JPH11513335A - アンティロックブレーキシステム用ソレノイド弁及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 モジュレーターの胴体をソレノイド弁の構成要素として利用するＡＢＳ用２ポジション／３ウェイソレノイド弁及びその製造方法を開示する。弁ハウジングには１つのポートだけが形成され、モジュレーターの胴体に形成されている３つの流路のうち１つは上記ポートと連通し、残りの流路は第２及び第３ポートとして利用される。上記弁ハウジングの一端はカバーで閉鎖され、入口ノズルはプッシュロッドが上記入口ノズルのノズル孔に挿入された状態で上記弁ハウジングの他端に嵌合される。上記プッシュロッドは、上記入口ノズルとカバーにより形成された第１チャンバー内に含まれたアマチュアに固定される。上記第１チャンバーは第１ポートと連通する。スプールは上記プッシュロッドと一体に形成され、上記入口ノズルと上記第３ポート上に装着された出口ノズルとにより形成された第２チャンバー内に位置して、上記入口ノズルと上記出口ノズルのうち１つを閉鎖する。また、弁を製造する方法が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 アンティロックブレーキシステム用ソレノイド弁及びその製造方法 〔発明の背景〕 １．発明の分野 本発明はアンティロックブレーキシステム（anti-lock brake system；以下、 ＡＢＳという）用２ポジション／３ウェイソレノイド弁に関し、より詳しくは、 モジュレーターブロックを弁の一部構成要素として利用したＡＢＳ用２ポジショ ン／３ウェイソレノイド弁に関する。 ２．従来の技術 車両の制動時に車輪のロッキングを防止するＡＢＳは周知されている。制動時 において、車輪がロッキングされて地面を滑れば、タイヤと地面との間の摩擦力 が低減され、制動距離が長くなる。ＡＢＳはこのようなロッキングを防止するた めに開発された。ＡＢＳの作動原理は、車輪に作用する制動圧力の増加、維持ま たは減少を繰り返して、車輪のロッキングが発生しないようにするというもので ある。通常、制動圧力の増加は加圧モードと、制動圧力の維持は定圧モードと、 また制動圧力の減少は減圧モードと称される。ＡＢＳは一般に、マスターシリン ダーでない圧力発生源（ポンプなど）、電気信号によって作動する弁、車輪の回 転速度を感知するセンサー、及び効率的な制動のために所定のアルゴリズムによ って弁を開閉させる制御器で構成される。 図１Ａは、常時開放型及び常時閉鎖型の２ポジション／２ウェイソレノイド弁 を利用したＡＢＳを示す概略図である。加圧モードにおいて、第１及び第２の２ ポジション／２ウェイソレノイド弁Ｓ２２０及びＳ２２１に電力が印加されない ため、油圧ポンプ１２０の出口側の第１弁Ｓ２２０は開放され、油圧ポンプ１２ ０の入口側の第２弁Ｓ２２１は閉鎖され、油圧ポンプ１２０から発生した油圧は 車輪に装着されたブレーキホイールシリンダーに提供される。定圧モードにおい ては、第１弁Ｓ２２０に電力が印加され、第１弁Ｓ２２０が閉鎖され、ブレーキ ホイールシリンダーの圧力が一定に保持される。減圧モードにおいては、第１弁 Ｓ２２０及び第２弁Ｓ２２１に電力が印加され、第１弁Ｓ２２０は閉鎖され、第 ２弁Ｓ２２１は開放されて、ブレーキホイールシリンダーの圧力が減少する。し かし、このようなシステムは安定的に作用しはするものの、１つの車輪に２つの ソレノイド弁が必要であるため、弁の使用数量の増加及びブレーキシステム全体 のサイズが増大するという問題点があった。 図１Ｂは、３ポジション／３ウェイソレノイド弁を利用した従来のＡＢＳを示 す概略図である。加圧モードにおいて、３ポジション／３ウェイソレノイド弁Ｓ ３３０に電力が印加されないため、油圧ポンプ１２０によって発生した油圧はブ レーキホイールシリンダーに提供されて、制動圧力が上昇する。定圧モードにお いては、３ポジション／３ウェイソレノイド弁Ｓ３３０に１次オン信号が印加さ れ、３ポジション／３ウェイソレノイド弁Ｓ３３０の３つの通路が全て閉鎖され 、ブレーキホイールシリンダーの圧力が一定に保持される。減圧モードにおいて は、３ポジション／３ウェイソレノイド弁Ｓ３３０に第１次オン信号の約２倍の 振幅を有する第２次オン信号が印加され、ブレーキホイールシリンダーの圧力が 減少する。ところが、かかるシステムは１つの車輪に１つの弁でよいため弁の使 用数量は減少するが、弁の構造が複雑で弁のサイズが大きく、かつ、２段電圧制 御に因り電子制御装置の構造が複雑で、反応時間が遅く、しかも弁作動時に大き な力を必要とするためシステムが不安定であるという問題点があった。 従って、ソレノイド弁の使用数量が少なく、安定した動作を有するＡＢＳ及び これに使用されるソレノイド弁の開発が要求されている。 〔発明の要約〕 本発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、本発明者 はＡＢＳに使用されるソレノイド弁がモジュレーターブロックに内蔵されるとい う点に着目し、モジュレーターブロックをソレノイド弁の構成要素の一部として 使用する２ポジション／３ウェイソレノイド弁を開発した。 本発明の第１の目的は、モジュレーターブロックをソレノイド弁の構成要素の 一部として利用して、製造費用が低廉で、小型化及び軽量化が可能なＡＢＳ用２ ポジション／３ウェイソレノイド弁を提供することにある。 本発明の第２の目的は、上記ＡＢＳ用２ポジション／３ウェイソレノイド弁の 製造方法を提供することにある。 上記第１の目的を達成するための本発明によるソレノイド弁は、 油圧発生源から流体が提供される１つのポートを備えた円筒状のハウジングと 、一側の中心部に上記ハウジング内に延びる突出部を備え上記ハウジングと気密 に結合して上記ハウジングの一端を閉鎖する円筒状のカバーとからなる弁胴体； 流体が流入する第１流路、流体が出入りする第２流路、及び流体が流出する第 ３流路が形成され、上記第１流路が上記ポートと連通するように上記弁胴体と嵌 合により結合されるモジュレーターブロック； 上記ハウジングと上記カバーと上記モジュレーターブロックとにより形成され たチャンバーを区分して、上記ポートと連通する第１チャンバーと上記第２流路 及び上記第３流路と連通する第２チャンバーとを形成し、上記第１チャンバーと 上記第２チャンバーとを連通させる第１開口を有する隔壁； 電気信号に応じて上記隔壁に形成された第１開口と上記第３流路を選択的に開 閉して、上記ポートと上記第２流路とを連通させたり或いは上記第２流路と上記 第３流路とを連通させるように作動し、電気信号が印加されないノーマル状態で は上記第３流路を閉鎖する第１位置に位置し、電気信号が印加されるアクチブ状 態では上記第１開口を閉鎖する第２位置に位置する、上記第１開口を通して上記 第１チャンバーから上記第２チャンバーに延び、上記弁胴体の長手方向に沿って 移動可能な弁開閉手段；及び 環状のソレノイドコイルと、上記ソレノイドコイルが巻かれているボビンと、 上記ソレノイドコイルと電気的に連結され上記弁胴体の外部に露出される一対の 電極とで構成され、電気信号が印加されない状態で上記第１位置にある上記弁開 閉手段を電気信号の印加によって上記第２位置に移動させる上記突出部を取り囲 むように、上記ハウジング内に設置されたソレノイドアセンブリー；で構成され る。 上記第２の目的を達成するための本発明によるソレノイド弁の製造方法は、 流体が流入する第１流路、流体が出入りする第２流路、及び流体が流出する第 ３流路が形成されたモジュレーターブロックの上記第３流路上に出口ノズルをノ ズル孔が上記第３流路と連通するように圧入し、気密に結合する段階と、 上記第２流路を出入りする流体をろ過するカリバーフィルターを上記モジュレ ーターブロックに挿入する段階とからなるモジュレーターブロック組立体の組立 段階； スプールが一体に形成されたプッシュロッドに入口ノズルとブッシュを嵌め、 アマチュアの両端にそれぞれ形成された閉鎖孔にスプリングガイド軸と入口ノズ ル及びブッシュの嵌められた上記プッシュロッドとを挿入し、上記アマチュアを 外側から圧着することで、上記スプリングガイド軸と上記プッシュロッドを上記 アマチュアに固定して弁開閉手段を組み立てる段階と、 弁ハウジング内に上記弁開閉手段が収容され、往復移動可能な空間が確保され るように上記ハウジング内に円筒状の密封部材を挿入し、上記ハウジングと上記 密封部材によって形成された空間にソレノイドコイルが巻かれたボビンを挿入し 、ソレノイドカバーを圧入し、上記ハウジングと上記ソレノイドカバーとを気密 に結合し、上記ハウジングと上記円筒状シリンダーと上記ソレノイドカバーに形 成され上記シリンダーの内部に挿入される突出部とにより形成されたチャンバー を気密に形成する段階と、 上記弁開閉手段の上記スプリングガイド軸にスプリングを嵌め、上記チャンバ ー内に挿入する段階と、 上記入口ノズルと上記ハウジングとを気密に結合する段階と、 上記ハウジングの外部に第１のＯリングと上記第１流路に流入する流体をろ過 するポンプフィルターと第２のＯリングを嵌める段階とからなるソレノイド弁組 立体の組立段階；及び 上記ソレノイド弁組立体を上記モジュレーターブロック組立体に挿入して固定 する段階；で構成される。 本発明による２ポジション／３ウェイソレノイド弁によれば、ソレノイドコイ ルに電力が印加されていない場合は、スプールがスプリングの弾性力により第３ ポートを閉鎖しているため、第１ポートと第２ポートとが連通する。ソレノイド コイルに電力が印加されれば、スプールがスプリングの弾性力を克服して後退す るため、第３ポートは開放され第１ポートは閉鎖されて、第２ポートと第３ポー トとが連通する。本発明のソレノイド弁は構造が簡単で且つ部品数が少ないため 故障が少なく、また作動時のエラー発生可能性が低くて信頼度が高い。さらに、 反応が速いため高性能のＡＢＳを構成することができる。 本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁を使用して構成されたＡＢＳに よれば、運転者がブルーキペダルを踏めば、各車輪に装着された車輪速度センサ ーからの信号に基づいてモーターが作動し、ＡＢＳが作動し始める。加圧モード において、ポンプにより発生した油圧は、本発明の２ポジション／３ウェイソレ ノイド弁の第１ポート及び第２ポートを介してブレーキホイールシリンダーに提 供される。この時、２ポジション／３ウェイソレノイド弁は常時開放型であるた め、電力が印加されない。減圧モードでは、ソレノイドコイルに電力が印加され て第１ポートは閉鎖され、第２ポートと第３ポートとは連通する。第２ポートと 第３ポートとが連通すれば、ブレーキホイールシリンダーに貯蔵された流体の一 部が第３ポートを介してアキュムレーターに伝達され、制動圧力が減少する。定 圧モードは、ＰＷＭ信号制御またはバングバング制御によってソレノイド弁の開 閉を繰返すことで達成される。 本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁を使用して構成されたＡＢＳに よれば、各チャンネルに１つの２ポジション／３ウェイソレノイド弁が割り当て られるため、ソレノイドの駆動のための弁の使用個数が減少する。従って、シス テムが単純化され、誤作動の可能性が減少するため、信頼度の高い制動特性を有 するＡＢＳの提供が可能となる。 〔図面の簡単な説明〕 本発明の目的、構成、作用及び効果は、下記の望ましい実施例に対する添付図 面を用いての詳細な説明によって、より明らかになろう。添付図面において、 図１Ａは２ポジション／２ウェイソレノイド弁を利用した従来のアンティロッ クブレーキシステムの概略的な油圧回路図である。 図１Ｂは３ポジション／３ウェイソレノイド弁を利用した従来のアンティロッ クブレーキシステムの概略的な油圧回路図である。 図２は本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁の断面図である。 図３は本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁の組立図である。 図４はモジュレーターブロック組立体及びソレノイド弁組立体の組立がそれぞ れ完了した後の、両者が一体に組み立てられる前の状態を示す本発明の２ポジシ ョン／３ウェイソレノイド弁の組立図である。 図５は本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁を使用して構成されたア ンティロックブレーキシステムの一例を示す構成図である。 〔発明を実施するための最良の形態〕 以下、図２及び図５を参照しながら本発明による２ポジション／３ウェイソレ ノイド弁の望ましい実施例について詳細に説明する。 本実施例による２ポジション／３ウェイソレノイド弁１００は、大きく分けて モジュレーターブロック組立体１１０とソレノイド弁組立体１２０とで構成され る。 モジュレーターブロック１には３つの流路が形成され、そのそれぞれはマスタ ーシリンダー８２、車輪に装着されたブレーキホイールシリンダー（図示せず） 及びアキュムレーター６６と連通する。マスターシリンダー８２により発生した 油圧が矢印Ａ方向に伝達される流路は、ハウジング２に形成された第１ポート２ ０とポンプフィルター１５を介して連通する。矢印Ｂ方向に油圧が伝達されブレ ーキホイールシリンダー（図示せず）と連通する流路は第２ポート３０を構成し 、矢印Ｃ方向に油圧が伝達されアキュムレーター６６と連通する流路は第３ポー ト４０を構成する。 第３ポート４０は出口ノズル８を介して第２チャンバー３２と連通し、第２チ ャンバー３２はモジュレーターブロック１内に形成されて、圧入及びコーキング によりハウジング２と結合された入口ノズル７と、モジュレーターブロック１に 形成された第３ポート４０と連通するように圧入及びコーキングによりモジュレ ーターブロック１と結合された出口ノズル８とにより限定される。第２チャンバ ー３２はまた、モジュレーターブロック１に形成された第２ポート３０とカリパ ーフィルター１４を介して連通する。 第１チャンバー２８はハウジング２内に形成され、第１チャンバー２８の一端 は入口ノズル７により限定され、他端はソレノイドカバー３により限定される。 第１チャンバー２８にはスプリング１３、スプリングガイド軸１２、アマチュ ア６、プッシュロッド２２及びブッシュ１０が含まれる。スプリング１３の一端 はソレノイドカバー３に支持され、他端はスプリングガイド軸１２に嵌められた 状態でアマチュア６に支持される。スプリングガイド軸１２はアマチュア６の一 端の中心部に挿入固定され、スプリング１３をガイド及び支持する機能を持つ。 アマチュア６は強磁性体でできていて、ハウジング２も同一の材質で製作するこ とができる。アマチュア６の他端部にはプッシュロッド２２が挿入固定される。 プッシュロッド２２はブッシュ１０と入口ノズル７を貫いて伸び、プッシュロ ッド２２の端部にはスプール９が一体に形成される。プッシュロッド２２とアマ チュア６とは圧着により組み立てられる。ブッシュ１０はプッシュロッド２２を 支持する機能を有し、プッシュロッド２２の挿入される開口の外に流体の流通す る通孔が形成されている。この流通孔の形状及び個数は特に限定されず、ソレノ イド弁の作動が円滑になされるように決定される。スプール９は第２チャンバー ３２内でプッシュロッド２２の軸方向に往復運動しながら、入口ノズル７及び出 口ノズル８を選択的に開閉する。プッシュロッド２２及びスプール９は、例えば 冷間圧延法によって製作され、ロックウェル硬度で６０乃至６５の硬度を有する のが望ましい。出口ノズル８に形成された出口弁座面２６に安着するスプール９ の端部は、例えば半球状であり、出口弁座面２６はそこに安着するスプール９の 端部の形状と整合する形状である。 プッシュロッド２２の貫通する入口ノズル孔３４の直径はプッシュロッド２２ の直径より大きく形成され、入口ノズル孔３４とプッシュロッド２２との間に間 隙が形成される。この間隙を通して第１チャンバー２８と第２チャンバー３２と が連通する。スプール９と接触する入口ノズル７に形成された入口弁座面２４の 形状は、接触時に流体の流れが断絶されるように、入口弁座面２４に安着するス プール９の形状と整合する形状である。 本実施例による２ポジション／３ウェイソレノイド弁１００は、常時開放型 （normally open type）であるため、電力の提供されないノーマル状態ではスプ ール９が出口ノズル８に形成された出口弁座面２６に安着する開放位置に位置し て第３ポート４０を閉鎖するため、マスターシリンダー８２から発生した制動圧 力は第１ポート２０、第１チャンバー２８、入口ノズル７、第２チャンバー３２ 及び第２ポート３０を通してブレーキホイールシリンダー（図示せず）に提供さ れる。ソレノイドコイル５に電力が印加された場合、ソレノイドアセンブリー１ ８により発生した磁束に因ってアマチュア６がスプリング１３の弾性力を克服し ソレノイドカバー３側に後退する。これにより、スプール９も出口ノズル８に形 成された出口弁座面２６から分離され、入口ノズル７に形成された入口弁座面２ ４に安着し入口ノズル７を閉鎖する閉鎖位置に移動するようになる。スプール９ が閉鎖位置に位置すれば、第１ポート２０は閉鎖され第３ポート４０は開放され て、第２ポート３０と第３ポート４０とが連通するようになる。 ソレノイドアセンブリー１８は環状のソレノイドコイル５とこのソレノイドコ イル５が巻かれるボビン４とからなり、ボビン４は、例えばモールディングによ って一体として形成され、その内部に巻かれたソレノイドコイル５に流体が浸入 するのを防止する。また、ソレノイドアセンブリー１８は円筒状のシリンダー１ １の外周に嵌められ、このシリンダー１１によって第１チャンバー２８内の流体 から保護される。シリンダー１１は、ソレノイドアセンブリー１８によって発生 した磁束を遮断する機能を有するように、非磁性体で作られる。電気端子３６は ハウジング２の外部に露出され導線と連結されることでソレノイドコイル５に電 力が提供される。 シリンダー１１には第１チャンバー２８内の流体が漏れないようにソレノイド カバー３に形成された突出部１９が挿入される。突出部１９はシリンダー１１の 内壁と整合するように円筒状を有し、その中心部にはスプリング１３が挿入され るための、一端の閉鎖されたホール３８が形成されている。ホール３８の閉鎖面 にスプリング１３の一端が支持され、スプリング１３の他端はアマチュア６に支 持され、アマチュア６が所定の力でブッシュ１０側に加圧される。 第１、第２のＯリング１６、１６′はポンプフィルター１５を隔ててハウジン グ２の周りに提供される。第１、第２のＯリング１６、１６′は第１ポート２０ の気密性を保持するために提供される。 図３及び図４は、本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁の組立図であ る。同図に示すように、モジュレーターブロック１に出口ノズル８を圧入しコー キング処理してモジュレーターブロック１と出口ノズル８との間の気密性を保持 するようにする。次に、カリパーフィルター１４を挿入すれば、モジュレーター ブロック組立体１１０の組立が完了する。 ソレノイド弁組立体１２０は、次のような順に製造される。 ハウジング２にステンレススチール材のシリンダー１１を圧入した後、ソレノ イドコイル５を含んだ状態で成形されたボビン４をシリンダー１１とハウジング ２との間に形成された空間に挿入し、ソレノイドカバー３を圧入してから、ソレ ノイドカバー３とハウジング２との結合部をコーキング処理してソレノイドカバ ー３を固定する。圧入時には、ソレノイドカバー３の突出部１９に形成されたテ ーパ面４２がシリンダー１１の内側面と強引に嵌合されることにより、気密性が 保持される。 スプール９が一体に形成されたプッシュロッド２２を入口ノズル７とブッシュ １０を通してアマチュア６に形成された第１孔２１に挿入する。スプリングガイ ド軸１２をプッシュロッド２２の挿入される第１孔２１と反対の側に形成された 第２孔２３に挿入する。次いで、アマチュア６の外側からアマチュア６を圧着し てプッシュロッド２２とスプリングガイド軸１２をアマチュア６に固定する。 スプリングガイド軸１２にスプリング１３を嵌め、プッシュロッド２２とスプ リングガイド軸１２とが固定されたアマチュア６をハウジング２に入れる。入口 ノズル７とハウジング２との結合部をコーキング処理して、入口ノズル７をハウ ジング２に固定し、気密が保持されるようにする。 ハウジング２の外周に第１のＯリング１６、ポンプフィルター１５及び第２の Ｏリング１６′を順に結合すれば、ソレノイド弁組立体１２０の組立が完了する 。図４は組立の完了したモジュレーターブロック組立体１１０及びソレノイド弁 組立体１２０を示しており、モジュレーターブロック組立体１１０にソレノイド 弁組立体１２０を挿入すれば、本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁の 組立が完了する。 図５は本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁１００を使用して構成さ れたＡＢＳ３００の一例を示す構成図である。同図に示すＡＢＳ３００は１つの マスターシリンダーが互いに対角線方向に対向する車輪に割り当てられる対角ス プリット型（diagonal split type）の制動システムであるが、必ずしもこれに 限定されるものではない。理解を容易にするために、図５には、１次マスターシ リンダー（ＭＣＰ）と、これに割り当てられた後方右側の車輪（ＲＲ）及び前方 左側の車輪（ＦＬ）に対する構成のみを示す。それぞれの車輪（ＲＲ及びＦＬ） には第１車輪速度センサー９２と第２車輪速度センサー９４が装着され、第１車 輪速度センサー９２と第２車輪速度センサー９４から出力された速度信号はＡＢ Ｓ３００の動作を制御するＥＣＵ９０に入力される。ＥＣＵ９０の出力側にはポ ンプ５８駆動用モーター５６、第１ソレノイド弁Ｓ１及び第２ソレノイド弁Ｓ２ が接続される。 以下、図２及び図５を参照しながら、本発明の２ポジション／３ウェイソレノ イド弁１００とこれを利用して構成されたＡＢＳ３００の作動について説明する 。 運転者がブレーキペダル８０を踏めば、１次マスターシリンダー（ＭＣＰ）か ら発生した油圧は第１ポート２０と第２ポート３０を通して４つの後方右側及び 前方左側の車輪（ＲＲ及びＦＬ）にそれぞれ装着されたブレーキホイールシリン ダー（図示せず）に提供され、ＡＢＳ３００の非作動状態で通常の制動が行われ る。ＡＢＳ３００が作動する場合、ＥＣＵ９０に記憶された所定のアルゴリズム によってＥＣＵ９０から出力されたモーター駆動信号によりモーター５６が駆動 され、ＥＣＵ９０から出力された弁開閉信号によって第１ソレノイド弁Ｓ１及び 第２ソレノイド弁Ｓ２の第１ポート２０及び第３ポート４０が開閉され、制動圧 力が増加（加圧モード）、保持（定圧モード）、減少（減圧モード）される。 加圧モードにおいて、ポンプ５８から発生した油圧はダンパー６２を経てＡＢ Ｓ３００が作動しない通常の制動モードでのように、第１ポート２０と第２ポー ト３０を通過して車輪（ＲＲ及びＦＬ）に装着されたブレーキホイールシリンダ ーに提供され、制動圧力が増加する。常時開放型である本発明の２ポジション／ ３ウェイソレノイド弁１００はソレノイドコイル５に電力が印加されない状態で スプリング１３の弾性力によってスプール９が出口弁座面２６に安着し第３ポー ト４０を閉鎖しているため、ポンプ５８によって発生した油圧はＡＢＳ３００が 作動しない通常の制動モードと同一な経路を通ってブルーキホイールシリンダー に提供される。ポンプ５８の出口側にダンパー６２を位置させることで、ポンプ ５８のポンピング作用により発生した脈動現象が減少する。 減圧モードにおいて、ソレノイドコイル５にオン信号が印加されれば、ソレノ イドコイル５によって発生した磁気力によりアマチュア６がスプリング１３の弾 性力を克服して、ソレノイドカバー３側に引き付けられる。これにより、スプー ル９が出口弁座面２６から後退して入口弁座面２４に安着するので、第３ポート ４０が開放され、第１ポート２０は閉鎖される。従って、ブレーキホイールシリ ンダー内の流体は第２ポート３０及び第３ポート４０を通してアキュムレーター ６６に提供され、制動圧力が減少する。 定圧モードは、例えば、パルス幅変調（ＰＷＭ）、バングバング制御（bang-b ang control）などによってスプール９を繰返し作動させることにより実現され る。即ち、ソレノイドコイル５に電力が繰返し印加されれば、スプール９によっ て第１ポート２０または第３ポート４０が開閉を繰返すようになり、制動圧力が 所定の圧力レベルに保持される。 以上説明したように、本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁はモジュ レーターブロック１をソレノイド弁の構成部材として利用することで、構造が簡 単で部品数が少なくて済むため、作動時のエラー発生率が低く信頼度が非常に高 い。 また、本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁は組立てが容易で、製造 費用の節減が図れる。 本発明の２ポジション／３ウェイソレノイド弁を使用して構成されたＡＢＳに よれば、各車輪に１つの２ポジション／３ウェイソレノイド弁が割り当てられる ため、ソレノイドの駆動のための弁の使用個数が減少する。従って、システムが 単純化され、誤作動の可能性が減少するため、信頼度の高い制動特性を有するＡ ＢＳの提供が可能となる。 以上、本発明を望ましい実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明はこれ に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更及び改良が 可能なことは勿論である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．油圧発生源から流体が提供される１つのポートを備えた円筒状のハウジン グと、一側の中心部に上記ハウジング内に延びる突出部を備え上記ハウジングと 気密に結合して上記ハウジングの一端を閉鎖する円筒状のカバーとからなる弁胴 体； 流体が流入する第１流路、流体が出入りする第２流路、及び流体が流出する第 ３流路が形成され、上記第１流路が上記ポートと連通するように上記弁胴体と嵌 合により結合されるモジュレーターブロック； 上記ハウジングと上記カバーと上記モジュレーターブロックとにより形成され たチャンバーを区分して、上記ポートと連通する第１チャンバーと上記第２流路 及び上記第３流路と連通する第２チャンバーとを形成し、上記第１チャンバーと 上記第２チャンバーとを連通させる第１開口を有する隔壁； 電気信号に応じて上記隔壁に形成された第１開口と上記第３流路を選択的に開 閉して、上記ポートと上記第２流路とを連通させたり或いは上記第２流路と上記 第３流路とを連通させるように作動し、電気信号が印加されないノーマル状態で は上記第３流路を閉鎖する第１位置に位置し、電気信号が印加されるアクチブ状 態では上記第１開口を閉鎖する第２位置に位置する、上記第１開口を通して上記 第１チャンバーから上記第２チャンバーに延び、上記弁胴体の長手方向に沿って 移動可能な弁開閉手段；及び 環状のソレノイドコイルと、上記ソレノイドコイルが巻かれているボビンと、 上記ソレノイドコイルと電気的に連結され上記弁胴体の外部に露出される一対の 電極とで構成され、電気信号が印加されない状態で上記第１位置にある上記弁開 閉手段を電気信号の印加によって上記第２位置に移動させる上記突出部を取り囲 むように、上記ハウジング内に設置されたソレノイドアセンブリー；で構成され ることを特徴とするソレノイド弁。 ２．上記弁開閉手段は、 上記ソレノイドアセンブリーにより発生した磁気力に反応して長手方向に移動 するアマチュア； 一端が上記カバーの突出部の中心に形成されるホールの閉鎖面に支持され、他 端は上記アマチュアに支持されるスプリング； 上記スプリングに挿入され上記スプリングを支持する、上記アマチュアの一端 に固定されたスプリングガイド軸； 上記アマチュアの他端に固定されるプッシュロッド；及び 上記プッシュロッドと一体に形成されたスプール；で構成され、 上記第１チャンバー内には上記スプリング、上記スプリングガイド軸、上記ア マチュア及び上記プッシュロッドが含まれ、上記第２チャンバー内には上記スプ ールが含まれ、上記プッシュロッドは上記隔壁に形成された上記第１開口を貫通 して上記第２チャンバー内の上記スプールに連結されていることを特徴とする請 求項１記載のソレノイド弁。 ３．上記隔壁は入口ノズルになっていて、上記第１開口は上記入口ノズルのノ ズル孔であり、上記入口ノズルに形成された上記第１開口の直径は上記第１開口 を貫通する上記プッシュロッドの直径より大きく形成され、これにより上記第１ 開口と上記プッシュロッドとの間には所定の間隙が形成され、これを通して上記 第１チャンバーと上記第２チャンバーとが連通することを特徴とする請求項２記 載のソレノイド弁。 ４．出口ノズルが上記隔壁と対向して上記第２チャンバーと上記第３流路との 間に装着され、第２開口は上記第２チャンバーと上記第３流路とを連通させるよ うに上記第１開口と同軸的に上記出口ノズルに提供されることを特徴とする請求 項１記載のソレノイド弁。 ５．円筒状の密封部材が上記ソレノイドアセンブリーにより取り囲まれるよう に設置され、上記突出部は上記密封部材の一端に強引に嵌合され、上記密封部材 の他端は上記ハウジングの内壁と気密に結合されることを特徴とする請求項１記 載のソレノイド弁。 ６．上記第１チャンバー内の上記アマチュアと上記入口ノズルとの間に提供さ れた、上記プッシュロッドを支持するブッシュをさらに含むことを特徴とする請 求項２記載のソレノイド弁。 ７．油圧発生源から流体が提供される１つのポートを備えた円筒状のハウジン グと、一側の中心部に上記ハウジング内に延びる突出部を備え上記ハウジングと 気密に結合して上記ハウジングの一端を閉鎖する円筒状のカバーとからなる弁胴 体； 流体が流入する第１流路、流体が出入りする第２流路、及び流体が流出する第 ３流路が形成され、上記第１流路が上記ポートと連通するように上記弁胴体と嵌 合により結合されるモジュレーターブロック； 上記ハウジングと上記カバーと上記モジュレーターブロックとにより形成され たチャンバーを区分して、上記ポートと連通する第１チャンバーと、上記第２流 路及び上記第３流路と連通する第２チャンバーとを形成し、上記第１チャンバー と上記第２チャンバーとを連通させる第１開口を有する隔壁； 電気信号に応じて上記隔壁に形成された第１開口と上記第３流路を選択的に開 閉して、上記ポートと上記第２流路とを連通させたり或いは上記第２流路と上記 第３流路とを連通させるように作動し、電気信号が印加されないノーマル状態で は上記第３流路を閉鎖する第１位置に位置し、電気信号が印加されるアクチブ状 態では上記第１開口を閉鎖する第２位置に位置する、上記第１開口を通して上記 第１チャンバーから上記第２チャンバーに延び、上記弁胴体の長手方向に沿って 移動可能な弁開閉手段；及び 環状のソレノイドコイルと、上記ソレノイドコイルが巻かれているボビンと、 上記ソレノイドコイルと電気的に連結され上記弁胴体の外部に露出される一対の 電極とで構成され、電気信号が印加されない状態で上記第１位置にある上記弁開 閉手段を電気信号の印加によって上記第２位置に移動させる上記突出部を取り囲 むように、上記ハウジング内に設置されたソレノイドアセンブリー；で構成され 、 上記弁開閉手段は、 上記ソレノイドアセンブリーにより発生した磁気力に反応して長手方向に移動 するアマチュア； 一端が上記カバーの突出部の中心に形成されるホールの閉鎖面に支持され、他 端は上記アマチュアに支持されるスプリング； 上記スプリングに挿入され上記スプリングを支持する、上記アマチュアの一端 に固定されたスプリングガイド軸； 上記アマチュアの他端に固定されるプッシュロッド；及び 上記プッシュロッドと一体に形成されたスプール；で構成され、 上記第１チャンバー内には上記スプリング、上記スプリングガイド軸、上記ア マチュア及び上記プッシュロッドが含まれ、上記第２チャンバー内には上記スプ ールが含まれ、上記プッシュロッドは上記隔壁に形成された上記第１開口を貫通 して上記第２チャンバー内の上記スプールに連結され、 上記隔壁は入口ノズルになっていて、上記第１開口は上記入口ノズルのノズル 孔であり、上記入口ノズルに形成された上記第１開口の直径は上記第１開口を貫 通する上記プッシュロッドの直径より大きく形成され、これにより上記第１開口 と上記プッシュロッドとの間には所定の間隙が形成され、これを通して上記第１ チャンバーと上記第２チャンバーとが連通し、 出口ノズルが上記隔壁と対向して上記第２チャンバーと上記第３流路との間に 装着され、第２開口は上記第２チャンバーと上記第３流路とを連通させるように 上記第１開口と同軸的に上記出口ノズルに提供され、 円筒状の密封部材が上記ソレノイドアセンブリーにより取り囲まれるように設 置され、上記突出部は上記密封部材の一端に強引に嵌合され、上記密封部材の他 端は上記ハウジングの内壁と気密に結合され、 上記第１チャンバー内の上記アマチュアと上記入口ノズルとの間に提供された 、上記プッシュロッドを支持するブッシュをさらに含むことを特徴とするソレノ イド弁。 ８．流体が流入する第１流路、流体が出入りする第２流路、及び流体が流出す る第３流路が形成されたモジュレーターブロックの上記第３流路上に出口ノズル をノズル孔が上記第３流路と連通するように圧入し、気密に結合する段階と、 上記第２流路を出入りする流体をろ過するカリパーフィルターを上記モジュレ ーターブロックに挿入する段階とからなるモジュレーターブロック組立体の組立 段階； スプールが一体に形成されたプッシュロッドに入口ノズルとブッシュを嵌め、 アマチュアの両端にそれぞれ形成された閉鎖孔にスプリングガイド軸と、入口ノ ズル及びブッシュの嵌められた上記プッシュロッドを挿入し、上記アマチュアを 外側から圧着することで、上記スプリングガイド軸と上記プッシュロッドを上記 アマチュアに固定して弁開閉手段を組み立てる段階と、 弁ハウジング内に上記弁開閉手段が収容され、往復移動可能な空間が確保され るように上記ハウジング内に円筒状の密封部材を挿入し、上記ハウジングと上記 密封部材によって形成された空間にソレノイドコイルが巻かれたボビンを挿入し 、ソレノイドカバーを圧入し、上記ハウジングと上記ソレノイドカバーとを気密 に結合し、上記ハウジングと上記円筒状シリンダーと上記ソレノイドカバーに形 成され上記シリンダーの内部に挿入される突出部とにより形成されたチャンバー を気密に形成する段階と、 上記弁開閉手段の上記スプリングガイド軸にスプリングを嵌め、上記チャンバ ー内に挿入する段階と、 上記入口ノズルと上記ハウジングとを気密に結合する段階と、 上記ハウジングの外部に第１のＯリングと上記第１流路に流入する流体をろ過 するポンプフィルターと第２のＯリングを嵌める段階とからなるソレノイド弁組 立体を組み立てる段階；及び 上記ソレノイド弁組立体を上記モジュレーターブロック組立体に挿入して固定 する段階；で構成されることを特徴とするソレノイド弁の製造方法。 ９．上記モジュレーターブロックと上記出口ノズルとの気密な結合、上記ハウ ジングと上記入口ノズルとの気密な結合、及び上記ハウジングと上記ソレノイド カバーとの気密な結合がコーキング処理によって行われることを特徴とする請求 項８記載のソレノイド弁の製造方法。