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JPWO2016027346A1 - 極端紫外光生成システムおよび極端紫外光生成方法 - Google Patents

極端紫外光生成システムおよび極端紫外光生成方法 Download PDF

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JPWO2016027346A1
JPWO2016027346A1 JP2016543542A JP2016543542A JPWO2016027346A1 JP WO2016027346 A1 JPWO2016027346 A1 JP WO2016027346A1 JP 2016543542 A JP2016543542 A JP 2016543542A JP 2016543542 A JP2016543542 A JP 2016543542A JP WO2016027346 A1 JPWO2016027346 A1 JP WO2016027346A1
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ゲオルグ スマン
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能史 植野
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秀往 星野
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Abstract

極端紫外光生成システムが、チャンバと、チャンバ内の所定領域に、原子密度8.0×1017atoms/cm3以上、1.3×1018atoms/cm3以下のターゲットを供給するように構成されたターゲット供給部と、上記所定領域に、上記所定領域におけるエネルギー密度10.5J/cm2以上、52.3J/cm2以下のパルスレーザ光を照射するレーザ装置と、を備えてもよい。

Description

本開示は、極端紫外光生成システムおよび極端紫外光生成方法に関する。
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成する極端紫外光生成装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflection optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にパルスレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、シンクロトロン放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
概要
本開示の1つの観点に係る極端紫外光生成システムは、チャンバと、チャンバ内の所定領域に、原子密度8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下のターゲットを供給するように構成されたターゲット供給部と、上記所定領域に、上記所定領域におけるエネルギー密度10.5J/cm以上、52.3J/cm以下のパルスレーザ光を照射するレーザ装置と、を備えてもよい。
本開示の他の1つの観点に係る極端紫外光生成方法は、チャンバ内の所定領域に、原子密度8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下のターゲットを供給し、上記所定領域に、上記所定領域におけるエネルギー密度10.5J/cm以上、52.3J/cm以下のパルスレーザ光を照射するものであってもよい。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。 図2は、本出願人がシミュレーションに使用した2次元オイラー放射流体力学コードRZLINEのシミュレーションモデルを示す。 図3Aは、変換効率のシミュレーションの結果の一例を示す。 図3Bは、変換効率のシミュレーションの結果の一例を示す。 図4は、ターゲット物質の原子密度を変化させたときの変換効率のシミュレーション結果を示すグラフである。 図5は、第1の実施形態に係るEUV光生成システムの構成例を概略的に示す一部断面図である。 図6は、第2の実施形態に係るEUV光生成システムの構成例を概略的に示す一部断面図である。 図7は、図6に示される光路調節器の構成を具体的に示す。 図8は、図6に示される複数のマスターオシレータから出力されるパルスレーザ光の波長と、増幅器におけるゲインおよび光強度との関係を示す。 図9は、図6に示されるメインパルスレーザ装置におけるパルスレーザ光出力のタイミングチャートである。 図10は、図6に示されるマスターオシレータの構成を概略的に示す。 図11は、図6に示されるエアロゾル供給装置の構成を、EUV光生成システムの他の部分とともに示す。 図12Aは、図6に示される粉体出力部の構成例を概略的に示す。 図12Bは、設計されたエアロダイナミックレンズの各部の寸法を示す。 図13は、補正光学素子に関する1つの例を示す概念図である。 図14は、補正光学素子に関する別の例を示す概念図である。 図15は、補正光学素子に関するさらなる別の例を示す概念図である。 図16は、補正光学素子に関するさらなる別の例を示す概念図である。 図17は、第3の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置の構成を概略的に示す。 図18は、図17に示されるパルスピッカーの第1の構成例を概略的に示す。 図19は、ポッケルスセルに印加される電圧と、パルスレーザ光との関係を示す。 図20は、図17に示されるパルスピッカーの第2の構成例を概略的に示す。 図21は、図17に示されるパルスピッカーの第2の構成例を概略的に示す。 図22は、第4の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置の構成を概略的に示す。 図23は、第5の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置の構成を概略的に示す。
実施形態
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.シミュレーション結果
5.低密度ターゲットにパルスレーザ光を照射するEUV光生成システム
5.1 EUV光生成装置
5.2 レーザ装置
6.高繰り返しでパルスレーザ光を照射するEUV光生成システム
6.1 概要
6.2 レーザ装置の詳細
6.2.1 マスターオシレータ
6.2.2 光路調節器
6.2.3 パルスレーザ光の波長と増幅器のゲインとの関係
6.2.4 ゲイン低下の抑制
6.2.5 マスターオシレータの例(量子カスケードレーザ)
6.3 粉体のターゲットを供給するターゲット供給部
6.3.1 エアロゾル生成器
6.3.2 エアロダイナミックレンズの構成
6.3.3 エアロダイナミックレンズの設計例
6.4 補正光学素子
7.レーザ装置の変形例(第3の実施形態)
7.1 マスターオシレータ
7.2 パルスピッカー
7.3 再生増幅器
8.レーザ装置の変形例(第4の実施形態)
9.レーザ装置の変形例(第5の実施形態)
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
1.概要
LPP式のEUV光生成装置においては、レーザ装置から出力されるパルスレーザ光を、ターゲット供給部から供給されるターゲットに集光して照射することにより、ターゲットをプラズマ化してもよい。プラズマからは、EUV光を含む光が放射されてもよい。放射されたEUV光は、EUV集光ミラーによって集光され、露光装置等に出力されてもよい。
パルスレーザ光のエネルギーからEUV光のエネルギーへの変換効率(CE)は、本出願人が作製したEUV光生成装置においては、約2.5%となっており、また、本出願人による基礎実験においては、約4%を実現可能であることが実証されている。例えば、変換効率を2.5%とすると、200WのEUV光出力を実現するためには、パルスレーザ光の出力強度として40kWが必要とされることになる。
本出願人は、シミュレーションにより、ターゲット密度を1.3×1018atoms/cm程度とし、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのターゲット照射位置におけるエネルギー密度を35.4J/cm程度としたときに、変換効率を向上し得るという知見を得た。これによれば、より小さなエネルギーで、大きなEUV光出力を得ることが期待できる。
2.用語の説明
「パルスレーザ光」は、複数のパルスを含むレーザ光を意味し得る。
「ターゲット物質」は、パルスレーザ光に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されることによってプラズマ化し、そのプラズマからEUV光を放射し得るスズ(Sn)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)等の物質を意味し得る。
「ターゲット」は、ターゲット供給部によってチャンバ内に供給され、パルスレーザ光が照射される、微小量のターゲット物質を含む塊を意味し得る。この塊は、固形状、粉体状、液体状又はガス状であり得る。
「粉体のターゲット」は、複数の微細な固体の粒子を含むターゲットを意味し得る。
「エアロゾル」は、気体中に微細な固体の粒子が浮遊している分散系を意味し得る。
「プラズマ生成領域」は、ターゲットにパルスレーザ光が照射されることによってプラズマの生成が開始される領域を意味し得る。プラズマ生成領域は、本開示における所定領域に相当し得る。
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給部26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給部26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給部26から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が設けられていてもよく、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過してもよい。
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5及びターゲットセンサ4をさらに含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲット27の存在、軌跡、位置、速度等を検出するよう構成されてもよい。
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、パルスレーザ光の進行方向を規定するための光学系と、この光学系の配置、姿勢等を調節するためのアクチュエータとを備えてもよい。
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過して、チャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33としてターゲット27に照射されてもよい。
ターゲット供給部26は、ターゲット27をチャンバ2内のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。EUV集光ミラー23は、放射光251に含まれるEUV光を、他の波長域の光に比べて高い反射率で反射してもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光を含む反射光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力されてもよい。
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27が出力されるタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
4.シミュレーション結果
図2は、本出願人がシミュレーションに使用した2次元オイラー放射流体力学コードRZLINEのシミュレーションモデルを示す。このシミュレーションモデルにおいては、所定形状、所定密度のターゲット27にパルスレーザ光33が照射されたと仮定されてもよい。ターゲット27の分布形状は、円筒形状と仮定されてもよい。
図3A及び図3Bは、変換効率のシミュレーションの結果の一例を示す。図3A及び図3Bにおいては、以下の条件において、パルスレーザ光のエネルギーとパルス幅とに応じた変換効率のシミュレーションを行った。ターゲットの直径DMは400μmとし、ターゲットの厚さLは150μmとし、ターゲット物質の原子密度は1×1018atoms/cmで一様であるとした。パルスレーザ光は、ピーク値に対して1/e以上の光強度を有する部分のビーム直径DLが300μmであるとした。パルスレーザ光の光強度分布がガウス分布である場合のシミュレーション結果が図3Aに示され、パルスレーザ光の光強度分布がトップハット分布である場合のシミュレーション結果が図3Bに示されている。トップハット分布とは、パルスレーザ光の光強度分布がビーム断面において均一であることをいうものとする。パルスレーザ光のエネルギー密度の計算は、レーザ光のパルスエネルギをレーザ光のビーム断面の面積で除算した値としている。また、パルス幅は半値全幅として計算している。
パルスレーザ光の光強度分布がガウス分布である場合、図3Aより、以下の条件下で変換効率が約6%となることが示唆され得る。好ましくは、
パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのエネルギーは、7.4mJ以上、37.0mJ以下。
パルスレーザ光のパルス幅は、1.0ns以上、3.7ns以下。
なお、パルスレーザ光のエネルギー密度は、パルスレーザ光のエネルギー範囲及びビーム直径から、10.5J/cm以上、52.3J/cm以下であると算出され得る。
さらに、好ましくは、変換効率が7%以上となる条件は、
パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのエネルギーは、18.5mJ以上、28.0mJ以下。
パルスレーザ光のパルス幅は、2.3ns以上、2.6ns以下。
なお、パルスレーザ光のエネルギー密度は、パルスレーザ光のエネルギー範囲及びビーム直径から、26.2J/cm以上、40.0J/cm以下であると算出され得る。
パルスレーザ光の光強度分布がトップハット分布である場合、図3Bより、以下の条件下で変換効率が約7.5%となることが示唆され得る。
パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのエネルギーは、18.0mJ以上、27.0mJ以下。
パルスレーザ光のパルス幅は、2.0ns以上、2.6ns以下。
なお、パルスレーザ光のエネルギー密度は、パルスレーザ光のエネルギー範囲及びビーム直径から、25.5J/cm以上、38.2J/cm以下であると算出され得る。
図4は、ターゲット物質の原子密度を変化させたときの変換効率のシミュレーション結果を示すグラフである。図4においては、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのエネルギーを25mJに、パルス幅を2.5nsに、それぞれ固定し、ターゲット物質の原子密度を変化させ、その他の条件は図3Aの条件と同様とした。グラフの中の点はシミュレーションによって得られた値を示し、曲線はシミュレーションによって得られた値から導かれた多項式近似曲線を示す。
図4の結果から、好ましくは、ターゲット物質の原子密度を以下の範囲としてもよい。
8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下。
さらに、好ましくは、ターゲット物質の原子密度を以下の範囲としてもよい。
9.5×1017atoms/cm以上、1.1×1018atoms/cm以下。
5.低密度ターゲットにパルスレーザ光を照射するEUV光生成システム
5.1 EUV光生成装置
図5は、第1の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成例を概略的に示す一部断面図である。図5に示されるように、チャンバ2の内部には、EUV集光ミラー23と、ターゲット回収部28と、EUV集光ミラーホルダ37とが設けられてもよい。
EUV集光ミラー23は、EUV集光ミラーホルダ37を介してチャンバ2に固定されてもよい。ターゲット回収部28は、ターゲット27の軌道の延長線上に配置され、ターゲット27のうちパルスレーザ光が照射されなかったものを回収してもよい。
チャンバ2の内部には、さらに、レーザ光集光光学系22aが配置されてもよい。レーザ光集光光学系22aは、軸外放物面ミラー221及び平面ミラー222を含んでもよい。軸外放物面ミラー221は、ホルダ223によって支持されてもよい。平面ミラー222は、ホルダ224によって支持されてもよい。ホルダ223及び224は、プレート39に固定されてもよい。プレート39は、プレート38に固定されていてもよい。EUV集光ミラー23は、EUV集光ミラーホルダ37を介してプレート38に固定されていてもよい。プレート38は、チャンバ2に固定されてもよい。レーザ光集光光学系22aは、プリパルスレーザ装置3aとメインパルスレーザ装置3bとを含むレーザ装置から出力されたパルスレーザ光を、プラズマ生成領域25に集光してもよい。
チャンバ2には、ターゲット供給部26と、排気装置36とが取り付けられてもよい。排気装置36は、チャンバ2の内部を大気圧未満の所定の圧力となるように排気するポンプであってもよい。ターゲット供給部26は、リザーバ261と、圧力調節器263と、不活性ガスボンベ264と、を含んでもよい。
リザーバ261は、チャンバ2に固定されていてもよい。リザーバ261は、例えばスズを含むターゲット物質を、溶融した状態で内部に貯蔵してもよい。ターゲット物質を溶融した状態で保持するために、図示しないヒーターがリザーバ261に取り付けられてもよい。
不活性ガスボンベ264は、配管によって圧力調節器263に接続されていてもよい。圧力調節器263は、別の配管によってリザーバ261の内部と連通してもよい。これらの配管を介して、不活性ガスボンベ264からリザーバ261の内部に不活性ガスが供給されてもよい。リザーバ261の内部へ導入された不活性ガスは、リザーバ261内の溶融したターゲット物質を加圧してもよい。不活性ガスがターゲット物質を加圧することにより、リザーバ261のノズル262から、液体のターゲット物質の噴流が出力されてもよい。
ノズル262には、図示しない加振素子が取り付けられていてもよい。加振素子により、ノズル262に振動が与えられてもよい。ノズル262に与えられた振動は、ノズル262から出力されたターゲット物質の噴流を分離させ、複数のドロップレット状のターゲット27に変化させ得る。チャンバ2内に出力されたターゲット27は、チャンバ2内のプラズマ生成領域25に供給されてもよい。ドロップレットの生成の繰り返し周波数は、1Hz〜100kHz程度であってもよい。
5.2 レーザ装置
チャンバ2の外部に配置されたレーザ装置は、プリパルスレーザ装置3aと、メインパルスレーザ装置3bと、を含んでいてもよい。
プリパルスレーザ装置3aは、例えば、波長が約1μmのパルスレーザ光を出力する固体レーザ装置であってもよい。たとえば、YAGの結晶を含むレーザ装置によって構成されてもよい。プリパルスレーザ装置3aは、ドロップレット状のターゲット27に照射されるプリパルスレーザ光を出力してもよい。
EUV光生成制御部5は、ターゲット27がプラズマ生成領域25に到達するタイミングに合わせて、プリパルスレーザ光がプラズマ生成領域25に照射されるように、プリパルスレーザ装置3aを制御してもよい。
プリパルスレーザ光がターゲット27に照射されることにより、ターゲット27は破壊されて、分散し、あるいは少なくとも一部が蒸発し、あるいは少なくとも一部がイオン化された2次ターゲットを生成し得る。これにより、プリパルスレーザ光の照射後の、ある一定のタイミングにおいて、プラズマ生成領域25におけるターゲット物質の原子密度が8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下となり得る。このような原子密度を実現するために、プリパルスレーザ光が1つのターゲット27に2回以上照射して、2次ターゲットを生成してもよい。
メインパルスレーザ装置3bは、例えば、波長10.6μm付近のパルスレーザ光を出力するCOレーザ装置によって構成されてもよい。メインパルスレーザ装置3bは、図示しないマスターオシレータ及び複数の増幅器を含んでもよい。メインパルスレーザ装置3bは、プリパルスレーザ光によって所定範囲の原子密度となった2次ターゲットに照射されるメインパルスレーザ光を出力してもよい。メインパルスレーザ装置3bとして、第2の実施形態に関して図6〜図10を参照しながら後述されるメインパルスレーザ装置の構成が用いられてもよい。
EUV光生成制御部5は、ターゲット27に対するプリパルスレーザ光の照射後の、ある一定のタイミングに合わせて、メインパルスレーザ光がプラズマ生成領域25に照射されるように、メインパルスレーザ装置3bを制御してもよい。
好ましくは、
メインパルスレーザ光のエネルギー密度は、10.5J/cm以上、52.3J/cm以下であってもよい。メインパルスレーザ光のパルス幅は、1.0ns以上、3.7ns以下。
さらに、好ましくは、
メインパルスレーザ光のエネルギー密度は、26.2J/cm以上、40.0J/cm以下であってもよい。メインパルスレーザ光のパルス幅は、2.0ns以上、2.6ns以下であってもよい。
メインパルスレーザ光が、原子密度8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下の2次ターゲットに照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化され得る。
メインパルスレーザ光の繰り返し周波数は、1Hz〜100kHz程度であってもよい。この場合、EUV光の出力は約数mW〜数十W程度となり得る。これにより、例えば、EUV露光用マスク検査装置やEUV光用の光学素子の検査装置に使用される光源として、利用するのに十分なEUV光の出力を高い変換効率で得ることができる。
6.高繰り返しでパルスレーザ光を照射するEUV光生成システム
6.1 概要
図6は、第2の実施形態に係るEUV光生成システム11の構成例を概略的に示す一部断面図である。
第2の実施形態において、ターゲット供給部26は、エアロゾル供給装置65と、粉体出力部35とを含んでもよい。粉体出力部35は、チャンバ2に固定されていてもよい。粉体出力部35は、エアロゾル供給装置65から供給されるエアロゾルを、ターゲット27としてチャンバ2内のプラズマ生成領域25に供給してもよい。
第2の実施形態において、メインパルスレーザ装置3bは、複数のマスターオシレータ41〜46と、光路調節器47と、複数の増幅器PA1及びPA2と、リレー光学系48と、を含んでもよい。
メインパルスレーザ装置3bは、例えば600kHzの高繰り返し周波数を有するメインパルスレーザ光をプラズマ生成領域25に照射してもよい。これにより、EUV光生成システム11は、露光装置において利用可能な200W程度のEUV光を出力可能となり得る。
他の点については、第1の実施形態と同様でよい。
6.2 レーザ装置の詳細
6.2.1 マスターオシレータ
複数のマスターオシレータ41〜46は、後述のシングル縦モードの量子カスケードレーザであってもよい。複数の増幅器PA1及びPA2は、複数のマスターオシレータ41〜46から出力されるパルスレーザ光の光路に直列に配置されてもよい。複数の増幅器PA1及びPA2は、それぞれ、例えばCOガスをレーザ媒質として収容した図示しないレーザチャンバと、レーザチャンバ内に配置された図示しない一対の電極と、一対の電極間に電圧を印加する図示しない電源とを含んでいてもよい。EUV光生成制御部5は、複数のマスターオシレータ41〜46と、複数の増幅器PA1及びPA2とを制御してもよい。
複数のマスターオシレータ41〜46は、互いに異なる波長のパルスレーザ光を、光路調節器47に向けて出力してもよい。光路調節器47は、複数のマスターオシレータ41〜46から出力されたパルスレーザ光の光路を、1つの光路に合流させ、合流したパルスレーザ光を、増幅器PA1に向けて出力してもよい。増幅器PA1は、光路調節器47から出力されたパルスレーザ光を増幅して、増幅器PA2に向けて出力してもよい。増幅器PA2は、増幅器PA1から出力されたパルスレーザ光を増幅して、リレー光学系48に向けて出力してもよい。リレー光学系48は、増幅器PA2から出力されたパルスレーザ光を、レーザ光進行方向制御部34aに向けて出力してもよい。
6.2.2 光路調節器
図7は、図6に示される光路調節器47の構成を具体的に示す。光路調節器47は、グレーティングを含んでいてもよい。光路調節器47に含まれるグレーティングは、高反射率の材料で形成された多数の溝を有する波長分散素子でもよい。グレーティングの各溝の方向は、図7の紙面に対してほぼ垂直な方向であり得る。
複数のマスターオシレータ41〜46は、互いに発振波長が異なっていてもよい。複数のマスターオシレータ41〜46から出力されたそれぞれのパルスレーザ光は高反射ミラー47aを介してグレーティングに、発振波長に応じてそれぞれ所定の角度で入射してもよい。ここで、それぞれの複数のマスターオシレータ41〜46は、グレーティングを回折したそれぞれのパルスレーザ光が互いに略同じ回折角度となるように、配置してもよい。その結果、複数のマスターオシレータからのパルスレーザ光が略同一の光路となり、増幅器PA1に入射し得る。
6.2.3 パルスレーザ光の波長と増幅器のゲインとの関係
図8は、図6に示される複数のマスターオシレータ41〜46から出力されるパルスレーザ光の波長と、増幅器PA1及びPA2におけるゲインおよび光強度との関係を示す。増幅器PA1及びPA2がCOレーザ増幅器である場合、これらの増幅器は、P(18)ライン、P(20)ライン、P(22)ライン、P(24)ライン、P(26)ライン、P(28)ライン及びP(30)ラインに、それぞれ増幅率のピークを有し得る。
本実施形態においては、複数のマスターオシレータ41〜46によって出力されるパルスレーザ光の波長を、COレーザ増幅器の複数の増幅ラインにおける増幅率のピークとなる波長に、それぞれ対応させてもよい。例えば、マスターオシレータ41は、P(18)ラインに対応する波長10.5713μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。マスターオシレータ42は、P(20)ラインに対応する波長10.5912μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。マスターオシレータ43は、P(22)ラインに対応する波長10.6118μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。マスターオシレータ44は、P(24)ラインに対応する波長10.6324μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。マスターオシレータ45は、P(26)ラインに対応する波長10.6534μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。マスターオシレータ46は、P(28)ラインに対応する波長10.6748μmのパルスレーザ光を出力するように設定されてもよい。
また、複数のマスターオシレータ41〜46によって出力されるパルスレーザ光の強度は、COレーザ増幅器の複数の増幅ラインにおける増幅率のピーク値の逆数にそれぞれほぼ対応させてもよい。例えば、COレーザ増幅器のP(20)ラインは、もっとも大きい増幅率を有するので、マスターオシレータ42は、他のマスターオシレータ41、43〜46よりも弱いパルスレーザ光を出力してもよい。これにより、複数のマスターオシレータ41〜46によって出力されるパルスレーザ光の光強度のばらつきよりも、これらを増幅した後のパルスレーザ光の光強度のばらつきが、小さくなり得る。さらに、増幅器PA1及びPA2における励起強度を調節することにより、ターゲットに照射されるパルスレーザ光のエネルギーを調節可能であってもよい。したがって、メインパルスレーザ装置から出力されるパルスレーザ光のエネルギーが目標の範囲内となるように、増幅器PA1及びPA2における励起強度を調節してもよい。
6.2.4 ゲイン低下の抑制
パルスレーザ光のエネルギーからEUV光のエネルギーへの高い変換効率を得るために、パルスレーザ光のエネルギーの最適範囲が上述のように規定された場合に、EUV光出力を向上するためには、繰り返し周波数を増大させる必要があり得る。
例えば、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスのエネルギーを25mJとし、繰り返し周波数を100kHzとすると、レーザ装置の出力は2.5kWとなり得る。このパルスレーザ光から、7%の変換効率が得られるとすると、EUV光の出力は175Wとなる。これに、典型的な集光効率による補正を行うと、中間集光点292におけるEUV光の出力は、約38Wとなる。ここで、中間集光点292における出力を200Wにまで高めようとする場合には、パルスレーザ光の繰り返し周波数を、上述の100kHzに対して、5倍の500kHz、好ましくは6倍の600kHzとする必要がある。
一方、COレーザ増幅器などのガスレーザ装置においては、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスを増幅した後、次のパルスを増幅するためのレーザゲインが回復するまでにある程度の時間を必要とする。この時間は、増幅器のガス条件や、励起条件によっても異なるが、例えば、数μs程度である。繰り返し周波数を600kHzとすると、パルス時間間隔は1.7μsにまで短くなるので、1つのパルスを増幅した後、次のパルスが入力されるまでにレーザゲインが回復せず、増幅率が低下し得る。
図9は、図6に示されるメインパルスレーザ装置3bにおけるパルスレーザ光出力のタイミングチャートである。複数のマスターオシレータ41〜46のそれぞれは、例えば、100kHzの繰り返し周波数、すなわち、10μsの時間間隔で、パルスレーザ光を出力してもよい。
複数のマスターオシレータ41〜46によって出力されるパルスレーザ光の出力タイミングは、互いにほぼ等間隔でずれていてもよい。例えば、マスターオシレータ42によって出力されるパルスレーザ光の出力タイミングは、マスターオシレータ41によって出力されるパルスレーザ光の出力タイミングに対して約1.7μsずれていてもよい。同様に、マスターオシレータ43、44、45及び46によって出力されるパルスレーザ光の出力タイミングは、約1.7μsずつ、順次ずれていてもよい。これにより、光路調節器47によって光路を一致させられた後のパルスレーザ光の繰り返し周波数は、約600kHzとなり得る。
増幅器PA1及びPA2において、P(18)ラインの増幅をするとP(18)ラインのレーザゲインが低下するが、他の増幅ラインについてはレーザゲインが低下するのを抑制し得る。上述の構成によれば、P(18)ラインの増幅後に、P(18)ラインのレーザゲインの回復を待つことなく、他の増幅ラインの増幅を行ってもよい。そして、P(18)ラインの増幅を次に行う時までの間に、P(18)ラインのレーザゲインを回復させてもよい。
6.2.5 マスターオシレータの例(量子カスケードレーザ)
図10は、図6に示されるマスターオシレータ41の構成を概略的に示す。マスターオシレータ41は、半導体基板51と、ガイド層50と、活性層52と、クラッド層53とを含むシングル縦モードの量子カスケードレーザであってもよい。量子カスケードレーザは、サブバンド間遷移を利用した半導体レーザであり得る。サブバンドとは、量子井戸などによる量子閉じ込めにより形成される電子状態であり得る。活性層52は、量子井戸を多段接続した構成を有しており、1つの電子で複数回の発光を行い得る。半導体基板51とガイド層50との境界面は、所定の溝ピッチΛを有するグレーティングを構成していてもよい。
クラッド層53には電源部54が接続され、電源部54からクラッド層53を介して活性層52にパルス電流が供給されてもよい。この時、活性層52で発生した光のうち、グレーティングによって波長選択されたシングル縦モードのパルスレーザ光が活性層52で増幅され、活性層52から出力され得る。この出力されるパルスレーザ光のパルス幅は、活性層52に供給されるパルス電流のパルス幅によって調整可能であってもよい。したがって、メインパルスレーザ装置から出力されるパルスレーザ光のパルス幅が目標の範囲内となるように、活性層52に供給されるパルス電流のパルス幅を調節してもよい。
半導体基板51には、ペルチェ素子55が接続されていてもよい。ペルチェ素子55は、電源部56から供給される電流により、一方の面から他方の面に熱移動する半導体素子であってもよい。半導体基板51に取り付けられた温度センサ58の出力に基づいてペルチェ素子55に供給する電流を制御し、ガイド層50及び活性層52の温度を調整することにより、マスターオシレータ41の発振波長を調整可能であってもよい。電源部54及び電源部56は、QCL制御部57によって制御されてもよい。QCL制御部57は、EUV光生成制御部5によって制御されてもよい。
マスターオシレータ42〜46の構成も同様でよい。
6.3 粉体のターゲットを供給するターゲット供給部
6.3.1 エアロゾル生成器
図11は、図6に示されるエアロゾル供給装置65の構成を、EUV光生成システム11の他の部分とともに示す。エアロゾル供給装置65は、高圧ガスボンベ67と、マスフローコントローラ68と、粉体供給部69と、エアロゾル生成器66とを含んでもよい。
高圧ガスボンベ67は、ヘリウムガス(He)、アルゴンガス(Ar)、水素ガス(H)、水素ガスを混合したヘリウムガス、水素ガスを混合したアルゴンガス、などのキャリアガスを収容していてもよい。高圧ガスボンベ67は、ガス配管によってエアロゾル生成器66に接続されていてもよい。高圧ガスボンベ67とエアロゾル生成器66との間のガス配管には、マスフローコントローラ68が設けられていてもよい。マスフローコントローラ68は、EUV光生成制御部5からの制御信号に基づいて、高圧ガスボンベ67からエアロゾル生成器66に供給されるキャリアガスの流量を制御してもよい。
粉体供給部69は、ターゲット物質を粉体にしてエアロゾル生成器66の容器内に供給する機構であってもよい。粉体供給部69は、例えば、スパッタリング法や、レーザアブレーション法などによって粉体を生成してもよい。粉体供給部69によって生成される粉体の量及び粒径は、EUV光生成制御部5からの制御信号に基づいて制御されてもよい。エアロゾル生成器66は、図示しない振動機構を有し、この振動機構は、EUV光生成制御部5からの制御信号に基づいて動作してもよい。エアロゾル生成器66は、粉体供給部69によって生成されたターゲット物質を含む粉体を、高圧ガスボンベ67から供給されたキャリアガスに分散させることにより、エアロゾルを生成してもよい。
粉体出力部35は、エアロゾル生成器66によって生成されたエアロゾルに含まれる粉体のターゲット27を、チャンバ2内のプラズマ生成領域25に向けて出力してもよい。エアロゾル生成器66からチャンバ2内にエアロゾルを供給するための力は、排気装置36によって調整されるチャンバ2内の圧力と、高圧ガスボンベ67から供給されるキャリアガスの圧力との差圧によって与えられてもよい。粉体のターゲット27は、ビーム状で出力されてもよい。プラズマ生成領域25におけるターゲット物質の原子密度が、8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下となってもよい。あるいは、プリパルスレーザ装置3aから出力されるプリパルスレーザ光が、粉体のターゲット27に照射されることにより、プラズマ生成領域25におけるターゲット物質がさらに分散して、ターゲット物質の原子密度が8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下となり得る。このような原子密度のターゲット物質にメインパルスレーザ光が照射されることにより、ターゲット物質がプラズマ化してEUV光を生成してもよい。
好ましくは、メインパルスレーザ光のエネルギー密度は、10.5J/cm以上、52.3J/cm以下であってもよい。メインパルスレーザ光のパルス幅は、1.0ns以上、3.7ns以下であってもよい。
さらに、好ましくは、メインパルスレーザ光のエネルギー密度は、26.2J/cm以上、40.0J/cm以下であってもよい。メインパルスレーザ光のパルス幅は、2.0ns以上、2.6ns以下であってもよい。
プラズマ生成に伴って拡散したターゲット物質は、EUV集光ミラー23の反射面に付着して、EUV集光ミラー23によるEUV光の反射率を低下させる場合がある。そこで、ターゲット物質がスズ(Sn)を含む場合には、キャリアガスに水素ガスを含むのが好ましい。以下の式1に示されるように、水素ガスは、EUV光が照射されると水素ラジカル(H)となり得る。以下の式2に示されるように、この水素ラジカルと、EUV集光ミラー23に付着したスズとが反応して、常温で気体であるスタナン(SnH)が生成され得る。
→2H (式1)
Sn+4H→SnH (式2)
これにより、EUV集光ミラー23に付着したターゲット物質をエッチングし、EUV集光ミラー23を長寿命化し得る。
6.3.2 エアロダイナミックレンズの構成
図12Aは、図6に示される粉体出力部35の構成例を概略的に示す。ターゲット供給部26の粉体出力部35は、エアロダイナミックレンズを含んでもよい。エアロダイナミックレンズは、内部に数段のオリフィス板を連ねた構造を有してもよい。エアロダイナミックレンズは、高圧側のエアロゾル生成器66(図11参照)で生成されたエアロゾルを低圧側のチャンバ2に導入し、エアロゾルに含まれる粉体をビーム状にしてチャンバ2内のプラズマ生成領域25に出力してもよい。
エアロダイナミックレンズを用いることにより、粉体のターゲット27がチャンバ2内に拡散することを抑制して、プラズマ生成領域25に多くの粉体のターゲット27を到達させることができ、粉体のターゲット27の利用効率を向上することができる。また、粉体出力部35とプラズマ生成領域25との距離(WD)を長くとることができる。
6.3.3 エアロダイナミックレンズの設計例
図12Bは、設計されたエアロダイナミックレンズの各部の寸法を示す。
図12Aに示されるように、粉体出力部35を構成するエアロダイナミックレンズは、一端にエアロゾル生成器66に連通する開口60が形成され、他端にチャンバ2に連通するオリフィスが形成された管を含んでもよい。チャンバ2に連通するオリフィスは第4オリフィス64であってもよい。エアロダイナミックレンズを構成する管の内部には、開口60と第4オリフィス64との間に、開口60側から順に、第1オリフィス61、第2オリフィス62及び第3オリフィス63が形成されていてもよい。
ここで、開口60(n=0)の径をDa0、第1オリフィス61(n=1)の径をDa1、第2オリフィス62(n=2)の径をDa2、第3オリフィス63(n=3)の径をDa3、第4オリフィス64(n=4)の径をDa4とする。なお、開口60の位置をn=0とし、第1オリフィス61の位置をn=1とし、第2オリフィス62の位置をn=2とし、第3オリフィス63の位置をn=3とし、第4オリフィス64の位置をn=4とする。
また、開口60と第1オリフィス61との間の距離をL0、第1オリフィス61と第2オリフィス62との間の距離をL1、第2オリフィス62と第3オリフィス63との間の距離をL2、第3オリフィス63と第4オリフィス64との間の距離をL3とする。
また、開口60と第1オリフィス61との間における管の内径をDs0、第1オリフィス61と第2オリフィス62との間における管の内径をDs1とする。第2オリフィス62と第3オリフィス63との間における管の内径をDs2、第3オリフィス63と第4オリフィス64との間における管の内径をDs3とする。
一例として、キャリアガスはヘリウムガスとし、エアロゾルに含まれる粉体は直径Dpが10nmであるスズの固体微粒子によって構成される粉体とする。また、第4オリフィス64からプラズマ生成領域25までの距離WDを100mmとする。また、エアロダイナミックレンズへの入力圧力Pinを101325Paとし、チャンバ2内の圧力Poutを0.1Paとする。
図12Bには、プラズマ生成領域25における粉体のターゲット27のビーム径が280μm〜400μmとなるように、また、粉体のターゲット27の流速Vが370m/sとなるように設計した結果が示されている。
このような粉体のターゲット27に、例えば、集光スポット径が300μmであるパルスレーザ光を500kHz〜600kHzの繰り返し周波数で照射してもよい。これにより、EUV光を500kHz〜600kHzの繰り返し周波数で生成し得る。なお、集光スポット径は、集光点の強度分布において、ピーク強度の1/e以上の強度を有する部分の直径とする。
また、500kHzの繰り返し周波数で照射されるパルスレーザ光の繰り返し周期は2μsとなる。従って、粉体のターゲット27の流速Vが370m/sであるとすると、粉体のターゲット27が740μm進むごとに、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスが照射されることになる。これにより、パルスレーザ光に含まれる1つのパルスによって生成されたプラズマが、次のパルスが照射されるターゲットの軌道に大きな影響を与えることを抑制し得る。この観点から、粉体のターゲット27の流速Vは、360m/s以上が好ましい。さらに、500m/s以上が好ましい。
6.4 補正光学素子
図11を再び参照すると、プリパルスレーザ装置3aから出力されたパルスレーザ光の光路と、メインパルスレーザ装置3bから出力されたパルスレーザ光の光路とに、それぞれ補正光学素子30が配置されていてもよい。補正光学素子30は、パルスレーザ光の光強度分布を、ガウス分布から準トップハット分布に変換する光学素子であってもよい。準トップハット分布とは、パルスレーザ光の光強度分布が実質的に均一な光強度分布を有する領域を含むことを意味し得る。
図13は、補正光学素子30に関する1つの例を示す概念図である。図13に示される補正光学素子30は、回折光学素子30aを含んでもよい。回折光学素子30aは、例えば、入射光を回折させるための微小な凹凸が形成された透明板を含んでもよい。回折光学素子30aの凹凸パターンは、回折光をレーザ光集光光学系22bによって集光した場合に、集光点において光強度分布を均一化させるように設計されてもよい。これにより、光強度分布が準トップハット分布であるプリパルスレーザ光又はメインパルスレーザ光が、粉体のターゲット27に照射され得る。
図14は、補正光学素子30に関する別の例を示す概念図である。図14に示す補正光学素子30は、位相シフト光学系30bを含んでもよい。位相シフト光学系30bは、例えば、中央部を周辺部より肉厚とした透明板を含んでもよい。位相シフト光学系30bは、中央部を透過する光と周縁部を透過する光との間に位相差πを与えてもよい。これにより、光強度分布がガウス分布である入射光が、エアリー関数に近似した電界強度分布を有する光に変換されて、位相シフト光学系30bから出力され得る。
そして、例えば、レーザ光集光光学系22bの後焦点の位置がターゲット27の通過経路上のある点と一致するように当該レーザ光集光光学系22bを配置し、当該レーザ光集光光学系22bの前焦点の位置に位相シフト光学系30bを配置してもよい。これにより、光強度分布がエアリー関数をフーリエ変換した準トップハット分布であるプリパルスレーザ光又はメインパルスレーザ光が、粉体のターゲット27に照射され得る。ここでは透過型の位相シフト光学系30bが用いられる例について説明したが、これに限らず、反射型の位相シフト光学系が用いられてもよい。
図15は、補正光学素子30に関するさらなる別の例を示す概念図である。図15に示される補正光学素子30は、所定形状の開口を有するマスク30cを含んでもよい。マスク30cと、コリメータレンズ30dと、レーザ光集光光学系22bとにより、縮小投影光学系が構成されてもよい。マスク30cは、入射するパルスレーザ光の光強度分布が所定の均一性を有する領域の光のみを透過させ得る。縮小投影光学系は、マスク30cの開口部分の像をコリメータレンズ30dとレーザ光集光光学系22bとによってターゲット27に縮小投影して結像させてもよい。これにより、光強度分布が準トップハット分布であるプリパルスレーザ光又はメインパルスレーザ光が、粉体のターゲット27に照射され得る。
図16は、補正光学素子30に関するさらなる別の例を示す概念図である。図16に示す補正光学素子30は、多数の凹レンズが配列されたフライアイレンズ30eを含んでもよい。フライアイレンズ30eと、コリメータレンズ30dと、レーザ光集光光学系22bにより、ケイラー照明光学系が構成されてもよい。ケイラー照明光学系では、入射光をフライアイレンズ30eの各々の凹レンズによって各々所定の角度で広げ、その光を、コリメータレンズ30dと、レーザ光集光光学系22bとによって集光することにより、重ね合わせることができる。その結果、パルスレーザ光の光強度分布を略均一化させることができる。これにより、光強度分布が準トップハット分布であるプリパルスレーザ光又はメインパルスレーザ光が、粉体のターゲット27に照射され得る。ここでは透過型のフライアイレンズ30eを用いる例について説明したが、これに限らず、反射型のフライアイ光学系が用いられてもよい。また、フライアイレンズは多数の凸レンズが配列されたものでもよいし、微小なレンズで構成されたマイクロフライアイレンズでもよい。
7.レーザ装置の変形例(第3の実施形態)
7.1 マスターオシレータ
図17は、第3の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置3cの構成を概略的に示す。第3の実施形態において、メインパルスレーザ装置3cは、能動モードロックレーザ装置を含むマスターオシレータ40aと、パルスピッカー76と、増幅器PA1とを含んでもよい。図17においては図示を省略したが、メインパルスレーザ装置3cは、複数の増幅器を含んでもよい。
マスターオシレータ40aは、高反射ミラー70と部分反射ミラー71とによって構成される光共振器を含んでもよい。高反射ミラー70と部分反射ミラー71との間に、COレーザ放電管72と、音響光学素子74とが、この順に高反射ミラー70側から配置されていてもよい。
COレーザ放電管72の内部には、一対の電極72a及び72bが配置されていてもよい。COレーザ放電管72は、COガスを含むレーザ媒体を封入していてもよい。COレーザ放電管72には、一対のウインドウ72c及び72dが取り付けられていてもよい。一対のウインドウ72c及び72dは、一方のウインドウ72cから他方のウインドウ72dに向けて通過するレーザ光の入射角度がブリュースタ角となるように配置されてもよい。一対の電極72a及び72bは、COレーザ放電管72の外部に配置された高周波電源73に電気的に接続されていてもよい。高周波電源73から供給される高周波電圧により、一対の電極72a及び72bの間に放電が発生し、この放電によってレーザ媒体が励起されて光が生成されてもよい。
COレーザ放電管72において生成される光は、複数の縦モード(周波数成分)を含んでもよい。高反射ミラー70は、COレーザ放電管72から放出された光を高い反射率で反射して、COレーザ放電管72に入射させてもよい。COレーザ放電管72に入射した光は、COレーザ放電管72において増幅されてCOレーザ放電管72から放出されてもよい。
部分反射ミラー71は、COレーザ放電管72内で生成及び増幅された光の一部を、光共振器の外部に向けて透過させ、残りの一部を、COレーザ放電管72内でさらに増幅されるように、COレーザ放電管72に向けて反射してもよい。
音響光学素子74は、音響光学媒体74aと、圧電素子74bと、を含んでもよい。圧電素子74bには、ドライバ75から高周波電圧が供給されてもよい。圧電素子74bに高周波電圧が供給されることにより、圧電素子74bから超音波が発生し、音響光学媒体74aの内部に粗密波として伝達されてもよい。この粗密波は、音響光学媒体74aの内部における光の屈折率を変化させてもよい。圧電素子74bから音響光学媒体74aの内部に伝達される超音波の周波数は、例えば、150MHzであってもよい。音響光学媒体74aの内部における光の屈折率の変化により、光共振器内を往復するレーザ光の切り出しが行われてもよい。
音響光学素子74によってレーザ光の切り出しが行われると、光共振器内を往復するレーザ光がパルスレーザ光となり得る。パルスレーザ光は、COレーザ放電管72を通過するときに一層増幅され、光共振器内を往復するたびに、より強いパルスレーザ光となり得る。ここで、例えば、光共振器の共振器長Lを1mとし、光速cを3×10m/sとしたとき、パルスレーザ光の繰り返し周波数fは、以下の式により得られる。すなわち、パルスレーザ光は光共振器内を1秒間で1.5×10回、往復し得る。
f=c/2L
=3×10/2
以上の構成により、パルスレーザ光が光共振器内を1往復するための所要時間と、音響光学媒体74aの内部における屈折率の変更周期とを一致させることにより、所望の高い繰り返し周波数を有するパルスレーザ光が、光共振器から出力され得る。
ここで、このマスターオシレータ40aから出力されるパルスレーザ光のパルス幅は、COレーザ放電管72のCOレーザガスの圧力を調節することにより変化し得る。この理由は、COレーザガスの圧力によって、増幅波長領域の幅が変化するので、モードロックされたパルスレーザ光のパルス幅は変化するためである。したがって、メインパルスレーザ装置から出力されるパルスレーザ光のパルス幅を目標の範囲内となるように、マスターオシレータのCOレーザガスの圧力を調節してもよい。
7.2 パルスピッカー
図18は、図17に示されるパルスピッカー76の第1の構成例を概略的に示す。パルスピッカー76は、ポッケルスセル77と、一対の偏光素子78a及び78bと、ドライバ79とを含んでもよい。ポッケルスセル77は、マスターオシレータ40aから出力されたパルスレーザ光の光路に配置されてもよい。ポッケルスセル77は、ドライバ79によって電圧を印加されたときに、ポッケルスセル77を通過するパルスレーザ光の偏光状態を変更可能であってもよい。一対の偏光素子78a及び78bは、パルスレーザ光の光路に、ポッケルスセル77を挟んで配置されてもよい。一対の偏光素子78a及び78bは、それらによって選択される偏光面が互いに直交するように配置されていてもよい。
マスターオシレータ40aから出力されたパルスレーザ光は、一対のウインドウ72c及び72dがブリュースタ角で図17に示されるように配置されているので、Y方向に平行な偏光面を有する直線偏光となり得る。このパルスレーザ光は、一方の偏光素子78aを通過し得る。
ポッケルスセル77にドライバ79から電圧が印加されていないとき、ポッケルスセル77は、パルスレーザ光の偏光状態を変更させずにパルスレーザ光を通過させてもよい。このパルスレーザ光は、他方の偏光素子78bを通過せずに、反射又は吸収されてもよい。
ポッケルスセル77にドライバ79から電圧が印加されているとき、ポッケルスセル77は、パルスレーザ光の偏光状態を、Y方向に平行な偏光面を有する直線偏光から、楕円偏光又はX方向に平行な偏光面を有する直線偏光に変化させてもよい。このパルスレーザ光の少なくとも一部は、他方の偏光素子78bを通過して、X方向に平行な偏光面を有する直線偏光として増幅器PA1に入射してもよい。
図19は、ポッケルスセル77に印加される電圧と、パルスレーザ光との関係を示す。
マスターオシレータ40aから出力されたパルスレーザ光は、一方の偏光素子78aを通過するが、ポッケルスセル77に印加される電圧の制御によって、選択的に通過させ得る。音響光学素子74(図17参照)において音響光学媒体74aの内部に伝達される超音波の周波数及び位相に対応して、ポッケルスセル77に印加される電圧の周波数及び位相が決定されてもよい。超音波の周波数が例えば150MHzである場合に、ポッケルスセル77に印加される電圧の周波数が600kHzであってもよい。すなわち、マスターオシレータ40aから250パルスのパルスレーザ光が出力されるごとに、パルスピッカー76が1パルスのパルスレーザ光を通過させてもよい。
また、ポッケルスセル77に印加される電圧の大きさを制御することにより、他方の偏光素子78bを通過するパルスレーザ光の光強度が制御されてもよい。図19に実線で示されるように、ポッケルスセル77に印加される電圧が大きい場合に、他方の偏光素子78bを通過するパルスレーザ光の光強度が大きくなり得る。図19に2種類の破線で示されるように、ポッケルスセル77に印加される電圧が小さくなるほど、他方の偏光素子78bを通過するパルスレーザ光の光強度が小さくなり得る。
7.3 再生増幅器
図20及び図21は、図17に示されるパルスピッカー76の第2の構成例を概略的に示す。第2の構成例において、パルスピッカー76は、再生増幅器80を含んでもよい。すなわち、パルスピッカー76は、パルスレーザ光の間引きだけでなく、パルスレーザ光の増幅を行ってもよい。
図20及び図21に示されるように、再生増幅器80は、一対の高反射ミラー81a及び81bによって構成される光共振器を含んでもよい。一対の高反射ミラー81a及び81bの間に、1/4波長板82と、COレーザ放電管83と、偏光ビームスプリッタ84と、ポッケルスセル85とが、この順で高反射ミラー81a側から順に配置されていてもよい。
COレーザ放電管83及びその内部の構成は、図17に示されたCOレーザ放電管72のものと同様でよい。COレーザ放電管83の内部の一対の電極72a及び72bは、COレーザ放電管83の外部に配置された高周波電源86に電気的に接続されていてもよい。高周波電源86から供給される高周波電圧により、一対の電極72a及び72bの間に放電が発生し、この放電によってCOレーザ放電管83の内部のレーザ媒体が励起されてもよい。COレーザ放電管83に入射した光は、COレーザ放電管83において増幅されてCOレーザ放電管83から放出されてもよい。
ポッケルスセル85は、ドライバ87によって電圧を印加されたときに、ポッケルスセル85を通過するパルスレーザ光の偏光状態を変更可能であってもよい。ポッケルスセル85による偏光状態の変更は、直線偏光から円偏光への変更、又は、円偏光から直線偏光への変更であってもよい。直線偏光のパルスレーザ光がポッケルスセル85を通過して円偏光となり、その後再度ポッケルスセル85を通過したときに、パルスレーザ光は、最初の直線偏光に対して偏光面が90度回転した直線偏光となってもよい。
図20は、ドライバ87によってポッケルスセル85に電圧が印加されていない場合のパルスレーザ光の光路を示している。
マスターオシレータ40aから出力されたパルスレーザ光B1は、紙面に垂直な偏光面を有する直線偏光であってもよい。パルスレーザ光B1は、偏光ビームスプリッタ84によって反射されて、パルスレーザ光B2としてポッケルスセル85に入射してもよい。パルスレーザ光B2は、ドライバ87によってポッケルスセル85に電圧が印加されていない状態においては、偏光面の向きを維持したままポッケルスセル85を透過し、パルスレーザ光B3として高反射ミラー81bに入射してもよい。
パルスレーザ光B3は、高反射ミラー81bによって反射されて、パルスレーザ光B4としてポッケルスセル85に入射してもよい。パルスレーザ光B4は、偏光面の向きを維持したままポッケルスセル85を透過し、パルスレーザ光B5として偏光ビームスプリッタ84に入射してもよい。パルスレーザ光B5は、偏光ビームスプリッタ84によって反射されて、パルスレーザ光B6として、一度も増幅されることなく再生増幅器80から出力されてもよい。
図21は、ドライバ87によってポッケルスセル85に電圧が印加されている場合のパルスレーザ光の光路を示している。
マスターオシレータ40aから出力されたパルスレーザ光B1は、紙面に垂直な偏光面を有する直線偏光であってもよい。パルスレーザ光B1は、偏光ビームスプリッタ84によって反射されて、パルスレーザ光B2としてポッケルスセル85に入射してもよい。パルスレーザ光B2は、ドライバ87によってポッケルスセル85に電圧が印加されている状態においては、ポッケルスセル85を透過する際に円偏光に変化し、パルスレーザ光Ba3として高反射ミラー81bに入射してもよい。
パルスレーザ光Ba3は、高反射ミラー81bによって反射されて、パルスレーザ光Ba4としてポッケルスセル85に入射してもよい。パルスレーザ光Ba4は、ポッケルスセル85を透過する際に、紙面に平行な偏光面を有する直線偏光に変化し、パルスレーザ光Ba5として偏光ビームスプリッタ84に入射してもよい。パルスレーザ光Ba5は、偏光ビームスプリッタ84を透過し、パルスレーザ光Ba6として、COレーザ放電管83に入射してもよい。
パルスレーザ光Ba6は、COレーザ放電管83において増幅されて、1/4波長板82に入射してもよい。パルスレーザ光Ba6は、1/4波長板82を透過する際に円偏光に変化し、パルスレーザ光Ba7として高反射ミラー81aに入射してもよい。
パルスレーザ光Ba7は、高反射ミラー81aによって反射されて、パルスレーザ光Ba8として1/4波長板82に入射してもよい。パルスレーザ光Ba8は、1/4波長板82を透過する際に、紙面に垂直な偏光面を有する直線偏光に変化し、パルスレーザ光Ba9として、COレーザ放電管83に入射してもよい。
パルスレーザ光Ba9は、COレーザ放電管83において増幅されて、偏光ビームスプリッタ84に入射してもよい。パルスレーザ光Ba9は、偏光ビームスプリッタ84によって反射されて、パルスレーザ光B10として、再生増幅器80から増幅器PA1に向けて出力されてもよい。
以上述べたように、ポッケルスセル85に電圧を印加したときのみ、パルスレーザ光が増幅されて、増幅器PA1に向けて出力されてもよい。
本開示は上述のものに限定されず、図18に示されるパルスピッカー76と図20に示される再生増幅器80との両方がパルスレーザ光の光路に配置されていてもよい(図23参照)。
8.レーザ装置の変形例(第4の実施形態)
図22は、第4の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置3dの構成を概略的に示す。第4の実施形態において、メインパルスレーザ装置3dは、受動モードロックレーザ装置を含むマスターオシレータ40bと、光センサモジュール88と、パルスピッカー76とを含んでもよい。図22においては図示を省略したが、メインパルスレーザ装置3dは、少なくとも1つの増幅器をさらに含んでもよい。
マスターオシレータ40bは、音響光学素子74及びドライバ75の代わりに、可飽和吸収セル89を含む点で、図17に示されるマスターオシレータ40aと異なってもよい。他の点については図17に示されるマスターオシレータ40aと同様でよい。可飽和吸収セル89は、入射光が所定の閾値より弱い間は入射光をほぼ吸収し、入射光がその閾値以上に強くなると、入射光を高い透過率で透過させてもよい。これにより、COレーザ放電管72において生成される光に含まれる複数の縦モードの位相がそろったタイミングで、瞬間的に強度が高くなった光のみが、可飽和吸収セル89を透過し得る。
こうして、複数の縦モードの光の位相が相対的に固定されたパルスレーザ光が、光共振器内を往復することにより、増幅され得る。増幅されたパルスレーザ光は部分反射ミラー71から周期的に出力され得る。このパルスレーザ光の繰り返し周波数fは、次の式に示されるように、光共振器の共振器長Lと光速cとに依存し得る。
f=c/2L
光センサモジュール88は、ビームスプリッタ88aと、光センサ88bと、を含んでもよい。ビームスプリッタ88aは、マスターオシレータ40bから出力されたパルスレーザ光の一部を反射し、他の一部をパルスピッカー76に向けて高い透過率で透過させてもよい。ビームスプリッタ88aによって反射されたパルスレーザ光は、光センサ88bの受光面に入射してもよい。光センサ88bは、パルスレーザ光の検出タイミングを示す信号をEUV光生成制御部5に出力してもよい。EUV光生成制御部5は、光センサ88bから受信した信号に基づいて、パルスピッカー76を制御してもよい。例えば、マスターオシレータ40bから250パルスのパルスレーザ光が出力されるごとに、パルスピッカー76が1パルスのパルスレーザ光を通過させてもよい。
他の点については、図17に示されるメインパルスレーザ装置3cと同様でよい。
9.レーザ装置の変形例(第5の実施形態)
図23は、第5の実施形態に係るEUV光生成システムにおいて用いられるメインパルスレーザ装置3eの構成を概略的に示す。第5の実施形態において、メインパルスレーザ装置3eは、マスターオシレータ40cと、複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3とを含んでもよい。複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3の各々は、パルスピッカー76と、少なくとも1つの増幅器PAとを含んでいてもよい。
マスターオシレータ40cは、能動モードロックレーザ装置又は受動モードロックレーザ装置を含んでもよい。すなわち、マスターオシレータ40cは、図17に示されるマスターオシレータ40aと同様のものでもよいし、図22に示されるマスターオシレータ40bと同様のものでもよい。
マスターオシレータ40cから出力されたパルスレーザ光の光路に、ビームスプリッタ90aが配置されていてもよい。ビームスプリッタ90aは、マスターオシレータ40cから出力されたパルスレーザ光の一部を増幅システムPAS1のパルスピッカー76に向けて透過させ、他の一部を反射してもよい。この場合に、反射光は、透過光の2倍の強度を有してもよい。マスターオシレータ40cとビームスプリッタ90aとの間に、別のパルスピッカー760が配置されていてもよい。
ビームスプリッタ90aによって反射されたパルスレーザ光の光路に、ビームスプリッタ90bが配置されていてもよい。ビームスプリッタ90bは、ビームスプリッタ90aによって反射されたパルスレーザ光の一部を増幅システムPAS2のパルスピッカー76に向けて反射し、他の一部を透過させてもよい。この場合に、反射光と透過光とは同等の強度を有してもよい。
ビームスプリッタ90bを透過したパルスレーザ光の光路に、高反射ミラー90cが配置されていてもよい。高反射ミラー90cは、ビームスプリッタ90bを透過したパルスレーザ光を増幅システムPAS3のパルスピッカー76に向けて高い反射率で反射してもよい。
複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3の各々において、パルスピッカー76は、パルスレーザ光の繰り返し周波数が例えば200kHzとなるようにパルスレーザ光を間引きしてもよい。また、増幅システムPAS2のパルスピッカー76を通過するパルスレーザ光は、増幅システムPAS1のパルスピッカー76を通過するパルスレーザ光よりも1.7μs遅れていてもよい。増幅システムPAS3のパルスピッカー76を通過するパルスレーザ光は、増幅システムPAS2のパルスピッカー76を通過するパルスレーザ光よりも1.7μs遅れていてもよい。
複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3の各々において、パルスピッカー76を通過したパルスレーザ光の光路に、少なくとも1つの増幅器PAが配置されていてもよい。少なくとも1つの増幅器PAを通過して増幅されたパルスレーザ光は、複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3の各々から出力されてもよい。
複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3から出力されたパルスレーザ光の光路に、それぞれ、高反射ミラー91、92及び93が配置されてもよい。高反射ミラー91、92及び93は、それぞれに入射したパルスレーザ光を、光路調節器94に向けて反射してもよい。光路調節器94は、高反射ミラー91、92及び93からそれぞれ入射したパルスレーザ光を、プラズマ生成領域25に集光してもよい。
以上の構成により、光路調節器94は、繰り返し周波数600kHzのパルスレーザ光を、プラズマ生成領域25に集光させてもよい。複数の増幅システムPAS1、PAS2及びPAS3の各々においては、繰り返し周波数200kHzのパルスレーザ光を増幅しているので、レーザゲインが回復するのに十分な時間を確保し得る。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。

Claims (6)

  1. チャンバと、
    前記チャンバ内の所定領域に、原子密度8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下のターゲットを供給するように構成されたターゲット供給部と、
    前記所定領域に、前記所定領域におけるエネルギー密度10.5J/cm以上、52.3J/cm以下のパルスレーザ光を照射するレーザ装置と、
    を備える極端紫外光生成システム。
  2. 前記レーザ装置は、エネルギー7.4mJ以上、37mJ以下のパルスレーザ光を照射する、
    請求項1記載の極端紫外光生成システム。
  3. 前記レーザ装置は、パルス幅1.0ns以上、3.7ns以下のパルスレーザ光を照射する、
    請求項1記載の極端紫外光生成システム。
  4. 前記レーザ装置は、繰り返し周波数500kHz以上でパルスレーザ光を照射し、
    前記ターゲット供給部は、速度370m/s以上のターゲットを供給する、
    請求項1記載の極端紫外光生成システム。
  5. 前記ターゲット供給部は、粉体のターゲットを供給する、
    請求項1記載の極端紫外光生成システム。
  6. チャンバ内の所定領域に、原子密度8.0×1017atoms/cm以上、1.3×1018atoms/cm以下のターゲットを供給し、
    前記所定領域に、前記所定領域におけるエネルギー密度10.5J/cm以上、52.3J/cm以下のパルスレーザ光を照射する、
    極端紫外光生成方法。
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