JPS6021301A - 圧粉磁心用鉄粉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、リアクトル・コアやノイズフィルター・コ
アなどに用いられる圧粉磁心の原料となる鉄粉に関する
ものである。

周知のように鉄粉を圧粉成形して、樹脂などで固めた圧
粉磁心は、通常の全屈磁性材料にくらべて周波数特性が
良好であり、またフェライトにくらべて温度安定性が優
れ、飽和磁束密度が高く、印加磁界に対する透磁率の変
動が小さく、更には低価格で製造できるなどの利点を有
し、そのためリアクトル・コアやノイズフィルター°コ
アなどに利用されている。

どころで圧粉磁心の重要な特性としは、直流磁界に対す
る透磁率（直流透磁率）が大きいことと、周波数特性が
良好であることが上げられる。これらのうち、第一の点
、すなわち直流透磁率は、圧粉磁心の密度と密接な関係
があり、高い圧力で成形するか、あるいは純度の高い圧
縮性の良好な鉄粉を使用することによって、比較的筒単
に向上させることができる。しかしながら第二の点、す
なわち周波数特性に対しては、これに及はづ一鉄粉性状
の影響が充分に解明されていないため、従来は他の用途
に用いられている通常の粉末冶金用鉄粉をそのまま圧粉
磁心に流用しているのが実情であり、そのため従来の圧
粉磁心においては必ずしもその周波数特性が満足できる
程度まで達しないことも多いのが実情であった。

この発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、圧粉磁
心の周波数特性と鉄粉性状との関係についての本発朗者
等の新規な知見に基づき、良好な周波数特性を安定して
得るための、通常の粉末冶金用鉄粉とは異なる鉄粉を提
供することを目的とするものである。

次にこの発明の基礎となった本発明者等の知見について
説明する。

圧粉磁心は、一般の磁性材料と同様に、使用周波数が高
くなるに従って透Ｐｉ率が直流透磁率に対し低下し、同
時に損失が増大して、ついには磁性材料として使用不可
能となる。圧粉磁心の場合、このような周波数特性に大
きく影響を及ぼすのは、本発明者等の見解によれば、（
１）粒子間の絶縁状態および（２）粒子の粒度であると
考えられる。

すなわち（１）については、鉄粉粒子が互いに圧着して
絶縁が劣化すると、圧粉磁心の見掛の電気抵抗が低下し
て、交流磁界を印加した際に粒子間に渦電流が流れやす
くなり、磁気特性が劣化する。

一方（２）については、粒子間の絶縁が充分であっても
、鉄粉粒子が粗大であれば、粒子内部に渦電流が流れや
すくなり、磁気特性が劣化する。

したがって（２）の観点からは、良好な周波数特性を維
持するために、鉄粉粒子はあまり粗大でないことが望ま
れる。しかしながら逆にあまりに細かいと、鉄粉の圧縮
性が極端に劣化し、結果として直流透磁率が低下してし
まう。したがって狼粉粒子の粒度の下限と上限を規定す
べきであると考えられる。

一方（１）の観点からは、鉄粉の見掛密度は高いことが
望ましい。すなわち、見掛密度の低い鉄粉はど、粒子が
不規則な形状をしており、そのため圧粉成形した際に粒
子間の接触面積が大きく、粒子間の絶縁が劣化しやすい
からである。ところが逆に見掛密度があまりに高いと、
周知のように圧粉成形体の強度が低下し、樹脂などを用
いて固める場合においても、成形直後の取り扱いに余程
注意しなければ成形体を破壊するおそれがあり、好まし
くない゛。したがって鉄粉の見掛密度についても、その
下限と上限を規定すべきと考えられる。

また以上のような考察からすれば、周波数特性の観点か
らは、鉄酸化物の還元によって製造される還元鉄粉より
も、溶鉄を水などで噴霧して製造されるアトマイズ鉄粉
の方が優れているよ、うに思ねれる。なぜならば、還元
鉄粉の見掛密度が通常２．５　ｇ／ｃｍ程度であるのに
対しアトマイズ鉄粉の見掛密度は通常３．０　ｇ／ｃｍ
’程度と、アトマイズ鉄粉の方が還元鉄粉よりも見掛密
度が高いからである。しかしながら本発明者等の詳細な
実験によれば、実際には還元鉄粉の方がアトマイズ鉄粉
よりも周波数特性が優れていることが判明した。この点
についてはのちに実験結果を用いて示すが、その理由は
次のように考えられる。すなわち、ふるい分析による粒
度が同程度であっても、還元鉄粉の粒子はその製造方法
に起因してスポンジ状となっているため、粒子内に空孔
の少ないアトマイズ鉄粉と比較して実質的には粒度が小
さいかのような効果を有するから、粒子内に渦電流が流
れにくく、良好な周波数特性が得られるのである。

以上のように、優れた磁気特性を有する圧粉磁心を１７
るためには、使用する鉄粉の粒度、見掛密度、および鉄
粉の製造方法に起因する鉄粉性状に着目しなければなら
ないにもかかわらず、従来はそれらの影響が充分に解明
されていなか１うたため、通常の粉末冶金用鉄粉が圧粉
磁心に使用されており、そのため充分な磁気特性が達成
されていなかったのである。

そこで本発明者等は、前述した知見に基づき、規定すべ
き鉄粉粒子の粒度および見掛密度の範囲について詳輝に
実験を進めた結果、ふるい分析からめた平均粒径が５０
〜２１０戸、見掛密度が２．８〜３．５　ｏ／ｃｍの範
囲内にある還元鉄粉が、圧粉磁心用鉄粉として優れてい
ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。

したがってこの発明の圧粉磁心用鉄粉は、鉄酸化物の還
元によって製造される鉄粉であって、しかもふるい分析
によってめられる平均粒径が５０〜２７０戸の範囲内に
あり、かつ見掛密度が２．８〜３．５　Ｑ／Ｇ〆の範囲
内にあることを特徴とするものである。

以下この発明を更に詳甲に説明する。

先ず、ふるい分析による。平均粒径の上限を２７０声と
定めた理由について説明する。第１図は、見掛密度が３
．０±０．１ｇ／Ｃ７とほぼ等しく、平均粒径の異なる
還元鉄粉および水アトマイズ鉄粉を用いて、それぞれ２
　ｔ／ｃｔの加圧力で圧粉成形して外径３８’ｍｍ、内
径２５ＩＩｌ１１１１高さ６．５ＩｎＩＩｌのリング状
成形体を作成し、インピーダンスメーターを用いて透磁
率の周波数依存性を測定することにより、限界周波数を
めた結果を示す。ここで限界周波数とは、便宜的に透磁
率が直流透磁率の８０％となる周波数と定義している。

第１０から明らかなように、平均粒径の小さいものはい
ずれの鉄粉でも限界周波数が０．３Ｍｌ−１ｚ程度とな
っているが、還元鉄粉の場合、平均粒径が２７０声を越
えれば限界周波数が０．２ＭＨ２以下と小さくなり、良
好な周波数特性が要求される圧粉磁心には適さなくなる
。

したがつＴ　還元鉄粉の平均粒径の上限を２７０陣と定
めた。また第１図から、アトマイズ鉄粉は還元鉄粉より
も周波数特性が劣り、そのため良好な周波数特性が要求
される用途には適さないことが明らかである。

、次に、平均な径の下限を５０ＪＪＩ１１とした根拠に
ついて説明す□る。第２図は第１図の測定で用いたと同
じ還元鉄粉による成形体の直流透磁率を測定した結果を
示す。第２図から、通常圧粉磁心に要求される透磁率の
最低値とされる４０程度を確保するためには、平均粒径
を５０ｐｍ以上としなければならないことが明らかであ
る。

一方、見掛密度の下限を２．８　ＭＯＩｆｉと定めたの
は次の理由による。第３図は、平均粒径がほぼ等しく、
見Ｉ！）密度の異なるミルスケール還元鉄粉を前記同様
にリング状に圧粉成形し、限界周波数をめた結果を示す
。第３図から、限界周波数０．２ＭＨｚ以上を確保する
ためには、見掛密度が２．８ｇ／ｃｍ以上でなければな
らないことが明らかである。

さらに、見掛密度の上限を３．５　ａ／ｃイと定めた理
由を第４図について説明する。この第４図は、第３図の
測定で用いたと同じ還元鉄粉を使用し、潤滑剤としてス
テアリン酸亜鉛を１重量％添加して５　ｔ／ｃ♂の加圧
力で圧粉成形し、長さ３５ＰＩＩＩ＋、幅１０ＩＩＩ１
１１高さ６ＦｌｌＩ＋の成形体を作成して、その抗折力
を測定した結果を示すものであり、見掛密度が３．５Ｑ
／ｆＪ’を越えれば、成形体として通常必要とされる抗
折ノ）　０．’５ｋ（１／−が達成されないことが明ら
かである。したがって見掛密度は３．５　ｇ／ｃｏ１ｇ
、下に収める必要がある。

以上のように原料鉄粉として、ミルスケール還元鉄粉な
どの還元鉄粉であってしかもその平均粒径が５０〜２７
０声、見掛密度が２．８〜３．５　ｇ／ａｍの範囲内の
鉄粉を使用することによって、はじめて優れた特性を有
する圧粉磁心が安定して得られることが明らかである。

以下にこの発明の実施例を記す。

実施例１ 平均粒径７８戸、見掛密度２．９３（ＩＩ／　ｃｍのミ
ルスケール３■元鉄粉を２ｔ／　ｃ／で圧粉成形し、外
径３８ｍｍ、内径２５．ｍｍ、高さ６．５＋！ｌＩＩ＋
のリング状成形体を作成し、インピ−ダンスメーターに
より透磁率の周波数依存性を測定した結果、直流透ｍ率
５１、限界周波数０．２９ＭＨ７を達成した。

実施例２ 平均粒径２１５声、見掛密度３．０３（Ｊ／Ｃ♂のミル
スケール還元鉄粉について、実施例１と同様な実験を行
ない、直流透磁率５７、限界周波数０．２８ＭＨ２を達
成した。

実施例３ 平均粒径８３ｐＨｌ、見掛密痕３．２２ｇ／ｃイのミル
スケール還元鉄粉について、実施例１と同様な実験を行
ない、直流透磁率４９、限界周波数０．３８ＭＨ２を達
成した。

以上の説明で明らかなように、この発明の圧粉磁心用鉄
粉は、リアクトル・コアやノイズフィルター・コアなど
に用いられる圧粉磁心の原料粉末に最適なものであり、
これを用いることによって磁心としての磁気特性、特に
周波数特性の優れた圧粉磁心を安定して得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉の平均粒径とそ
れらの鉄粉を用いた成形体の限界周波数との関係を示す
相関図、第２図は還元鉄粉の平均粒径とそれを用いた鉄
粉成形体の直流透磁率との関係を示す相関図、第３図は
還元鉄′粉の見掛密度とそれを用いた鉄粉成形体の限稈
周波数との関係を示す相関図、第４図は還元鉄粉の見掛
密度とそれを用いた鉄粉成形体の抗折カとの関係を示す
相関図である。 出願人　川崎製鉄株式会社 代理人　弁理士　豊１）武久 （ばか１名） 第１区 平均粒怪（μｍ） 第２図 渠均救怪（、ｐｕｎ） 第３図 ″′（ 椰 契Ｌ４１１ト〜ｐ　度　ζμヨうン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 鉄酸化物の還元によって製造される鉄粉であって、しか
   もふるい分析によってめられる平均粒径が５０〜２７０
   声の範囲内にあり、かつ見掛密度が２．８〜３．５　Ｍ
   Ｃ♂の範囲内にあることを特徴とする圧ね磁心用鉄粉。