と連通している。
円環状の空隙23は、第1の筒状部材12と第2の筒状部材13との間に円筒状に形成された、微小な空隙である。円環状の空隙23は、第1の筒状部材12の軸Zrを中心とする円筒状の空隙である。円環状の空隙23は、第1の筒状部材12の一端側の供給口側ヘッダ流路21から他端側の排出口側ヘッダ流路22に冷却液16を通過させる。
環状溝24は、図1に示すように、第1の筒状部材12の外周面12Pである円環状の空隙23側の面に形成されている。複数の環状溝24は、互いに平行かつ独立の微小な溝群である。つまり環状溝24は、第1の筒状部材12の外周面12Pに複数形成されており、第1の筒状部材12の円周方向に沿って延びている。また、複数の環状溝24は、第1の筒状部材12の軸Zr方向に並んでいる。本実施の形態では、環状溝24として複数の円状の溝を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一周する円状の溝を一つ備えるものであってもよい。
環状溝24の形状は、断面が図1に示すように四角形であってもよいし、V字型であってもよいし、U字型であってもよいし、その他の形状であってもよい。
冷却流路20は、供給口14に供給された冷却液16が、供給口側ヘッダ流路21、円環状の空隙23、及び排出口側ヘッダ流路22を通り、排出口15から排出される。冷却液16は、冷却流路20を通過する時に、第1の筒状部材12と熱交換を行い、第1の筒状部材12を冷却する。これにより、発熱源である固定子鉄心11で発生した熱で加熱された第1の筒状部材12を冷却し、回転電機の過熱を抑制する。
第1の筒状部材12は、第2の筒状部材13と対向する面の軸Zr方向の両側に、各々シール部材25であるOリングを取り付けるための溝26が形成されている。溝26には、シール部材25が配置されている。シール部材25は、第1の筒状部材12と第2の筒状部材13との隙間をシールしている。つまり、回転電機は、第1の筒状部材12と第2の筒状部材13との間の隙間であって、冷却流路20の円環状の空隙23が設けられている領域の軸Zr方向における両側にシール部材25が設けられている。本構造により、回転電機は、円環状の空隙23を流れる冷却液16の液漏れを抑制できる。また、冷却流路20は、排出口15と供給口14とが、図示しない循環ラインに接続される。循環ラインは、冷却液16を冷却する冷却設備が配置されている。冷却液16は、冷却流路20を流れることで回転電機の熱を吸収して、回転電機を冷却する。加熱された冷却液16は、冷却設備で冷却される。冷却液16は、循環ラインと冷却流路20とを繰り返し循環することで、冷却と加熱とが繰り返される。
図2は、実施の形態1に係る回転電機冷却装置の第1の筒状部材の斜視図である。図3は、実施の形態1に係る環状溝を設けた第1の筒状部材と第2の筒状部材とから形成される円環状の空隙の断面図である。図3は、円環状の空隙23及び環状溝24を拡大した断面を示す。図2及び図3を用いて冷却流路20を流れる冷却液16の流れを説明する。図3に示すように、環状溝24は、第1の筒状部材12の円筒外周面を基準とする第1の基準面41(図1参照)からの窪んだ溝により形成される。ここで、円環状の空隙23の隙間高さ、すなわち第1の筒状部材12の径方向における距離をδ、環状溝24の幅、すなわち第1の筒状部材12の軸Zr方向における距離をw、環状溝24の深さ、すなわち第1の筒状部材12の径方向における距離をh、環状溝24のピッチ、すなわち第1の筒状部材12の軸Zr方向における距離をpとする。
図2及び図3に示すように、供給口14より供給された冷却液16は、供給口側ヘッダ流路21を流れることで、第1の筒状部材12の円周方向31に流れ、供給口側ヘッダ流路21の円周方向の全周に広がる。供給口側ヘッダ流路21内において全周に広がった冷却液16は、円環状の空隙23では第1の筒状部材12の軸方向32に流れる。そして、排出口側ヘッダ流路22では再び円周方向33から集められるように流れ、排出口15から排出される。
図4は、実施の形態1に係る円環状の空隙と環状溝とに冷却液が通過する様子を示す部分拡大断面図である。図4に示すように、隙間高さδの円環状の空隙23を通過する冷却液16には、第1の筒状部材12の面に膜状の温度境界層51があり、流れに沿って、当該層の厚さが大きくなり、発達する。温度境界層51の厚さが大きいと熱伝達率が低下し、冷却性能が低下する。ここで、一定間隔毎に設けられた複数の独立した環状溝24を横切って流れる際、発達した温度境界層51が分断され、環状溝24を通過後、第1の筒状部材12の面に厚さ0から温度境界層52が再生される。環状溝24の通過前後で温度境界層の厚さが小さくなるため、熱伝達率が上昇し、冷却性能が向上する。
図5は、実施の形態1に係る冷却流路において、円環状の空隙の隙間高さが冷却能力に与える影響を示したグラフである。図5は、円環状の空隙23の隙間高さδが冷却能力に与える影響について、計算で得られた結果の一例を示す。温度は、供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22及び円環状の空隙23を円周方向に分割し、各分割流路間の流量及び圧力のバランス計算を行い、得られた各分割流路の流量から流速を算出し、流速から熱伝達率の計算式を用いて温度を算出した。
図5においては、冷却能力を縦軸とすると共に、隙間高さδ(mm)を横軸とした。ここで、隙間高さδ(mm)は、円環状の空隙23の幅であり、固定子鉄心11の軸方向と垂直な方向における円環状の空隙23の距離である。冷却能力(W/K)は、回転電機発熱量(W)/固定子鉄心温度上昇値(K)によって求められる比率であると、ここでは定義する。図5は、円環状の空隙23の隙間高さδが1.0mmのとき、回転電機の発熱量を固定子鉄心11の温度上昇値で除算した値を100としたときの関係を示している。図5の結果によれば、固定子鉄心11の軸方向と垂直な方向の幅である隙間高さδが1.0mm以下のときに高い冷却性能を発揮することが確認された。また、隙間高さδが0.5mm以下のときにさらに高い冷却性能が発揮された。これらの結果から、円環状の空隙23の隙間高さδは、同心円の径方向の距離が1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下の値とすることで、冷却性能が発揮することが確認された。
図6は、実施の形態1に係る環状溝の幅wと深さhとの比(w/h)が冷却能力に与える影響を示したグラフである。図6では、環状溝24の幅wと深さhとの比(w/h)について、有限体積法による数値解析で得られた結果の一例を示す。図6に示すように、環状溝24の幅wと深さhとの比(w/h)が10、かつ環状溝24の深さhと円環状の空隙23の隙間高さδとの比(h/δ)が1.0のときにおいて、回転電機発熱量を固定子鉄心11の温度上昇値で除算した値を100としたときの関係を示している。
図6によれば、環状溝24の幅wと深さhとの比(w/h)が5から10の間の条件が5≦(w/h)≦10で、かつ環状溝24の深さhと隙間高さδの比(h/δ)が1.0から1.8の間の条件、すなわち1.0≦(h/δ)≦1.8において、高い冷却効果を発揮することが確認された。
よって、環状溝24の幅wと深さhとの比(w/h)が5から10の間の範囲において、環状溝24の深さhと隙間高さδとの比(h/δ)を1.0から1.8の間の範囲とすることで、高い冷却性能が発揮されることが確認された。
図7は、実施の形態1に係る供給口側ヘッダ流路、円環状の空隙及び排出口側ヘッダ流路の断面図である。図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。図7において、供給口側ヘッダ流路21又は排出口側ヘッダ流路22の断面積をAとし、図8において、円環状の空隙23の断面積をBとする。断面積Aは、図7中の網掛け部分の面積である。断面積Bは、図8中の白抜き部分の面積である。
図9は、実施の形態1において、円環状の空隙内の流速比に与える流路断面積比の影響を示したグラフである。円環状の空隙23内の流速比に与える流路断面積比(A/B)の影響について図5と同様の計算方法によって得られた結果の一例を示したものである。ここで、円環状の空隙23内の流速比とは、円周方向に生じる流速分布の最大流速を最小流速で除算した値である。
図9に示すように、流路断面積比(A/B)が0.2の場合に流速比が概ね1になることが確認された。流速比を1に近づけることで回転電機を円周方向に均一かつ効率的に冷却することができる。なお、円環状の空隙23の隙間高さδは、δ=1.00mm(図9中の菱形黒印)及びδ=0.15mm(図9中の×印)とした。
実施の形態1において、第1の筒状部材12と第2の筒状部材13との一部を段加工して段付き円筒状構造を形成している。図10は、実施の形態1に係る回転電機冷却装置の段付き円筒状構造の断面図である。図10に示すように、段付き円筒状構造は、突出段付部12Aと、切欠部13Aとを有している。突出段付部12Aは、第1の筒状部材12の排出口15側に形成されて、軸Zr方向と直交する外周方向で円周方向にわたって段加工して第2の筒状部材13側に突出する。切欠部13Aは、第2の筒状部材13の排出口15側に形成される。切欠部13Aは、第2の筒状部材13の円周方向にわたって切欠き加工される。回転電機を組み立てる際には、突出段付部12Aの内側端面12Bと、切欠部13Aの軸Zr方向の外側端面13Bとを接触させてから固定することにより、段付き円筒状構造が形成される。
すなわち、第1の筒状部材12の突出段付部12Aの内側端面12Bと、第2の筒状部材13の切欠部13Aの外側端面13Bとを接触させてから固定することにより、排出口側ヘッダ流路22の流路を形成する際における位置決めを容易にすることが可能となる。従って、回転電機は組立性が良好な構造となるので、組立作業の簡素化を図ることができる。
実施の形態1に係る冷却流路20は、環状溝24のピッチpが均等となるが、環状溝24のピッチpは不均等であってもよい。また、供給口側ヘッダ流路21の断面積及び排出口側ヘッダ流路22の断面積は等しくなくてもよい。
実施の形態1に係る冷却流路20は、円環状の空隙23の隙間高さδを円筒の軸Zr方向に一定の値としたが、隙間高さはこれに限定されるものではない。円環状の空隙23は、軸Zr方向に隙間高さδが異なる位置を有してもよい。また、円筒の軸Zr方向に沿って不等の値を持つテーパ構造又は段付構造となるようにしてもよい。
実施の形態1に係る回転電機冷却装置10の冷却流路20は、供給口14と排出口15とに各々連通する円環状の供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22と、供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22を結び、冷却液16が通過する円環状の空隙23と、第1の筒状部材12の円環状の空隙23面に形成されて、第1の筒状部材12の軸Zr方向に対して垂直で独立な複数の環状溝24と、を有する。本構造により、供給された冷却液16は、供給口側ヘッダ流路21において第1の筒状部材12の円周方向31に流れる。供給口側ヘッダ流路21内の全周に広がった冷却液16は、円環状の空隙23では第1の筒状部材12の軸方向32に流れる。そして、排出口側ヘッダ流路22では再び円周方向33に流れ、排出口15から排出される。
円環状の空隙23を通過する冷却液16は、一定間隔に設けられた複数の独立した環状溝24を横切って流れる際に、各環状溝24で温度境界層51,52の発達が抑制され、熱伝達率が上昇するので冷却性能が向上する。また、流路形状が単純であるので、圧力損失の増加を抑制できる上、加工コストの増加を抑制できる。従って、実施の形態1に係る回転電機冷却装置10の冷却流路20によれば、圧力損失及び加工コストの増加を抑えながら、冷却能力の高い冷却ができる回転電機冷却装置10を提供することができる。固定子鉄心11の軸Zr方向の長さが大きくなり、円環状の空隙23の流路が長くなった場合も、複数の独立した環状溝24により温度境界層51,52の発達が抑制されるので、冷却能力を向上させることができる。
環状溝24の窪みの形状は、実施の形態1のような断面矩形状に限定されず、断面三角形状、又は断面半円形状とすることもできる。また、環状溝24の窪みは、これらの形状を混合したものとすることもできる。環状溝24の深さhも一定とせず、異なる深さとするようにしてもよい。例えば、冷却能力の低下しやすい下流側の環状溝24を上流側の環状溝24に比べて深くしてもよい。
環状溝24同士の溝間のピッチpが均等配置又は不均等配置となるようにしてもよい。さらに、予め発熱分布の傾向を求め、傾向を求めた発熱分布に対応するように、環状溝24のピッチpを変化させるようにして冷却してもよい。
図11は、実施の形態1に係る変形例の環状溝を設けた第1の筒状部材と第2の筒状部材とから形成される円環状の空隙の断面図である。図11に示すように、変形例では、第1の筒状部材12の円環状の空隙23側の面に形成される複数の環状溝24のピッチpを供給口14側よりも排出口15側で狭くなるように変更するようにしている。本変形例では、冷却液16の供給口側ヘッダ流路21側からの環状溝24の配置のピッチpを、最初の供給口14側の領域では相対的に間隔を広いピッチp1とし、排出口15側の領域では相対的に間隔を狭いピッチp3とし、中央の領域ではピッチp1とピッチpとの中間のピッチp2とすることで、冷却液16が環状溝24を横切って流れる際の温度境界層の発達の抑制の頻度を異ならせている。従って、供給口14側の領域では熱伝達率は低く、排出口15側の領域は熱伝達率が高く、中央の領域では熱伝達率は中間程度となる。
例えば、本実施の形態を用いない場合、供給口14側から排出口15側に向かって冷却液16の温度が上がるのに伴って熱伝導率が低下し、供給口14側に比べて排出口15側で固定子鉄心11の熱が冷却されにくいとする。このような場合に、供給口14側に比べて排出口15側で環状溝24のピッチpを狭くすることによって、固定子鉄心11の熱が冷却されにくい排出口15側の熱伝導率が高くなり、排出口15側の固定子鉄心11の冷却を促進することができる。このように、冷却性能を領域毎に制御することもできる。
尚、本実施の形態では、環状溝24は円状に連続して一周する溝とした。環状溝24が円状に一部断続している場合、その断続する箇所において温度境界層の厚さが大きいままとなるため、本実施の形態の効果が十分得られない。
また、本実施の形態では、環状溝24は円状に連続して一周する溝としたが、環状溝24が螺旋状に設けられている場合、冷却液16の流路が螺旋状の溝に沿って螺旋状に変化してしまう。そのため、圧力損失が大きくなり、冷却ポンプの負荷が大きくなってしまう。また、螺旋状の溝を形成するためには、加工コストが高くなる。
本実施の形態に係る回転電機冷却装置10によれば、円状に連続して一周する環状溝24を備えたので、圧力損失及び加工コストの増加を抑制しながら冷却性能を向上する効果が得られる。
実施の形態2.
図12は、実施の形態2に係る回転電機冷却装置を示す断面図である。図12に示すように、実施の形態2に係る回転電機冷却装置10aは、第2の筒状部材13の両端部に供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22を形成するものである。第1の筒状部材12は、強度を確保するため、肉厚をある程度大きくする必要がある。例えば図1に示すように、実施の形態1の第1の筒状部材12においては、強度確保の関係から供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22を形成するには、溝加工深さ限界である第2の基準面42よりも供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22を深く加工することができない。
実施の形態2においては、第2の筒状部材13の内面側に、供給口14と排出口15とに連通する円環状の供給口側ヘッダ流路21及び排出口側ヘッダ流路22を設けて、ヘッダ用の供給流路を形成する。ヘッダ用の供給流路を形成する構造により、円環状の空隙23に形成される環状溝24の加工面を第2の基準面42の近くに形成することができる。これにより、発熱源である固定子鉄心11と円環状の空隙23との間における熱伝導の距離Lが小さくなるので、冷却性能が向上する。従って、円環状の空隙23と発熱源との距離Lが接近するので、冷却液16と発熱源との間の熱抵抗が減少し、冷却性能の向上を図ることができる。
図13は、実施の形態1及び実施の形態2と従来の構造とにおける冷却能力について、有限体積法を用いて数値解析した結果の比較図である。なお、従来の構造は、環状溝24を有さない。図13に示すように、実施の形態1は、従来の構造よりも回転電機を効率よく冷却でき、圧力の損失及び加工コストの増加を抑制できる。また、実施の形態2は熱伝導の距離Lを小さくすることができ、実施の形態1よりもさらに冷却能力の向上を図ることができる。
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る回転電機冷却装置を示す断面図である。図14に示すように、実施の形態3に係る回転電機冷却装置10bは、第1の筒状部材12と第2の筒状部材13との一部を加工して第1及び第2の段付き円筒状構造を形成している。第1の段付き円筒状構造は、突出段付部12Aと、切欠部13Aとを有する。突出段付部12Aは、第1の筒状部材12に形成され、排出口15側の内側端面12Bである外周側面が第2の筒状部材13側に突出して形成される。すなわち、突出段付部12Aは、円周方向にわたって、軸Zr方向と直交する方向、すなわち第1の筒状部材12の径方向に沿って、第2の基準面42から突出する。切欠部13Aは、第2の筒状部材13に形成され、排出口15側の外側端面13Bである内周側面に凹みが形成される。そして、第1の筒状部材12の突出段付部12Aの排出口15側の内側端面12Bの外周側面と、第2の筒状部材13の切欠部13Aの排出口15側の外側端面13Bである内周側面と、が排出口側ヘッダ流路22を介して対向するように固定される。突出段付部12A及び切欠部13Aが、円周方向にわたって切欠き加工される回転電機が組み立てられる際には、突出段付部12Aの内側端面12Bの外周側面と、軸Zr方向における切欠部13Aの外側端面13Bである内周側面と、を排出口15の径よりも離して対向させて組み合わせる。組立後、排出口側ヘッダ流路22が形成される。
よって、排出口15の径は、突出段付部12Aの内側端面12Bである外周側面と、切欠部13Aの外側端面13Bである内周側面と、の間の距離よりも短いものとなる。
また、第2の段付き円筒状構造は、第2突出段付部13Cと、切欠部12Cとを有する。第2突出段付部13Cは、第2の筒状部材13の供給口14に形成され、供給口14側の内側端面13Dである外周側面に凹みが形成される。第2突出段付部13Cは、軸Zr方向と直交する内周方向に円周方向にわたって、第2の基準面42側へ突出する。切欠部12Cは、第1の筒状部材12の供給口14側の内周側面12Dが円周方向にわたって形成される。回転電機が組み立てられる際には、第2突出段付部13Cの供給口14側の内側端面13Dの外周側面と、切欠部12Cの軸Zr方向の供給口14側の内周側面12Dとを離して、供給側の扁平な供給口側ヘッダ流路21が形成される。これにより、軸Zr方向における供給口側ヘッダ流路21の長さを大きくした扁平の流路が形成されている。
実施の形態3の回転電機冷却装置10bは、実施の形態2と同様に、円環状の空隙23を溝加工深さ限界の第2の基準面42近くに形成できるので、固定子鉄心11と円環状の空隙23間との熱伝導の距離Lが小さくなり冷却性が向上する。また、実施の形態2とは異なり、供給口側ヘッダ流路21を設ける際、第2の筒状部材13の内面側を溝加工する必要がないので、加工コストが低減できる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
10 回転電機冷却装置、11 固定子鉄心、12 第1の筒状部材、13 第2の筒状部材、14 供給口、15 排出口、16 冷却液、20 冷却流路、21 供給口側ヘッダ流路、22 排出口側ヘッダ流路、23 円環状の空隙、24 環状溝、31,33 円周方向、32 軸方向、41 第1の基準面、42 第2の基準面。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、固定子鉄心の外周面に配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外周面と円環状の空隙を隔てて配設された第2の筒状部材と、前記第2の筒状部材の一端側に設けられた供給口から、前記円環状の空隙を通じて前記第2の筒状部材の他端側に設けられた排出口へ冷却液が通過する冷却流路と、を備え、前記冷却流路は、前記供給口に連通する環状の供給口側ヘッダ流路と、前記排出口に連通する環状の排出口側ヘッダ流路と、前記供給口側ヘッダ流路と前記排出口側ヘッダ流路との間に配置され、前記第1の筒状部材の外周面に設けられた円状の環状溝と、を有すると共に、前記供給口側ヘッダ流路内で全周に拡がった冷却液は、前記排出側ヘッダ流路側に向かい前記環状溝の溝方向に直交する軸方向に流れることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、固定子鉄心の外周面に配設された第1の筒状部材と、前記第1の筒状部材の外周面と円環状の空隙を隔てて配設された第2の筒状部材と、前記第2の筒状部材の一端側に設けられた供給口から、前記円環状の空隙を通じて前記第2の筒状部材の他端側に設けられた排出口へ冷却液が通過する冷却流路と、を備え、前記冷却流路は、前記供給口に連通する環状の供給口側ヘッダ流路と、
前記排出口に連通する環状の排出口側ヘッダ流路と、前記供給口側ヘッダ流路と前記排出口側ヘッダ流路との間に配置され、前記第1の筒状部材の外周面に設けられ、前記供給口側の環状のヘッダ流路及び前記排出口側の環状のヘッダ流路の溝幅よりも狭い溝幅を有し、且つ複数の独立した円状の環状溝と、を有すると共に、前記供給口側ヘッダ流路内で全周に拡がった冷却液は、前記排出側ヘッダ流路側に向かい前記環状溝の溝方向に直交する軸方向に流れることを特徴とする。

Claims (9)

  1. 固定子鉄心の外周面に配設された第1の筒状部材と、
    前記第1の筒状部材の外周面と円環状の空隙を隔てて配設された第2の筒状部材と、
    前記第2の筒状部材の一端側に設けられた供給口から、前記円環状の空隙を通じて前記第2の筒状部材の他端側に設けられた排出口へ冷却液が通過する冷却流路と、を備え、
    前記冷却流路は、前記供給口に連通する環状の供給口側ヘッダ流路と、
    前記排出口に連通する環状の排出口側ヘッダ流路と、
    前記第1の筒状部材の外周面に設けられた円状の環状溝と、を有することを特徴とする回転電機冷却装置。
  2. 前記環状溝は、複数設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転電機冷却装置。
  3. 前記円環状の空隙は、前記固定子鉄心の軸方向と垂直な方向の幅が1.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機冷却装置。
  4. 複数の前記環状溝同士の溝間のピッチは均等であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機冷却装置。
  5. 複数の前記環状溝同士の溝間のピッチは不均等であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機冷却装置。
  6. 前記溝間のピッチは、前記供給口側よりも前記排出口側で狭いことを特徴とする請求項5に記載の回転電機冷却装置。
  7. 前記円環状の空隙は、軸方向に隙間の高さが異なる位置を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の回転電機冷却装置。
  8. 前記第1の筒状部材は、前記排出口側の外周側面が前記第2の筒状部材側に突出して形成された突出段付部を有し、
    前記第2の筒状部材は、前記排出口側の内周側面が凹んだ切欠部を有し、
    前記排出口側の前記外周側面と、前記排出口側の前記内周側面とが前記排出口側ヘッダ流路を介して対向するように固定されたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機冷却装置。
  9. 前記排出口の径は、前記排出口側の外周側面と前記排出口側の内周側面との間の距離よりも短いことを特徴とする請求項8に記載の回転電機冷却装置。
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