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JPWO2002022906A1 - 非晶質合金の高延性化方法 - Google Patents

非晶質合金の高延性化方法 Download PDF

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JPWO2002022906A1
JPWO2002022906A1 JP2002527341A JP2002527341A JPWO2002022906A1 JP WO2002022906 A1 JPWO2002022906 A1 JP WO2002022906A1 JP 2002527341 A JP2002527341 A JP 2002527341A JP 2002527341 A JP2002527341 A JP 2002527341A JP WO2002022906 A1 JPWO2002022906 A1 JP WO2002022906A1
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alloy
amorphous alloy
amorphous
slip band
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JP2002527341A
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井上 明久
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Tohoku Techno Arch Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Techno Arch Co Ltd
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Publication date
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Abstract

本発明は、非晶質合金の延性を高める高延性化方法であって、非晶質合金のバルクガラスに、合金内部に辷り帯の形成するたための適宜な変形力を印加する工程を少なくとも含むようにする。

Description

技術分野
本発明は、高硬度及び高強度、高靭性を有するが、比較的延性に乏しい非晶質合金の延性を高めることのできる高延性化方法に関するものである。
背景技術
近年、これら非晶質合金としては、結晶化の前でガラス遷移が見られ、広い過冷却液体領域を有しており、大きいアモルファス形成能を示すZrを基合金とする各種非晶質合金が開発され、これらZrを基合金とする非晶質合金は、従来の非晶質合金に比較して大きなアモルファス形成能を有しているために、液体急冷法などのような大きな冷却速度が得られる特殊な形成方法のみならず、Cu鋳型鋳造などのような比較的冷却遠度の遅い一般的な鋳造法によってでもアモルファス(非晶質)化し、ねぱい(高靱性)バルクアモルファスを比較的容易に作製することができるようになってきており、種々の実用化の検討が実施されてきている。
しかしながら、これらZr系基合金をはじめ種々の非晶質合金は、結晶性を有しないか或いは非常に低い結晶性しか有しないために、金属でありながらその延性が非常に小さく、引っ張り試験や破断試験において、延びを伴わずに破断に至るものが殆どであり、これら延性の小ささが、実用化における障害となる場合があり、これら非晶質合金の延性を高める手法の開発が切望されていた。
よって、本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、比較的延性の乏しい非晶質合金の延性を高めることのできる非晶質合金の高延性化方法を手供することを目的としている。
発明の開示
前記した問題を解決するために、本発明の非晶質合金の高延性化方法は、非晶質合金の延性を高める高延性化方法であって、非晶質合金のバルクガラスに、合金内部に辷り帯の形成するたための適宜な変形力を印加する工程を少なくとも含むことを特徴としている。
この特徴によれば、、非晶質合金のバルクガラスに適宜な変形力を印加して合金内部に辷り帯を形成させることにより、非晶質合金の延性、特には圧縮応力化の延性である塑性変形能を大幅に向上できる。
本発明の非晶質合金の高延性化方法は、前記変形力を印加する工程が、冷間圧延工程であることが好ましい。
このようにすれば、冷間圧延により変形力を印加することにより、前記辷り帯を効率良く合金内部に生成させることができるとともに、これら変形力を印加を適宜に制御しやすく、生成される辷り帯の量等の制御も容易に実施できる。
本発明の非晶質合金の高延性化方法は、前記冷間圧延工程における圧下率が、10%未満の範囲であることが好ましい。
このようにすれば、圧下率を10%未満とすることで、好適な量の辷り帯の形成が合金内部になされ、非晶質合金のその他の機械的特性を大きく損なうことなく、高い延性の向上を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
(実施例)
本実施例では、非晶質バルクガラス合金としてZr55Al10Cu30Niバルクガラス合金を選定し、前記組成を有する母合金をアーク溶解炉で溶製した後、該溶融した合金を鋳造型にて急冷する型締め鋳造法によりZr55Al10Cu30Niバルクガラス合金を作製した。
次いで、該作製されたZr55Al10Cu30Niバルクガラス合金を二段式圧延装置によりワンパスあたりの圧下量を0.1mmと一定にした冷間圧延を実施した。そして総圧下率が0%,30%,60%,90%の各圧延材を作製し、図1に示した寸法を有する引張り試験片を切り出した。
それらの試験片についてインストロン型試験機による引張り試験を行い、機械的性質を測定した。またピッカース試験により、各々の試料の硬さを測定した。さらに総圧下率が0%及び10%未満の試料(いずれも2.2×2.2×4.4mm)を用意し、インストロン型試験機により圧縮試験を行い、機械的性質を測定した.
図2に示す引張り試験結果に見るように、圧下率の大きい試料ほどヤング率は低い。これは冷間圧延により導入された辷り帯の寄与と見られ、特に圧下率60〜90%で顕著な減少が見られる。
この減少の理由は、圧下率が80%以上になると側面方向への変形が顕著になるなど、その塑性変形量は格段に大きくなる。これより圧下率60〜90%で辷り帯の導入数も急激に増加していると思われ、結果としてヤング率も急激に減少したものと考えられる。いずれのサンプルも破断歪みは2%程度であり、圧延材の引張り強度はいずれにおいても未圧延材に比べ同程度かそれより低い値を示している。
これらのことから、冷間圧延を行う際の圧下率としては、この圧下率が大きくなると、前述のように合金内部に形成される辷り帯の数が急増してヤング率をはじめとする合金の機械的特性が大きく変化してしまうし、これら圧下率が小さいと、所望する延性の向上が得られないことから、好ましくは  %以下、より好ましくは10%未満とすることが好ましい。
また、図3は圧延材及び未圧延材の引張り破断面を電子顕微鏡(SEM)により観察したものである。未圧延材は筋状模様の上に典型的なvein模様が観察されるが、圧延材ではvein模様のみが観察され、その破断形態は異なっているように見える。さらに図4は各圧延材のピツカース硬さを示しているが、いずれの試料においても硬さは460〜480を示し、圧下率による顕著な変化は見られなかった。
次に圧縮試験の結果であるが、この試験では冷間圧延の有無が顕著に結果に影響した。図5は圧縮試験の応力歪み曲線である。破断歪みは未圧延材では2〜3%であるのに対し、圧延材では10%以上もの大きな値を示した。圧縮強度も未圧延材では塑性変形後すぐに破壊してしまうため1642MPaであるが、圧延材では1819MPaの大きい値を示している。
図6に圧延材の圧縮試験により破断した破面のSEM写真を示す。vein模様も観察されるが、通常の辷り帯に沿った破断面とは異なり、非常に隆起に富んだえぐり取られたような破面となっている。
また、図7は圧縮により10%未満である9%の塑性変形を行った圧延材のSEM写真である。バルクガラス合金について圧縮試験を行うと、通常はほとんど塑性変形を示さずに、ある一個所の辷り帯に沿って破壊してしまうが、この圧延材は波打った形状に塑性変形されているのが分かる。
このような塑性変形は、はじめから存在していた無数の辷り帯でのスリップにより実現できたものと思われる。その中央部では無数の辷り帯が交差しており、この圧縮による塑性変形は既成の辷り帯のスリップだけでなく、新たな辷り帯の導入も同時進行したものと思われる。この実験結果は、辷り帯を導入することにより、常温におけるバルクガラス合金の圧縮応力下での塑性変形能を著しく向上できる事を示している。
このように圧延材は引張り応力下ではほとんど塑性変形できないが、圧縮応力下では大きな塑性変形能を有することが明らかになった。このような違いが生じたのは引張り、圧縮両試験における辷り帯での応力状態の違いにある。図8に示すように、引張り試験での辷り帯にかかる応力は、せん断応力と辷り帯を剥離する方向への応力である。しかし圧縮試験ではせん断応力と辷り帯をつぶす方向の応力、すなわち辷り帯が剥離しないよう拘束する方向への応力が負荷されている。この結果として引張り試験では辷り帯に沿った破断(剥離)が容易におきてしまうのに対し、圧縮試験ではこのような破断(剥離)がおきず、各辷り帯でのスリップが進行し大きな塑性変形を実現できたものと思われる。
以上のことから、辷り帯が導入されたバルクカラス非晶質合金において塑性変形を実現するには、負荷応力を「辷り帯が剥離せず拘束されるような条件」に設定すれば良いことが分かる。つまり、本実施例において用いた圧延加工もこの条件を満たしており好適と言えるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら「辷り帯が剥離せず拘束されるような条件」を満たす様々な手法を用いるようにしても良い。
以上のようにバルクガラス合金について冷間圧延を行うと、延性をはじめとする様々な機械的性質が変化することが明らかになった。特に圧縮試験での冷間圧延加工による機械的性質の変化は顕著である。このような変化は、発生した辷り帯において何らかの構造的変化が生じており、この部分での機械的性質が変化していることによると思われる。
符号の説明
1  辷り帯
【図面の簡単な説明】
第1図は、本実施例において用いた引張り試験片の形状を示す図である。
第2図は、本実施例にて作製した各試験片における引張り試験の試験結果を示すグラフである。
第3図は、(a)は、圧延処理を行った試験片の引張り破断面を電子顕微鏡である。(b)は、圧延処理を実施していない試験片の引張り破断面を電子顕微鏡である。
第4図は、本実施例にて作製した各圧下率の試験片のピツカース硬さを示すグラフである。
第5図は、本実施例の圧延処理の実施/非実施試験片における圧縮試験の応力歪み曲線を示すグラフである。
第6図は、圧縮試験により破断した試験片の破面のSEM写真である。
第7図は、圧縮により9%の塑性変形を行った圧延材のSEM写真である。
第8図は、合金内部の辷り帯にかかるせん断応力の状況を示す概念図である。

Claims (3)

  1. 非晶質合金の延性を高める高延性化方法であって、非晶質合金のバルクガラスに、合金内部に辷り帯の形成するたための適宜な変形力を印加する工程を少なくとも含むことを特徴とする非晶質合金の高延性化方法。
  2. 前記変形力を印加する工程が、冷間圧延工程である請求項1に記載の非晶質合金の高延性化方法。
  3. 前記冷間圧延工程における圧下率が、10%未満の範囲である請求項2に記載の非晶質合金の高延性化方法。
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