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JPH1135777A - 帯電防止アクリル系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

帯電防止アクリル系樹脂組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1135777A
JPH1135777A JP18968297A JP18968297A JPH1135777A JP H1135777 A JPH1135777 A JP H1135777A JP 18968297 A JP18968297 A JP 18968297A JP 18968297 A JP18968297 A JP 18968297A JP H1135777 A JPH1135777 A JP H1135777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic resin
component
surfactant
polyetherester
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18968297A
Other languages
English (en)
Inventor
Wataru Funakoshi
渉 船越
Fumitaka Kondou
史崇 近藤
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP18968297A priority Critical patent/JPH1135777A/ja
Publication of JPH1135777A publication Critical patent/JPH1135777A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に製造が容易でアクリル系樹脂の本有
する物性を損なうことなく、水洗しても制電性能が低下
しない永久的な帯電防止効果を有し、かつ透明性に優れ
るアクリル系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 アクリル系樹脂(A)100重量部、ス
ルホン酸塩基で核置換された芳香族成分及び脂肪族カル
ボン酸成分を特定量含有して成るポリエーテルエステル
(B)5〜30重量部、及び界面活性剤(C)0.5〜
6重量部とからなる樹脂組成物において、(A)の屈折
率と、(B)及び(C)とからなる混合物の屈折率との
差が0.03以内である帯電防止アクリル系樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止効果を有
するアクリル系樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ア
クリル系樹脂と、該アクリル系樹脂との屈折率差がある
特定範囲内にあるポリエーテルエステルからなり、透明
性に優れ、しかも、帯電防止効果が持続するとともに取
扱い性にすぐれたアクリル系樹脂組成物及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は優れた諸特性を生か
し、電気電子用部材、自動車用部材、医療用部材、生活
用品、その他各種成形品として使用されている。ところ
で、一般にプラスチックには、電気絶縁性が高いという
特徴があるが、そのためにかえって帯電した静電気が散
逸しにくく、製品へのほこりの付着、作業者への電撃、
計器類やICチップ類の誤動作といった問題が生じてい
る。そのため、各種のプラスチック材料に対して帯電防
止方法の研究がなされてきた。
【0003】プラスチックの帯電防止方法としては、内
部添加型と塗布型がある。塗布型では、別工程が必要で
あり、製品プロセス上は、内部添加型の方が有利であ
る。
【0004】内部添加型による方法ではこれまで、アル
キルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩とい
ったイオン性界面活性剤をポリマー中に練り込む方法
が、効果や経済性に優れるために一般的に採用されてき
た。中でも、アルキル(アリール)スルホン酸塩を利用
したものが数多く実施されてきた。そうした中で、樹脂
本来の透明性を維持したままで、帯電防止効果のあるも
のとしては、例えば、特開平7―18137号公報等に
おいて、メチルメタクリレート―スチレン共重合樹脂及
びスルホン酸ホスホニウム塩からなる組成物が開示され
ている。これは、界面活性剤が表面に染み出すために、
少量のスルホン酸ホスホニウム塩の添加で優れた帯電防
止効果を示すのであるが、拭いたり、水洗いしたりする
と帯電防止効果が減少するという問題がある。
【0005】一方、永久的な帯電防止効果を付与する方
法として、制電性ポリマーを混合する方法が開示されて
いる。例えば、特開昭58―118838号公報におい
ては、ポリオレフィンとポリエーテルエステルアミドか
らなる組成物が帯電防止効果を有するという記載があ
る。しかし、こうしたポリマー同士を混合すると、ポリ
マー自体が結晶性であるとか、ブロックポリマーである
とかいったために成型品が濁ってしまい、不透明にな
る。また、成型品が透明であっても、ポリマー同士が解
け合っているような場合には、帯電防止効果が少ないと
いう問題点がある。
【0006】又、特開平6―57153号公報におい
て、ポリアルキレングリコール、グリコール、多価カル
ボン酸からなるポリエーテルエステルについて報告され
ている。これは永久的な制電性はあるものの単独では効
果が不足し、更に効果を上げるためには、イオン性の帯
電防止剤を併用する必要がある。しかしながら、そうし
た場合には水洗により、制電効果がかなり低下してしま
うという問題がある。
【0007】以上のように永久的な帯電防止効果、透明
性、良好な物性、及び耐熱性を兼ね備えたアクリル系樹
脂組成物を得ることはこれまで困難であった。
【0008】さらに特開平8―337702号には、上
記問題を解決しようとして、(1)スルホン酸塩基で置
換された炭素数6〜20のジカルボン酸及び/又はその
エステルを含有するジカルボン酸及び/又はそのエステ
ル、(2)数平均分子量200〜50,000のポリ
(アルキレンオキシド)グリコール及び(3)炭素数2
〜10のグリコールを重縮合して得られるポリエーテル
エステル及び界面活性剤とアクリル系樹脂との帯電防止
性組成物が提案されている。
【0009】該帯電防止性組成物は永久的帯電防止効
果、透明性、良好な耐熱性及びその他の物性を有するも
のであるが上記特許記載の組成物の1成分であるポリエ
ーテルエステルは、(I)重縮合した溶融ポリマーをス
トランドとして押し出し、チップ状にカットするのが困
難であること、(II)得られたチップをバンカー中ある
いは袋中保存すると相互に密着し取扱いが不可能となる
等、取扱い上の問題があり、上記特許記載のポリエーテ
ルエステルをこのような方法によって工業的に製造する
ことは困難である。
【0010】又、溶融重縮合したポリエーテルエステル
が溶融状態にあるとき、界面活性剤を加え混合したもの
をストランドと押し出し、チップ状にカットすることは
さらに困難であり、得られたチップの密着ブロック性の
程度はさらに大なるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、界面
活性剤と併用し各種のアクリル系樹脂と溶融混合するこ
とにより、永続的な帯電防止効果を発揮し、透明性、物
性、成形性及び耐熱性の低下の少ないアクリル系樹脂成
形物を提供することにある。ポリエーテルエステルを操
作性良好に工業的に生産することは、低コストで上記帯
電防止用樹脂組成物を提供しうることとなり工業的意義
は大である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、スルホン酸塩基で核置
換された特定の芳香族カルボン酸成分及び特定の脂肪族
カルボン酸を含有して成る特定のポリエーテルエステル
は、取扱い性も良好であり界面活性剤と併用してアクリ
ル系樹脂と混合することにより、永続的な帯電防止効果
を発揮した上でさらに、透明性、物性、成形性及び耐熱
性の低下の少ないアクリル系樹脂組成物が得られること
を見い出した。
【0013】さらに驚くべきことに、かかる方法で得ら
れたアクリル系樹脂組成物の帯電防止効果の雰囲気湿度
への依存性が少ない利点を有することが見い出された。
【0014】すなわち本発明は、アクリル系樹脂(A)
100重量部と、(B1)炭素数4〜20の芳香族カル
ボン酸成分、(B2)炭素数2〜20の脂肪族カルボン
酸成分、(B3)スルホン酸塩基を含有する成分とし
て、下記式(1)
【0015】
【化3】
【0016】[式(1)中、Arは炭素数6〜20の3
価の芳香族基を表し、M+ は金属イオン、テトラアルキ
ルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウム
イオンを表す]で示される芳香族ジカルボン酸成分、お
よび/または、下記式(2)
【0017】
【化4】
【0018】[式(2)中、R1 及びR2 はそれぞれ独
立に炭素数2〜4の2価のアルキレン基であり、mおよ
びnはそれぞれ独立に1〜10の整数である。Ar′は
炭素数6〜20の3価の芳香族基を表し、M+ は金属イ
オン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラア
ルキルアンモニウムイオンを表す]で示されるジオール
成分、(B4)数平均分子量200〜50,000のポ
リ(アルキレンオキシド)グリコール成分(B5)炭素
数2〜20のグリコール成分からなるポリエーテルエス
テル(B)5〜30重量%と、界面活性剤(C)0.5
〜6重量部とからなる帯電防止アクリル系樹脂組成物で
あって、スルホン酸塩基(−SO3 - + )含有成分
(B3)の量が全カルボン酸成分に対し3〜50モル%
であり、(B2)の含有量が全カルボン酸成分に対し5
〜50モル%であり、(B4)の含有量が(B)の全重
量に対し10〜80重量%の範囲であり、かつ上記アク
リル系樹脂(A)の屈折率と、ポリエーテルエステル
(B)と界面活性剤(C)とからなる混合物の屈折率と
の差が、0.03以内であることを特徴とする帯電防止
アクリル系樹脂組成物によって達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
の樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)、ポリエーテル
エステル(B)及び界面活性剤(C)とから実質的に成
る。
【0020】本発明においては、アクリル系樹脂(A)
に対する、ポリエーテルエステル(B)と界面活性剤
(C)との混合物の屈折率差が可視光領域において0.
03以内であることが必須条件である。屈折率差が0.
03以内となるのは全可視光領域に渡ることが好ましい
が、実用的には少なくともブラウンホーファー線のD線
(波長589nm)における屈折率差が0.03以内で
あることが必要である。屈折率差が0.03より大きい
と、樹脂組成物中のアクリル系樹脂(A)成分とポリエ
ーテルエステル(B)成分の境界領域において光の散乱
が生じ、成型物の濁りを生じることになる。屈折率差は
透明性の面でより少ない方が好ましく、0.02以内と
することがより好ましい。
【0021】以上の条件は、以下に示すポリエーテルエ
ステル(B)と界面活性剤(C)の組み合わせの中で実
現することができる。
【0022】本発明に於けるポリエーテルエステル
(B)を構成する炭素数4〜20の芳香族カルボン酸成
分(B1)は、芳香族ジカルボン酸及び/又はオキシカ
ルボン酸成分である。炭素数2〜20の脂肪族カルボン
酸成分(B2)、スルホン酸塩基で置換された芳香族ジ
カルボン酸(B3)中の上記式(1)で表される成分と
よりなる。ここで炭素数6〜20の芳香族ジカルボン
酸、オキシカルボン酸成分としては、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、
2,7―ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸を挙げることができる。また炭素数6〜20の芳香族
ジカルボン酸エステルとしては、例えばテレフタル酸ジ
メチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチ
ル、イソフタル酸ジエチル、2,6―ナフタレンジカル
ボン酸ジメチル、2,6―ナフタレンジカルボン酸ジエ
チル、2,7―ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,
7―ナフタレンジカルボン酸ジエチルを挙げることがで
きる。オキシカルボン酸成分としては、例えば、p―オ
キシ安息香酸、2―ヒドロキシ―6―ナフタレンカルボ
ン酸、2―ヒドロキシ―7―ナフタレンカルボン酸、m
―オキシ安息香酸メチル、p―オキシ安息香酸メチル、
2―ヒドロキシ―6―ナフタレンカルボン酸メチル等を
挙げることができる。これらは芳香環にアルキル基、ハ
ロゲン等の置換基を有していてもよい。これらのうち
で、取り扱い性の点からは、テレフタル酸、2,6―ナ
フタレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、2,6
―ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい。また、
テレフタル酸成分に比べ、2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸成分は全体の屈折率を高くする傾向にある。
【0023】本発明に用いられる炭素数2〜20の脂肪
族カルボン酸(B2)は、脂肪族ジカルボン酸及び/又
はオキシカルボン酸成分である。ここでかかる酸成分と
しては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラ
シリン酸、タプシン酸、1,17―ヘプタデカンジカル
ボン酸、1,18―オクタデカンジカルボン酸、1,4
―シクロヘキサンジカルボン酸、1,3―シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4―デカリンジカルボン酸、2,
7―デカリンジカルボン酸、トリシクロ[5.2.1.
2,6 ]デカン―4,8―ジカルボン酸、2,4―ジカ
ルボキシテトラヒドロナフタレン、1,3―シクロブタ
ンジカルボン酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル
酸、β―オキシイソ酪酸、オキシピバル酸、6―オキシ
ヘキサン酸、ε―カプロラクトン、11―オキシテトラ
デカン酸、サビニン酸、コニペリン酸、4―ヒドロキシ
メチルシクロヘキサンカルボン酸、4―ヒドロキシメチ
ルデカリン―1―カルボン酸、7―ヒドロキシメチルデ
カリン―6―カルボン酸及びこれらのエステル化合物で
あるコハク酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、コルク酸
ジメチル、セバシン酸ジメチル、タプシン酸ジブチル、
1,4―シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4
―デカリンジカルボン酸ジエチル、2,4―ジカルボキ
シテトラヒドロナフタレンジエチル、ヒドロキシアクリ
ル酸メチル、オキシピバル酸メチル、コペニン酸メチル
等が挙げられる。
【0024】これらの成分の導入によりポリエーテルエ
ステルの取扱い性が大巾に向上する。
【0025】これらの内で分子内で2コのカルボキシル
基、又はヒドロキシ基とカルボキシル基が4〜16個の
炭素でへだてられているものが取扱い性向上に好まし
い。中でも炭素5〜16個でへだてられているものが好
ましい。
【0026】これら脂肪族ジカルボン酸、オキシカルボ
ン酸の使用量は(B)を構成する全カルボン酸成分(全
ジカルボン酸成分+全オキシカルボン酸成分)に対して
5〜50モル%の範囲に選択されるが、又(B)の全重
量に対しては、1〜30重量%となる様好ましく選択さ
れる。かかる量範囲内にあると、ポリエーテルエステル
のチップ化時の切断も良好であり及び得られたチップ保
管時のブロック化も起らず好ましい。さらに該ポリエー
テルエステルに界面活性剤を混合したもののチップ化も
良好であり、又得られたチップも保管時のブロック化も
ふせぐことができる。
【0027】ポリエーテルエステル(B)を構成する成
分の一つである(B3)スルホン酸塩基(―SO3 -
+ )を含有する成分は、下記式(1)
【0028】
【化5】
【0029】で示される芳香族ジカルボン酸成分、およ
び/または、下記式(2)
【0030】
【化6】
【0031】で示されるジオール成分である。
【0032】上記式(1)において、M+ は金属イオ
ン、テトラアルキルホスホニウムイオン、テトラアルキ
ルアンモニウムイオンの内から選ばれるイオンを表す。
+ としてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチ
ウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオ
ン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、
亜鉛イオン等の金属イオン、テトラブチルホスホニウム
イオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチ
ルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオ
ン等である。これらのイオンの中で金属イオンが好まし
く、アルカリ金属イオン、亜鉛イオンがより好ましい。
ただし2価の金属イオンの場合にはスルホン酸塩基2モ
ルに対し、金属イオン1モルが対応するものとする。
【0033】上記式(1)中のArは、ベンゼン環、ナ
フタレン環、ビフェニル環等の炭素数6〜20の3価の
芳香族基であり、これらはまた、アルキル基、フェニル
基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有していても
よい。
【0034】かかる芳香族ジカルボン酸成分としては、
4―ナトウリムスルホ―イソフタル酸、5―ナトリウム
スルホ―イソフタル酸、4―カリウムスルホ―イソフタ
ル酸、5―カリウムスルホ―イソフタル酸、2―ナトリ
ウムスルホ―テレフタル酸、2―カリウムスルホ―テレ
フタル酸、4―スルホ―イソフタル酸亜鉛、5―スルホ
―イソフタル酸亜鉛、2―スルホ―テレフタル酸亜鉛、
4―スルホ―イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム
塩、5―スルホ―イソフタル酸テトラアルキルホスホニ
ウム塩、4―スルホ―イソフタル酸テトラアルキルアン
モニウム塩、5―スルホ―イソフタル酸テトラアルキル
アンモニウム塩、2―スルホ―テレフタル酸テトラアル
キルホスホニウム塩、2―スルホ―テレフタル酸テトラ
アルキルアンモニウム塩、4―ナトリウムスルホ―2,
6―ナフタレンジカルボン酸、4―ナトリウムスルホ―
2,7―ナフタレンジカルボン酸、4―カリウムスルホ
―2,6―ナフタレンジカルボン酸、4―カリウムスル
ホ―2,7―ナフタレンジカルボン酸、4―スルホ―
2,6―ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4―スルホ―
2,7―ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4―スルホ―
2,6―ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホ
ニウム塩、4―スルホ―2,7―ナフタレンジカルボン
酸テトラアルキルホスホニウム塩、4―スルホ―2,7
―ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルアンモニウム
塩、4―スルホ―2,7―ナフタレンジカルボン酸テト
ラアルキルアンモニウム塩、2―ナトリウムスルホ―
4,4′―ビフェニルジカルボン酸、3―ナトリウムス
ルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸、2―カリウ
ムスルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸、3―カ
リウムスルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸、2
―スルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸亜鉛塩、
3―ナトリウムスルホ―4,4′―ビフェニルジカルボ
ン酸亜鉛塩、2―スルホ―4,4′―ビフェニルジカル
ボン酸テトラアルキルホスホニウム塩、3―ナトリウム
スルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸テトラアル
キルホスホニウム酸、2―スルホ―4,4′―ビフェニ
ルジカルボン酸テトラアルキルアンモニウム塩、3―ナ
トリウムスルホ―4,4′―ビフェニルジカルボン酸テ
トラアルキルアンモニウム塩またはこれらのジメチルエ
ステル、ジエチルエステル等の芳香族ジカルボン酸エス
テル等の形で重縮合によりポリエステル(A)に導入さ
れる。
【0035】これらの中で、Arは置換基を有さず、M
+ がナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンであ
ることが、制電性、重合性、機械特性、色調等の面でよ
り好ましい。
【0036】上記式(2)で表されるジオール成分にお
いて、M+ は上記式(1)と同じである。
【0037】上記式(2)中のAr′は、ベンゼン環、
ナフタレン環、ビフェニル環等の炭素数6〜20の3価
の芳香族基であり、これらはまた、アルキル基、フェニ
ル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有していて
もよい。
【0038】R1 、R2 は、エチレン、プロピレン、ブ
チレン基などの炭素数2〜4の2価のアルキレン基であ
り、これらのうち、エチレン、プロピレン基が好まし
い。
【0039】m、nはそれぞれ独立に1〜10の整数で
あるが、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3で
ある。
【0040】かかるジオール成分としては、下記式に挙
げるものが好ましく用いられる。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】上記ジオール成分としては、上記式(2)
−1、(2)−3、(2)−5、(2)−13、(2)
−15および(2)−17が好ましく、(2)−1、
(2)−13がさらに好ましい。
【0048】上記(B3)成分の含有量は全カルボン酸
成分(全ジカルボン酸成分+全オキシカルボン酸成分)
に対して3〜50モル%である。かかる(B3)成分の
割合が3モル%未満では、帯電防止効果が十分でなかっ
たり、水洗に対する帯電防止効果の耐久性、上記樹脂組
成物をアクリル系樹脂と溶融混合して成形した成型品の
表面の拭き取り時の帯電防止効果の耐久性が十分でな
い。
【0049】特に、(B)ポリエーテルエステル中に共
重合されている上記式(1)および/または(2)で表
されるイオン性の基であるスルホン酸塩基とイオン性界
面活性剤との相互作用が生じる結果、帯電防止効果が相
乗的に向上し、しかも、従来からの問題点であった、界
面活性剤の流出が抑制され、帯電防止効果が維持される
と推測される。
【0050】一方、(B3)成分が50モル%を越える
と、重合反応が困難になり、十分な重合度のポリエーテ
ルエステル(B)を得にくくなったり、また取り扱い性
が悪化する。
【0051】(B3)成分の好ましい含有割合は、6〜
40モル%であり、さらに好ましくは7〜30モル%で
ある。
【0052】本発明における(B)ポリエーテルエステ
ルの構成成分である(B5)の炭素数2〜10のグリコ
ール成分は、例えばエチレングリコール、1,4―ブタ
ンジオール、プロピレングリコール、1,6―ヘキサン
ジオール、3―メチル―1,5―ペンタンジオール等の
形で重縮合により導入することが出来る。かかる(B
5)成分は、ジエチレングリコールのようにエーテル結
合、チオジエタノールのようにチオエーテル結合を含ん
でいてもよい。
【0053】また、下記式(3)、(4)および(5)
で示される炭素数10〜30のジオール成分を上記グリ
コール(B5)の一部として共重合して導入すること
も、ポリエーテルエステル(B)の耐熱性及び取扱い性
を向上させる上で好ましい。
【0054】
【化13】
【0055】上記式(3)、(4)および(5)中、A
11及びAr1 はそれぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタ
レン環、ビフェニル環等の炭素数6〜20の3価の芳香
族基であり、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜
6のアルキレン基であり、例えば、メチレン、エチレ
ン、プロピレン、ノルマルブチレン、イソブチレン等を
例示できる。Phはベンゼン環である。これらはまた、
アルキル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の
置換基を有していてもよい。また、―X―は、
【0056】
【化14】
【0057】から選ばれる。ここで、R5 及びR6 はそ
れぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、
炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のア
リール基であり、たとえば、メチレン、エチレン、プロ
ピレン、ノルマルブチレン、イソブチル、ペンチル、シ
クロヘキシル、フェニル等を例示できる。またR3 とR
4 とは互いに結合していてもよく、その場合にはシクロ
アルカン環を構成する。
【0058】かかるグリコール成分は単独であっても、
2種以上を併存してもよい。この中で1,6―ヘキサン
ジオール、ジエチレングリコールが、帯電防止効果の点
で好ましい。
【0059】本発明における(B)はポリエーテルエス
テルの構成成分の一つである(B4)ポリ(アルキレン
オキシド)グリコール成分としてはポリエチレングリコ
ールから主としてなるポリアルキレングリコールが好ま
しい。また、ポリプロピレングリコール等を共重合成分
として含んでいてもよい。
【0060】かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールの数平均分子量は200〜50000である。かか
る分子量が200に満たない場合には、十分な制電効果
が得られない。また、実用性の点からは、かかる分子量
の上限は50000程度である。ポリ(アルキレンオキ
シド)グリコールの好ましい分子量は500〜3000
0であり、更に好ましくは1000〜20000であ
る。
【0061】こうした分子量の範囲内において、片末端
のみがエステル形成成分の例えばアルコールであるポリ
(アルキレンオキシド)アルコールを(B)ポリエーテ
ルエステルの重合度を低下させない程度で、上記ポリ
(アルキレンオキシド)グリコールと併存してもよい。
【0062】さらにこうした分子量の範囲内において、
かかるポリ(アルキレンオキシド)アルコールは芳香族
環を分子内に有している構造でもよい。かかるポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコールとしては、下記式
(6)、(7)の構造を有するものが例示できる。
【0063】
【化15】
【0064】上記式(6)、(7)中、Ar2 は、ベン
ゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環等の炭素数6〜2
0の2価の芳香族基であり、Phはベンゼン環である。
これらはまた、アルキル基、フェニル基、ハロゲン、ア
ルコキシ基等の置換基を有していてもよい。また、p,
q,r,sは2〜60までの整数を表す。―x―は、
【0065】
【化16】
【0066】から選ばれる。ここでR7 及びR8 は上記
5 、R6 と同じである。上記式(6)、(7)で表さ
れるジオール成分は、ポリエーテルエステル(B)の構
成成分の一つであるポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ール(B4)成分の全体であってもよいし、かかる成分
の一部であってもよい。
【0067】上記(B4)数平均分子量200〜500
00のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分は、
最終的に得られる樹脂組成物の機械物性、帯電防止効果
の点から、ポリエーテルエステル(B)全体の10〜8
0重量%の範囲内であることが必要である。すなわち、
かかる数平均分子量200〜50000のポリ(アルキ
レンオキシド)グリコール成分の使用量は、ポリエーテ
ルエステル(B)を構成する(B4)の含有量が(B
1)〜(B5)の仕込みの合計量に対して10〜80重
量%となるようにする。10重量%より少ないと帯電防
止効果が十分でなく、80重量%より多い場合には、ポ
リエーテルエステル(B)のガラス転移温度Tgが低く
なりすぎるため、取り扱いが困難となるからである。好
ましい(B2)の含有量は、(B1)、(B2)(B
3)及び(B5)の4成分の合計量に基づいて25〜7
0重量%の範囲であり、より好ましくは30〜60重量
%の範囲である。
【0068】本発明におけるポリエーテルエステル
(B)は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比6
0/40)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃
度1.2g/dl)がともに0.2以上であることが好
ましい。還元粘度が0.2より小さいと耐熱性や、機械
物性低下の原因となることがある。還元粘度に対する上
限は、ポリマーが実質的に線状の重合体であるので、帯
電防止効果の点でも機械物性の点でも高い方が好ましい
が、実質的な重合の上限は4.0程度である。還元粘度
はより好ましくは0.3以上であり、還元粘度はさらに
好ましくは0.4以上であり、さらにより好ましくは
0.5以上である。
【0069】本発明におけるポリエーテルエステル
(B)は、上記成分(B1)〜(B5)を誘導する酸、
エステル、又はグリコールをそれぞれエステル交換触媒
の存在下、150〜300℃で加熱溶融し重縮合反応せ
しめることによって製造することができる。
【0070】エステル交換触媒としては通常のエステル
交換反応に使用できるものなら特に制限はない。かかる
エステル交換触媒としては、三酸化アンチモン等のアン
チモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジ
ブチル錫ジアセテート等の錫化合物、テトラブチルチタ
ネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢
酸カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属塩等を例示することがで
きる。これらのうちテトラブチルチタネートが好ましく
用いられる。
【0071】また、上記触媒の使用量としては、通常の
エステル交換反応における使用量でよく、概ね、使用す
る酸成分1モルに対し、0.01〜0.5モル%が好ま
しく、0.03〜0.3モル%がより好ましい。
【0072】また、反応時には酸化防止剤等の各種安定
剤を併用することも好ましい。
【0073】上記(B1)〜(B5)を加熱溶融し重縮
合する温度としては、初期反応として、150℃から2
00℃で数十分から十数時間エステル化反応及び/又は
エステル交換反応を留出物を留去しながら行った後、反
応物を高分子量化する重合反応を180℃から300℃
で行う。180℃より温度が低いと反応が進まず、30
0℃より温度が高いと、分解などの副反応が起こり易く
なるためである。重合反応温度は200℃から280℃
がさらに好ましく、220℃から250℃が更に好まし
い。この重合反応の反応時間は反応温度や触媒量にもよ
るが、通常は数十分から数十時間程度である。
【0074】この様にして得られたポリマーは常法によ
り重縮合反応装置より押し出され、一般的に使用され、
ついで水中カッター、ホットメルトカッターあるいは、
最も、機構の簡単なペレタイザーによりチップ化され
る。
【0075】又後述する様に上記重縮合反応生成物に界
面活性剤の1部又は全部を混合し、アクリル系樹脂用制
電剤混合物を製造することも、本発明の実施態様の一種
であるが、かかる混合物も同様に上記カッター、ペレタ
イザーによりチップ化される。
【0076】本発明の樹脂組成物は、アクリル系樹脂
(A)、ポリエーテルエステル(B)及び以下に述べる
界面活性剤(C)により構成される。
【0077】本発明の樹脂組成物を構成する(C)界面
活性剤は、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、下記式(8)
【0078】
【化17】
【0079】[ここで、R9 及びR10はそれぞれ独立
に、炭素数3〜20のアルキル基であり、tは0〜4の
整数であり、uは0〜3の整数である。Mは前記式
(1)中のMと同義である。]で表されるアルキルナフ
タレンスルホン酸塩、下記式(9)
【0080】
【化18】
【0081】[ここで、R11及びR12はそれぞれ独立
に、炭素数3〜20のアルキル基であり、vは0〜4の
整数であり、wは0〜3の整数である。Mは前記式
(1)中のMと同義である。]で表されるアルキルビフ
ェニレンスルホン酸塩等のイオン性界面活性剤を好まし
く用いることができる。
【0082】アルキルスルホン酸塩としては、ドデシル
スルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、
デシルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸カリウ
ム、セチルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸カ
リウム等の炭素数3〜20のアルキルスルホン酸アルカ
リ金属塩を例示することができる。
【0083】また、アルキルベンゼンスルホン酸塩とし
ては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、
セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼン
スルホン酸カリウム等の炭素数3〜20のアルキルベン
ゼンスルホン酸アルカリ金属塩を例示することができ
る。かかるアルキルスルホン酸塩及びアルキルベンゼン
スルホン酸塩のアルキル鎖が炭素数3より小さいと上記
成分(A)および(B)に溶解しにくくなる傾向があ
り、物性低下の原因にもなるため好ましくない。
【0084】さらにまた、アルキルナフタレンスルホン
酸塩としては、例えばイソプロピルナフタレンスルホン
酸ナトリウム、イソプロピルナフタレンスルホン酸カリ
ウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オク
チルナフタレンスルホン酸カリウム、ドデシルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン
酸カリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ
金属塩を挙げることができる。
【0085】アルキルビフェニレンスルホン酸塩として
は、例えばイソプロピルビフェニレンスルホン酸ナトリ
ウム、イソプロピルビフェニレンスルホン酸カリウム、
オクチルビフェニレンスルホン酸ナトリウム、オクチル
ビフェニレンスルホン酸カリウム、ドデシルビフェニレ
ンスルホン酸ナトリウム、ドデシルビフェニレンスルホ
ン酸カリウム、ジイソプロピルビフェニレンスルホン酸
ナトリウム、ジイソプロピルビフェニレンスルホン酸カ
リウム、ジオクチルビフェニレンスルホン酸ナトリウ
ム、ジオクチルビフェニレンスルホン酸カリウム、ジド
デシルビフェニレンスルホン酸ナトリウム、ジドデシル
ビフェニレンスルホン酸カリウム、トリイソプロピルビ
フェニレンスルホン酸ナトリウム、トリイソプロピルビ
フェニレンスルホン酸カリウム等のアルキルビフェニレ
ンスルホン酸アルカリ金属塩を挙げることができる。
【0086】上記イオン性界面活性剤は、単独で、また
は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】一般に樹脂に対して帯電防止効果を発現さ
せるために界面活性剤を添加するのは従来公知の方法で
あるが、そうした方法では、水洗や拭き取りにより帯電
防止効果が低下してしまう。
【0088】それに対し、イオン性界面活性剤(C)を
添加された本発明の樹脂組成物は、驚くべきことに水洗
や拭き取りによっても帯電防止効果が損なわれることは
ない。
【0089】本発明の永久帯電防止を付与する樹脂組成
物は、上述のアクリル系樹脂(A)100重量部に対
し、ポリエーテルエステル(B)5〜30重量部、イオ
ン性界面活性剤(C)0.5〜6重量部により構成され
る。
【0090】ポリエーテルエステル(B)の量が5重量
部未満であると制電性能が十分発現せず、30重量部よ
り多いと取り扱い性、成型品の耐熱性が悪化する。好ま
しい量は、5〜25重量部、更に好ましくは、8〜20
重量部である。
【0091】また、イオン性界面活性剤(C)の量が
0.5重量部未満であるとアクリル系樹脂(A)とポリ
エーテルエステル(B)が相溶化せず取り扱い性が悪化
し、かつ制電性能が十分発現しない。6重量部より多い
と取り扱い性、成型品の機械物性が悪化する。好ましい
量は0.7〜5重量部、更に好ましくは、1〜4重量部
である。
【0092】本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)
としてはポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エ
チル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブ
チル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、
メタクリル酸メチル―アクリル酸メチル共重合体、メタ
クリル酸メチル―メタクリル酸エチル共重合体、メタク
リル酸メチル―メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリ
ル酸メチル―アクリル酸エチル共重合体などのメタクリ
ル酸エステル及び/またはアクリル酸エステルの単独重
合体あるいは共重合体等が上げられる。これらのアクリ
ル系樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせ
てもよい。また、それらの製造方法については特に制限
はなく、公知の懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法
などで製造したものを用いることができる。
【0093】本発明の帯電防止用樹脂組成物は、以上に
示したアクリル系樹脂(A)100重量部に対し、ポリ
エーテルエステル(B)5〜30重量部、及び界面活性
剤(C)0.5〜6重量部含有する。かかる界面活性剤
としては、陰イオン系界面活性剤、又は陽イオン系界面
活性剤が挙げられるが、ポリエーテルエステル等との混
練時に要求される耐熱性に面で、陰イオン界面活性剤が
好ましい。さらに驚くべきことに、かかる陰イオン界面
活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤を用いること
により、かかる帯電防止効果が著しく増大し、かつ効果
が永久的に持続する。かかるスルホン酸塩は、上記ポリ
エーテルエステルを構成する、上気式(1)で現される
酸成分と組み合わせて用いることにより、かかる効果の
向上に寄与しているものと推定される。
【0094】又、本発明の帯電防止用組成物の帯電防止
効果の雰囲気湿度依存性の良化は、ポリエーテルエステ
ル(B)中炭素数2〜20の脂肪族カルボン酸成分を導
入することにより、該ポリエーテルエステル及び界面活
性剤のアクリル系樹脂との相互溶解性を改良する結果も
たらされるものと推定している。
【0095】本発明の帯電防止用樹脂組成物は、従来公
知の方法で、上記アクリル系樹脂(A)、ポリエーテル
エステル(B)及び界面活性剤(C)を溶融混合するこ
とにより製造することができる。溶融混合する方法とし
ては、例えば、本発明の樹脂組成物のかかる構成成分
を、一軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて溶融混
合する方法が上げられる。
【0096】上記樹脂組成物の構成成分(A)、(B)
及び(C)は、同時に溶融混合してもよいが、あらかじ
め、ポリエーテルエステル(B)及び界面活性剤(C)
を溶融混合した後、ついでこれとアクリル系樹脂(A)
とを溶融混合することにより、永続的な帯電防止効果を
より発揮し、透明性、物性、成形性及び耐熱性の低下の
少ない帯電防止アクリル系樹脂組成物を得ることがで
き、望ましい。
【0097】あらかじめポリエーテルエステル(B)及
び界面活性剤(C)を溶融混合する方法としては、例え
ば、ポリエーテルエステルの重合反応が終了した後、そ
のまま重合槽に上記界面活性剤を添加して混合し、アク
リル系樹脂(A)と溶融混合する方法、一軸あるいは二
軸の溶融押し出し機を用いてポリエーテルエステル
(B)及び界面活性剤(C)を混合し、アクリル系樹脂
(A)と溶融混合する方法等が挙げられる。ポリエーテ
ルエステル(B)及び界面活性剤(C)を溶融混合する
温度としては、概ね140℃から300℃である。14
0℃より温度が低いと混合が十分ではないことがあり、
300℃より温度が高いと、分解などの劣化を起こすこ
とがあり好ましくない。溶融混合温度は好ましくは16
0℃から270℃であり、より好ましくは200℃から
260℃である。
【0098】こうして得られる(B)及び(C)からな
る混合物をさらにアクリル系樹脂(A)と200℃から
300℃で溶融混合することにより、本発明の帯電防止
アクリル系樹脂組成物を得ることができる。こうした混
合は一軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて実施で
きる。この際、200℃より温度が低いと混合が十分で
はないことがあり、300℃より温度が高いと、分解な
どの劣化を起こすことがあり好ましくない。溶融混合温
度は好ましくは220℃から290℃であり、より好ま
しくは230℃から280℃である。
【0099】本発明の帯電防止アクリル系樹脂組成物
は、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。
かかる添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、アラミ
ド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、炭
酸繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、炭
酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フ
レーク、金属粉末のような各種充填剤、リン酸エステ
ル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤ある
いは触媒失活剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、
難燃化剤、難燃助剤、可塑剤などの添加剤が挙げられ
る。
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、スルホン酸塩基で核置
換された特定の成分及び脂肪族カルボン酸成分を含有し
て成るポリエーテルエステルは取扱い性良好であり、界
面活性剤と併用しアクリル系樹脂と混合することによ
り、該アクリル系樹脂の機械物性等を損なうことなく、
高い帯電防止効果を永続的に発揮し、さらに透明性に優
れたアクリル系樹脂組成物を得ることができる。
【0101】したがって、かかる樹脂組成物は、OA機
器、電子部材、自動車のハウジング、医療用部材、各種
容器、カバー、フィルム、シート等に有用である。
【0102】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明の好ましい態様に
ついて記載するが、本発明は実施例のみに限定されるも
のではない。
【0103】実施例中「部」は「重量部」を意味する。
また還元粘度は、特に指定のない限りフェノール/テト
ラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中にお
いて濃度1.2(g/dl)、35℃にて測定した値で
ある。屈折率はアッベ屈折計(株式会社アタゴ製)によ
り測定した。衝撃強度はASTM D256に従い1/
8インチで、熱変形温度(HDT)はASTM D64
8に従い、1/8インチ、荷重18.6kg/cm2
測定した。表面固有抵抗率の測定は、20℃、湿度60
%の条件下で24時間放置した後、超絶縁計(東亜電波
工業株式会社製SM―8210)を用いて印加電圧10
00Vにて測定した。成型品の水洗は、30℃の流水で
2時間洗浄を行い、清浄な紙で水分をふき取った。その
後、同様の条件で乾燥し、表面固有抵抗率の測定を行っ
た。成型品の光の透過(透明性)については、JIS
Z 8703に従い、ハンターの色差式における明度指
数Lを透過法により測定評価した。測定には、日本電色
工業株式会社製Z―300Aを用い、サンプル厚2mm
で透過法により測定した。
【0104】[参考例1]821部のジメチルテレフタ
レート、818部の5―ナトリウムスルホイソフタル酸
ジメチル、363部のセバシン酸ジメチル、エチレング
リコール780部、1300部のポリエチレングリコー
ル(数平均分子量2000)、及び3.5部のテトラブ
チルチタネートを精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に
入れ、容器内を窒素置換した後、常圧下、220℃に昇
温した。220℃でメタノールを留出しながら5時間反
応を行った後、反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を
有する反応器に入れ、45分間で240℃まで昇温し
た。その時点で徐々に反応系内を減圧し、60分後0.
3mmHgとし、6時間後に重合体を得た。得られたポ
リエーテルエステルの還元粘度は0.57であった。さ
らにそこへ、ドデシルベンゼンスルホン酸トナウリム7
11部を加え、容器内を窒素置換した後、240℃で減
圧下1時間撹拌した。その後重縮合反応容器より、10
℃の水中へ溶融スランドを押し出し、ペレタイザー(い
すず化工機(株)製:SCF―100)で問題なくチッ
プ化できた。なお得られた混合物の屈折率は、1.50
であった。
【0105】[参考例2]同上反応をポリエチレングリ
コール量を1625部、セバシン酸ジメチルを使用せ
ず、テトラブチルチタネート量を2.9部に変更し実施
した。得られたポリエーテルエステルの還元粘度は0.
58であった。さらにドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム711部を加え、同上処理後チップ化を試みたと
ころチップ化は不可能であった。しかたなく得られたス
トランドをハサミで切断し以降のテストに供した。
【0106】[実施例1、比較例1]ポリメチルメタク
リレート(PMMA)樹脂(旭化成株式会社製「デルペ
ット」80N、屈折率1.49)100部に対して、参
考例1、参考例2で得られたポリエーテルエステル及び
界面活性剤との混合物をそれぞれ表記の量、30mmφ
同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工株式会社
製、PCM30)を用いて、ポリマー温度250℃、平
均滞留時間約3分の条件下で溶融混練し、これをペレッ
ト化した。次に射出成型機(名機製作所株式会社製M―
50B)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度
50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成型品を得、表
面固有抵抗の測定を行った。機械物性、明度指数と共
に、結果を表1に示す。
【0107】
【表1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系樹脂(A)100重量部と、
    (B1)炭素数4〜20の芳香族カルボン酸成分、(B
    2)炭素数2〜20の脂肪族カルボン酸成分、(B3)
    スルホン酸塩基を含有する成分として、下記式(1) 【化1】 [式(1)中、Arは炭素数6〜20の3価の芳香族基
    を表し、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホニウ
    ムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表
    す]で示される芳香族ジカルボン酸成分、および/また
    は、下記式(2) 【化2】 [式(2)中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に炭素数2
    〜4の2価のアルキレン基であり、mおよびnはそれぞ
    れ独立に1〜10の整数である。Ar′は炭素数6〜2
    0の3価の芳香族基を表し、M+ は金属イオン、テトラ
    アルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモ
    ニウムイオンを表す]で示されるジオール成分、(B
    4)数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキ
    レンオキシド)グリコール成分(B5)炭素数2〜20
    のグリコール成分からなるポリエーテルエステル(B)
    5〜30重量%と、界面活性剤(C)0.5〜6重量部
    とからなる帯電防止アクリル系樹脂組成物であって、ス
    ルホン酸塩基(−SO3 - + )含有成分(B3)の量
    が全カルボン酸成分に対し3〜50モル%であり、(B
    2)の含有量が全カルボン酸成分に対し5〜50モル%
    であり、(B4)の含有量が(B)の全重量に対し10
    〜80重量%の範囲であり、かつ上記アクリル系樹脂
    (A)の屈折率と、ポリエーテルエステル(B)と界面
    活性剤(C)とからなる混合物の屈折率との差が、0.
    03以内である帯電防止止アクリル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエーテルエステル(B)が、フェノ
    ール/テトラクロロエタン(重量比60/40)の混合
    溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/d
    l)で、0.3以上である請求項1記載の帯電防止アク
    リル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 界面活性剤(C)が、アルキルスルホン
    酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタ
    レンスルホン酸塩及びアルキルビフェニレンスルホン酸
    塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオン性界
    面活性剤である請求項1または2記載の帯電防止アクリ
    ル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1におけるポリエーテルエステル
    (B)を界面活性剤(C)と溶融混合した後、さらにア
    クリル系樹脂(A)と溶融混合することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止アクリル系樹脂
    組成物の製造方法。
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