JPS605020Y2 - 両面編地 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は体育衣料用編地に関し、特に吸湿性、保温性に
すぐれ、かつ耐摩耗、耐衝撃等の耐久性に優れた両面編
地に関する。

体育衣料は着用時に直接肌に触れることが多いために、
発汗時に不快感がなく、快適であること、さらに非常に
過酷な使われ方をするため耐久性に優れていることが重
要な要求特性である。

そのため耐摩耗、強度に優れた合成繊維と吸湿性、風合
等に優れた特性を持つ天然繊維とを交編することでそれ
ぞれの優れた特徴を活かして使用されている。

この最も代表的な体育衣料編地は、編地表面を耐久性の
面から合成繊維で、肌に接触する編地ウラ面を綿などの
吸湿性繊維で構成したものである。

またこの類似編地として、編地ウラ面を吸湿性繊維で網
状あるいは蜂の巣状に組織することによって凹凸のある
表面とした編地が提案されている。

しかし、これらの編地はいずれも編地のウラ面つまり肌
と直接触れる部分が吸湿性繊維で構成された生地である
ため、いったん汗を吸収すると生地がべとつき、着用者
に不快感を与え、またこれが冷えると肌につめたさを感
じさせる等の欠点があった。

本出願人は、上記の欠点を改善する編織物として実開昭
５５−１３５０６８号公報に吸湿性繊維からなる編織物
のウラ面に非吸湿性繊維が一定の形状で特殊配列し、か
つ該非吸湿性繊維が吸湿性繊維の地糸で捕捉されている
編織物を出願開示している。

この開示技術による編織物は、発汗した汗をウラ面に特
殊配列した非吸湿性繊維から毛細管現象により汗を吸い
あげ、地組織を構成する吸湿性繊維に吸着させるもので
あり、汗を吸着した吸湿性繊維が直接肌と接触しないた
めベトッキ感がないという利点が得られるものである。

しかし、この技術は地組織が吸湿性繊維で構成されるも
のであり、一般に吸湿性繊維としては綿、麻、羊毛など
の天然繊維が用いられる。

これらの天然繊維は共通して、耐摩耗、耐強力に劣り、
また染色面でも均一な色調を表現することが困難である
ため、・上記開示技術による編織物はシャツを始めとす
る下着衣料には好適であるが、ウオームアツプスーツ、
トレーニングパンツ、野球ユニホームのごとき、編地表
面が過酷な物理的操作に耐え、また外観の審美性が求め
られる衣料分野には不適である。

本考案は、上記の従来技術の欠点を改善したものであり
、その目的は吸湿性、保温性に優れ、発汗時にべとつき
がなく快適な着用感が得られる上に、耐摩耗性等の耐久
性に優れ、さらに外観の審美性でも優れた体育衣料用の
編地を提供することにある。

本考案は次の構成を有する。

すなわち、表編部は合成繊維糸条の編目で構成され、ウ
ラ編部は、表編目ｌコースに対し１コースの吸湿性繊維
糸条の編目によってなる部分Ａとさらに該ウラ編部は前
記表編目１コースに対し１コースの吸湿性繊維糸条の編
目と少なくとも１コ一ス以上の合成繊維糸条の編目とに
よってなる部分Ｂで組織された両面編地であって、前記
ウラ編部の表面部に合成繊維糸条の編目が点状に散在も
しくは線状に配列していることを特徴とする両面編地で
ある。

本考案において合成繊維とは、ポリエステル、ポリアミ
ド、アクリル系等の長繊維糸条、短繊維糸条を示し、天
然繊維に比比べ耐摩耗、耐衝撃等の耐久性に優れた特性
を有し、吸湿、吸水性では天然繊維に比べ劣る繊維糸条
を意味する。

特に、合成繊維として長繊維捲縮糸を用いることが耐久
性、さらに嵩高性を付与で・きる点からも望ましい。

吸湿性に優れた繊維とは、綿、麻、羊毛などの天然繊維
、レーヨンなどの再生繊維を含むものであり、一般の合
成繊維に比べ吸湿、吸水性にすぐれた繊維を示腰またこ
のような天然繊維と合成繊維とを混紡した糸であっても
良い。

以下、吸湿性に優れた繊維を吸湿性繊維と略記する。

以下、図面を用いて詳細に説明する。

第１図は本考案の編地を製造する編組織を例示するもの
である。

第１図はダイヤル針床側を編地表面、シリンダー針床側
を編地ウラ面に使用するものであり、第１、第２および
第６、第７給糸口ではダイヤル針を１針交互にニットさ
せて合成繊維糸条Ｓ１を用いて編成する。

第３、第４および第８、第９給糸口ではシリンダー針を
１針交互にニットさせると同時にダイヤル針を１針交互
にタックさせて吸湿性繊維糸条Ｎ工を用いて編成する。

さらに第５、革用給糸口ではシリンダー針を所々の針で
ニットさせ合成繊維糸条Ｓ２を用いて編成する。

このような１完全組織の繰り返しにより、生地の表編部
は全て合成繊維糸条Ｓ□による編目で構成される。

一方ウラ編部は表編目１コースのウラ側に吸湿性繊維糸
条Ｎ□の編目ｌコースが存在する部分Ａと表編目１コー
スのウラ側に吸湿性繊維糸条Ｎ□の編目１コースと合成
繊維糸条Ｓ２の編目１コースすなわち計２コース存在し
た部分Ｂで構成される。

ここでウラ編部におけるＡ部分とは第５、第１儂合糸口
のシリンダー針ではニットされないところのすなわち表
編目１コースあたりウラ編目１コースが存在した部分で
あり、Ｂ部分とは第５、第１輔合糸口のシリンダー針で
ニットされているところのすなわち表編目１コースあた
りウラ編目２コースが存在した部分である。

また、表編部とウラ編部は第３、第４および第８、第９
の吸湿性繊維Ｎ□がウラ編目を編成すると同時に表編目
にタックで接合している。

さらにウラ編部の合成繊維糸条Ｓ２の編目は片面編すな
わち浮組織になっているため、吸湿性繊維Ｎ１の編目よ
りウラ面の最外層に現われ、得られる編地は第２図に示
す斜視図のようになる。

また、第３図に示す編方図のように第１図の第５および
第１儂合糸口を各々連続して複数給糸口続けた編組織で
行えば、前述したＢ部分において表編目１コースあたり
合成繊維糸条Ｓ２の編目が複数コースと吸湿性繊維糸条
Ｎ１の編目が１コース存在することになり、ウラ編部に
現われる合成繊維糸条Ｓ２の編目をより凸の状態にする
ことができる。

他にウラ編部の合成繊維糸条Ｓ２の編目をより凸の状態
とするには、吸湿性繊維Ｎの編目度目を小さく、相対的
に合成繊維糸条Ｓ２の編目度目を大きくする。

合成繊維糸条Ｓ２の糸に太い糸を用いる。

さらには合成繊維糸条Ｓ２の糸に嵩高性の大きい糸を用
いるなどの方法を併用すると効果的である。

本考案はかならずしも上記に述べた編組織に限定される
ものでなく本考案の構造を満足するものであればよい。

また上記Ｂ部分の合成繊維糸条Ｓ２の編目はニットする
編針を適宜選択することによって、点々と第２図の例の
ごとく散在することも出来るし、タテ方向、ヨコ方向、
あるいはタテ方向とヨコ方向の組合せで線状に配列する
ことも可能である。

本考案は上記に示したような構造をなすものであるため
、次のような効果を発揮する。

第４図および第５図は上記に説明した一実施例等で得ら
れる編地の断面をモデル的に示したものであり、第６図
は編地ウラ面、すなわち肌の接触部が吸湿性繊維で構成
された従来例の編地断面をモデル的に示したものである
。

従来編地は肌面に吸湿性繊維Ｎｏが直接接触するため、
汗の吸収効果は初期の段階では優れているが、いったん
汗を吸収すると吸収効果が劣り、生地がベトッキ、着用
者に不快感を与え、またこれが冷えると肌につめたさを
感じさせる欠点がある。

これに対し本考案の編地は、第４図、第５図に示すよう
に肌面には合成繊維糸条Ｓ２が点、あるいは線接触し、
吸湿性繊維糸条Ｎ□は直接、肌と接触しない構造となっ
ている。

従って発汗した汗を合成繊維糸条Ｓ２から毛細管現象で
吸いあげ、これを吸湿性繊維糸条Ｎ□に吸収させること
で吸汗を行うが、汗を含有した吸湿性繊維糸条Ｎ１は直
接肌と接触しないためベトッキ感を防止することができ
る。

さらに、本考案の編地は編地ウラ面が凹凸を有するため
肌と吸湿性繊維糸条Ｎ１の生地との間に空気層ができ、
保温性にも極めて優れている。

さらに加えて、編地表面は従来例と異なり合成繊維糸条
で構成されているため、耐摩耗性、耐衝撃性に優れてい
るという特異な効果を有している。

以上述べたように、本考案は表編面が合成繊維糸条、ウ
ラ面が合成繊維糸条による曲部分と吸湿性繊維による凹
部の特殊編構造となっているため、特に吸湿性、保温性
に優れ、着用時に不快感がなく快適である。

さらに耐久性、審美性にも優れているため、体育衣料用
編地、特にウオームアツプスーツ、野球ユニホーム、テ
ニスウェアーなどに好適である。

実施例 表１に示すような構成でなる編地について、保温、吸水
、耐久に関連する諸特性を比較評価した結果をまとめて
表２に示す。

なお、水滴消滅時間はＪＩＳ Ｌ−１０９６ｉ下法、平
面摩耗はＪＩＳ Ｌ−１０１８ユニホーム法、破裂強度
はＪＩＳ Ｌ−１０１８ミューレフ型法、抗ピル性はＪ
ＩＳ Ｌ−１０７６に定められた方法により測定した。

抗ベトッキ感については官能判定により、編地ウラ面が
ａ乾いている、ｂやや湿っている、Ｃぬれている、ｄベ
ラトリしていると感じられる時の編地の含水率を示して
いる。

表２のごとく本考案の編地は水滴消滅時間に示されるよ
うに吸水性に優れ、また湿潤時においても編地裏面は乾
いた状態になっているため発汗時にも保温性が良く、か
つ平面摩耗、破裂強度、抗ピル性に示されるように耐久
性面でも優れていた。

一方比較例Ａは湿潤時における抗ベトッキ感が極めて悪
く、比較例Ｂは耐久性面に極めて劣るものであった。

【図面の簡単な説明】

第１図および第３図は本考案の一実施例の編方図、第２
図は第１図から得られる編地をウラ面部から観察した斜
視図、第４図および第５図は本考案編地の構造を説明す
る断面モデル図、第６図は従来編地の構造を説明する断
面モデル図である。 Ｎ１．Ｎｏ・・・・・・吸湿性に優れた繊維糸条、Ｓ□
。 Ｓ２．Ｓｏ・・・・・・合成繊維糸条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 表編部は合成繊維糸条の編目で構成され、ウラ編部は、
   表編目１コースに対し１コースの吸湿性繊維糸条の編目
   によってなる部分Ａとさらに該ウラ編部は前記表編目１
   コースに対し１コースの吸湿性繊維糸条の編目と少なく
   とも１コ一ス以上の合成繊維糸条の編目とによってなる
   部分Ｂで組織された両面編地であって、前記ウラ編部の
   表面部に合成繊維糸条の編目が点状に散在もしくは線状
   に配列していることを特徴とする両面編地。