[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPWO2006025180A1 - Dnaセンサー - Google Patents

Dnaセンサー Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006025180A1
JPWO2006025180A1 JP2006531534A JP2006531534A JPWO2006025180A1 JP WO2006025180 A1 JPWO2006025180 A1 JP WO2006025180A1 JP 2006531534 A JP2006531534 A JP 2006531534A JP 2006531534 A JP2006531534 A JP 2006531534A JP WO2006025180 A1 JPWO2006025180 A1 JP WO2006025180A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
sensor according
probe
hybridization
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006531534A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4523001B2 (ja
Inventor
川原田 洋
洋 川原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Publication of JPWO2006025180A1 publication Critical patent/JPWO2006025180A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4523001B2 publication Critical patent/JP4523001B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6834Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase
    • C12Q1/6837Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase using probe arrays or probe chips
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/403Cells and electrode assemblies
    • G01N27/414Ion-sensitive or chemical field-effect transistors, i.e. ISFETS or CHEMFETS
    • G01N27/4145Ion-sensitive or chemical field-effect transistors, i.e. ISFETS or CHEMFETS specially adapted for biomolecules, e.g. gate electrode with immobilised receptors

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Abstract

ハイブリダイゼーションの検出感度を向上させ、未知のDNAの同定を行うことができるDNAセンサーを提供する。
液体電解質からなるゲート8と、少なくとも水素終端表面およびアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面2をpチャネル5とを有するpチャネル電界効果トランジスタと、前記ダイヤモンド表面2にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNA11と、前記ダイヤモンド表面2に滴下される未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、前記ターゲットDNAが前記プローブDNA11と相補的な関係にある場合に、前記1本鎖DNAからなるプローブDNA11及びターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAのリン酸基の負の電荷が2倍となり、正孔が誘起され、前記pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧の正方向へシフトすることを利用し、その閾値電圧の正方向へのシフトを検出することにより前記ターゲットDNAが前記プローブDNA11と相補的な関係にあるか否かを同定する。

Description

本発明は、バイオセンサーに係り、特に、pチャネル電界効果トランジスタを有するDNA(デオキシリボ核酸)センサー(DNAチップ)に関するものである。
従来、このような分野の技術としては、以下のようなものがある。
(1)蛍光検出方式
この蛍光検出方式とは、塩基配列がわかった1本鎖DNA(プローブDNA)をガラス基板、シリコン、ダイヤモンド等に固定し、未知の1本鎖DNA(ターゲットDNA)とのハイブリダイゼーション(互いに相補的な1本鎖DNA同士が結合して2本鎖DNAになる現象)を、ターゲットDNAに固定した蛍光物質で検出するものである。しかしながらこの方式では、蛍光の有無によりハイブリダイゼーションを検出するため、装置が大規模になるという問題があった。また、観測手段が蛍光顕微鏡であるため高密度化には限界がある。
(2)電荷検出方式
この電荷検出方式とは、シリコンのISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)を基本とする。しかしながら、DNAのハイブリダイゼーションによる電荷の倍増を検知するには、シリコンISFETは感度が低い。
(3)本願発明者が提案した、オゾン処理による高い閾値電圧を有する特性の良好なpチャネル電界効果トランジスタ
このトランジスタは、液体電解質をゲートとして使用し、オゾン処理により水素終端表面を酸化し、水素終端と酸素終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタである〔下記特許文献1参照〕。
特開2004−109020号公報
本発明は、上記した(2)の電荷検出方式(電荷検出型DNAチップ)を更に発展させたものであり、液体電解質からなるゲートと、水素終端表面、酸素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタのダイヤモンド表面に、DNAを直接固定することにより、ハイブリダイゼーションの検出感度を向上させ、未知のDNAの同定を行うことができるDNAセンサーを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕DNAセンサーにおいて、液体電解質からなるゲートと、少なくとも水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタと、前記ダイヤモンド表面のアミノ終端にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNAと、前記ダイヤモンド表面に滴下される未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にある場合に、前記1本鎖DNAからなるプローブDNA及びターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAのリン酸基の負の電荷が2倍となり、正孔が誘起され、前記pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧が正方向へシフトすることを利用し、この閾値電圧の正方向へのシフトを検出することにより、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かを同定することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のDNAセンサーにおいて、前記ダイヤモンド表面に酸素終端表面を含むことを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のカルボン酸であることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のアルデヒドであることを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記プローブDNAの密度が1010cm-2以上、前記ターゲットDNAの濃度が10-12Mから10-6Mであることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ドレイン電流条件下でのゲート電圧変化として検出することを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ゲート電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とする。
〔8〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ドレイン電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とする。
〔9〕上記〔1〕記載のDNAセンサーにおいて、前記ハイブリダイゼーションにおける前記液体電解質からなるバッファ溶液温度を最適な温度である59℃にすることを特徴とする。
〔10〕上記〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記ハイブリダイゼーションにおける前記液体電解質からなるバッファ溶液温度を最適な温度である59℃にすることを特徴とする。
〔11〕上記〔1〕記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液のNaCl濃度が0.3M−0.01M、デバイ距離が0.56nm−3.04nmであることを特徴とする。
〔12〕上記〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液のNaCl濃度が0.3M−0.01M、デバイ距離が0.56nm−3.04nmであることを特徴とする。
〔13〕上記〔9〕又は〔10〕記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液温度を59℃から40℃、さらに25℃に下げて、1塩基及び3塩基ミスマッチ・ターゲットDNAの分離検出を可能にすることを特徴とする。
本発明にかかるSGFETの断面図である。 本発明の実施例を示す1本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図である。 本発明の実施例を示す2本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図である。 本発明の実施例を示すSGFET特性の変化(その1)を示す図である。 本発明の実施例を示すSGFET特性の変化(その2)を示す図である。 本発明の実施例を示すDNAハイブリダイゼーションによるSGFETのゲート電圧の時間変化を示す図である。 本発明の実施例を示すターゲットDNAの量を変化させた場合の閾値電圧(ゲート電圧)の特性図である。 本発明の実施例を示すバッファ溶液濃度の最適化を図るための実験によるデバイ距離を示す図である。 本発明の実施例を示すバッファ溶液の温度調節によるゲート電位のシフト量の変化を示す図である。
DNAセンサーにおいて、液体電解質(バッファ溶液)からなるゲートと、少なくとも水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタ(SGFET:電解質ゲートダイヤモンド電界効果トランジスタ)と、前記ダイヤモンド表面のアミノ終端にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNAと、前記ダイヤモンド表面に未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にある場合、前記1本鎖DNAからなるプローブDNAとターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAのリン酸基の電荷(負)が2倍となり、正孔が誘起され、pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧が正方向へシフトすることを利用し、その閾値電圧の正方向へのシフトを検出することにより、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かを同定することを特徴とする。よって、迅速、かつ的確なDNAの同定が可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
DNAはリン酸基に由来する負電荷を持っているが、ハイブリダイゼーションを行うことによりその負電荷は約2倍になる。本発明は、その負電荷の顕著な変化を、SGFETのダイヤモンドチャネル表面にDNAを固定することにより、チャネル表面に励起される正孔の数が増加する度合を検出して、DNAの同定を可能にする。
以下、本発明のDNAセンサーについて説明する。
図1は本発明にかかるSGFETの断面図、図2は本発明の実施例を示す1本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図、図3は本発明の実施例を示す2本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図、図4はSGFET特性の変化(その1)を示す図、図5はそのSGFET特性の変化(その2)を示す図である。
(1)図1に示すように、アンドープ多結晶ダイヤモンド層1の、水素終端、酸素終端およびアミノ終端が混在するダイヤモンド表面2にソース電極3とドレイン電極4によって挟まれるようにダイヤモンド表面2からなるpチャネル5を形成し、ソース電極3及びドレイン電極4上にはそれぞれポリイミド樹脂からなる絶縁膜6,7を形成する。このpチャネル5上には液体電解質からなるゲート8を形成する。9はゲートとしての液体電解質8に配置される参照電極である。なお、基板としては、多結晶ダイヤモンド層に限定されるものではなく、単結晶ダイヤモンド層を用いてもよい。
このように、液体電解質からなるゲート8と、水素終端、酸素終端およびアミノ終端が混在するダイヤモンド表面2からなるpチャネル5とを有するpチャネル電界効果トランジスタを用意する。ここで、pHセンシングという観点からすると、pHはプロトン濃度(H濃度)を測定することになり、アミノ終端ではNH(アミノ基)ではpH9以下で水素終端でのプロトンと結合し、NHとなり、酸素終端ではOはpH4.5以下でプロトンと結合し、OHとなる。このように、pH変化でのプロトン吸着による電荷の変化により、広い範囲のプロトン濃度(H濃度)の測定が可能となるとともに、電界効果トランジスタの高いpH感性を得ることができる。
(2)次に、図2に示すように、上記したダイヤモンド表面2のpチャネル5上のアミノ終端に、塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNA11を、リンカー〔例えば、2乃至3価のカルボン酸(コハク酸、フタル酸)や2乃至3価のアルデヒド(グルタルアルデヒド)〕を介して架橋作用により共有結合的に直接固定する。このとき、プローブDNA11は、1010cm-2以上の高密度で固定する。
なお、実施例においてアミノ終端という場合は、ダイヤモンド表面2に直接アミノ基がついている場合のみでなく、ダイヤモンド表面上についた分子の端にアミノ基がついている場合も含まれている。その意味で、アミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面と言い換えることができる。
また、上記したリンカーとしては、例えば、酸又は酸の化合物を用いるが、2乃至3価のカルボン酸(COOH基がある)や2乃至3価のアルデヒド(COH基)が好適である。
(3)次いで、プローブDNA11を固定したpチャネル5に塩基配列が未知のターゲットDNA(濃度10-12M〜10-6M)を滴下する。ここで、プローブDNA11と滴下したターゲットDNAが相補的な関係にある場合には、ハイブリダイゼーションにより、プローブDNA11は図3に示すように、2本鎖DNA12となる。このとき、リン酸基の数が2倍となるためその負の電荷も2倍となり、これにより正孔が誘起され、SGFETの閾値電圧が正方向にシフトする。
そこで、このSGFETの閾値電圧の差を、図4に示す一定ドレイン電流(ドレイン・ソース間電流)IDS条件(図4の横軸を基準とする)下でのゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)VGS変化(正方向へのシフト)、あるいは一定ゲート電圧VGS条件(図4の縦軸を基準とする)下でのドレイン電流IDS変化(負方向へのシフト)、または図5に示す一定ドレイン電圧(ドレイン・ソース間電圧)VDS条件(図5の縦軸を基準とする)下でのドレイン電流IDS変化(負方向へのシフト)として検出することができる。
図4はそのSGFET特性図(その1)である(ここでは、VDS(V)〔ドレイン電圧〕を−0.1Vに設定している)。この図において、曲線aは、この1本鎖DNAからなるプローブDNA11のみがダイヤモンド表面2に固定されている場合のSGFETのVGS(V)〔ゲート電圧〕とIDS(μA)〔ドレイン電流〕との特性を示しており、曲線bはハイブリダイゼーションが起こって2本鎖DNA12になった場合のSGFETのVGS(V)〔ゲート電圧〕とIDS(μA)〔ドレイン電流〕との特性を示している。ターゲットDNA(21塩基対)濃度が0.1nM、バルク溶液のpH=7の場合である。
図5はそのSGFET特性図(その2)である(ここでは、VGS(V)〔ゲート電圧〕を−0.7Vに設定している)。この図において、曲線cは、1本鎖DNAからなるプローブDNA11がダイヤモンド表面2に固定されている場合のSGFETのVDS(V)〔ドレイン電圧〕とIDS(μA)〔ドレイン電流〕との特性を示しており、曲線dはハイブリダイゼーションが生じて2本鎖DNA12になった場合のSGFETのVDS(V)〔ドレイン電圧〕とIDS(μA)〔ドレイン電流〕との特性を示している。ターゲットDNA(21塩基対)濃度が0.1nM、バルク溶液のpH=7の場合である。
これらの図より明らかなように、一定ドレイン電流IDSに対してのゲート電圧VGSの変化を見ると、曲線aと比べて曲線bが正方向へシフトしている。また、同様に、一定ゲート電圧VGSに対してのドレイン電流IDSの変化を見ると、曲線aと比べて曲線bが負方向へシフトしている。
このようにして、pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧の正方向へのシフトの有無を検出することにより、ハイブリダイゼーションの有無、すなわち、未知のターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かが同定できる。
なお、前記未知のターゲットDNAが前記プローブDNA11と相補的な関係にない場合には、ハイブリダイゼーションがほとんど生じないため、SGFETの閾値電圧の正方向のシフトがないか、シフトがあっても相補的な場合に比べ少ない。
図6は本発明の実施例を示すDNAハイブリダイゼーションによるSGFETのゲート電圧の時間変化を示す図である。ここで、SGFETのVDS(V)〔ドレイン電圧〕は−0.4V、IDS(μA)〔ドレイン電流〕は−10μAである。
この図により、ダイヤモンド表面のゲート電圧が、プローブDNAに相補的なターゲットDNAを滴下した時に正方向へシフトしていることが確認できる。これはDNAのハイブリダイゼーションにより負電荷を持つリン酸基の数が2倍となり、チャネルに誘起される正孔密度が上昇したことが原因と考えられる。非相補的なターゲットDNAではこのような閾値電圧の変化は観察されない。この方法は、従来のDNAチップでは困難だったリアルタイムにおけるハイブリダイゼーションのラベルフリー検出であり、ダイヤモンドの生体適合性とあいまって広範な臨床応用が実現可能なセンサーとして期待される。
図7は本発明の実施例を示すターゲットDNAの量を変化させた場合の閾値電圧(ゲート電圧)の特性図である。
図7は、プローブDNAと相補的な関係にある1本鎖DNAをターゲットDNAとして、滴下した時点(60秒)から一定ドレイン電流を維持した場合のゲート電圧の時間変化を示しており、ハイブリダイゼーションによって生じるゲート電圧の正方向のシフト量をΔG(V)としている。滴下したターゲットDNAの量が1μM、100nM、10nMの場合、それぞれ正方向に38mV、25mV、4mVシフトしている。
以下、具体的な実施例について説明する。
液体電解質(バッファ溶液)をゲートとして使用し、水素終端、酸素終端およびアミノ終端が混在する多結晶または単結晶ダイヤモンド表面をチャネルとしたpチャネル電界効果トランジスタ(SGFET)を用意し、塩基配列が既知のプローブDNAを1010cm-2以上の密度でグルタルアルデヒド(2価のアルデヒド)を介して、ダイヤモンド表面に架橋結合により直接固定した。このプローブDNAに対して相補的なターゲットDNAおよび非相補的ターゲットDNAを10-12Mから10-6Mの濃度でプローブDNAが固定された上記のSGFET上に滴下した。ドレイン電流一定の条件で、ゲート電圧のハイブリダイゼーションによる実時間測定の結果、相補的なターゲットDNAにおいて、ターゲットDNA濃度10nMでゲート電圧4mV、100nMで25mV、1μMで38mV、それぞれ正方向へのシフトを観測できた。非相補的ターゲットDNAではこれらのシフトは全く検出されなかった。
上記したように、本発明のDNAセンサーは、DNAのリアルタイム検出に好適であり、ダイヤモンドチャネル表面の持つ生体適合性を利用して臨床応用が実現可能なデバイスとして期待される。
次に、バッファ(NaCl)溶液濃度の最適化について実験を行った。
図8は、本発明の実施例を示すバッファ溶液濃度の最適化を図るための実験によるデバイ距離(デバイの遮蔽距離)を示す図である。横軸はダイヤモンド表面からの距離、縦軸はダイヤモンド表面電位を示している。
ハイブリダイゼーション効率とリン酸(DNA)の負電荷検出効率は二律背反(トレードオフ)の関係にある。つまり、ハイブリダイゼーション効率は、バッファ(NaCl)溶液の濃度が濃い程負電荷同士の反発を遮蔽でき、効率が大となる。これに対して、リン酸(DNA)の負電荷検出効率は、バッファ濃度が薄く、デバイ距離が長い程大であり、負電荷検出効率は大となる。
図8において、21はダイヤモンド表面、22はDNA(〜20塩基:〜6nm)、バッファ溶液なNaCl溶液であり、デバイ距離κ−1〔nm〕は、
κ−1=0.304/(√(NaCl)
ここで、バッファ溶液中のイオン種はNaClであり、NaCl濃度によるDNA検出可能距離を表1に示す。
Figure 2006025180
(1)バッファ溶液が20sscの場合、NaCl濃度が3M、デバイ距離は0.18nm、(2)バッファ溶液が2ssc〔上記(1)のバッファ溶液の1/10〕の場合、NaCl濃度が0.3M、デバイ距離は0.56nm、(3)バッファ溶液が1ssc〔上記(1)のバッファ溶液の1/20〕の場合、NaCl濃度が0.15M、デバイ距離は0.78nm、(4)10mMの燐酸バッファ溶液(phosphate buffer solution;PBS)の場合、NaCl濃度が0.01M、デバイ距離は3.04nmとなる。
このことから明らかなように、上記(2)のバッファ溶液が2sscの場合、NaCl濃度が0.3M、デバイ距離は0.56nmであり、DNAハイブリダイゼーションの最適化が図られているが、デバイ距離が短い。上記(3)のバッファ溶液の場合は、デバイ距離が少し長くなり、ハイブリダイゼーション効率は依然高いのでリアルタイム測定に適している。上記(4)のバッファ溶液の場合は静特性(FET特性)測定の場合に使用している。
なお、ここでは、リンカーを短くし、グルタルアルデヒド(GA)を使用した。短いリンカーは、デバイ長内にDNAのリン酸基を多く収めるのに有利である。また、ハイブリダイゼーションはバッファ溶液温度に敏感であり、59℃が最適温度である。しかし、ここではバッファ溶液温度を40℃に設定し、ハイブリダイゼーションの効率を下げることで、1塩基及び3塩基ミスマッチ・ターゲットDNAを分離検出した。さらに、バッファ溶液温度を25℃まで低下させることで、3塩基ミスマッチと1塩基ミスマッチは図9に示すように分離される。
なお、図9において、IDS(ドレイン−ソース間電流)は−10μA、VDS(ドレイン−ソース間電圧)は−0.1V、ターゲット固定時間は1時間であり、横軸は温度〔℃〕、縦軸はゲートとソース間のΔV(シフト電位)〔mV〕を示している。
以上から、本発明と従来技術との性能比較をすると、バッファ溶液の設定温度をハイブリダイゼーションに最適な59℃から40℃、さらに25℃に下げ、ハイブリダイゼーション効率を下げることで、1塩基及び3塩基ミスマッチ・ターゲットDNAの誤った(不完全な)ハイブリダイゼーションを抑制し、1塩基及び3塩基ミスマッチの分離検出に成功した。従来のSiISFET系ではここまで高感度での測定例はない。
また、本発明は、大量生産による素子の低価格化により、大量消費型センサーとして、医療分野にとどまらず食品検査、環境計測等としての用途も広がると期待される。したがって、経済的、社会的影響力の極めて高いものである。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)DNAセンサーにおいて、ハイブリダイゼーションの検出感度を向上させ、未知のDNAの同定を行うことができる。
(2)迅速、かつ的確なDNAのリアルタイム検出が可能である。
より詳細には、本発明は、ダイヤモンドにおいて可能となりつつある高感度DNA固定化技術およびSGFETの微細化により、従来型の半導体バイオセンサーや蛍光標識による光検出型バイオセンサーよりも高感度検出が期待されるものである。このDNAセンサーを用いることで、測定試料の微量化が可能なことから、臨床検査室における日常検査ならびに緊急検査に使用することができる。さらに他の機能も含めた集積化ナノデバイスシステムに適した電荷・電位検出型デバイスを実現可能である。
本発明のDNAセンサーは、DNAのリアルタイム検出に好適であり、ダイヤモンドチャネル表面の持つ生体適合性を利用して臨床応用が実現可能なデバイスとして利用可能である。
また、大量生産による素子の低価格化により、大量消費型センサーとして、医療分野にとどまらず食品検査、環境計測等としての用途も広がると期待される。したがって、経済的、社会的影響力の極めて高いものである。
さらに、将来的には炭素の生体適合性から、体内埋め込みセンサーとしての応用も可能である。
【発明の名称】DNAセンサーおよびそれを用いた測定方法
【0001】
【技術分野】
[0001] 本発明は、バイオセンサーに係り、特に、pチャネル電界効果トランジスタを有するDNA(デオキシリボ核酸)センサー(DNAチップ)およびそれを用いた測定方法に関するものである。
【背景技術】
[0002] 従来、このような分野の技術としては、以下のようなものがある。
[0003](1)蛍光検出方式
この蛍光検出方式とは、塩基配列がわかった1本鎖DNA(プローブDNA)をガラス基板、シリコン、ダイヤモンド等に固定し、未知の1本鎖DNA(ターゲットDNA)とのハイブリダイゼーション(互いに相補的な1本鎖DNA同士が結合して2本鎖DNAになる現象)を、ターゲットDNAに固定した蛍光物質で検出するものである。しかしながらこの方式では、蛍光の有無によりハイブリダイゼーションを検出するため、装置が大規模になるという問題があった。また、観測手段が蛍光顕微鏡であるため高密度化には限界がある。
[0004](2)電荷検出方式
この電荷検出方式とは、シリコンのISFERT(イオン感応性電界効果トランジスタ)を基本とする。しかしながら、DNAのハイブリダイゼーションによる電荷の倍増を検知するには、シリコンISFETは感度が低い。
[0005](3)本願発明者が提案した、オゾン処理による高い閾値電圧を有する特性の良好なpチャネル電界効果トランジスタ
このトランジスタは、液体電解質をゲートとして使用し、オゾン処理により水素終端表面を酸化し、水素終端と酸素終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタである〔下記特許文献1参照〕。
【特許文献1】特開2004−109020号公報
【発明の開示】
[0006] 本発明は、上記した(2)の電荷検出方式(電荷検出型DNAチップ)を更に発展さ
【0002】
せたものであり、液体電解質からなるゲートと、水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタのダイヤモンド表面に、DNAを直接固定することにより、ハイブリダイゼーションの検出感度を向上させ、未知のDNAの同定を行うことができるDNAセンサーおよびそれを用いた測定方法を提供することを目的とする。
[0007] 本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕DNAセンサーにおいて、液体電解質からなるゲートと、少なくとも水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタと、前記ダイヤモンド表面のアミノ終端にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNAと、前記ダイヤモンド表面に滴下される未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にある場合に、前記1本鎖DNAからなるプローブDNA及びターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAに起因して、前記pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧の正方向へのシフトを検出することにより、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かを同定することを特徴とする。
[0008] 〔2〕上記〔1〕記載のDNAセンサーにおいて、前記ダイヤモンド表面に酸素終端表面を含むことを特徴とする。
[0009] 〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のカルボン酸であることを特徴とする。
[0010] 〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のアルデヒドであることを特徴とする。
[0011] 〔5〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記プローブDNAの密度が1010cm−2以上、前ターゲットDNAの濃度が10−12Mから10−6Mであることを特徴とする。
[0012] 〔6〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の
【0003】
正方向へのシフト差を一定ドレイン条件下でのゲート電圧変化として検出することを特徴とする。
[0013] 〔7〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ゲート電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とする。
[0014] 〔8〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ドレイン電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とする。
[0015] 〔9〕DNAセンサーを用いた測定方法において、液体電解質からなるゲートと、少なくとも水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混在するダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタと、前記ダイヤモンド表面のアミノ終端にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNAと、前記ダイヤモンド表面に滴下される未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にある場合に、前記1本鎖DNAからなるプローブDNA及びターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAに起因して、前記pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧の正方向へのシフトを検出することにより、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かを同定することを特徴とする。
[0016]
[0017]
[0018]
[0019]
【図面の簡単な説明】
[0020][図1]本発明にかかるSGFETの断面図である。
[図2]本発明の実施例を示す1本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図である。
[図3]本発明の実施例を示す2本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図である。
[図4]本発明の実施例を示すSGFET特性の変化(その1)を示す図である。
【0005】
[0024] 以下、本発明のDNAセンサーについて説明する。
[0025] 図1は本発明にかかるSGFETの断面図、図2は本発明の実施例を示す1本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図、図3は本発明の実施例を示す2本鎖DNAによる負電荷の発生状態を示すチャネル部の模式図、図4はSGFET特性の変化(その1)を示す図、図5はそのSGFET特性の変化(その2)を示す図である。
[0026] (1)図1に示すように、アンドープ多結晶ダイヤモンド層1の、水素終端およびアミノ終端が混在するダイヤモンド表面2にソース電極3とドレイン電極4によって挟まれるようにダイヤモンド表面2からなるpチャネル5を形成し、ソース電極3及びドレイン電極4上にはそれぞれポリイミド樹脂からなる絶縁膜6,7を形成する。このpチャネル5上には液体電解質からなるゲート8を形成する。9はゲートとしての液体電解質8に配置される参照電極である。なお、基板としては、多結晶ダイヤモンド層に限定されるものではなく、単結晶ダイヤモンド層を用いてもよい。
[0027] このように、液体電解質からなるゲート8と、水素終端およびアミノ終端が混在するダイヤモンド表面2からなるpチャネル5とを有するpチャネル電界効果トランジスタを用意する。
[0028] (2)次に、図2に示すように、上記したダイヤモンド表面2のpチャネル5上のアミノ終端に、塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNA11を、リンカー〔例えば、2乃至3価のカルボン酸(コハク酸、フタル酸)や2乃至3価のアルデヒド(グルタルアルデヒド)〕を介して架橋作用により共有結合的に直接固定する。このとき、プローブDNA11は、1010cm−2以上の高密度で固定する。
[0029] なお、実施例においてアミノ終端という場合は、ダイヤモンド表面2に直接アミノ基がついている場合のみでなく、ダイヤモンド表面上についた分子の端にアミノ基がつ
【0008】
を示しており、ハイブリダイゼーションによって生じるゲート電圧の正方向のシフト量をΔG(V)としている。滴下したターゲットDNAの量が1μM、100nM、10nMの場合、それぞれ正方向に38mV、25mV、4mVシフトしている。
[0042] 以下、具体的な実施例について説明する。
[0043] 液体電解質(バッファ溶液)をゲートとして使用し、水素終端およびアミノ終端が混在する多結晶または単結晶ダイヤモンド表面をチャネルとしたpチャネル電界効果トランジスタ(SGFET)を用意し、塩基配列が既知のプローブDNAを1010cm−2以上の密度でグルタルアルデヒド(2価のアルデヒド)を介して、ダイヤモンド表面に架橋結合により直接固定した。このプローブDNAに対して相補的なターゲットDNAおよび非相補的ターゲットDNAを10−12Mから10−6M濃度でプローブDNAが固定された上記のSGFET上に滴下した。ドレイン電流一定の条件で、ゲート電圧のハイブリダイゼーションによる実時間測定の結果、相補的なターゲットDNAにおいて、ターゲットDNA濃度10nMでゲート電圧4mV、100nMで25mV、1μMで38mV、それぞれ正方向へのシフトを観測できた。非相補的ターゲットDNAではこれらのシフトは全く検出されなかった。
[0044] 上記したように、本発明のDNAセンサーは、DNAのリアルタイム検出に好適であり、ダイヤモンドチャネル表面の持つ生体適合性を利用して臨床応用が実現可能なデバイスとして期待される。
[0045] 次に、バッファ(NaCl)溶液濃度の最適化について実験を行った。
図8は、本発明の実施例を示すバッファ溶液濃度の最適化を図るための実験によるデバイ距離(デバイの遮蔽距離)を示す図である。横軸はダイヤモンド表面からの距離、縦軸はダイヤモンド表面電位を示している。
[0046] ハイブリダイゼーション効率とリン酸(DNA)の負電荷検出効率は二律背反(トレードオフ)の関係にある。つまり、ハイブリダイゼーション効率は、バッファ(NaCl)溶液の濃度が濃い程負電荷同士の反発を遮蔽でき、効率が大となる。これに対して、リン酸(DNA)の負電荷検出効率は、バッファ濃度が薄く、デバイ距離が長い程大であり、負電荷検出効率は大となる。
[0047] 図8において、21はダイヤモンド表面、22はDNA(〜20塩基:〜6nm)、バッファ
【0010】
なお、図9において、IDS(ドレイン−ソース間電流)は−10μA、VDS(ドレイン−ソース間電圧)は−0.1V、ターゲット固定時間は1時間であり、横軸は温度〔℃〕、縦軸はゲートとソース間のΔV(シフト電位)〔mV〕を示している。
[0051] 以上から、本発明と従来技術との性能比較をすると、バッファ溶液の設定温度をハイブリダイゼーションに最適な59℃から40℃、さらに25℃に下げ、ハイブリダイゼーション効率を下げることで、1塩基及び3塩基ミスマッチ・ターゲットDNAの誤った(不完全な)ハイブリダイゼーションを抑制し、1塩基及び3塩基ミスマッチの分離検出に成功した。従来のSiISFET系ではここまで高感度での測定例はない。
[0062] また、本発明は、大量生産による素子の低価格化により、大量消費型センサーとして、医療分野にとどまらず食品検査、環境計測等としての用途も広がると期待される。したがって、経済的、社会的影響力の極めて高いものである。
[0053] なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
[0054] 本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
[0056] (1)DNAセンサーにおいて、ハイブリダイゼーションの検出感度を向上させ、未知のDNAの同定を行うことができる。
[0056] (2)迅速、かつ的確なDNAのリアルタイム検出が可能である。
[0057] より詳細には、本発明は、ダイヤモンドにおいて可能となりつつある高感度DNA固定化技術およびSGFETの微細化により、従来型の半導体バイオセンサーや蛍光標識による光検出型バイオセンサーよりも高感度検出が期待されるものである。このDNAセンサーを用いることで、測定試料の微量化が可能なことから、臨床検査室における日常検査ならびに緊急検査に使用することができる。さらに他の機能も含めた集積化ナノデバイスシステムに適した電荷・電位検出型デバイスを実現可能である。
以上ではダイヤモンド表面は、水素終端、アミノ終端が混在する表面としてきたが、酸素終端表面がDNAセンサーとしての機能を損なわない限りの占有率で同表面に混在しても構わない。
【産業上の利用可能性】
[0058] 本発明のDNAセンサーは、DNAのリアルタイム検出に好適であり、ダイヤモンドチャネル表面の持つ生体適合性を利用して臨床応用が実現可能なデバイスとして利用可能である。
[0059] また、大量生産による素子の低価格化により、大量消費型センサーとして、医療分

Claims (13)

  1. (a)液体電解質からなるゲートと、少なくとも水素終端表面およびアミノ終端としてのアミノ基またはアミノ基のある分子で終端された表面が混合されたダイヤモンド表面をチャネルとするpチャネル電界効果トランジスタと、
    (b)前記ダイヤモンド表面のアミノ終端にリンカーによって直接固定される塩基配列が既知の1本鎖DNAからなるプローブDNAと、
    (c)前記ダイヤモンド表面に滴下される未知の1本鎖DNAからなるターゲットDNAとをセットし、
    (d)前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にある場合に、前記1本鎖DNAからなるプローブDNA及びターゲットDNAのハイブリダイゼーションにより生成される2本鎖DNAのリン酸基の負の電荷が2倍となり、正孔が誘起され、前記pチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧が正方向へシフトすることを利用し、該閾値電圧の正方向へシフトを検出することにより、前記ターゲットDNAが前記プローブDNAと相補的な関係にあるか否かを同定することを特徴とするDNAセンサー。
  2. 請求項1記載のDNAセンサーにおいて、前記ダイヤモンド表面に酸素終端表面を含むことを特徴とするDNAセンサー。
  3. 請求項1又は2記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のカルボン酸であることを特徴とするDNAセンサー。
  4. 請求項1又は2記載のDNAセンサーにおいて、前記リンカーが2乃至3価のアルデヒドであることを特徴とするDNAセンサー。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のDNAセンサーにおいて、前記プローブDNAの密度が1010cm-2以上、前記ターゲットDNAの濃度が10-12Mから10-6Mであることを特徴とするDNAセンサー。
  6. 請求項1、2、3又は4記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ドレイン電流条件下でのゲート電圧変化として検出することを特徴とするDNAセンサー。
  7. 請求項1、2、3又は4記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ゲート電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とするDNAセンサー。
  8. 請求項1、2、3又は4記載のDNAセンサーにおいて、前記閾値電圧の正方向へのシフト差を一定ドレイン電圧条件下でのドレイン電流変化として検出することを特徴とするDNAセンサー。
  9. 請求項1記載のDNAセンサーにおいて、前記ハイブリダイゼーションにおける前記液体電解質からなるバッファ溶液温度を最適な温度である59℃にすることを特徴とするDNAセンサー。
  10. 請求項2記載のDNAセンサーにおいて、前記ハイブリダイゼーションにおける前記液体電解質からなるバッファ溶液温度を最適な温度である59℃にすることを特徴とするDNAセンサー。
  11. 請求項1記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液のNaCl濃度が0.3M−0.01M、デバイ距離が0.56nm−3.04nmであることを特徴とするDNAセンサー。
  12. 請求項2記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液のNaCl濃度が0.3M−0.01M、デバイ距離が0.56nm−3.04nmであることを特徴とするDNAセンサー。
  13. 請求項9又は10記載のDNAセンサーにおいて、前記バッファ溶液温度を59℃から40℃、さらに25℃に下げて、1塩基及び3塩基ミスマッチ・ターゲットDNAの分離検出を可能にすることを特徴とするDNAセンサー。
JP2006531534A 2004-08-30 2005-08-04 Dnaセンサーおよびそれを用いた測定方法 Expired - Fee Related JP4523001B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004250303 2004-08-30
JP2004250303 2004-08-30
PCT/JP2005/014283 WO2006025180A1 (ja) 2004-08-30 2005-08-04 Dnaセンサー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006025180A1 true JPWO2006025180A1 (ja) 2008-07-31
JP4523001B2 JP4523001B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=35999841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006531534A Expired - Fee Related JP4523001B2 (ja) 2004-08-30 2005-08-04 Dnaセンサーおよびそれを用いた測定方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7851205B2 (ja)
EP (1) EP1788383B1 (ja)
JP (1) JP4523001B2 (ja)
WO (1) WO2006025180A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007078373A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ISFETからなるpHセンサー及びその製造方法
US10067129B2 (en) * 2009-05-15 2018-09-04 University Of Florida Research Foundation, Inc. Wireless based marine pathogens detection system
US8052931B2 (en) * 2010-01-04 2011-11-08 International Business Machines Corporation Ultra low-power CMOS based bio-sensor circuit
CN103328981B (zh) 2010-10-04 2017-04-12 吉纳普赛斯股份有限公司 用于自动化可重复使用的平行生物反应的系统和方法
US9926596B2 (en) 2011-05-27 2018-03-27 Genapsys, Inc. Systems and methods for genetic and biological analysis
US8951727B2 (en) 2011-09-19 2015-02-10 California Institute Of Technology Translocation and nucleotide reading mechanisms for sequencing nanodevices
US10093975B2 (en) 2011-12-01 2018-10-09 Genapsys, Inc. Systems and methods for high efficiency electronic sequencing and detection
US20130204107A1 (en) * 2012-01-23 2013-08-08 The Ohio State University Devices and methods for the rapid and accurate detection of analytes
EP2971141B1 (en) 2013-03-15 2018-11-28 Genapsys, Inc. Systems for biological analysis
EP3556864B1 (en) 2014-04-18 2020-12-09 Genapsys, Inc. Methods and systems for nucleic acid amplification
KR20180112783A (ko) * 2016-01-14 2018-10-12 로스웰 바이오테크놀로지스 인코포레이티드 분자 센서들 및 관련 방법들
CN116397014A (zh) 2016-07-20 2023-07-07 测序健康公司 用于核酸测序的系统和方法
SG11202002516WA (en) 2017-09-21 2020-04-29 Genapsys Inc Systems and methods for nucleic acid sequencing
WO2024106421A1 (ja) * 2022-11-15 2024-05-23 学校法人関西医科大学 miRNAの捕集方法、捕集用メンブレンフィルター、捕集用メンブレンフィルターユニット、及び捕集用キット

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001272372A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Japan Science & Technology Corp 電界効果トランジスタ
JP2002286692A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Japan Science & Technology Corp 電界効果トランジスタ
JP2003090815A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Japan Science & Technology Corp 遺伝子の電気化学的検出方法と核酸チップ
JP2004109020A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Japan Science & Technology Corp pチャネル電界効果トランジスタ

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2805826B1 (fr) * 2000-03-01 2002-09-20 Nucleica Nouvelles puces a adn
JP4092990B2 (ja) * 2002-09-06 2008-05-28 株式会社日立製作所 生体および化学試料検査装置
US7368085B2 (en) * 2003-12-04 2008-05-06 Honeywell International Inc. Analyte detector
JP3903183B2 (ja) * 2004-02-03 2007-04-11 独立行政法人物質・材料研究機構 遺伝子検出電界効果デバイスおよびこれを用いた遺伝子多型解析方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001272372A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Japan Science & Technology Corp 電界効果トランジスタ
JP2002286692A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Japan Science & Technology Corp 電界効果トランジスタ
JP2003090815A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Japan Science & Technology Corp 遺伝子の電気化学的検出方法と核酸チップ
JP2004109020A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Japan Science & Technology Corp pチャネル電界効果トランジスタ

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010000257, 畑英夫, "ダイヤモンド表面へのDNAの固定及びハイブリダイゼ−ション", 応用物理学関係連合講演会講演予稿集, 20030327, Vol.50th No.2, Page.617, JP *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006025180A1 (ja) 2006-03-09
US20080032294A1 (en) 2008-02-07
EP1788383A4 (en) 2014-04-30
JP4523001B2 (ja) 2010-08-11
US7851205B2 (en) 2010-12-14
EP1788383B1 (en) 2017-04-05
EP1788383A1 (en) 2007-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kaisti Detection principles of biological and chemical FET sensors
US11531003B2 (en) Analyte detector for detecting at least one analyte in at least one fluid sample
JP3874772B2 (ja) 生体関連物質測定装置及び測定方法
US6482639B2 (en) Microelectronic device and method for label-free detection and quantification of biological and chemical molecules
Ingebrandt et al. Label-free detection of single nucleotide polymorphisms utilizing the differential transfer function of field-effect transistors
Soldatkin et al. Creatinine sensitive biosensor based on ISFETs and creatinine deiminase immobilised in BSA membrane
Poghossian et al. An ISFET-based penicillin sensor with high sensitivity, low detection limit and long lifetime
EP1843152B1 (en) Method of detecting bio-molecules using the same field effect transistor on the gate sensing surface
US20060223170A1 (en) Biomolecule detecting apparatus and biomolecule detecting method employing the same
US9064965B2 (en) Zinc oxide-based thin film transistor biosensors with high sensitivity and selectivity
JP4731544B2 (ja) 生体分子検出装置及びそれを用いた生体分子検出方法
CN103842817A (zh) 具有改进的灵敏度和特异性的鳍型fet生物传感器
JPWO2006025180A1 (ja) Dnaセンサー
GB2406175A (en) Detection of molecular interactions using field effect transistors (FETs)
KR960004971B1 (ko) 백금전극을 내장한 감이온 전계효과 트랜지스터를 이용한 바이오센서
JP2005513501A (ja) 検体の高感度検出のために特別に構成されたゲート電極を有するfetセンサー
Lee et al. Extended-gate amorphous InGaZnO thin film transistor for biochemical sensing
Wang et al. Light‐addressable potentiometric sensor with nitrogen‐incorporated ceramic Sm2O3 membrane for chloride ions detection
JP3657591B2 (ja) pチャンネル電界効果トランジスタ及びそれを用いたセンサ
Schöning et al. A novel silicon-based sensor array with capacitive EIS structures
Aran et al. Applications of Graphene Field Effect Biosensors for Biological Sensing
Zachariah et al. Immunologically sensitive field-effect transistors
Girard et al. Electrical Detection of very low content of transferrin in view of iron metabolism characterization
WO2023118264A1 (en) Method and sensor device for determining the concentration of an analyte in a sample
Hodge-Miller et al. Gateless depletion mode field effect transistor for macromolecule sensing

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100525

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4523001

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees