JPWO2015011916A1 - 放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる電流測定装置を提供する。前記被測定電流を積分して積分信号を出力する積分回路(3)と、該積分回路から出力される積分信号が入力され、当該積分信号の変化率に比例した低レンジ側電流測定値を算出する低レンジ側電流測定部(4)と、前記積分回路から出力される積分信号の周期に応じたパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値を算出する高レンジ側電流測定部(5)と、前記パルス信号によって前記積分回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路(7)と、前記低レンジ側電流測定部で算出した低レンジ側電流測定値及び前記高レンジ側電流測定部で算出した高レンジ側電流測定値に基づいて前記被測定電流の測定値を決定する測定値決定部(6)とを備えている。
Description
本発明は、微小電流を広範囲に短時間で正確に測定することができる電流測定装置に関する。
例えば、電離箱放射線検出器の出力電流を測定する電流測定装置としては、例えば特許文献1に記載されている電流/周波数変換装置が提案されている。この電流/周波数変換装置は、入力電流を電荷として蓄積し、この蓄積された電荷に比例する電圧を出力する積分増幅回路と、前記積分増幅回路から出力される電圧に比例した周波数で且つデューティ比が50%のパルス信号を出力する周波数変換回路と、前記積分回路に蓄積された電荷を前記パルス信号の供給時に放電するポンピング回路とを備えている。
ところで、電離箱放射線検出器のように、10−15A〜10−6Aのような広い測定電流領域(〜9桁)をカバーするには、特許文献1に記載された電流/周波数変換装置では、最小電流における出力周波数が0.001Hz程度になり、測定結果を得るための応答時間が1000秒になる。ここで、応答時間を例えば1秒にするには、最小電流における出力周波数を1Hz以上にする必要があり、測定電流領域の最小電流が3桁上昇するため、その分測定電流領域が狭くなる。
そのため、例えば1秒の応答時間を確保し、かつ測定電流領域を広くするためには、測定できる電流領域が異なる複数の回路定数を備えておき、被測定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる電流測定装置を提供することを目的としている。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる電流測定装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る電流測定装置の一態様は、被測定電流の電流測定レンジを少なくとも低レンジ及び高レンジに分割し、それぞれのレンジで電流測定を行う電流測定装置である。そして、電流測定装置は、被測定電流を積分して積分信号を出力する積分回路と、この積分回路から出力される積分信号が入力され、積分信号の変化率に比例した低レンジ側電流測定値を算出する低レンジ側電流測定部と、積分回路から出力される積分信号の周期に応じたパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値を算出する高レンジ側電流測定部と、パルス信号によって積分回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路と、低レンジ側電流測定部で算出した低レンジ側電流測定値及び高レンジ側電流測定部で算出した高レンジ側電流測定値に基づいて被測定電流の測定値を決定する測定値決定部とを備えている。
本発明の一態様によれば、被測定電流の積分信号を低レンジ側電流測定部及び高レンジ側電流測定部の双方に供給し、低レンジ側電流測定部で積分信号の変化率に比例した電流測定値を算出し、高レンジ側電流測定部で積分信号の周波数に応じたパルス信号に基づいて電流測定値を算出する。このため、被測定電流が低レンジ側であるときには低レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用し、被測定電流が高レンジ側であるときには高レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用することにより、広いレンジで被測定電流を短時間で正確に測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を伴って説明する。
図1は、本発明の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明に係る電流測定装置1は、図1に示すように、被測定電流Iinが入力される電流入力端子2と、この電流入力端子2に接続された積分回路としての電荷積分回路3とを備えている。また、電流測定装置1は、電荷積分回路3から出力される積分信号としての積分電圧信号が入力される低レンジ側電流測定部4及び高レンジ側電流測定部5と、両電流測定部4及び5で算出した測定値に基づいて測定値を決定する測定値決定部6とを備えている。さらに、電流測定装置1は、電荷積分回路3で蓄積された電荷を一定量放電させるポンピング回路7を備えている。
図1は、本発明の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明に係る電流測定装置1は、図1に示すように、被測定電流Iinが入力される電流入力端子2と、この電流入力端子2に接続された積分回路としての電荷積分回路3とを備えている。また、電流測定装置1は、電荷積分回路3から出力される積分信号としての積分電圧信号が入力される低レンジ側電流測定部4及び高レンジ側電流測定部5と、両電流測定部4及び5で算出した測定値に基づいて測定値を決定する測定値決定部6とを備えている。さらに、電流測定装置1は、電荷積分回路3で蓄積された電荷を一定量放電させるポンピング回路7を備えている。
ここで、被測定電流Iinは、例えば電離箱放射線検出器の出力電流のように10−15A(1fA)〜10−6A(1μA)の広いレンジの測定電流領域(〜9桁)を有する負の微小電流である。
電荷積分回路3の具体的構成は、図2に示すように、被測定電流Iinが反転入力側に供給され、非反転入力側が接地されたオペアンプ31と、このオペアンプ31の出力側及び反転入力側間に接続された積分用コンデンサ32とを備えている。したがって、電荷積分回路3では、積分用コンデンサ32の静電容量をCとしたときに、負の被測定電流Iinが入力されるとこれを積分した下記(1)式で表される正の積分電圧信号Voが出力される。
電荷積分回路3の具体的構成は、図2に示すように、被測定電流Iinが反転入力側に供給され、非反転入力側が接地されたオペアンプ31と、このオペアンプ31の出力側及び反転入力側間に接続された積分用コンデンサ32とを備えている。したがって、電荷積分回路3では、積分用コンデンサ32の静電容量をCとしたときに、負の被測定電流Iinが入力されるとこれを積分した下記(1)式で表される正の積分電圧信号Voが出力される。
この(1)式から明らかなように、オペアンプ31の積分電圧信号Voは経過時間Tに比例して上昇する。このとき、積分用コンデンサ32には、出力される積分電圧信号Voとコンデンサの静電容量Cとの積だけの電荷Q(=C×Vo)が蓄積される。
低レンジ側電流測定部4の具体的構成は、図2に示すように、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voを所定サンプリング周期(例えば1s程度)で読込んでディジタル信号に変換するA/D変換回路41と、このA/D変換回路41から出力されるディジタル信号が入力される低レンジ測定値演算部としての例えばマイクロコンピュータで構成される演算処理回路42とを備えている。
低レンジ側電流測定部4の具体的構成は、図2に示すように、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voを所定サンプリング周期(例えば1s程度)で読込んでディジタル信号に変換するA/D変換回路41と、このA/D変換回路41から出力されるディジタル信号が入力される低レンジ測定値演算部としての例えばマイクロコンピュータで構成される演算処理回路42とを備えている。
ここで、演算処理回路42は、少なくともA/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodに基づいて低レンジ側電流測定処理を実行する低レンジ側測定値演算部42aと、所定時間(例えば125ms)毎のタイマ割込処理として高レンジ側電流測定処理を実行する高レンジ側測定値演算部42bとを備えている。
演算処理回路42は、低レンジ側測定値演算部42aで、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodに基づいて低レンジ側電流測定処理を実行して、積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcを算出し、算出した変化率Rcに換算係数Kc(例えば“1”)を乗算して低レンジ側電流測定値ImL(=Rc×Kc)を算出する。
この低レンジ側電流測定処理は、例えばA/D変換回路41のサンプリング周期と等しく設定された所定時間毎のタイマ割込処理(例えば1秒)として実行される。
演算処理回路42は、低レンジ側測定値演算部42aで、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodに基づいて低レンジ側電流測定処理を実行して、積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcを算出し、算出した変化率Rcに換算係数Kc(例えば“1”)を乗算して低レンジ側電流測定値ImL(=Rc×Kc)を算出する。
この低レンジ側電流測定処理は、例えばA/D変換回路41のサンプリング周期と等しく設定された所定時間毎のタイマ割込処理(例えば1秒)として実行される。
A/D変換回路41のディジタル信号Vod(n)は、後述のパルス信号形成回路52からパルス信号P1が出力されて、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷が汲み出されている途中にサンプリングされた場合、電荷積分回路3のオペアンプ31の積分電圧信号Voが急激に変化して、積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcと被測定電流Iinとの比例性が損なわれており被測定電流Iinの算出には使用できないため破棄する。
破棄するディジタル信号Vod(n)の数は、電荷が汲み出されている途中にサンプリングされた信号で、実施例では、電荷が汲み出されている途中でサンプリングされた場合、次のサンプリングタイミングが必ず該電荷が汲み出された後になるようにしているので最大1個でよい。もし該電荷が汲み出されている途中のサンプリングが複数回になる場合は、その回数のディジタル信号Vod(n)を破棄すればよい。
このような処理を行わせるために低レンジ側電流測定処理は、図3に示すように、先ず、ステップS31で、該ディジタル信号Vod(n)の破棄処理かを示すフラグFP1を参照して判断し、FP1が“0”の場合はステップS32へ移行する。
このような処理を行わせるために低レンジ側電流測定処理は、図3に示すように、先ず、ステップS31で、該ディジタル信号Vod(n)の破棄処理かを示すフラグFP1を参照して判断し、FP1が“0”の場合はステップS32へ移行する。
ステップS32では、A/D変換回路41のディジタル信号Vod(n)が破棄処理でない場合に、前回のサンプリング以降にカウンタ回路53にパルス信号形成回路52からP1信号入力があるかフラグCNFを参照して判断し、該P1信号入力がなかった場合(CNF=”0”)はステップS33へ移行し、該P1信号入力があった場合(CNF=”1”)は破棄処理のステップS40へ移行する。
ステップS34では、ステップS33で読込んだディジタル信号Vod(n)と前回読み込んだディジタル信号Vod(n-1)の差(Vod(n)−Vod(n-1))をタイマ割込周期Ttで除した単位時間当りの変化率Rcを算出(微分処理)してからステップS35に移行する。ここで前回読み込んだディジタル信号Vod(n-1)とは、後述の破棄処理終了直前のステップS38で読み込まれたディジタル信号Vodも含まれる。
このステップS35では、ステップS34で算出した単位時間当りの変化率Rcに換算係数Kc(例えば“1”)を乗算して低レンジ側電流測定値ImL(=Rc×Kc)を算出し、次いで、ステップS36に移行して、ステップS35で算出した低レンジ側電流測定値ImLを演算処理回路42に内蔵するメモリに形成した低レンジ側電流測定値記憶領域に更新記憶しステップS37に移行する。
<破棄処理>
電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷が汲み出されている途中にA/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodがサンプリングされた場合の該信号Vodの破棄処理を以下に示す手順で実行する。
電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷が汲み出されている途中にA/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodがサンプリングされた場合の該信号Vodの破棄処理を以下に示す手順で実行する。
破棄処理への移行の判定はステップS32で行う。ステップS32では、カウンタ回路53にパルス信号形成回路52からP1信号入力があった場合(CNF=”1”)に破棄処理のステップS40側へ移行する。破棄処理では、入力電流と比例性が損なわれているA/D変換回路41のディジタル信号Vod(n)を読み込まず破棄して、ステップS40へ移行し、ステップS40では破棄処理への移行を示すフラグFP1=“1”にしてステップS37へ移行し、後述のステップS37を実行してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次回の本処理のステップS31において、該フラグFP1=“1”(破棄処理中)の場合はステップS38へ移行し、ステップS38では、次回の本処理のステップS34で変化率が算出できるように該ディジタル信号Vod(n)を読み込み保持した後、ステップS39で該フラグFP1を“0”にして、ステップS37へ移行する。
ステップS37では、今回の低レンジ側電流測定処理後にカウンタ回路53にパルス信号P1の入力があったことを検知できるようにカウンタ回路にはパルス信号P1入力有りフラグCNFを”0”にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS37では、今回の低レンジ側電流測定処理後にカウンタ回路53にパルス信号P1の入力があったことを検知できるようにカウンタ回路にはパルス信号P1入力有りフラグCNFを”0”にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、高レンジ側電流測定部5は、図2に示すように、電圧比較回路51、パルス信号形成回路52及びカウンタ回路53を備えている。
電圧比較回路51は、前述した電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが基準電圧V1未満であるときに例えばローレベルの比較信号Scを出力する。また、電圧比較回路51は、積分電圧信号Voが基準電圧V1に達したときにハイレベルの比較信号Scを出力する。
パルス信号形成回路52は、比較信号Scがローレベルからハイレベルに反転したときに所定パルス幅と所定のパルス波高のパルス信号P1を出力する例えばモノステーブルマルチバイブレータで構成されている。
パルス信号形成回路52は、比較信号Scがローレベルからハイレベルに反転したときに所定パルス幅と所定のパルス波高のパルス信号P1を出力する例えばモノステーブルマルチバイブレータで構成されている。
カウンタ回路53は、パルス信号形成回路52から出力される1つのパルス信号P1(n)が入力されてから次のパルス信号P1(n+1)が入力されるまでの間クロックパルスを計数してパルス信号P1の周期Tを算出する。このカウンタ回路53のカウント値である周期Tは前述した演算処理回路42に入力される。
演算処理回路42では、高レンジ側測定値演算部42bで、図4に示す高レンジ側電流測定処理を実行している。この高レンジ側電流測定処理は、所定時間(例えば125ms)毎のタイマ割込処理として実行され、本処理で算出した高レンジ側電流測定値を最新から過去の所定時間分(例えば1秒間分8個)を保持し、以下の手順で順次更新する。
演算処理回路42では、高レンジ側測定値演算部42bで、図4に示す高レンジ側電流測定処理を実行している。この高レンジ側電流測定処理は、所定時間(例えば125ms)毎のタイマ割込処理として実行され、本処理で算出した高レンジ側電流測定値を最新から過去の所定時間分(例えば1秒間分8個)を保持し、以下の手順で順次更新する。
先ず、ステップS41で、カウンタ回路53からカウント値である積分電圧信号Voの周期Tが入力されたか否かを判定する。カウンタ回路53から周期Tが入力されていないときには、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、カウンタ回路53から周期Tが入力されたときにはステップS42に移行する。
このステップS42では、周期Tに基づいて下記(2)式の演算を行って周波数fを算出する。
f=1/T …………(2)
このステップS42では、周期Tに基づいて下記(2)式の演算を行って周波数fを算出する。
f=1/T …………(2)
次いで、ステップS43に移行して、算出した周波数fに換算係数Kf(例えば“1”)を乗算して高レンジ側電流測定値ImHを算出し、次いでステップS44に移行して、算出した高レンジ側電流測定値ImHをメモリの高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)に更新記憶する。ここで、Nhは、高レンジ側電流測定値記憶領域における過去の所定時間分の高レンジ側電流測定値の記憶場所を区分する数値で、本実施例では1秒間分8個を区分する0から7である。
次いでステップS45に移行して、カウンタ回路にはパルス信号P1入力有りフラグCNFを“1”にセットし、次いでステップS46に移行する。
次いでステップS45に移行して、カウンタ回路にはパルス信号P1入力有りフラグCNFを“1”にセットし、次いでステップS46に移行する。
ステップS46からステップS48は、次回の本処理または高レンジ側電流測定値領域無効化処理において高レンジ側電流測定値を記憶する場所を区分する数値(ImH(Nh)のNh)を更新する処理で、ステップS46でNhを+1し、次いでステップS47でNh≧8の条件判定をして、条件が成立したらステップS48でNh=0にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS47で条件が不成立でNh<8の場合は、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS47で条件が不成立でNh<8の場合は、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(0〜7)は、所定時間(例えば2秒)を超えても更新されない場合、次回に更新するべき高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)に“0”を書き込んで無効データにする。
以降1秒毎に高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(0〜7)の更新判定を行なって、更新されない場合、順次高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)に“0”を書き込んで無効データにする。
以降1秒毎に高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(0〜7)の更新判定を行なって、更新されない場合、順次高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)に“0”を書き込んで無効データにする。
この処理は、入力電流が低レンジ側電流領域と高レンジ側電流領域の境界(本実施例では、カウンタ回路53からの周期Tが2秒から8秒)にある場合に入力電流の測定値を低レンジ側電流測定値ImLと高レンジ側電流測定値ImHの両方を用いて算出し、その際、該電流が小さくなるにつれて、高レンジ側電流測定値ImHの重みを小さくするために、高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)内の無効データを増やして、低レンジ側電流測定値ImLと高レンジ側電流測定値ImHの感度差による測定値の不連続性を緩和するものである。
この具体的手順は図5を用いて説明する。
演算処理回路42で、図5に示す高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)無効化処理を実行している。この処理は、所定時間(例えば1秒)毎のタイマ割込処理として実行される。
先ず、ステップS50で、カウンタ回路53で計数しているクロックのカウント値を読み込み、カウント値から前回周期Tが入力されてから2秒以上経過したか否かを判定する。前回周期Tが入力されてから2秒未満の場合は、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、前回周期Tが入力されてから2秒以上経過した場合はステップS51へ移行する。
演算処理回路42で、図5に示す高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)無効化処理を実行している。この処理は、所定時間(例えば1秒)毎のタイマ割込処理として実行される。
先ず、ステップS50で、カウンタ回路53で計数しているクロックのカウント値を読み込み、カウント値から前回周期Tが入力されてから2秒以上経過したか否かを判定する。前回周期Tが入力されてから2秒未満の場合は、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、前回周期Tが入力されてから2秒以上経過した場合はステップS51へ移行する。
ステップS51では、次回に更新するべき高レンジ側電流測定値記憶領域ImH(Nh)に“0”を書き込んで無効データにして、ステップS52へ移行する。
ステップS52からステップS54は、次回の本処理または高レンジ側電流測定処理において8個の高レンジ側電流測定値を記憶する場所を区分する数値(ImH(Nh)のNh)を更新する処理で、ステップS52でNhを+1し、次いでステップS53でNh≧8の条件判定をして、条件が成立したらステップS54でNh=0にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS52からステップS54は、次回の本処理または高レンジ側電流測定処理において8個の高レンジ側電流測定値を記憶する場所を区分する数値(ImH(Nh)のNh)を更新する処理で、ステップS52でNhを+1し、次いでステップS53でNh≧8の条件判定をして、条件が成立したらステップS54でNh=0にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS53で条件が不成立でNh<8の場合は、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この図5に示す一連の処理は1秒周期の割込み処理で実行されているので、パルス信号形成回路52からのパルス信号P1が2秒以上途絶え続けて8秒経過すると8個の高レンジ側電流測定値を記憶するすべての高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(Nh))の値が無効“0”になる。
この図5に示す一連の処理は1秒周期の割込み処理で実行されているので、パルス信号形成回路52からのパルス信号P1が2秒以上途絶え続けて8秒経過すると8個の高レンジ側電流測定値を記憶するすべての高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(Nh))の値が無効“0”になる。
一方、パルス信号P1がカウンタ回路53に入力されると、前述の高レンジ側電流測定処理において、そのときのNhの値が示す高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(Nh))が高レンジ側電流測定値ImHで更新される。
さらに、ポンピング回路7は、高レンジ側電流測定部5のパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1が入力されるポンピングコンデンサ71と、カソードが電流入力端子2と電荷積分回路3を構成するオペアンプ31の反転入力側との間に接続されたポンピングダイオード72との直列回路と、ポンピングコンデンサ71及びポンピングダイオード72間と接地との間に介挿された抵抗73とで構成されている。
さらに、ポンピング回路7は、高レンジ側電流測定部5のパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1が入力されるポンピングコンデンサ71と、カソードが電流入力端子2と電荷積分回路3を構成するオペアンプ31の反転入力側との間に接続されたポンピングダイオード72との直列回路と、ポンピングコンデンサ71及びポンピングダイオード72間と接地との間に介挿された抵抗73とで構成されている。
このポンピング回路7では、パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1がローレベルであるときには、ポンピングコンデンサ71に蓄積された電荷が抵抗73を介して放電されており、ポンピングダイオード72はオフ状態となり電荷積分回路3の積分用コンデンサ32は電荷蓄積状態を維持する。
この状態から、パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1がハイレベルとなると、その立ち上がりで、ポンピングコンデンサ71に充電されている電荷が抵抗73を介して接地に流れ、ポンピングコンデンサ71と抵抗73との接続点に正電圧が発生する。この電圧は、ポンピングダイオード72に順方向電圧として印加されるので、ポンピングダイオード72が導通して電流が流れ、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷を汲み出す。
この状態から、パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1がハイレベルとなると、その立ち上がりで、ポンピングコンデンサ71に充電されている電荷が抵抗73を介して接地に流れ、ポンピングコンデンサ71と抵抗73との接続点に正電圧が発生する。この電圧は、ポンピングダイオード72に順方向電圧として印加されるので、ポンピングダイオード72が導通して電流が流れ、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷を汲み出す。
一方、演算処理回路42では、図6に示す測定値決定処理を実行する。この測定値決定処理は、予め設定された所定時間(例えば1秒)毎に実行されるタイマ割込処理として実行される。
先ず、ステップS61で、前述のようにカウンタ回路53から前回周期Tが入力されてから2秒以上経過したか否かを判定する。
このステップS61の判定結果が、前回周期Tが入力されてから2秒以上経過しているときには、ステップS64に移行する。
先ず、ステップS61で、前述のようにカウンタ回路53から前回周期Tが入力されてから2秒以上経過したか否かを判定する。
このステップS61の判定結果が、前回周期Tが入力されてから2秒以上経過しているときには、ステップS64に移行する。
このステップS64の系統は、パルス信号P1の頻度により高レンジ側電流測定値ImHに重みを付け、低レンジ側電流測定値ImLとの平均値を求めて被測定電流Iinの測定値とする処理を行うもので、ステップS64で、iは高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(i))の場所を指定するポインタで初期値i=0、jは高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(i))の有効データ数をカウントするレジスタで初期値j=0、Imsは計算過程の電流測定値を記憶するレジスタで初期値Ims=0とし、ステップS65へ移行する。
ステップS65では、iで示される高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(i))の値が有効(ImH(i)≠0)か否かを判定し、有効の場合はステップS66へ移行し、有効な高レンジ側電流測定値ImH(i)をImsへ加算し、次いでステップS67へ移行し有効データ数に1を加算し、次いでステップS68へ移行する。一方、ステップS65で、iで示される高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(i))の値が無効(ImH(i)=0)の場合はそのままステップS68へ移行する。
ステップS68では、高レンジ側電流測定値記憶領域(ImH(i))の場所を指定するポインタiに1を加算し、ステップS69でポインタiが8以上(高レンジ側電流測定値記憶領域の上限)になるまで繰り返えしてステップS65へ戻り、有効データの数jと有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを求め後にステップS70へ移行する。
ステップS70では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsに低レンジ側電流測定値ImLを加算した値を有効データの数jに1を加算した値で除算しこれらの測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS70では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsに低レンジ側電流測定値ImLを加算した値を有効データの数jに1を加算した値で除算しこれらの測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS61の判定結果が、前回の周期Tが入力されてから2秒以上経過していない場合は、ステップS62に移行する。
ステップS62では、ステップS64からステップS69と同じ処理を実行し、高レンジ側電流測定値ImH(0〜7)の有効データ(≠0)の加算値Imsと有効データの数jを算出し、ステップS63へ移行する。
ステップS62では、ステップS64からステップS69と同じ処理を実行し、高レンジ側電流測定値ImH(0〜7)の有効データ(≠0)の加算値Imsと有効データの数jを算出し、ステップS63へ移行する。
ステップS63では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを有効データの数jで除算し測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
なお、A/D変換回路41と演算処理回路42で実行する低レンジ側電流測定値算出処理とで低レンジ側電流測定部4に対応している。また、電圧比較回路51、パルス信号形成回路52、カウンタ回路53及び演算処理回路42の高レンジ側電流測定値算出処理及び高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理とで高レンジ側電流測定部5に対応している。さらに、演算処理回路42の測定値決定処理が測定値決定部6に対応している。
なお、A/D変換回路41と演算処理回路42で実行する低レンジ側電流測定値算出処理とで低レンジ側電流測定部4に対応している。また、電圧比較回路51、パルス信号形成回路52、カウンタ回路53及び演算処理回路42の高レンジ側電流測定値算出処理及び高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理とで高レンジ側電流測定部5に対応している。さらに、演算処理回路42の測定値決定処理が測定値決定部6に対応している。
次に、上記第1の実施形態の動作について図7に示すタイミングチャートを伴って説明する。
今、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinが、図7(a)に示すように、時点t0で入力されておらず、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32が放電されて出力される積分電圧信号Voが“0”であるとともに、高レンジ側電流測定部5のカウンタ回路53のカウント値Nが“0”にクリアされているものとする。
今、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinが、図7(a)に示すように、時点t0で入力されておらず、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32が放電されて出力される積分電圧信号Voが“0”であるとともに、高レンジ側電流測定部5のカウンタ回路53のカウント値Nが“0”にクリアされているものとする。
この状態で、時点t1で負の一定値例えば−10−12A以上となる被測定電流Iinが入力されると、この被測定電流Iinが電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に流れ込んで蓄積される。このため、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voは、前記(1)式で表されるように、被測定電流Iinの積分値を積分用コンデンサ32の静電容量Cで除した値となる。したがって、積分電圧信号Voは、被測定電流Iinが一定値の場合経過時間Tに比例して図7(b)に示すように上昇する。このとき、積分用コンデンサ32には、オペアンプ31の積分電圧信号Voと積分用コンデンサ32の静電容量Cの積だけ電荷Qが蓄積されている(Q=C×Vo)。この初期状態では、積分電圧信号Voが基準電圧V1より低い値となるので、電圧比較回路51から出力される比較信号Scは図7(c)に示すようにローレベルを維持している。
その後、被測定電流Iinは、図7(a)に示すように一定値を維持するので、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voは図7(b)に示すように上昇を継続する。その後、時点t2で積分電圧信号Voが基準電圧V1に達すると、電圧比較回路51から出力される比較信号Scが、図7(c)に示すように、ローレベルからハイレベルに反転する。
このハイレベルの比較信号Scがパルス信号形成回路52に供給されるので、このパルス信号形成回路52から図7(d)に示すように所定のパルス幅のパルス信号P1が出力される。このパルス信号P1がカウンタ回路53に入力されるので、このカウンタ回路53がクロックパルスの計数を開始し、カウント値Nが増加する。
このハイレベルの比較信号Scがパルス信号形成回路52に供給されるので、このパルス信号形成回路52から図7(d)に示すように所定のパルス幅のパルス信号P1が出力される。このパルス信号P1がカウンタ回路53に入力されるので、このカウンタ回路53がクロックパルスの計数を開始し、カウント値Nが増加する。
一方、パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1がポンピング回路7のポンピングコンデンサ71に供給される。このため、パルス信号P1がハイレベルとなると、その立ち上がりで、ポンピングコンデンサ71に充電されている電荷が抵抗73を介して接地に流れ、ポンピングコンデンサ71と抵抗73との接続点に正電圧が発生する。この電圧は、ポンピングダイオード72に順方向電圧として印加されるので、ポンピングダイオード72が導通して電流が流れ、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に蓄積されている電荷を放電させる。
したがって、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voは、図7(b)に示すように、パルス信号P1がハイレベルを継続している間急激に“0”近傍まで減少する。
その後、時点t3でパルス信号P1がハイレベルからローレベルに復帰すると、ポンピング回路7による積分用コンデンサ32の放電が停止され、電荷積分回路3で再度積分処理が開始されて積分電圧信号Voが図7(b)に示すように再度上昇する。
その後、時点t3でパルス信号P1がハイレベルからローレベルに復帰すると、ポンピング回路7による積分用コンデンサ32の放電が停止され、電荷積分回路3で再度積分処理が開始されて積分電圧信号Voが図7(b)に示すように再度上昇する。
その後、積分電圧信号Voの上昇が継続されて時点t4で積分電圧信号Voが再度基準電圧V1に達すると、電圧比較回路51からハイレベルの比較信号Scが出力され、これによってパルス信号形成回路52で所定幅のパルス信号P1が形成される。
カウンタ回路53は、パルス信号P1が供給される毎に前回のパルス信号P1入力時からのクロックの計数値を内部メモリへ転送して、カウント値を“0”にクリアし、クロックの計数を継続するようにしている。このため、起動直後のパルス信号P1入力時を除き、パルス信号P1が供給される毎にパルス信号P1の周期測定値Tが得られ、その度にそのときの積分電圧信号Voの周期Tを表すカウント値Nが演算処理回路42に入力される。
カウンタ回路53は、パルス信号P1が供給される毎に前回のパルス信号P1入力時からのクロックの計数値を内部メモリへ転送して、カウント値を“0”にクリアし、クロックの計数を継続するようにしている。このため、起動直後のパルス信号P1入力時を除き、パルス信号P1が供給される毎にパルス信号P1の周期測定値Tが得られ、その度にそのときの積分電圧信号Voの周期Tを表すカウント値Nが演算処理回路42に入力される。
この演算処理回路42では、図4に示す高レンジ側電流測定処理をタイマ割込処理として実行しているので、この高レンジ側電流測定処理が実行開始されると、カウンタ回路53から積分電圧信号Voの周期Tが入力される。このため、高レンジ側電流測定処理で、周期Tに基づいて積分電圧信号Voの周波数fを算出し(ステップS42)、算出した周波数fに換算係数Kfを乗算して高レンジ側電流測定値ImHを算出する(ステップS43)。
そして、高レンジ側電流測定処理は、算出した高レンジ側電流測定値ImHをメモリの高レンジ側電流測定値記憶領域に更新記憶し(ステップS44)、次いで、カウンタ回路にはパルス信号P1入力有りフラグCNFを“1”にセットする。
次いで、高レンジ側電流測定処理は、高レンジ側電流測定値を記憶する場所を区分する数値Nhを+1すなわちNhをインクリメントし(ステップS46)、Nhが8未満であるときにはそのままタイマ割込処理を終了し、Nhが8以上となるとステップS48でNh=0に設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次いで、高レンジ側電流測定処理は、高レンジ側電流測定値を記憶する場所を区分する数値Nhを+1すなわちNhをインクリメントし(ステップS46)、Nhが8未満であるときにはそのままタイマ割込処理を終了し、Nhが8以上となるとステップS48でNh=0に設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
このとき、被測定電流Iinが−10−12A以上であるので、積分電圧信号Voの周期Tは1秒以下となる。このため、演算処理回路42で例えば1秒毎にタイマ割込処理として実行される図6の測定値決定処理が実行されたときに、ステップS61からステップS62へ移行し、高レンジ側電流測定値ImH(0〜7)の有効データ(≠0)の加算値Imsを算出するとともに、有効データ(≠0)の数jを算出する。次いでステップS63に移行して、加算値Imsを有効データ数jで除して平均値を算出し、これを被測定電流Iinの電流測定値Imとして決定し、決定した電流測定値Imをメモリの電流測定値記憶領域に更新記憶するとともに、外部に出力する(ステップS63)。
ところが、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinの電流値が−10−12Aより小さい値となると、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの周期Tが1秒より長くなる。このため、最小測定可能電流値である−10−15Aである場合には積分電圧信号Voの周期Tが1000秒となってしまう。したがって、カウンタ回路53から周期Tが出力されるまでに1000秒掛かることになり、電流測定要求が1秒毎である場合には、高レンジ側電流測定部5では全く対処できないことになる。
ここで、カウンタ回路53にパルス信号P1が入力されてから2秒以上経過したときには、図5に示す高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理がタイマ割込処理として実行される毎に、高レンジ側電流測定値記憶領域の記憶する場所を区分する数値Nhに高レンジ側電流測定値ImH(Nh)=0が更新記憶されることを繰り返す(ステップS50〜S54)。
一方、低レンジ側電流測定部4では1秒以下の短時間で電流測定を行っている。すなわち、低レンジ側電流測定部4では、常時、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号VoがA/D変換回路41に入力され、このA/D変換回路41で1秒に4,5回程度となるサンプリング周期で積分電圧信号Voをディジタル信号Vodに変換している。このA/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodが演算処理回路42に供給される。
一方、低レンジ側電流測定部4では1秒以下の短時間で電流測定を行っている。すなわち、低レンジ側電流測定部4では、常時、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号VoがA/D変換回路41に入力され、このA/D変換回路41で1秒に4,5回程度となるサンプリング周期で積分電圧信号Voをディジタル信号Vodに変換している。このA/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodが演算処理回路42に供給される。
この演算処理回路42では、図3に示す低レンジ側電流測定処理をA/D変換回路41のサンプリング周期に対応する周期のタイマ割込処理として実行している。この低レンジ側電流測定処理では、積分電圧信号Voは、図7(b)に示すように、時点t1から時点t2までの上昇過程では、積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcが被測定電流Iinに比例した値となる。しかしながら、時点t2から時点t3までの下降過程では、積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcが被測定電流Iinに比例した値とならず、この間のディジタル信号Vod(n)を破棄している。
このため、低レンジ側電流測定処理が実行開始されると、ディジタル信号Vod(n)の破棄処理であるか否かを判断し(ステップS31)、FP1=“0”で破棄処理ではないときに、カウンタ回路53にパルス信号P1が入力されたか否かをパルス信号P1入力有りフラグCNFが“1”であるか否かによって判定する(ステップS32)。
カウンタ回路53にパルス信号P1の入力がなく、該フラグCNFが“0”にリセットされているときには、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vod(n)を読込む(ステップS33)。
カウンタ回路53にパルス信号P1の入力がなく、該フラグCNFが“0”にリセットされているときには、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vod(n)を読込む(ステップS33)。
また、低レンジ側電流測定処理は、ステップS33で読込んだディジタル信号Vod(n)と前回のタイマ割込時のディジタル信号Vod(n-1)との偏差をタイマ割込周期で除して単位時間当りの変化率Rcを算出する(ステップS34)。
次いで、低レンジ側電流測定処理は、算出した単位時間当りの変化率Rcに換算係数Kcを乗算して低レンジ側電流測定値ImL(=Rc×Kc)を算出し(ステップS35)、算出した低レンジ側電流測定値ImLを低レンジ側電流測定値記憶領域に更新記憶する(ステップS36)。そして、低レンジ側電流測定処理は、カウンタ回路53にパルス信号P1の入力があったことを検知できるようにパルス信号P1入力有りフラグCNFを”0”にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次いで、低レンジ側電流測定処理は、算出した単位時間当りの変化率Rcに換算係数Kcを乗算して低レンジ側電流測定値ImL(=Rc×Kc)を算出し(ステップS35)、算出した低レンジ側電流測定値ImLを低レンジ側電流測定値記憶領域に更新記憶する(ステップS36)。そして、低レンジ側電流測定処理は、カウンタ回路53にパルス信号P1の入力があったことを検知できるようにパルス信号P1入力有りフラグCNFを”0”にしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、図7(c)に示すように、カウンタ回路53にパルス信号P1が入力されたときには、積分電圧信号Voが急激に立ち下がる状態となるため、ディジタル信号Vod(n)の破棄処理となる。この場合には、ステップS32からステップS40に移行して、フラグFP1を“1”にセットしてからステップS37に移行してフラグCNFが“0”にリセットされる。これに応じて、演算処理回路42は、低レンジ側電流測定値算出を行うことなくタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
このため、所定時間が経過して次に低レンジ側電流測定処理が開始されたときに、ステップS31において、該フラグFP1が“1”(破棄処理中)の場合はステップS38へ移行する。このステップS38では、次回の本処理のステップS34で変化率が算出できるように該ディジタル信号Vod(n)を読み込み保持した後、ステップS39で該フラグFP1を“0”にして、ステップS37へ移行し、フラグCNFが“0”にリセットされる。このため、演算処理回路42は、低レンジ側電流測定値算出を行うことなくタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。このようにして、カウンタ回路53にパルス信号P1が入力されたときには少なくとも1回ディジタル信号Vod(n)を読込むことなく破棄する。
そして、低レンジ側電流測定値記憶領域に低レンジ側電流測定値ImLが記憶されると、その後に演算処理回路42で前述した図6の測定値決定処理が実行されたときに、カウンタ回路53に前回パルス信号P1が入力されてから2秒以上経過すると、ステップS61からステップS64に移行する。これにより、パルス信号P1の頻度により高レンジ側電流測定値ImHに重みを付け、重み付けされた高レンジ側電流測定値ImHと低レンジ側電流測定値ImLとの平均値を求めて被測定電流Iinの電流測定値Imとする処理を行う(ステップS64〜S70)。
すなわち、数i及びjを“0”とするとともに加算値Imsを“0”に設定し(ステップS64)、高レンジ側電流測定値ImH(i)が“0”以外であるときには現在の加算値Imsに高レンジ側電流測定値ImHを加算して新たな加算値Imsとし(ステップS66)、次いで有効データ数jを“1”だけインクリメントし(ステップS67)、次いでステップS68に移行する。
ステップS65の判定結果が高レンジ側電流測定値ImH(i)が“0”であるときには加算処理を行うことなくステップS68に移行する。
このステップS68では加算回数iを“1”だけインクリメントしてからステップS69に移行して、i<8であるときにはステップS65に戻り、i≧8であるときにはステップS70に移行する。このステップS70では、加算値Imsと低レンジ側電流測定値ImLとを加算した加算値を有効データ数jに“1”を加えたj+1で除して平均値を算出し、算出した平均値を被測定電流Iinの電流測定値Imとして記憶するとともに、外部に出力する。
このステップS68では加算回数iを“1”だけインクリメントしてからステップS69に移行して、i<8であるときにはステップS65に戻り、i≧8であるときにはステップS70に移行する。このステップS70では、加算値Imsと低レンジ側電流測定値ImLとを加算した加算値を有効データ数jに“1”を加えたj+1で除して平均値を算出し、算出した平均値を被測定電流Iinの電流測定値Imとして記憶するとともに、外部に出力する。
したがって、測定値決定処理のステップS65からステップS69までの処理を8回繰り返してImH(0)〜ImH(7)が全て“0”であるときには低レンジ側電流測定値ImLが電流測定値Imとして決定される。また、少なくとも1つ以上の高レンジ側電流測定値ImHが存在する場合には、これら高レンジ側電流測定値ImHの加算値Imsと低レンジ側電流測定値ImLとの加算値を有効データ数jに“1”を加えた値で除して平均値を算出し、これを電流測定値Imとして決定する。
このように、上記第1の実施形態によると、高レンジ側電流測定部5で所望の測定値出力要求タイミングに応じて高レンジ側電流測定値ImHを算出できる場合には、高レンジ側電流測定値ImHを被測定電流Iinに対する電流測定値Imとして決定する。また、高レンジ側電流測定値ImHの算出が所望の測定値出力要求タイミング内に算出できない場合には低レンジ側電流測定部4で算出した低レンジ側電流測定値ImLを被測定電流Iinに対する電流測定値Imとして決定する。さらに、測定値出力要求タイミング内に高レンジ側電流測定値ImHが1以上算出された場合には、算出された高レンジ側電流測定値ImHの加算値と低レンジ側電流測定値ImLとの加算値を高レンジ側電流測定値ImHの有効データ数jに“1”を加えた値j+1で除した平均値を電流測定値Imとして決定する。
したがって、−10−15A〜−10−6Aの9桁にわたる広いレンジの微小電流に対する電流測定値を、レンジ切換えを行うことなく、所望の測定値出力要求タイミングで正確に算出することができる。
しかも、低レンジ側電流測定部4では、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcを算出し、この変化率Rcに換算係数Kcを乗算して低レンジ側電流測定値ImLを算出するので、被測定電流Iinが最小電流値−10−15A近傍でも所望の測定値出力要求タイミング内の短時間で正確に測定することができる。
しかも、低レンジ側電流測定部4では、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの単位時間当りの変化率Rcを算出し、この変化率Rcに換算係数Kcを乗算して低レンジ側電流測定値ImLを算出するので、被測定電流Iinが最小電流値−10−15A近傍でも所望の測定値出力要求タイミング内の短時間で正確に測定することができる。
また、高レンジ側電流測定部5でも、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが基準電圧に達したときに形成されるパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値ImHを算出するので、正確な電流測定を行うことができる。
さらに、低レンジ側電流測定値ImLと高レンジ側電流測定値ImHとの算出が同時に行われ、両者の選択を高レンジ側電流測定値ImHが所望の測定値出力要求タイミング内に算出できるか否かによって行うので、レンジ切換えによる損失時間が発生することがなく、広いレンジの被測定電流を正確に測定することができる。
さらに、低レンジ側電流測定値ImLと高レンジ側電流測定値ImHとの算出が同時に行われ、両者の選択を高レンジ側電流測定値ImHが所望の測定値出力要求タイミング内に算出できるか否かによって行うので、レンジ切換えによる損失時間が発生することがなく、広いレンジの被測定電流を正確に測定することができる。
なお、低レンジ側電流測定部4の被測定電流値と積分電圧信号Voの変化率との関係は図8(a)に示すようになり、高レンジ側電流測定部5の被測定電流値と積分電圧信号の周波数との関係は図8(b)に示すようになる。
ここで、高レンジ側電流測定部5で算出する高レンジ側電流測定値ImHは、ポンピング回路7を駆動するパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1の周波数を測定することにより得ることができる。被測定電流Iinとパルス信号P1の周波数との対応は図8(b)に示すように、1pA〜1μAが0.5Hz〜500kHzに対応する。
ここで、高レンジ側電流測定部5で算出する高レンジ側電流測定値ImHは、ポンピング回路7を駆動するパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1の周波数を測定することにより得ることができる。被測定電流Iinとパルス信号P1の周波数との対応は図8(b)に示すように、1pA〜1μAが0.5Hz〜500kHzに対応する。
この場合、1μAの電流が1/500kHz時間流れたとき、その電荷は、2pC=1μA/500kHzとなる。この電荷は、ポンピング回路7で汲み出される電荷と平衡するので、1回のポンピング動作で電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの電圧を例えば1V変化させようとすると、積分用コンデンサ32の静電容量Cは、
C=Q/V=2pC/1V=2pF
となる。
C=Q/V=2pC/1V=2pF
となる。
また、低レンジ側電流測定部4で算出する低レンジ側電流測定値ImLは、上述したように、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voを単位時間毎の変化率Rcに変換し、これに換算係数Kcを乗算することにより得ることができる。電荷積分回路3の積分用コンデンサ32の静電容量を2pFとした場合、被測定電流Iinの1fA〜3pAに対する1秒間の電圧変化の図8(a)に示す。
今、被測定電流Iinを1fAとすると、積分用コンデンサ32の静電容量が2pFなので、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの1秒間の変化電圧ΔVoは、
ΔVo=1(fC)/2000(fF)=0.5mV
となり、A/D変換回路41は、上記電圧が必要な精度で測定できるものを選定する。例えば1%の精度が必要な場合、前記0.5mVの1/100の0.005mVが測定できる必要があり、最大測定電圧を1Vとすると、200,000(1V/0.000005V)の分解能(18ビット以上)が必要である。
ΔVo=1(fC)/2000(fF)=0.5mV
となり、A/D変換回路41は、上記電圧が必要な精度で測定できるものを選定する。例えば1%の精度が必要な場合、前記0.5mVの1/100の0.005mVが測定できる必要があり、最大測定電圧を1Vとすると、200,000(1V/0.000005V)の分解能(18ビット以上)が必要である。
さらに、高レンジ側電流測定部5のパルス信号形成回路52は、出力信号の波高を可変できるようにしておくと、被測定電流Iinと出力するパルス信号P1との関係が回路定数の誤差を吸収させて規格化できるので都合がよい。パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1のパルス幅は、パルス信号P1の最高周波数が500kHzであるので、例えばデューティ比20%とすると0.4μs程度に設定する。
そして、ポンピング回路7で汲み出す電流は、高レンジ側電流測定部5の入力電流と平衡するので、1μAの電流を1/500kHz時間積分した電荷もパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1が1個で汲み出す電荷と等しく2pCとなる。ポンピングコンデンサ71の静電容量C1はパルス信号形成回路52の実効的な出力電圧の波高を例えば0.1Vとすると、
C=Q/V=2pC/0.1V=20pF
となる。
C=Q/V=2pC/0.1V=20pF
となる。
また、抵抗73の抵抗値は、パルス信号形成回路52のパルス幅が0.4μs程度なので、この時間内にポンピングコンデンサ71が十分に充放電されるように、抵抗73の抵抗値とポンピングコンデンサ71の静電容量との積(τp:ポンピング回路時定数)をパルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1のパルス幅が0.4μsに対して十分小さい値、例えば0.04μs(1/10)とすると、抵抗73の抵抗値R2は、
R2=0.04(μs)/20(pF)=2(kΩ)
となる。
ただし、実際には、ポンピングダイオード72の順方向電圧の降下分の電圧と、ポンピングダイオード72の電極間の静電容量により損失する分を加算する必要がある。
R2=0.04(μs)/20(pF)=2(kΩ)
となる。
ただし、実際には、ポンピングダイオード72の順方向電圧の降下分の電圧と、ポンピングダイオード72の電極間の静電容量により損失する分を加算する必要がある。
次に、本発明の一態様である第2の実施形態について図9を伴って説明する。
この第2の実施形態は、被測定電流Iinの電流値が低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41で変換可能な下限電圧以下になった場合の無効データの発生を抑制するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図9に示すように、上述した第1の実施形態において、高レンジ側電流測定部5と並列に初期化回路10が設けられていることを除いては図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態は、被測定電流Iinの電流値が低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41で変換可能な下限電圧以下になった場合の無効データの発生を抑制するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図9に示すように、上述した第1の実施形態において、高レンジ側電流測定部5と並列に初期化回路10が設けられていることを除いては図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、初期化回路10は、電圧比較回路11、初期化用パルス信号形成回路12及び初期化用ポンピング回路13を有する。
電圧比較回路11は、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voと、初期化電圧として低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41のA/D変換可能な下限電圧V2とが入力され、積分電圧信号Voが下限電圧V2未満であるときにハイレベルの比較信号Sc2を出力する。
初期化用パルス信号形成回路12は、電圧比較回路11の比較信号Sc2が供給され、この比較信号Sc2がローレベルからハイレベルに反転したときにハイレベルからローレベルとなる所定の幅、所定の波高の初期化用パルス信号P2が出力される。
電圧比較回路11は、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voと、初期化電圧として低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41のA/D変換可能な下限電圧V2とが入力され、積分電圧信号Voが下限電圧V2未満であるときにハイレベルの比較信号Sc2を出力する。
初期化用パルス信号形成回路12は、電圧比較回路11の比較信号Sc2が供給され、この比較信号Sc2がローレベルからハイレベルに反転したときにハイレベルからローレベルとなる所定の幅、所定の波高の初期化用パルス信号P2が出力される。
初期化用ポンピング回路13は、初期化用パルス信号形成回路12から出力される初期化用パルス信号P2が入力され、ポンピング回路7とは逆極性の機能を有し、電荷積分回路の電荷を放電させるのではなく、電荷を蓄積させる方向に働くように構成されている。
すなわち、初期化用ポンピング回路13は、図9に示すように、ポンピングコンデンサ13a、ポンピングダイオード13b及び抵抗13cを有する。ここで、ポンピングコンデンサ13aの一方の極はパルス信号形成回路12の出力側に接続され、このポンピングコンデンサ13aの他方の極と電荷積分回路3の積分用コンデンサ32との間にポンピングダイオード13bが介挿されている。
このポンピングダイオード13bは、アノードが積分用コンデンサ32に接続され、カソードがポンピングコンデンサ13aに接続されている。抵抗13cは、ポンピングコンデンサ13a及びポンピングダイオード13bの接続点と接地との間に接続されている。
すなわち、初期化用ポンピング回路13は、図9に示すように、ポンピングコンデンサ13a、ポンピングダイオード13b及び抵抗13cを有する。ここで、ポンピングコンデンサ13aの一方の極はパルス信号形成回路12の出力側に接続され、このポンピングコンデンサ13aの他方の極と電荷積分回路3の積分用コンデンサ32との間にポンピングダイオード13bが介挿されている。
このポンピングダイオード13bは、アノードが積分用コンデンサ32に接続され、カソードがポンピングコンデンサ13aに接続されている。抵抗13cは、ポンピングコンデンサ13a及びポンピングダイオード13bの接続点と接地との間に接続されている。
したがって、初期化用ポンピング回路13では、ポンピングコンデンサ13aに初期化用パルス信号形成回路12から供給されるパルス信号P2がハイレベルにある場合には、ポンピングコンデンサ13aの初期化用パルス信号形成回路12側の電極の電圧VC1がパルス信号P2の充電電圧VHとなり、この充電電圧VHに応じた電荷がポンピングコンデンサ13aに蓄積される。電荷が蓄積されている間は充電電流が抵抗13cを介して流れ、抵抗13cのコンデンサ13a側電圧VC2は正の電圧となる。この電圧がポンピングダイオード13bのカソードに供給されてもポンピングダイオード13bはオフ状態のままで電荷積分回路3へ流れ込むことはない。充電が終わると、ポンピングコンデンサ13aのポンピングダイオード13b側の電極の電圧VC2が0Vとなる。
この状態で、ポンピングコンデンサ13aに供給されている初期化用パルス信号形成回路12からのパルス信号P2がローレベルとなると、初期化用パルス信号形成回路12側の電極の電圧VC1が電圧VLとなり、ポンピングコンデンサ13aに放電電流が流れ、その電流が抵抗13cに流れ、ポンピングダイオード13b側の電極の電圧VC2がハイレベル及びローレベル間の電圧VC(=VH−VL)に相当する分負電圧値に移行する。このため、ポンピングダイオード13bのカソード側の電圧VC2が負電圧値となって、ポンピングダイオード13bがオン状態となり、ポンピングコンデンサ13aの放電電流の一部が流れる。これによって、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に電荷蓄積し、積分電圧信号Voを上昇させる。このとき、パルス信号P2の1個で積分電圧信号Voが初期化電圧となる下限電圧V2以上とならない場合は、下限電圧V2以上となるまで複数個の初期化用パルス信号P2を発生させる機能を初期化用パルス信号形成回路に持たせてもよい。積分電圧信号Voが初期化電圧となる下限電圧V2以上となると、電圧比較回路11から出力される比較信号Sc2がローレベルに復帰する。
初期化用パルス信号形成回路12から出力される初期化用パルス信号P2は所定の幅なので立ち下がりから所定時間後にハイレベルに復帰する。これによって、初期化用ポンピング回路13のポンピングダイオード13bがオフ状態に復帰し、初期化用ポンピング回路13からの積分用コンデンサ32への電荷蓄積が停止される。
次に、上記第2の実施形態の動作について図10を伴って説明する。
今、電流入力端子2に負値の被測定電流Iinが入力され、この被測定電流Iinが電荷積分回路3に供給されて、この電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの電圧値が低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41のディジタル変換可能な下限電圧V2を超えている場合には、A/D変換回路41から有効なディジタル信号Vodが出力されることにより、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
今、電流入力端子2に負値の被測定電流Iinが入力され、この被測定電流Iinが電荷積分回路3に供給されて、この電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voの電圧値が低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41のディジタル変換可能な下限電圧V2を超えている場合には、A/D変換回路41から有効なディジタル信号Vodが出力されることにより、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
ところが、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinが電源投入時やノイズ混入などの何らかの原因で電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが、図10(b)に示すように、初期化電圧となる低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41の下限電圧V2未満に低下している場合には、A/D変換回路41から有効なディジタル信号Vodを得ることができない。
この状態では、積分電圧信号Voが下限電圧V2未満に低下しているので、初期化回路10の電圧比較回路11から出力される比較信号Sc2がハイレベルとなり、初期化用パルス信号形成回路12からローレベルVLの初期化用パルス信号P2が初期化用ポンピング回路13に出力される。
この状態では、積分電圧信号Voが下限電圧V2未満に低下しているので、初期化回路10の電圧比較回路11から出力される比較信号Sc2がハイレベルとなり、初期化用パルス信号形成回路12からローレベルVLの初期化用パルス信号P2が初期化用ポンピング回路13に出力される。
このため、初期化用ポンピング回路13のポンピングコンデンサ13aの初期化用パルス信号形成回路12側の電極の電圧VC1が電圧VLとなり、ポンピングコンデンサ13aへ放電電流が抵抗13cを通じて流れる。この放電電流と抵抗13cの積の負電圧がポンピングダイオード13b側の電極の電圧VC2に発生するので、ポンピングダイオード13bがオン状態となる。これによって電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に電荷蓄積し、積分電圧信号Voを図10(b)に示すように急峻に上昇させる。
初期化用パルス信号P2は所定のパルス幅を出力するとハイレベルに復帰するので、初期化用ポンピング回路13のポンピングコンデンサ13aの初期化用パルス信号形成回路12側の電極の電圧VC1が充電電圧VHとなって充電電圧VHに応じた電荷がポンピングコンデンサ13aに蓄積される。電荷が蓄積されている間は充電電流が抵抗13cを介して流れ、抵抗13cのコンデンサ13a側電圧VC2は正の電圧となる。この電圧がポンピングダイオード13bのカソードに供給されてもポンピングダイオード13bはオフ状態のままで電荷積分回路3へ流れ込むことはない、充電が終わるとポンピングコンデンサ13aのポンピングダイオード13b側の電極の電圧VC2が0Vとなる。
この状態となると、ポンピングダイオード13bがオフ状態となるので、初期化用ポンピング回路13による積分用コンデンサ32の電荷蓄積が停止される。
ここで、初期化用パルス信号形成回路12から初期化用ポンピング回路13への初期化用パルス信号P2の供給が1回のみでは積分電圧信号Voが、A/D変換回路41の下限電圧V2に到達しない場合、到達するまで初期化用パルス信号P2の供給を継続させる。
ここで、初期化用パルス信号形成回路12から初期化用ポンピング回路13への初期化用パルス信号P2の供給が1回のみでは積分電圧信号Voが、A/D変換回路41の下限電圧V2に到達しない場合、到達するまで初期化用パルス信号P2の供給を継続させる。
そして、積分電圧信号Voが、初期化用パルス信号形成回路12から初期化用ポンピング回路13へ1個または複数個の初期化用パルス信号P2の供給によって、A/D変換回路41の下限電圧V2に達すると、電圧比較回路11から出力される比較信号Sc2がローレベルに復帰する。これに応じて初期化用パルス信号形成回路12から出力される初期化用パルス信号P2がハイレベルに戻った状態で停止する。
この状態となると、ポンピングダイオード13bがオフ状態となるので、初期化用ポンピング回路13による積分用コンデンサ32の電荷蓄積が停止されて、初期化回路10による初期化処理が終了される。
この状態となると、ポンピングダイオード13bがオフ状態となるので、初期化用ポンピング回路13による積分用コンデンサ32の電荷蓄積が停止されて、初期化回路10による初期化処理が終了される。
このように、積分電圧信号VoがA/D変換回路41のディジタル変換する下限電圧V2に達すると、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodが有効データとなり、以後前述した第1の実施形態と同様に積分電圧信号Voに基づく高レンジ側電流測定部5のパルス信号形成回路52とポンピング回路7との動作によって積分電圧信号Voが積分状態と放電状態とを繰り返すことになり、低レンジ側電流測定部4での低レンジ側電流測定値ImLの算出が正確に行われる。
このように、第2の実施形態によると、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが低レンジ側電流測定部4を構成するA/D変換回路41のディジタル変換可能な下限電圧V2未満であるときに、初期化回路10によって、積分電圧信号Voが急峻に下限電圧V2まで上昇される。このため、A/D変換回路41での無効データの発生を抑制して低レンジ側電流測定値の測定時間が長くなることを確実に抑制することができる。
ちなみに、初期化回路10を備えていないものとすると、図11(a)に示すように、時点t0で電源投入したときに、被測定電流Iinを電荷積分回路3で積分した積分電圧信号Voが、図11(b)に示すように、A/D変換回路41の下限電圧V2未満である場合には、電荷積分回路3での積分により積分電圧信号VoがA/D変換回路41の下限電圧V2に達するまでの時間Tが長くなる。このため、図11(e)に示すように、A/D変換回路41から出力されるディジタル信号Vodの無効データの期間Tが増加し、低レンジ側電流測定部4での電流測定開始が時間Tだけ遅れてしまう。
このとき、例えば積分電圧信号Voが−1V、下限電圧V2が0V、被測定電流Iinが10fA、積分用コンデンサ32の静電容量が2pFであるとすると、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voを−1Vから0Vまで高めるために必要な電荷は、−2pC(=−1V×2pF)である。この電荷は入力電流10fAを蓄積して達成されるが、被測定電流Iinが10fAの場合、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが下限電圧V2以上に上昇するために必要な時間Tは、
T(s)=2(pC)/0.01(pA)=200(s)
となり、200秒間被測定電流の低レンジ側電流測定値ImLが得られないことになる。
T(s)=2(pC)/0.01(pA)=200(s)
となり、200秒間被測定電流の低レンジ側電流測定値ImLが得られないことになる。
これに対して、上述した第2の実施形態では、初期化回路10によって電荷積分回路3の積分用コンデンサ32に電荷を蓄積することによって、積分電圧信号Voを瞬時にA/D変換回路41の下限電圧V2まで上昇させることができる。この初期化に必要な時間は、初期化用パルス信号形成回路12から1パルス出力される間であるので1μs程度に抑制することができる。
この第2の実施形態では、初期化回路10での動作が高レンジ側電流測定部5及びポンピング回路7の動作を逆にしたものとなるので、電圧比較回路11に供給する下限電圧となる初期化電圧V2を基準電圧V1の負値−V1に設定することにより、被測定電流Iinの極性を正値とした場合の高レンジ側電流測定値ImHを算出することが可能となる。
なお、上記第2の実施形態においては、初期化回路10の電圧比較回路11に供給する基準電圧をA/D変換回路41の下限電圧V2に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、下限電圧V2以下の値であれば無効データが出力される時間Tが許容範囲内となる任意の値を設定することができる。
なお、上記第2の実施形態においては、初期化回路10の電圧比較回路11に供給する基準電圧をA/D変換回路41の下限電圧V2に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、下限電圧V2以下の値であれば無効データが出力される時間Tが許容範囲内となる任意の値を設定することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、低レンジ側電流測定部4をA/D変換回路41及び演算処理回路42で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明の一態様では、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voを電圧差の小さい異なる基準電圧に設定された2つの電圧比較回路を設けて、電圧比較回路から出力される比較信号の時間差に基づいて積分電圧信号Voの変化率を算出するようにしてもよい。要は、積分電圧信号Voの変化率Rcを算出可能な構成であれば、任意の構成を適用することができる。また、低レンジ側電流測定部4で所定時間毎に算出される低レンジ側電流測定値ImLの複数を平均化処理して低レンジ側電流測定値ImLとして算出するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、高レンジ側電流測定部5についても電圧−周波数変換回路を設けて、積分電圧信号Voを直接周波数信号に変換するようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、演算処理回路42を設け、この演算処理回路42で、低レンジ側電流測定処理、高レンジ側電流測定処理、高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理及び測定値決定処理を行わせる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、低レンジ側電流測定部4及び高レンジ側電流測定部5に個別に低レンジ側測定値演算部42a及び高レンジ側測定値演算部42bを設けるようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、演算処理回路42を設け、この演算処理回路42で、低レンジ側電流測定処理、高レンジ側電流測定処理、高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理及び測定値決定処理を行わせる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、低レンジ側電流測定部4及び高レンジ側電流測定部5に個別に低レンジ側測定値演算部42a及び高レンジ側測定値演算部42bを設けるようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、被測定電流Iinが負値である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、正値の被測定電流Iinを入力する場合には、電荷積分回路3から出力される積分電圧信号Voが0から負方向に減少するので、基準電圧V1の極性を負値とするとともに、変化率の演算も前回値から今回値を減算するようにすればよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、ポンピング回路7を構成するポンピングダイオード72の温度依存性を考慮しない場合について説明したが、ポンピングダイオード72の温度依存性を考慮する場合には、前述した特許文献1に記載されているように、ポンピングダイオード72の温度を温度センサで実測し、温度センサで実測した温度におけるポンピングダイオード72の順方向電圧の変化分だけ、パルス信号形成回路52から出力されるパルス信号P1のパルス幅を調整する温度補償回路を設けるようにすれば良い。
1…電流測定装置、2…入力端子、3…電荷積分回路、4…低レンジ側電流測定部、5…高レンジ側電流測定部、6…測定値決定部、7…ポンピング回路、10…初期化回路、11…電圧比較回路、12…初期化用パルス信号形成回路、13…初期化用ポンピング回路、31…オペアンプ、32…積分用コンデンサ、41…A/D変換回路、42…演算処理回路、42a…低レンジ側測定値演算部、42b…高レンジ側測定値演算部、51…電圧比較回路、52…パルス信号形成回路、53…カウンタ回路
【0002】
定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる電流測定装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
[0006]
上記の目的を達成するために、本発明に係る電流測定装置の一態様は、被測定電流を積分して積分信号を出力する積分回路と、この積分回路から出力される積分信号が入力され、積分信号の単位時間当りの電流変化率に比例した低レンジ側電流測定値を算出する低レンジ側電流測定部と、積分回路から出力される積分信号の周期に応じたパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値を算出する高レンジ側電流測定部と、パルス信号によって積分回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路と、高レンジ側電流測定値及び低レンジ側電流測定値に基づいて被測定電流の測定値を決定する測定値決定部とを備えている。
発明の効果
[0007]
本発明の一態様によれば、被測定電流の積分信号を低レンジ側電流測定部及び高レンジ側電流測定部の双方に供給し、低レンジ側電流測定部で積分信号の変化率に比例した電流測定値を算出し、高レンジ側電流測定部で積分信号の周波数に応じたパルス信号に基づいて電流測定値を算出する。このため、被測定電流が低レンジ側であるときには低レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用し、被測定電流が高レンジ側であるときには高レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用することにより、広いレンジで被測定電流を短時間で正確に測定することができる。
定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる電流測定装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
[0006]
上記の目的を達成するために、本発明に係る電流測定装置の一態様は、被測定電流を積分して積分信号を出力する積分回路と、この積分回路から出力される積分信号が入力され、積分信号の単位時間当りの電流変化率に比例した低レンジ側電流測定値を算出する低レンジ側電流測定部と、積分回路から出力される積分信号の周期に応じたパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値を算出する高レンジ側電流測定部と、パルス信号によって積分回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路と、高レンジ側電流測定値及び低レンジ側電流測定値に基づいて被測定電流の測定値を決定する測定値決定部とを備えている。
発明の効果
[0007]
本発明の一態様によれば、被測定電流の積分信号を低レンジ側電流測定部及び高レンジ側電流測定部の双方に供給し、低レンジ側電流測定部で積分信号の変化率に比例した電流測定値を算出し、高レンジ側電流測定部で積分信号の周波数に応じたパルス信号に基づいて電流測定値を算出する。このため、被測定電流が低レンジ側であるときには低レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用し、被測定電流が高レンジ側であるときには高レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用することにより、広いレンジで被測定電流を短時間で正確に測定することができる。
【0012】
上(高レンジ側電流測定値記憶領域の上限)になるまで繰り返えしてステップS65へ戻り、有効データの数jと有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを求めた後にステップS70へ移行する。
ステップS70では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsに低レンジ側電流測定値ImLを加算した値を有効データの数jに1を加算した値で除算しこれらの測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
[0039]
一方、ステップS61の判定結果が、前回の周期Tが入力されてから2秒以上経過していない場合は、ステップS62に移行する。
ステップS62では、ステップS64からステップS69と同じ処理を実行し、高レンジ側電流測定値ImH(0〜7)の有効データ(≠0)の加算値Imsと有効データの数jを算出し、ステップS63へ移行する。
[0040]
ステップS63では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを有効データの数jで除算し測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
なお、A/D変換回路41と演算処理回路42で実行する低レンジ側電流測定値算出処理とで低レンジ側電流測定部4に対応している。また、電圧比較回路51、パルス信号形成回路52、カウンタ回路53及び演算処理回路42の高レンジ側電流測定値算出処理及び高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理とで高レンジ側電流測定部5に対応している。さらに、演算処理回路42の測定値決定処理が測定値決定部6に対応している。
[0041]
次に、上記第1の実施形態の動作について図7に示すタイミングチャートを伴って説明する。
今、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinが、図7(a)に示すように、時点t0で入力されておらず、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32が放電されて出力される積分電圧信号Voが“0”であるとともに、高レンジ側電流測定部5のカウンタ回路53のカウント値Nが“0”にクリアされているものとする。
上(高レンジ側電流測定値記憶領域の上限)になるまで繰り返えしてステップS65へ戻り、有効データの数jと有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを求めた後にステップS70へ移行する。
ステップS70では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsに低レンジ側電流測定値ImLを加算した値を有効データの数jに1を加算した値で除算しこれらの測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
[0039]
一方、ステップS61の判定結果が、前回の周期Tが入力されてから2秒以上経過していない場合は、ステップS62に移行する。
ステップS62では、ステップS64からステップS69と同じ処理を実行し、高レンジ側電流測定値ImH(0〜7)の有効データ(≠0)の加算値Imsと有効データの数jを算出し、ステップS63へ移行する。
[0040]
ステップS63では、先に求めた有効な高レンジ側電流測定値の合計Imsを有効データの数jで除算し測定値の平均値を求めて電流測定値Imを更新してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
なお、A/D変換回路41と演算処理回路42で実行する低レンジ側電流測定値算出処理とで低レンジ側電流測定部4に対応している。また、電圧比較回路51、パルス信号形成回路52、カウンタ回路53及び演算処理回路42の高レンジ側電流測定値算出処理及び高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理とで高レンジ側電流測定部5に対応している。さらに、演算処理回路42の測定値決定処理が測定値決定部6に対応している。
[0041]
次に、上記第1の実施形態の動作について図7に示すタイミングチャートを伴って説明する。
今、電流入力端子2に入力される被測定電流Iinが、図7(a)に示すように、時点t0で入力されておらず、電荷積分回路3の積分用コンデンサ32が放電されて出力される積分電圧信号Voが“0”であるとともに、高レンジ側電流測定部5のカウンタ回路53のカウント値Nが“0”にクリアされているものとする。
【0001】
技術分野
[0001]
本発明は、微小電流を広範囲に短時間で正確に測定することができる放射線検出器に関する。
背景技術
[0002]
例えば、電離箱放射線検出器の出力電流を測定する電流測定装置としては、例えば特許文献1に記載されている電流/周波数変換装置が提案されている。この電流/周波数変換装置は、入力電流を電荷として蓄積し、この蓄積された電荷に比例する電圧を出力する積分増幅回路と、前記積分増幅回路から出力される電圧に比例した周波数で且つデューティ比が50%のパルス信号を出力する周波数変換回路と、前記積分回路に蓄積された電荷を前記パルス信号の供給時に放電するポンピング回路とを備えている。
先行技術文献
特許文献
[0003]
特許文献1:特許第4479430号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004]
ところで、電離箱放射線検出器のように、10−15A〜10−6Aのような広い測定電流領域(〜9桁)をカバーするには、特許文献1に記載された電流/周波数変換装置では、最小電流における出力周波数が0.001Hz程度になり、測定結果を得るための応答時間が1000秒になる。ここで、応答時間を例えば1秒にするには、最小電流における出力周波数を1Hz以上にする必要があり、測定電流領域の最小電流が3桁上昇するため、その分測定電流領域が狭くなる。
[0005]
そのため、例えば1秒の応答時間を確保し、かつ測定電流領域を広くするためには、測定できる電流領域が異なる複数の回路定数を備えておき、被測
技術分野
[0001]
本発明は、微小電流を広範囲に短時間で正確に測定することができる放射線検出器に関する。
背景技術
[0002]
例えば、電離箱放射線検出器の出力電流を測定する電流測定装置としては、例えば特許文献1に記載されている電流/周波数変換装置が提案されている。この電流/周波数変換装置は、入力電流を電荷として蓄積し、この蓄積された電荷に比例する電圧を出力する積分増幅回路と、前記積分増幅回路から出力される電圧に比例した周波数で且つデューティ比が50%のパルス信号を出力する周波数変換回路と、前記積分回路に蓄積された電荷を前記パルス信号の供給時に放電するポンピング回路とを備えている。
先行技術文献
特許文献
[0003]
特許文献1:特許第4479430号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004]
ところで、電離箱放射線検出器のように、10−15A〜10−6Aのような広い測定電流領域(〜9桁)をカバーするには、特許文献1に記載された電流/周波数変換装置では、最小電流における出力周波数が0.001Hz程度になり、測定結果を得るための応答時間が1000秒になる。ここで、応答時間を例えば1秒にするには、最小電流における出力周波数を1Hz以上にする必要があり、測定電流領域の最小電流が3桁上昇するため、その分測定電流領域が狭くなる。
[0005]
そのため、例えば1秒の応答時間を確保し、かつ測定電流領域を広くするためには、測定できる電流領域が異なる複数の回路定数を備えておき、被測
【0002】
定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる放射線検出器を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
[0006]
上記の目的を達成するために、本発明に係る放射線検出器の一態様は、被測定電流を測定することで放射線を検出する放射線検出器であって、前記被測定電流を積分した積分信号を用いて該被測定電流を算出する高レンジ側電流測定部と、前記高レンジ側電流測定部において識別可能な基準レベルに到達する迄の前記積分信号を用いて前記被測定電流を算出する低レンジ側電流測定部と、所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達したか否かを判定し、前記所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達した場合には前記高レンジ側電流測定部が算出した被測定電流を用い、前記所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達していない場合には前記低レンジ側電流測定部が算出した被測定電流を用い、前記被測定電流の測定値を決定する測定値決定部とを備えている。
発明の効果
[0007]
本発明の一態様によれば、被測定電流が低レンジ側であるときには低レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用し、被測定電流が高レンジ側であるときには高レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用することにより、広いレンジで被測定電流を短時間で正確に測定することができる。
定電流に応じて回路定数を切り替える方法が用いられる。
しかしながら、電流領域の切り替えを行う場合には、電流領域を切り替える時間が必要なために、その切り替え時間分応答が遅れてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、広いレンジの微小電流を短時間で正確に測定することができる放射線検出器を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
[0006]
上記の目的を達成するために、本発明に係る放射線検出器の一態様は、被測定電流を測定することで放射線を検出する放射線検出器であって、前記被測定電流を積分した積分信号を用いて該被測定電流を算出する高レンジ側電流測定部と、前記高レンジ側電流測定部において識別可能な基準レベルに到達する迄の前記積分信号を用いて前記被測定電流を算出する低レンジ側電流測定部と、所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達したか否かを判定し、前記所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達した場合には前記高レンジ側電流測定部が算出した被測定電流を用い、前記所定時間内に前記積分信号が前記基準レベルに到達していない場合には前記低レンジ側電流測定部が算出した被測定電流を用い、前記被測定電流の測定値を決定する測定値決定部とを備えている。
発明の効果
[0007]
本発明の一態様によれば、被測定電流が低レンジ側であるときには低レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用し、被測定電流が高レンジ側であるときには高レンジ側電流測定部で算出する電流測定値を採用することにより、広いレンジで被測定電流を短時間で正確に測定することができる。
【0003】
図面の簡単な説明
[0008]
[図1]本発明に係る放射線検出器の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
[図2]図1の放射線検出器の具体的構成を示すブロック図である。
[図3]演算処理回路で実行する低レンジ側電流測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図4]演算処理回路で実行する高レンジ側電流測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図5]演算処理回路で実行する高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図6]演算処理回路で実行する測定値決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図7]第1の実施形態の動作の説明に供するタイミングチャートである。
[図8]低レンジ側電流測定部における被測定電流値と積分電圧信号の変化率との関係と、高レンジ側電流測定部における被測定電流値と積分電圧信号の周波数との関係を示す説明図である。
[図9]本発明の一態様である第2の実施形態を示すブロック図である。
[図10]第2の実施形態の動作の説明に供するタイミングチャートである。
[図11]初期化回路を設けない場合の動作の説明に供するタイミングチャートである。
発明を実施するための形態
[0009]
以下、本発明の実施の形態について図面を伴って説明する。
図1は、本発明の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明に係る電流測定装置1は、図1に示すように、被測定電流Iinが入力される電流入力端子2と、この電流入力端子2に接続された積分回路としての電荷積分回路3とを備えている。また、電流測定装置1は、電荷積分回路3から出力される積分信号としての積分電圧信号が入力される低レンジ
図面の簡単な説明
[0008]
[図1]本発明に係る放射線検出器の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
[図2]図1の放射線検出器の具体的構成を示すブロック図である。
[図3]演算処理回路で実行する低レンジ側電流測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図4]演算処理回路で実行する高レンジ側電流測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図5]演算処理回路で実行する高レンジ側電流測定値記憶領域無効化処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図6]演算処理回路で実行する測定値決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図7]第1の実施形態の動作の説明に供するタイミングチャートである。
[図8]低レンジ側電流測定部における被測定電流値と積分電圧信号の変化率との関係と、高レンジ側電流測定部における被測定電流値と積分電圧信号の周波数との関係を示す説明図である。
[図9]本発明の一態様である第2の実施形態を示すブロック図である。
[図10]第2の実施形態の動作の説明に供するタイミングチャートである。
[図11]初期化回路を設けない場合の動作の説明に供するタイミングチャートである。
発明を実施するための形態
[0009]
以下、本発明の実施の形態について図面を伴って説明する。
図1は、本発明の一態様である第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
本発明に係る電流測定装置1は、図1に示すように、被測定電流Iinが入力される電流入力端子2と、この電流入力端子2に接続された積分回路としての電荷積分回路3とを備えている。また、電流測定装置1は、電荷積分回路3から出力される積分信号としての積分電圧信号が入力される低レンジ
Claims (6)
- 被測定電流の電流測定レンジを少なくとも低レンジ及び高レンジに分割し、それぞれのレンジで電流測定を行う電流測定装置であって、
前記被測定電流を積分して積分信号を出力する積分回路と、
該積分回路から出力される積分信号が入力され、当該積分信号の変化率に比例した低レンジ側電流測定値を算出する低レンジ側電流測定部と、
前記積分回路から出力される積分信号の周期に応じたパルス信号に基づいて高レンジ側電流測定値を算出する高レンジ側電流測定部と、
前記パルス信号によって前記積分回路に蓄積された電荷を放電するポンピング回路と、
前記低レンジ側電流測定部で算出した低レンジ側電流測定値及び前記高レンジ側電流測定部で算出した高レンジ側電流測定値に基づいて前記被測定電流の測定値を決定する測定値決定部と
を備えたことを特徴とする電流測定装置。 - 前記低レンジ側電流測定部は、前記積分回路から出力される積分信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路と、該A/D変換回路から出力されるディジタル信号の単位時間当りの電流変化率を演算し、演算した電流変化率に換算係数を乗算して低レンジ側電流測定値を演算する低レンジ測定値演算部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流測定装置。
- 前記高レンジ側電流測定部は、前記積分回路から出力される積分信号と基準信号とを比較し、前記積分信号が基準信号を上回ったときにパルス信号を出力するパルス信号形成回路と、該パルス信号形成回路から出力されるパルス信号の単位時間当りのパルス数を係数して高レンジ側電流測定値を演算する高レンジ側測定値演算部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流測定装置。
- 前記積分回路は、前記被測定電流の投入時に、出力する積分信号の初期値を決定する初期化回路を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電流測定装置。
- 前記初期化回路は、前記積分回路から出力される積分信号を前記初期化電圧と比較し、前記積分信号が前記初期化電圧未満であるときに初期化用パルス信号を形成する初期化用パルス信号形成回路と、該初期化用パルス信号形成回路から出力される初期化用パルス信号によって前記積分回路に蓄積された電荷を蓄積する初期化用ポンピング回路とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電流測定装置。
- 前記初期化電圧は、前記低レンジ側電流測定部を構成するA/D変換回路で変換可能な下限電圧であることを特徴とする請求項5に記載の電流測定装置。
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JP2021110681A (ja) * | 2020-01-14 | 2021-08-02 | 国立大学法人京都大学 | X線によって検出器に付与されたエネルギーを電流として測定する方法 |
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2014
- 2014-07-22 WO PCT/JP2014/003853 patent/WO2015011916A1/ja active Application Filing
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- 2014-07-22 CN CN201480038714.XA patent/CN105358993A/zh active Pending
- 2014-07-22 US US14/765,220 patent/US20150331019A1/en not_active Abandoned
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